ロボティクスとは、ロボットの設計や制作、制御を行う「ロボット工学」のことです。労働力の減少や人件費の上昇による自動化需要が高まるなか、ロボティクスは産業分野をはじめ医療・介護分野などの様々な分野で活用されるようになりました。ここでは、ロボティクス業界の開発現場に役立つ基礎知識やトレンド、ノウハウを紹介します。
-
コミュニケーションロボットとは、家事を手伝い、人と会話し、心を通わせ、家族のように暮らすといった人とのコミュニケーションを果たすロボットです。一方で、身近にあるロボットは、重たいものを運んだり、正確な作業を長時間続けたり、人間以上の能力を発揮して世の中の役に立っています。しかし、ロボットは人より力強くて、有能で、社会に役立つ存在でなければいけないと誰が決めたのでしょうか?今回は、身体性を伴うコミュニケーションが成立する過程について研究を行うなか「弱いロボット」という概念を提唱した豊橋技術科学大学情報・知能工学系の岡田教授に、コミュニケーションロボットの未来についてお伺いしました。
-
日本の製造業は、弱体化が指摘される一方、素材産業や工作機械など世界的なシェアを維持する分野も少なくない。そうした状況を踏まえ、日本の製造業が再び世界で強みを発揮するには、どの分野に注力すべきか、戦略的に考えることが重要だ。大きな可能性のあるものとして挙げられるのが「ロボット産業」だ。現状でも日本は産業用ロボットの分野で世界に評価されているが、さらにサービスロボット、知的ロボットといった分野を伸ばしていくための鍵は何か。2冊の書籍から考察してみたい。
-
2021年11月10〜11日の2日間、パシフィコ横浜にて「横浜ロボットワールド2021」が開催されました。本展示会は、人間に対して直接サービスを提供するロボット「サービスロボット」に特化した展示会としてスタートし、毎年大阪と横浜にて2度開催されている展示会です。現在ではロボット技術自体やモビリティなどの専門技術展として発展した内容となっています。今回は、印象に残ったロボットとAIによる受診支援ロボット、突出型リニアアクチュエータや球駆動式の全方向移動機構の展示内容をご紹介します。
-
近年北海道では酪農の集約、大規模化が進んでいますが、従来の日本の酪農方法である「舎飼い」では生産効率が上がらないなどから、「放牧」への転換が注目されています。しかし、大規模な放牧でも、「放牧のエリア選定」や「牛追い」など人手不足による課題があるといいます。今回の後編では、人手不足を解決する北海道の「宇野牧場」の取り組みの中で、システム開発会社と協業しAIやドローンなどIT技術を駆使し放牧の課題を解決しようとする事例についてご紹介します。
-
高齢化、核家族化により、全国的に買い物難民が増えている中、都市部では店も多く買い物は行きやすいと思われますが、車を持たない人など徒歩で買い物に行く高齢者も少なくないです。ネットショップなども利用できるものの、配送ドライバーの人員不足などの問題でまだ解決していません。今回は、自動運転やロボット技術を駆使し様々なロボットを開発している株式会社ZMP 代表取締役社長の谷口恒氏に、同社の「無人宅配ロボット」の機能と今まで行った実証実験の成果についてお話を伺いました。
-
物流配送において、配達スタッフの人員不足、地方での過疎化と高齢化、都市部のマンションやオフィスビルのセキュリティ強化などの問題から、荷物を受取人まで届けるラストワンマイル配送にロボットを導入しようとする動きが進みつつあります。今回は、屋内配送に特化した「自律走行配送ロボット」を開発している香港発Rice Robotics社のCEO Victor Lee氏と日本での販売、導入支援を行うアスラテック株式会社に、「自律走行配送ロボット」の活用場の開発や、社会実装に向けたデザイン設計についてお話を伺いました。
-
近年ドローン(無人航空機)の商用化が急速に進められており、ホビードローンだけでなく、農業や林業での植物生育状況の空撮・センシングや、災害時の状況調査、宅配など物流分野などその応用は多岐に渡っています。一方、墜落事故が相次ぐなど安全性については厳しく検討され、飛行条件が厳しく規定されています。今回は、ドローンの安全性を確保するための通信技術を研究している情報通信研究機構(NICT)に、ニアミスを回避するためのドローン間の直接通信技術についてお話を伺いました。
-
ネットショップなどのEC市場は右肩上がりで拡大を続けていますが、物流業界は倉庫内で商品をピッキング・梱包する作業に従事する人材の不足に悩んでいます。そこで、ピッキング作業の自動化が注目されていますが、この作業はコンピューターとロボットで行うには難易度が高く、自動化は進んできませんでした。今回は、作業の一部をロボットが補助する形で省人化を目指しているラピュタロボティクス株式会社に、同社が開発しているクラウドコンピューティングによるAMR(自律走行搬送ロボット)が、どのようにピッキング作業を省人化しているかお話を伺いました。
-
2021年6月14~16日に、幕張メッセにて「Japan Drone 2021(第6回 ジャパンドローン)」が開催されました。ジャパンドローンは、名前の通り、日本のドローン技術の発信と企業交流の場を提供している展示会です。急速な市場の広がりなどの影響によりこれまで以上に安全性が求められるドローン。今回は、緊急パラシュートシステムやエアバッグなどドローンの安全に関する技術や、商用運用ドローンの飛行時間の延伸に関する技術についてご紹介致します。
-
農家の課題を解決するために、外部の技術者とタックを組んで新しい農業の仕組みを開発する方法もありますが、「必要は発明の母」というように、農家自ら農業における課題を解決できる仕組みを開発することも一つの方法かもしれません。今回は前編で紹介した農業ベンチャー、AGRIST株式会社のアドバイザーとして、またピーマン農家を営みながら自ら農業向け発明を行っている福山望氏に、同氏が考えた「ピーマン収穫ロボット」の基本概念や、収穫ロボットなど農業ロボットを開発することで実現する人間とロボットの共存についてお話を伺いました。
-
「適切に収穫できれば収量も増えるのに、その人手が確保できない」など、日本農業の人手不足は深刻な課題です。人手不足が解決できなければ「儲かる農業」は実現できず、新規就農者や後継者も増えません。そこで、AIとロボット技術でこの課題の解決に挑んでいるのが、農業ベンチャーAGRIST株式会社です。今回は、同社に吊り下げ式、2度切り可能なピーマン収穫ロボットについて、その開発経緯や販売仕組みについてお話を伺いました。
-
ブレイン・マシン・インターフェース(以下BMI)技術は、頭皮の外側から脳波を計測する装置を搭載したヘッドギアをつけて行う「非侵襲型」が主流ですが、脳との間に隔たりがあるため脳波にノイズが混ざり精度に欠けてしまうのが難点となっています。そこで、頭蓋骨を外して電極を挿す、つまり身体に手を加える「侵襲型」が提案されていますが、その普及には心理的ハードルが懸念されているようです。今回は、アンドロイド研究の第一人者である株式会社国際電気通信基礎技術研究所(ATR)の石黒浩氏に、「侵襲型」BMI普及における心理的ハードルに関する見解と、その普及が社会にもたらすインパクトについてお話を伺いました。
-
人間の脳波を利用して脳とマシンを直接つなぎ、頭で動けと念じるだけでモノを動かせる技術、「ブレイン・マシン・インターフェース(以下BMI)」をご存じでしょうか。従来、BMIは身体の麻痺や欠損による障がいを補うことを主な目的として研究が進められてきました。しかし、最近の研究により健常者にとってもBMI使用は脳機能向上などメリットがあることが示唆されました。今回は、BMI使用による人間の身体機能拡張への可能性を研究している株式会社国際電気通信基礎技術研究所(ATR)の西尾修一氏に、BMIを用いた「第3の腕」を動かす実験や、その結果得られた健常者へのメリット、また実用化までのハードルについてお話を伺いました。
-
自律化は、最近の大きなITメガトレンドの一つです。例えば、家庭向けの癒し系ロボットは、これまで予めプログラムされている言葉を話すこと「自動化」を行っていたのに対し、今後AIの自然言語処理技術により、相手の意味を理解し、対応すべき候補から応答してくれる「自律化」が期待されています。こういった自律化の応用では半導体が重要な機能を果たしています。今回は、半導体の果たす重要な機能に注目し、自律化の3つの応用事例として自動運転車、ドローン、癒し系ロボットについて解説します。
-
2020年11月7~8日に、沖縄県宜野湾市宜野湾新漁港にて「第6回 沖縄海洋ロボットコンペティション」が開催されました。今回も引き続き、実際に海上が会場として採用されている世界的にも珍しい海洋ロボット競技大会、コロナ禍の中で開催された大会様子をお届けします。今回は、大会2日目に行われた予選、豪雨の中で行われた決勝の結果、各部門の勝者とその海洋ロボットの仕様についてご紹介します。
-
2020年12月10~11日に広島産業会館・西展示館で「第4回ひろしまAI・IoT進化型ロボット展示会」が開催されました。本展示会は「国際ロボット展」の姉妹版として始まった展示会で、自動車産業はじめ、あらゆる分野のものづくりが盛んな広島の需要に期待したロボット関係企業が多く出展しています。今回は、広島や関西の企業に注目し、柔らかい食品をつかむロボットハンドや汎用の協働ロボットに組み込める部品をご紹介します。
-
2020年11月7~8日に、沖縄県宜野湾市宜野湾新漁港にて「第6回 沖縄海洋ロボットコンペティション」が開催されました。本大会は実際に海上が会場として採用されている世界的にも珍しい海洋ロボット競技大会で、今回は大学や工業高等専門学校など10校がその技術を競いました。そんな海洋産業における海洋ロボット分野の活性化を図る本大会の現地レポートを2回に分けてお届けします。今回は、本大会の競技部門、競技ルールなどを紹介するほか、今年の目玉競技についてご紹介します。
-
電力、航空、化学といった複数のグローバル企業と共同で点検用ロボットやサービスを開発している株式会社ハイボット。今後もスマートメンテナンス市場へ付加価値を提供し続けるため、ロボットに求められる機能すべてを完璧にこなすより、ロボットが得た情報をどう利用するかを考えるべきだといいます。今回は引き続き、同社にロボット技術革新の課題に関して伺うほか、協力企業と共に生み出されたロボット活用事例を紹介します。
-
地震や水害など災害現場で人を救助、人の代わりに危険な場所を点検・測定するなど、多様な目的で進化し続けているロボット。このようなロボットの進化には、アナログからデジタル制御への転換やクラウド・サービスの登場が大きな影響を与えているといいます。今回は引き続き、株式会社ハイボットに、アナログからデジタル制御への転換のなかで実現したコンパクトなロボットづくりに加え、創業者たちが起業時に抱いた思いについて伺いました。
-
発電プラントやインフラ施設のパイプ、配管内などの狭い環境を点検・測定するヘビ型ロボットをご存じでしょうか。このようなロボットには、コンパクトであると同時に、高温、高湿度の環境下での安定性、防水性や放射能への耐性などが求められると言います。本連載では3回にわたり、RAAS(Robot as a Service)という考え方でロボット分野のデジタル・ツインを目指す株式会社ハイボットに、同社のロボット技術とサービス、そして同社がロボットに込めている思いについてお伺いました。