日本のものづくりを自動車業界ともに支えたのは、生活家電や情報通信機器などを世に送り出したエレクトロニクス業界です。21世紀初頭の半導体微細化による飛躍的なデバイス性能向上が社会のデジタル化を加速し、すべてのモノがインタネットと繋がるIoT社会の実現が近づいています。ロボットやドローンなどのトピックスに加え、エレクトロニクス業界の開発現場に役立つ基礎知識やトレンド、ノウハウを紹介します。
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2020年10月28~30日に幕張メッセにて「第11回Japan IT Week[秋]2020」が開催されました。これまでの展示会でも多く出展されていたハード、ソフト技術、AI、IoT、5Gなど最先端のIT技術に加え、話題の電子契約、電子はんこ技術など実にさまざまな技術の展示がされていました。コロナ禍でありながらも来場者が2万人超と、大盛況のうちに閉幕した本展示会。今回は、ポスト5G時代向け通信用部品やウェアラブル通知システムなどについてご紹介いたします。
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発電プラントやインフラ施設のパイプ、配管内などの狭い環境を点検・測定するヘビ型ロボットをご存じでしょうか。このようなロボットには、コンパクトであると同時に、高温、高湿度の環境下での安定性、防水性や放射能への耐性などが求められると言います。本連載では3回にわたり、RAAS(Robot as a Service)という考え方でロボット分野のデジタル・ツインを目指す株式会社ハイボットに、同社のロボット技術とサービス、そして同社がロボットに込めている思いについてお伺いました。
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最近よく耳にする「5G」。5Gは携帯電話やスマートフォンの通信を高速化するだけでなく、AIやスマートシティ、自動運転などの発展に欠かせない重要な技術であり、世界各国で普及が進められています。なかでも中国は5G分野において高い技術力を持つ企業が多く存在し、中国の動向は世界から注目されています。今回は、4Gの違いから学ぶ5G特徴のほか、中国の5G活用事例と最新動向についてご紹介します。
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人をアシストする人間支援ロボットには色んなタイプがありますが、平田教授の研究チームが注目したのは、「人の力をいかにうまく使って足りない機能を助けてあげるのか」という技術だといいます。今回は、引き続き東北大学の平田教授に、永守賞を受賞したパッシブブレーキと回生ブレーキの組み合わせによる「足漕ぎ車椅子ロボット」や、ファントムセンセーションを利用した「振動モーター」など人間支援ロボットへの応用事例について伺いました。
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「ロボティクスというのは、出口戦略が重要で、何か人間の役に立たないと単におもちゃを作ったことになってしまう」という平田教授。今回は、引き続き東北大学の平田教授に、ブレーキによってロボットの運動特性を変化させる「パッシブブレーキ」技術が、災害地などの陸上、漁業が行われる水中、私たちの生活場などで役立つ仕組みについてお伺いしました。
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人と協調して作業を行うロボットを設計する方法は色々ありますが、モーター等で能動的に駆動されるのではなく、ロボットに加えられる外力に対して受動的(パッシブ)に動くように設計しようとする「パッシブロボティクス」という概念があります。本連載では3回にわたり、「パッシブロボティクス」に基づいた非駆動型ロボットを研究し人を支援しようとする、東北大学ロボティクス専攻知能機械デザイン学分野の平田泰久教授に、研究テーマとその応用事例についてお話を伺いました。今回は、主に「パッシブロボティクス」の概念についてお話を伺いました。
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半導体は今や100億個のトランジスタを集積する時代になり、もはやこの複雑な一連の設計作業は人手に負えなくなった背景のもと、半導体を自動設計するためのソフトウェアを提供する「EDAツールベンダー」が登場しました。また、こうした設計専門会社が生まれたことで、半導体製造専門の「ファウンドリ」が誕生します。今回は、「EDAツールベンダー」が台頭した背景やその成長戦略、台湾の「ファウンドリ」事業が日本を逆転するまで強くなった理由をご紹介します。
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2020年9月14日、ソフトバンクグループ(以下SBG)は、半導体CPUコアベンダーのArmを400億ドルでNVIDIAに売却することで合意したと発表しました。モバイル機器のCPUコアで採用が進むArmに対しIoT端末のCPUとして有望であることから3兆円以上の投資を惜しまなかったSBGが約4年でArmを手放した理由、更にArmを手に入れたNVIDAが目指すことはなんでしょうか。この買収劇の背景を連載「半導体入門講座」の著者津田建二氏がArm、SBG、NVIDIAのそれぞれの視点で探っていきます。
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半導体は“産業のコメ”とも呼ばれ、日本に始まって、世界中の経済を支えてきました。複雑な工程が必要とする高集積半導体ICですが、1960年代くらいまでは半導体メーカー1社がほぼ設計から製造まですべての工程を担ってきましたが、1970年代から分業化が進み、現在の「デザインハウス」、「ファブレス」、「ファウンドリ」などの分業体制が確立します。今回は、半導体産業の業界構造の変遷に注目し、日本企業が半導体ビジネスで没落した理由を詳しくご紹介します。
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スマートロックや温湿度センサーなど、あらゆる分野で私たちの生活に浸透しているIoT(モノのインターネット)。一方でIoTの普及に伴い電源問題が浮き彫りになっています。身近な振動や動きで発電する振動発電がその一端を担う技術になるかもしれません。今回は、逆磁歪効果を利用した振動発電技術の基本原理(平行梁型)を発明した金沢大学の上野敏幸准教授に、電池フリーのIoTデバイス実用化に向けた振動発電技術について伺いました。
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AI開発国と聞いて真っ先に思い浮かぶのは米国かもしれませんが、そんな米国に迫る勢いで存在感を増しているのが中国です。中国は2030年までにAI技術を世界最先端のレベルにまで引き上げると発表するほか、AI応用関連の特許出願やAI人材育成に力を入れています。今回は、中国がどのようにして世界をリードするAI大国になろうとしているのか、また中国AI技術の最新動向を8つの事例でご紹介します。
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半導体ICの高集積度が進むにつれ、一つのチップ上に数十億個のトランジスタが集積されることになり、1個のトランジスタをみるのに肉眼どころか電子顕微鏡を使用せずにはみられない世界になりました。この微細な半導体はどのように作られるのでしょうか。今回は、半導体製造工程を、設計、製造、組立、テストの4つ工程に分けて解説していきます。
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『TOKYOオリンピック物語』の著者、野地秩嘉氏の連載第9回は、セコムから警備システムを紹介します。夏季大会は競技数や参加選手の数が増加傾向にあることから、大会の警備に多くの大会では軍人が動員されたそうです。しかし、今回の大会では軍人が動員されることはなく、民間警備員や警察官、大会ボランティアが対応する見込みです。今回は、大規模スポーツイベントの警備経験がほぼなかったというセコムが、どのようにして警備システムの開発や大会の警備体制構築を進めていったのかご紹介します。
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ITの3大要素となる「コンピュータと通信と半導体」。1980年代半導体メモリが急速に進化しているなか、「通信」ではまだ黒電話のアナログ回線が主力でした。その音声通信を高速のデジタル通信へと牽引したのは、デジタル電話である携帯電話や急速に普及したインターネットでした。今回は、通信トレンドと半導体の関わりに加え、IoTや自律化などが注目される将来の「ITメガトレンド」時代における半導体の役割についてご紹介します。
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今では個人に一台の「パソコン」があるのが普通ですが、パソコンが普及する前は数億円もするメインフレーム「コンピュータ」が大企業に1台しかない時代がありました。当時の国内パソコンメーカーは、ハイエンド技術に磨きをかけることだけを一所懸命で1990年代はじめまでメインフレーム向けDRAM市場で日本半導体が活躍しましたが、米国を中心に世界でダウンサイジングが進んでいることに注意を払ってきませんでした。今回は、ダウンサイジング化が進んだ背景と流れ、日本のメーカーたちがその流れに乗れなかった理由についてご説明します。
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車椅子が必要な障がい者が、ベッドから車椅子に乗るという一瞬の動作は、障がい者の全体重を支え立ち上がらせるなど介助者に身体的負担になっているそうです。今回は、様々なロボット開発の実績を持ち、障がい者が一人でも前傾姿勢で乗り込んで日常生活しやすい乗り物を開発した株式会社テムザックに、ユニバーサルなビークルの開発ストーリーだけでなく、将来のスマートモビリティとしての可能性まで伺いました。
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私たちの生活に溶け込んでいる家電製品やスマホ等は、ボタン一つで操作が可能なことから製品の中身(技術)に関してはあまり知るきっかけがなかったのではないでしょうか。これからはますます、テクノロジートランスペアレント(テクノロジーが見えない)の時代になってきます。今回は、このような最新製品の舞台裏で溶け込んでいる半導体技術、マイクロプロセッサ(MPU)、マイクロコントローラ(マイコン)、メモリなどの進化を紹介し、その技術の進歩がもたらす「スマート社会」について考えていきます。
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トランジスタを互いに接続することで構成される集積回路(IC)。IC化は特にコンピュータ分野で大きく進展しましたが、このグローバル化で欠かせなかったものが、デジタル信号の送受信において取り決める約束事、すなわち世界標準のプロトコル(protocol)決定でした。今回は、コンピュータ発展の歴史に注目し、集積回路(IC)の誕生から、世界標準のプロトコルが定められた背景、更にコンピュータ普及に向け割高な専用IC化を解決すべく開発されたマイクロプロセッサ(MPU)とメモリについてご紹介します。
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従来の材料開発より時間とコストを大幅に削減できるという、マテリアルズ・インフォマティクス(MI)。後編では引き継ぎ、日立製作所研究開発グループの岩崎主管研究員にMIの応用事例をお伺いします。本記事では、異種材料界面の密着強度を高精度でシミュレーションすることで、樹脂、金属に留まらずセラミックスやDNAにまで対象を広げた異種材料接合の設計・導入事例を詳しくご紹介頂きながら、これからのMIや材料研究の展望を探っていきます。
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私たちの日常生活に欠かせないコンピュータと高速通信のインターネット。これらの機器で用いられている半導体は、どのように進化していったでしょうか。今回は、第2次世界大戦後急速の技術的進歩を遂げたコンピュータや通信に注目し、デジタルとアナログ回路という切り口から半導体ICの進化について解説します。