日本のものづくりを自動車業界ともに支えたのは、生活家電や情報通信機器などを世に送り出したエレクトロニクス業界です。21世紀初頭の半導体微細化による飛躍的なデバイス性能向上が社会のデジタル化を加速し、すべてのモノがインタネットと繋がるIoT社会の実現が近づいています。ロボットやドローンなどのトピックスに加え、エレクトロニクス業界の開発現場に役立つ基礎知識やトレンド、ノウハウを紹介します。
-
陸上に住む私たちが当たり前に使っているスマートフォンやWi-Fiなどは電波通信技術によって支えられています。一方、陸上とは違う水中ではどんな通信技術が使われているでしょうか。従来水中における通信技術は、「音響」が一般的でしたが、長距離通信ができる反面、浅い海では通信速度が低いという課題があります。今回は、水中通信技術に注目し、従来の「音響通信」、最近研究が進んでいる「可視光通信」、「電波通信」のメリットとデメリットについて触れつつ、期待される「電波通信」の利用例について、情報通信研究機構(NICT)の滝沢賢一氏にお話を伺いました。
-
長い帯状の金属へメッキ加工を行うフープメッキ。フープメッキの方式には、必要な箇所にメッキ処理を行うことができる治具方式とテープ方式がありますが、治具方式は初期コストがかなり高額で滲みを考慮した設計が必要で、テープ方式はメッキ処理の都度テープ加工の時間を要すなどのデメリットがあるそうです。今回は、埼玉県川口市にある株式会社東和企画にスポットメッキのもつ可能性や、治具方式とテープ方式の長所を掛け合わせたマスキングテープ方式のスポットメッキの特徴についてお話を伺いました。
-
新型コロナウィルスにより大きな影響を受けた世界経済の回復にあたり、世界では再生可能エネルギーなどへの投資を含む「緑の復興」(グリーン・リカバリー)に取り組み始めています。また、2020年からスタートしたパリ協定に対しても、2050年までのカーボンニュートラルを見据え、再生可能エネルギーが将来のエネルギーの主力になろうとしています。本連載では、再生可能エネルギーの中で大きな割合を占めている太陽エネルギーに注目し、日本太陽エネルギー学会の監修により基礎解説をしていきます。連載1回目は、序章として世界と日本の再生可能エネルギーの割合と導入推移についてご紹介したいと思います。
-
『TOKYOオリンピック物語』の著者、野地秩嘉氏の連載第25回は、引き続き日本電信電話株式会社(以後NTT)から超高臨場感通信を紹介します。超高臨場感を実現できる本技術の根幹は光ファイバー、中継器、無線技術といった通信技術であり、運用技術であるといいます。同社が提供する『Kirari!(R)(きらり)』はメジャーリーグで採用され、オリンピック・パラリンピックでの実質的なデビューに向けた準備を進めています。今回は、本技術の実現に向けて開発しなくてはならなかった4つの技術と、臨場感のある観客の応援を届け選手のモチベーションを上げたいという開発者の想いについて迫ります。
-
『TOKYOオリンピック物語』の著者、野地秩嘉氏の連載第24回は、引き続き日本電信電話株式会社(以後NTT)から超高臨場感通信を紹介します。「自分の体を現地に持っていかれたと感じる」超高臨場感通信技術は、「光ファイバーネットワーク、高速通信技術を進化させたもの」だといいます。一方で、私たちはコロナ禍で、リモートもしくはリアル、安全かそれとも経済かという二極化された状態に置かれています。今回は、同社研究企画部門長の川添雄彦氏に、本技術の開発経緯、およびコロナ禍でのスポーツやエンタテイメントにおける本技術の意義について伺いました。
-
『TOKYOオリンピック物語』の著者、野地秩嘉氏の連載第23回目は、日本電信電話株式会社(以後NTT)から超高臨場感通信を紹介します。ウインドサーフィンがオリンピック種目であることをご存じでしょうか。競技は海の沖合で行われるため、海岸からは見えないなどの理由から浜辺から見えるサーフィンに比べあまり人気がないといいます。同競技の認知・普及に期待される技術が、沖合での競技を見るものではなく、感じることができるという超高臨場感通信です。今回は同技術『Kirari!(R)(きらり)』を開発しているNTTの横須賀研究開発センタを訪問した野地氏が、2019年に初めて同技術を体感したときのエピソードをご紹介します。
-
『TOKYOオリンピック物語』の著者、野地秩嘉氏の連載第18回は、ハーフタイムミュージックを紹介します。プロスポーツの試合の合間にあるハーフタイムショー。元々トイレ休憩や飲み物などをお替りして後半の試合に備える時間でしたが、1993年NFLのスーパーボウルでマイケル・ジャクソンのハーフタイム出演以来、舞台美術、音響、照明などが組み合わさり、スーパースターが出演して観客を楽しませるスポーツプレゼンテーションの一部になったといいます。今回は、1964年東京大会のハーフタイムショーから克服した技術的課題やハーフタイムショーの歴史について野地氏が迫ります。
-
『TOKYOオリンピック物語』の著者、野地秩嘉氏の連載第22回目は、引き続き日本電信電話株式会社(以後NTT)からバリアフリー道案内技術を紹介します。これまで同道案内サービスが集めたバリアフリー通行情報は、夏季大会とラグビーワールドカップが開かれた競技場の周辺地区に過ぎません。今後もっと広い範囲でデータを取得すべく多くのボランティアに加わってもらうため、高齢化社会のなか将来的には自分自身に返ってくるデータだと訴えているといいます。取材を通して取りかかったらやめられない仕事と感じた道案内アプリの開発。今回も引き続き開発チームに、データ収集方法の詳細や同サービスに込めた想いについてお話を伺いました。
-
『TOKYOオリンピック物語』の著者、野地秩嘉氏の連載第21回は、引き続き日本電信電話株式会社(以後NTT)からバリアフリー道案内技術を紹介します。バリアとは車いす利用者、ベビーカーを押す人、杖を持つ人などが移動する時邪魔になる段差や階段、傾斜のこと。彼らが、外出をサポートしてくれるバリアフリーマップに望んでいる情報は、「バリアがどこにあるか」ではなく、「どの道が通れるか」だといいます。今回は、実際道を歩きながらバリアフリー通行情報をスマホなどで集めるデータ収集イベント現場を野地氏が見学するほか、同道案内技術が開発された背景や課題について開発チームにお話を伺いました。
-
『TOKYOオリンピック物語』の著者、野地秩嘉氏の連載第20回は、日本電信電話株式会社(以後NTT)からバリアフリー道案内技術を紹介します。未来のための情報通信基盤を作るべく、オール・フォトニクス・ネットワーク(APN)に注目し、低消費電力、大容量、高品質、低遅延のネットワーク実現に向けて取り組んでいるNTT。今回は、光ネットワーク技術を駆使した効率的なバリアフリー情報の整備に動いたNTTが、バリアフリー情報をなるべく簡単に収集するバリアフリー向け道案内技術に取り組む背景をご紹介いたします。
-
『アカデミアに聞く、産官学連携プロトタイピング事例』連載第2回目は、引き続き慶応義塾大学の次世代高速列車通信システムを紹介します。今回は、引き続き春山真一郎教授に加え寺岡文男教授や森康祐助教に、研究開発を進めている光空間通信のレーザースキャン方式を伺うほか、正確に光をトラッキングするための機構をご説明頂きます。さらに、JR鉄道総合技術研究所との共同研究で実施された在来線・新幹線での実証実験や台湾の財団法人工業技術研究院(ITRI)との共同研究内容について伺いました。
-
日本が世界に誇る技術・サービスは多岐にわたります。一方で、これら技術確立やサービスローンチまでにプロトタイピングが必要となり、民間企業、公的資金で運営される政府系試験研究機関、大学などの教育機関・研究機関が協創する「産官学連携」が重要な役割を果たすことは少なくありません。本連載では、アカデミア視点にて、産官学連携事例や研究開発内容をご紹介します。
今回は、次世代高速列車通信システムに注目します。世界や日本では高速列車内で独自の通信システムを採用しており、高速ネット環境の構築にも力を入れています。高速鉄道列車における大容量通信実現に向けた「光空間通信」研究を推進されている慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科 春山真一郎教授に、世界の高速鉄道列車の現状や次世代高速列車通信に向けたこれまでの「光空間通信」技術開発の取組みについて伺いました。
-
自動車産業は100年に一度の大変革を迎えるといわれており、世界各国で自動運転などの技術開発が活発に行われています。日本でも各自動車メーカーが自動運転システムを搭載した自動車の開発を進めているだけでなく、国としても力を注いでいる分野でもあります。自動運転が普及すると交通事故、渋滞の低減だけでなく物流や新たなサービスの提供など様々な効果が期待されていますが、現在の自動運転はどこまで進んでいるのでしょうか。日本、世界の6つの事例から自動運転の最新動向をご紹介します。
-
2020年11月7~8日に、沖縄県宜野湾市宜野湾新漁港にて「第6回 沖縄海洋ロボットコンペティション」が開催されました。今回も引き続き、実際に海上が会場として採用されている世界的にも珍しい海洋ロボット競技大会、コロナ禍の中で開催された大会様子をお届けします。今回は、大会2日目に行われた予選、豪雨の中で行われた決勝の結果、各部門の勝者とその海洋ロボットの仕様についてご紹介します。
-
前回に引き続き、WSTS(世界半導体市場統計)が定義する分類に基づいた、半導体製品の種類とその役割について紹介します。今回は、IC(集積回路)に含まれない非IC半導体製品に注目し、パワートランジスタや小信号トランジスタに代表される「個別半導体」、MEMSが大部分を占める「センサ」、受光・発光ダイオードやレーザーなどの「オプトエレクトロニクス」について解説します。
-
2020年11月7~8日に、沖縄県宜野湾市宜野湾新漁港にて「第6回 沖縄海洋ロボットコンペティション」が開催されました。本大会は実際に海上が会場として採用されている世界的にも珍しい海洋ロボット競技大会で、今回は大学や工業高等専門学校など10校がその技術を競いました。そんな海洋産業における海洋ロボット分野の活性化を図る本大会の現地レポートを2回に分けてお届けします。今回は、本大会の競技部門、競技ルールなどを紹介するほか、今年の目玉競技についてご紹介します。
-
市場にはおびただしい数の半導体製品が流通しています。その多種多様な半導体製品を分類する一つの指標として、統計データに基づいてWSTS(世界半導体市場統計)が定義する分類があります。今回から2回にわたり、このWSTSの半導体製品分類に基づいた、半導体製品の種類とその役割について紹介します。1回目は、WSTSによる半導体製品の分類と市場規模を解説とともに、IC(集積回路)に該当する半導体製品に注目し、「マイクロ」、「ロジック」、「アナログ」、「メモリ」について解説します。
-
2021年1月20~22日に、東京ビッグサイトにて「第35回 ネプコンジャパン/第13回 オートモーティブワールド」が開催されました。毎年東京と自動車産業が盛んな名古屋で年2回開催される、エレクトロニクスおよび自動車関連事業の大規模な展示会です。前編では、ネプコンジャパンを中心にしたエレクトロニクス関連分野に注目し、導電性銅ナノインクなどの機能材料からエッジAI技術を用いたノイズキャンセリング機能など幅広い分野の最新技術をご紹介します。
-
日本は世界一のカーナビ大国であるといわれており、カーナビなどのナビゲーション技術や地図の概念は日本がもともと強い分野だといいます。自動運転においてより高い交通安全を確保するため、車や交通インフラにセンサーを搭載し道路情報をリアルタイムに取得、3次元デジタルマップを作成する技術が日本で開発中です。今回は、引き続き情報通信研究機構(NICT)に、電子カーブミラーも含めた自動運転を支える交通インフラとしての「ダイナミックマップ」の可能性についてお話を伺いました。
-
半導体製造の前工程では、回路パターンに沿って絶縁膜や半導体を削ったり、堆積させたりするためにリソグラフィ技術が使われており、半導体製造装置と検査装置を提供する米国や日本企業が高いシェアを示しています。一方で、かつて前工程より注目度が低かった後工程でも、技術の発展と分業化が進み台湾、中国系の企業が優位を示しています。今回は、前工程と後工程を簡単に解説しながら、各工程で高い市場占有率(シェア)を占めている企業らの最新動向をご紹介します。