日本のものづくりを自動車業界ともに支えたのは、生活家電や情報通信機器などを世に送り出したエレクトロニクス業界です。21世紀初頭の半導体微細化による飛躍的なデバイス性能向上が社会のデジタル化を加速し、すべてのモノがインタネットと繋がるIoT社会の実現が近づいています。ロボットやドローンなどのトピックスに加え、エレクトロニクス業界の開発現場に役立つ基礎知識やトレンド、ノウハウを紹介します。
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CCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)は分離・貯留したCO₂を利用する技術の総称であり、CCS(二酸化炭素(CO₂)を分離・回収して地中に貯留する)とCCU(分離・回収したCO₂を利用する)で構成されます。CCUSは、国際エネルギー機関(IEA)の2020年のレポートによれば、2070年までの累積CO₂削減量の15%を担い、カーボンニュートラル達成時に約69億トン/年の削減貢献が期待されています。今回は、2030年までの商用化に向けて動き出すCCUS動向に注目し、2回にわたって経済産業省へお話を伺いしました。前編では、CCUSの概要やアジアCCUSネットワークの取り組みについてご紹介します。
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ファウンドリ(Foundry)半導体企業は、顧客の設計データに基づいて半導体製造サービスを専門にしている半導体メーカーです。ファウンドリ半導体企業は、半導体企業でありながら自社ブランドの製品は持っていないため、その売り上げは半導体市場と別に算出されているといいます。今回は、市場調査会社TrendForceにおけるファウンドリ企業の2021年第2四半期業績ランキングを参考に、連載第27回で紹介したTOP1のTSMCを除く「Samsung」「UMC」「GlobalFoundries」「SMIC」など4社に注目します。世界の代表的なファウンドリ半導体企業に加え日本企業の状況を把握することで、世界のファウンドリ半導体企業の動向を読み解いていきましょう。
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脱炭素社会の実現に向けて「水素エネルギー」の活用に注目し、産学官からの水素エネルギーに関する取り組みを紹介していく本連載。第10回目は、福島県・浪江町に「福島水素エネルギー研究フィールド(以下FH2R)」という再生可能エネルギーを利用した水素製造施設を立ち上げた「産(民間企業)」と「官」の取り組みに注目します。今回も、9回目に続いてFH2Rの取り組みと活用事例、電力系統の需給バランスの調整(ディマンドリスポンス)の重要性についてお話を伺いました。
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脱炭素社会の実現に向けて「水素エネルギー」の活用に注目し、産学官からの水素エネルギーに関する取り組みを紹介していく本連載。第9回目は、福島県・浪江町に「福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)」という再生可能エネルギーを利用した水素製造施設を立ち上げた「産(民間企業)」と「官」の取り組みに注目します。今回は、福島県が復興に向けて「再生可能エネルギー」と「水素」に注目した背景や、再生可能エネルギーの活用拡大における課題についてお話を伺いました。
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近年北海道では酪農の集約、大規模化が進んでいますが、従来の日本の酪農方法である「舎飼い」では生産効率が上がらないなどから、「放牧」への転換が注目されています。しかし、大規模な放牧でも、「放牧のエリア選定」や「牛追い」など人手不足による課題があるといいます。今回の後編では、人手不足を解決する北海道の「宇野牧場」の取り組みの中で、システム開発会社と協業しAIやドローンなどIT技術を駆使し放牧の課題を解決しようとする事例についてご紹介します。
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再生可能エネルギーの中で大きな割合を占めている太陽エネルギーに注目し、日本太陽エネルギー学会の監修により基礎解説をしていく本連載。第6回目は、太陽光の熱をそのまま使う「太陽熱利用システム」についてです。太陽熱利用は太陽光発電に比べて、電気に変換する際のロスがない分、上手に使えばエネルギー利用効率が高いと言えます。今回は、世界と日本の太陽熱利用システムの設置面積の推移、太陽熱利用システムとソーラークッカーの特徴と種類について解説します。
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2021年10月13~15日に、マリンメッセ福岡にて「第37回モノづくりフェア2021」が開催されました。モノづくりフェアは、自動車産業をはじめとする九州のモノづくり企業や団体が、それぞれの技術・研究や、また近年進んでいるデジタル化への取り組みなどを業界関係者や学生などに向けて展示している大規模な展示会です。今回は、膨張を極端に抑えたガラスセラミックス、ダイカスト鋳造で金型の入れ子(キャビティー)だけをカセット交換するシステムなどのものづくり技術の動向についてご紹介します。
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ペロブスカイト太陽電池の研究開発ストーリーや特徴などについて、同太陽電池の研究開発を主導した桐蔭横浜大学の特任教授 宮坂力氏にお話を伺う本連載。ペロブスカイト薄膜は、ペロブスカイトの原料液を垂らし、溶液の溶媒が揮発することでペロブスカイトの単結晶ができるというシンプルの製法ですが、研究者個人としての成膜を作る達人の存在が重要になるといいます。後編は、ペロブスカイト太陽電池の構造、製造方法、ペロブスカイト太陽電池の実用化に向けた特性研究、従来のシリコン太陽電池との比較などについてお話を伺いました。
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ペロブスカイト太陽電池の研究開発ストーリーや特徴などについて、同太陽電池の研究開発を主導した桐蔭横浜大学の特任教授 宮坂力氏にお話を伺う本連載。中編では、化学でもあり物理学でもあるペロブスカイト太陽電池研究の特徴や、ペロブスカイト太陽電池の実現するまで重要な役割を果たした研究者同士のつながり、開発中のペロブスカイト太陽電池の課題を、色素増感太陽電池の全固体研究成果を適応して解決した開発ストーリーについてお話を伺いました。
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太陽電池は、環境への配慮など持続可能な社会を支える上で利用が増えていますが、その材料として広く使われているのがシリコンです。一方、透明で柔軟、軽いという特性をもつ「ペロブスカイト」を使った太陽電池の研究開発も盛んに進んでいます。今回は、このペロブスカイト太陽電池に注目し、3回にわたって、同太陽電池の研究開発を主導した桐蔭横浜大学の特任教授 宮坂力氏に、ペロブスカイト太陽電池の研究開発ストーリーや特徴などについてお話を伺いました。前編は、学生の提案によりペロブスカイトによる太陽電池の研究を行った経緯についてのお話です。
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ファブレス半導体企業は、半導体ICの設計にフォーカスし、「なにを作るか」を具現化する半導体メーカーです。ファブレス半導体企業はIDM(設計と製造を手掛ける統合メーカー)よりも成長率が高く、工場を持たない企業ながら半導体売上高ランキングTOP10でも6位以降に複数の会社が入るほどの規模にまで大きく成長しました。今回は、このランキングを参考に、「Qualcomm」「Broadcom」「NVIDIA」「MediaTek」「AMD」など代表的なファブレス半導体企業5社に注目し、世界のファブレス半導体企業の動向についてご紹介します。
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再生可能エネルギーの中で大きな割合を占めている太陽エネルギーに注目し、日本太陽エネルギー学会の監修により基礎解説をしていく本連載。第5回目は、太陽光発電とともに再生可能エネルギーの主要な発電方式の一つである「風力発電」についてです。太陽エネルギーと風は無関係のように思われがちですが、地球に降り注ぐ太陽エネルギーが大気を動かし、風を発生させていますので、大きなくくりでは風力発電も太陽エネルギー由来だとも言えます。今回は、風力発電の仕組みや導入量の推移、洋上風力発電について解説します。
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半導体業界の変遷や現状を理解するために、半導体市場動向調査会社が発表する「半導体売上高ランキング」を参考する方法があります。ランキングには、半導体トップ数十社のその年の売上高、前年度比の成長率、前年比のランキング変動、事業形態(IDM、ファブレス、ファンドリー)、本社所在地などが記載されています。今回は、2020年半導体売上高ランキングのトップ5企業「Intel」「Samsung」「TSMC」「SK Hynix」「Micron」に注目し、半導体業界の変遷と現状を解説します。
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人間の脳は約1,000億個のニューロンが存在しますが、昆虫の脳は人間の100万分の1である約10万個のニューロンしかありません。それにもかかわらず、高度な情報処理を行なって素早く行動することができる理由は、人間とは異なる情報処理がなされているからだと言われています。今回も引き続き、昆虫の嗅覚を使って匂い源探索システムを開発している東京大学先端科学技術研究センターの照月大悟特任助教に、昆虫の器官をそのまま利用した「バイオハイブリッド技術」の可能性についてお話を伺いました。
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匂いを検出したいというニーズは、医療、セキュリティ、品質管理など多岐に渡ることから、匂いの検出や分析の技術は進んでいますが、匂いの発生源を特定する技術はまだ確立されていません。その理由は、匂い源から発生した匂いは風や地形の影響を受け、時々刻々と匂い分布が複雑に変化するからだといいます。今回は、昆虫の嗅覚を使って匂いの発生源を探索するシステムを開発している東京大学先端科学技術研究センターの照月大悟特任助教に、同研究室が取り組んでいる「匂い源探索システム」の研究開発についてお話を伺いました。
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再生可能エネルギーの中で大きな割合を占めている太陽エネルギーに注目し、日本太陽エネルギー学会の監修により基礎解説をしていく本連載。4回目は、太陽光発電の出力予測を支える日射量予測技術についてです。今回は、太陽光発電の出力に大きな影響を与える日射量予測の重要性、その予測技術として、数値予報モデルを用いた予測や気象衛星からの観測データからの推定方法について説明した後、予測精度を検証できるアンサンブル予報について解説します。
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空中を飛ぶドローンが農業や輸送など様々な商業利用に期待される一方、水中を泳ぎ回る「水中ドローン」は漁業の人手不足解消へ期待されています。水中ドローンはケーブル式が実用化されていますが、深い海底設備の点検や漁業分野に応用するためには、ワイヤレス式の技術開発が望まれます。今回は、水中でワイヤレス給電とデータ通信可能な高周波電流を用いた方式を開発している豊橋技術科学大学 田村昌也准教授に、同方式の動作原理や他のワイヤレス給電方式との違い、実証実験の成果についてお話を伺いました。
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高齢化、核家族化により、全国的に買い物難民が増えている中、都市部では店も多く買い物は行きやすいと思われますが、車を持たない人など徒歩で買い物に行く高齢者も少なくないです。ネットショップなども利用できるものの、配送ドライバーの人員不足などの問題でまだ解決していません。今回は、自動運転やロボット技術を駆使し様々なロボットを開発している株式会社ZMP 代表取締役社長の谷口恒氏に、同社の「無人宅配ロボット」の機能と今まで行った実証実験の成果についてお話を伺いました。
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医療から自動車、環境などの多くの分野で目覚ましい発展がみられるAI(人工知能)は私たちの生活にも多くの影響を与えています。そんなAI研究に世界的に高い水準で取り組んでいるとされるのが米国や中国で、日本はそういったAI先進国と言われる国々と比較して後れを取っていると表現されることがあります。日本はAI技術を発展させるにあたり、人材の確保や研究体制の確立など多くの課題を抱えています。今回は2021年の現在、日本政府がAI技術発展のためにどのような政策を進めているのか、またすでにAI技術を導入している企業はどのように活用しているのか8つ事例と共に紹介します。
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脱炭素社会の実現に向けて「水素エネルギー」の活用に注目し、産学官からの水素エネルギーに関する取り組みを紹介していく本連載。第2回目は、2009年に全国に先駆けて2050年までのCO₂排出量を実質ゼロにする「ゼロカーボンシティ」を表明し、山梨大学を中心に水素・燃料電池の研究開発を行っているた山梨県に注目します。今回は、山梨大学 燃料電池ナノ材料研究センターに、太陽光発電による電力で水素を製造し貯蔵するシステム、燃料電池の低コスト化に資する材料開発など、産学官連携による取り組み事例についてお話を伺いました。