日本のものづくりを自動車業界ともに支えたのは、生活家電や情報通信機器などを世に送り出したエレクトロニクス業界です。21世紀初頭の半導体微細化による飛躍的なデバイス性能向上が社会のデジタル化を加速し、すべてのモノがインタネットと繋がるIoT社会の実現が近づいています。ロボットやドローンなどのトピックスに加え、エレクトロニクス業界の開発現場に役立つ基礎知識やトレンド、ノウハウを紹介します。
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『TOKYOオリンピック物語』の著者、野地秩嘉氏の連載第5回は、日本電気株式会社(以後NEC)から顔認証技術を紹介します。「人間ひとりひとりの顔は違う」ことから開発され、主に警備や犯罪捜査などで利用されている顔認証技術。東京オリンピックでは、IDカードを持つ約30万人の選手と関係者が顔認証により会場へのスムーズな入場実現が期待されます。今回は、半世紀以上も生体認証技術を培ってきたNECの顔認証技術に注目し、生体認証研究の歴史に加え、顔認証技術の活用事例についてご解説頂きます。
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何十年もの間、その道一筋を貫く中で生み出された中小製造業のニッチな技術。このニッチな技術と最先端の研究シーズが出会ったらどんな相乗効果が起きるのでしょうか。今回は、細くしなやかな銅線をつくる随一の技術をもつ「中小製造業」と、超伝導線の研究を行っている「研究機関」がタックを組んで、長い間実現することが難しいとされた「超極細」超伝導ワイヤーの開発ストーリーを伺いました。
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半導体業界では「ムーアの法則」は限界だという声もあり、集積回路(IC)のトランジスタを微細化することは物理的に限界にきているといわれています。それでは、この微細化の限界を克服できる技術はないのでしょうか。今回は、「ムーアの法則」が限界に近づく理由と、その限界を克服する3次元構造トランジスタを解説しながら、半導体ICの高集積度が進む理由について考えていきます。
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日本農家の深刻な人手不足問題を解決すべく、農林水産省は「農業界と経済界の連携による生産性向上モデル農業確立実証事業」を推進し、2016年から2020年にかけて「スマート農業」関係の約60個のプロジェクトを採択し支援しています。今回は、先端農業連携機構で代表を務める株式会社クニエに、同事業に採択された「スマート農業」事例を2つ紹介すると共に、農業と先端技術を組み合わせる際の難しさやコツについてお伺いしました。
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スマートフォンやパソコンなど私たちが日常で使用している半導体がどのような企業でどのように製造されているかご存じでしょうか。1970年代ごろは、「設計から製造までの一貫生産体制」が殆どでしたが、今は半導体の設計から製造までさまざまな企業が分業して関わっています。今回は、半導体の「設計」から「製造」工程における分業化と、その分業化に出遅れた日本の半導体業界についてご紹介します。
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『TOKYOオリンピック物語』の著者、野地秩嘉氏の連載第4回は、引き続き光ファイバー技術を紹介します。2000年頃、光通信をいかに家庭まで光を届けるかという、いわゆるFTTH(ファイバー・トゥ・ザ・ホーム)が課題になってきました。今回は、光ネットワーク普及のトリガーとなった、曲げても折っても光信号が届くNTT「曲げフリー光ファイバー」の開発秘話をお伝えするとともに、オールフォトニクスの世界を実現する光トランジスタ開発に注目します。
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生活に欠かすことのできない電気は、利用するまで幾度となく電力変換が行われています。ところが、この電力変換時における電力損失は、全発電量の10%超を占めることをご存知でしょうか。電力損失を低減させる半導体素子として「パワーデバイス」が注目されており、様々な次世代材料が開発されています。今回は、独自の結晶成長技術により低損失化と低コストを両立した「コランダム構造酸化ガリウム」の開発ストーリーをご紹介します。
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1965年に提唱された半導体の集積率は毎年2倍になる「ムーアの法則」のように、集積回路上のトランジスタ数は、いまだに伸び続けています。トランジスタが載せられた半導体チップは、ウェーハを出発点とし、その上に回路を焼き込んで作られます。ウェーハ上の配線で多数のトランジスタをつなげば複雑な回路でも1チップに収まることから、半導体の集積率、トランジスタ数の双方が共に向上してきました。今回は、トランジスタ微細化が伸長する理由や「ムーアの法則」の限界を解説しながら、半導体設計の分業化の動きについて簡単にご紹介します。
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化石燃料を使わず発電時にCO2を排出しない太陽光発電は、循環型エネルギーとして注目されています。この太陽光発電の課題は、ソーラーパネルの「汚れ」による発電効率の低下。日本と比べあまり雨が降らず、膨大な数のパネルを人力で掃除していた中東に、砂漠環境に最適化した掃除機構を有する掃除ロボットを提案した未来機械。今回は、未来機械に前例がなかったソーラーパネル掃除ロボットの開発ストーリーを伺いました。
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『TOKYOオリンピック物語』の著者、野地秩嘉氏の連載第3回は、日本電信電話株式会社(以後NTT)から光ファイバー技術を紹介します。2021年夏のオリンピックでは光のネットワークがさまざまな新技術の基盤となって、新しい技術レガシーを生むことは間違いありません。一方で、私たちがごく自然に日々使っている無線通信の先には、電線ではなくガラス質の光ケーブルが使用され、光ネットワークが構築されていることを認識したことがあるでしょうか。今回は、光ネットワークの基盤を作る光ファイバーに注目し、その歴史や研究の進み方を解説頂きました。
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『TOKYOオリンピック物語』の著者、野地秩嘉氏の連載第2回目は、引き続き日本電信電話株式会社(以後NTT)から光の最新実用技術を紹介します。今回は、“電気から光”の技術を開発するNTTの研究所から生まれた3つの光の最新実用技術として、超高臨場通信、道案内システム、生体信号を計測する素材を取り上げ、NTTが光通信の活用に執念を燃やす理由について野地氏が迫ります。
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電子顕微鏡や表面分析装置、金属3Dプリンター・・・先端的なものづくり現場で使用される装置ですが、共通するパーツは何だかご存知でしょうか?その答えは、電子源。電子線の放出源となる、なくてはならないパーツです。今回は、電子源の中でも世界に数社しかないといわれる金属単結晶を使用した電子源を製造し、米国オレゴン州に拠点を置くApplied Physics Technologies, Inc.(APTech)の製品とその技術力について迫ります。
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『TOKYOオリンピック物語』の著者、野地秩嘉氏の新連載第1回目は、日本電信電話株式会社(以後NTT)から光の最新実用技術を紹介します。後世に残る業績「レガシー」、1964年の東京オリンピックでは「ピクトグラム」と呼ばれる絵文字によるサインシステムが初めて本格的に導入され、その後世界に広まっていきました。「みんさく」ではTokyoオリンピック2020で期待される各社さまざまな「技術レガシー」に注目します。今回は、「技術レガシー」の定義を行うとともに、NTTが披露するフォトニクス(光)技術を探っていきます。
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半導体とは文字通り半分導体、つまり導体と絶縁体の中間となる性質を持つ物質です。その性質を活用すれば人間の意のままに電気を流したり止めたりできるデバイスができるのではないか、という発想から半導体が研究されるようになったそうです。また、半導体が広く世の中に普及した背景で、トランジスタの存在は大きなものでした。今回は、半導体の原理と仕組み、そしてトランジスタの誕生とその特徴についてご紹介します。
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農業従事者の高齢化や若者の農業離れに加え、コロナウィルスの影響で外国人就労者が減少し、深刻な人手不足に悩む日本の農家。特に人手が足りないのが、毎日一つひとつの収穫の時期を見極める必要のある「選択収穫」作業です。今回は、「雇う人が半減しても、農家の所得が2倍になる未来」をめざし、自動収穫ロボットを開発しているinaho株式会社に、日本の農業の課題と、その解決策についてお伺いました。
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AIというと大量の情報を処理する「ソフトウェア」のイメージが強いと思います。実は、このAIも半導体という「ハードウェア」がその進化の鍵を握っているといえます。また、今より高速計算が可能だと言われている量子コンピュータでも、この半導体による制御が重要になります。今回は、AIと量子コンピュータにおける半導体の重要性と、日本の半導体企業の市場状況について紹介します。
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半導体なくして、私たちの生活で欠かせないコンピュータが世に広まることはありませんでした。そして現在、大手IT企業であるGAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)だけでなく、通信事業者やソフトウェア企業も自社向け半導体の開発に力を入れています。本連載では、半導体の基礎を解説していきますが、今回は半導体を巡る現状について具体的な事例を用いてご紹介します。
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コロナ禍により、延期決定された2020年東京オリンピック。オリンピックはスポーツの祭典でありながら、さまざまなレガシーを生み出してきた新技術のショーケースでもあります。今回、『部品の仕事』を連載した作家 野地秩嘉氏の新連載『TOKYOオリンピック2020と技術レガシー』に先立ち、野地氏とオリンピックの通信技術を担う日本電信電話株式会社 常務執行役員 研究企画部門長 川添 雄彦氏の技術革新に関する対談が実現しました。
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人が立ち入ることが出来ない場所での災害対応や、二次災害の恐れのある災害時の復旧作業を迅速に行えるようにしたい。そんな思いを実現すべく建機の汎用無線遠隔操縦ロボット「アクティブロボSAM」を開発したのが水陸両用車などの特装車を製造販売するコーワテックです。今回はそのロボットの特長と開発経緯について設計部顧問の大橋啓史氏にお話を伺いました。
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人協働ロボットは工場だけでなく、オフィスにも広がっています。「2019国際ロボット展」でも紹介された人協働ロボット「COBOTTA」は、工場の枠を超え、書面押印や書類の電子化などオフィス定型業務の自動化支援として開発されました。今回は、オフィスのニーズ起点でのサービス開発について、共同開発を行った株式会社デンソーウェーブ、日立キャピタル株式会社、株式会社日立システムズの3社にお話を伺いました。