日本のものづくりを自動車業界ともに支えたのは、生活家電や情報通信機器などを世に送り出したエレクトロニクス業界です。21世紀初頭の半導体微細化による飛躍的なデバイス性能向上が社会のデジタル化を加速し、すべてのモノがインタネットと繋がるIoT社会の実現が近づいています。ロボットやドローンなどのトピックスに加え、エレクトロニクス業界の開発現場に役立つ基礎知識やトレンド、ノウハウを紹介します。
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XRとは、「クロスリアリティ」あるいは「エックスアール」と呼ばれ、現実空間とバーチャル空間を融合して新しい体験を生み出す画像処理技術である、AR、VR、MRの総称です。XR技術は、VRを活用したゲームやITソリューションだけでなく、デバイスの進化やコロナ禍によるリモートソリューションへの需要拡大などを背景に人材不足や技術継承に課題を抱える製造業の現場でも広く活用されています。本記事では、XRの基本と導入事例をご紹介いたします。
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津⽥建二氏の『半導体入門講座』の連載第38回(最終回)は、最終章の後編となる総論として、日本半導体復活に向けた提言を取り上げます。最終回では、これまで本連載を続けてこられた津田氏に、半導体産業を取り巻くベンチャーキャピタル(VC)、大学ベンチャーをはじめとするアカデミア動向紹介に加え、企業のみならず日本という国自体が具体的になにを行なえばよいのか日本半導体復活に向けた提言を行って頂きます。
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テレビやゲーム機など表示デバイスで用いられる有機ELは、素子構造を簡素化し細かくしたり、薄くしたりすることでデバイスの高画質化や薄型化が行われてきた一方で、消費電力低減を目的とした有機EL素子の駆動電圧を低減するニーズがあります。このニーズに対して、従来の1/3程度となる約1Vの起電力での有機ELの低減圧駆動を発表したのは、富山大学の有機ELと分子科学研究所の有機太陽電池の研究グループによる共同研究であることを御存じでしょうか?今回は、同研究成果を発表した富山大学の森本准教授と分子科学研究所の伊澤助教に、共同研究の経緯や有機EL素子の低電圧駆動メカニズム、今後の研究方向性についてお話をお伺いしました。
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IoTとは、「Internet of Things」の略語で、あらゆるものをインターネットに接続し効率化や利便性の向上を目指す技術のことを指し、さまざまな分野で研究開発がなされています。最近では家電や医療分野でのIoT技術の普及など、より人々の生活に近いところでの実用化が話題ですが、ものづくりの現場でも生産設備の稼働の監視や最適化をはじめとした導入事例が生まれており、注目されています。そこで本記事では、IoTの基本とものづくり現場での導入事例をご紹介します。
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今回で第37回となる、津⽥建二氏の『半導体入門講座』。最終章の中編では、日本で復活した半導体メーカー2社の事例を紹介していきます。彼らはなにをおこなうことで復活を遂げたのでしょうか? 中編となる今回は、ルネサスエレクトロニクス株式会社とエルピーダメモリ株式会社の半導体メーカー2社を取り上げ、総合電機からの脱皮と外国人の積極的な採用を進めダイバーシティそのものが企業文化になった両社の事例から日本半導体復活について論じて頂きます。
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有機ELでものづくり日本を取り戻そうとする活動を紹介する本連載。世界トップレベルの印刷有機EL技術を保有する山形大学は、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)研究成果展開事業大学新創業創出プログラム(START)プログラム(2021~2023年度:3年間)に採択され、印刷有機ELの社会実装を目指す研究開発を進めています。後編では、前編に引き続き山形大学大学院の城戸卓越研究教授に、JST-STARTプログラムの概要やマイクロLEDと比較したときの有機ELの優位性について紹介して頂くともに、ものづくり日本を取り戻すための提言をお伺いします。
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有機EL(有機エレクトロ・ルミネッセンス(Organic Electro-Luminescence))は、電圧をかけ電気を流すことにより有機物が自ら発光する現象を意味し、その特徴を活かし次世代ディスプレイとして腕時計デバイス、テレビをはじめとした様々な製品に使われています。これら実用化に向けたブレイクスルーとなったのが、山形大学の城戸教授による白色有機ELの発見です。世界の誰も試みていなかった白色有機ELが、どのように開発されていったのかを御存じでしょうか?本連載では、有機ELでものづくり日本を取り戻そうとする活動に注目します。前編となる今回は、山形大学大学院の城戸卓越研究教授に、白色有機EL開発ストーリーについてお伺いしました。
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今回で第36回となる、津⽥建二氏の『半導体入門講座』。最終章として、今回から3回にわたり日本半導体復活に向けた提言を書き示していきます。同氏は、半導体製造分野では衰退していった日本においてもまだ復活できる分野があるといいます。一方で、過去の失敗を明確に見極め、反省し、そして、復活の道筋をつけることが大切です。前編となる今回は、日本で半導体産業が衰退した理由を把握していきます。
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これまで日本の半導体メーカーが失敗した理由について、半導体のテクノロジー潮流や日本企業の特殊性に注目した分析内容をご紹介してきました。それでは、半導体産業の日本と世界の根本的な違いはどこにあるのでしょうか?今回は、半導体産業における日米の会社業態の違いに注目し、世界の半導体産業に関する分析内容をご紹介します。
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医療から自動車、環境などの多くの分野で目覚ましい発展がみられるAI(人工知能)は私たちの生活にも多くの影響を与えています。そんなAI研究に世界的に高い水準で取り組んでいるとされるのが米国や中国で、日本はそういったAI先進国と言われる国々と比較して後れを取っていると表現されることがあります。日本はAI技術を発展させるにあたり、人材の確保や研究体制の確立など多くの課題を抱えています。今回は2021年の現在、日本政府がAI技術発展のためにどのような政策を進めているのか、またすでにAI技術を導入している企業はどのように活用しているのか8つ事例と共に紹介します。
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自動車産業は100年に一度の大変革を迎えるといわれており、世界各国で自動運転などの技術開発が活発に行われています。日本でも各自動車メーカーが自動運転システムを搭載した自動車の開発を進めているだけでなく、国としても力を注いでいる分野でもあります。自動運転が普及すると交通事故、渋滞の低減だけでなく物流や新たなサービスの提供など様々な効果が期待されていますが、現在の自動運転はどこまで進んでいるのでしょうか。日本、世界の6つの事例から自動運転の最新動向をご紹介します。
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サプライチェーンマネジメント(SCM)とは、連鎖的につながる調達、製造、在庫管理、販売、物流といったプロセス全体(サプライチェーン)を見直すことで、効率化と最適化を行う経営管理手法のことです。昨今グローバル化をはじめとしたビジネス環境の変化によりその重要性が高まっています。さらに、2020年から始まった新型コロナウィルス(COVID-19)の世界的な流行により、世界各国にまたがるサプライチェーンの品質管理が課題として浮上してきています。本記事では、サプライヤ品質サービスを展開する株式会社日立ハイテクの協力のもと、サプライチェーンマネジメントの概要と一連のプロセス、品質改善事例をご紹介いたします。
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海洋プラスチックは、海洋に流入したプラスチックの浮遊ごみやマイクロプラスチックと呼ばれる5mm以下の微細なプラスチックの総称です。海洋プラスチックが注目される背景として、海上に漂う分解されにくいプラスチックが海の生物に付着したり、体内に取り込まれたりしたことが確認されたため、海の生態系に深刻な影響を及ぼす懸念がクローズアップされました。このような状況下において、海洋プラスチックや油などの浮遊ごみを回収するドローンJELLYFISHBOTを開発したフランスのスタートアップIADYS(アイァディーズ)は、これまでに157万ユーロ(約2億円)の資金調達に成功しています。今回は、IADYS創業者でJELLYFISHBOTの開発者であるNicolas Carlési(以下ニコラス)氏に、開発した水上ドローンの概要や世界各地での実証実験の状況についてお伺いしました。
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物流ロボットとは、物流現場における「ピッキング」や「仕分け」といった業務を担うロボットであり、完全無人の環境下だけでなく、人との協働を行うものも存在します。多忙を極める物流の現場では、大量の荷物を効率よく運ぶために欠かせないものが格子状の台車「カゴ台車」が普及していますが、搬送に人手がいることや人身事故の発生といった課題を抱えていました。物流システムを扱う株式会社オカムラは、物流倉庫などでカゴ台車を掴んで搬送する自律走行搬送ロボットを開発しています。今回は、物流システム事業本部の山崎氏、田中氏に、同社が手がけるSLAM技術とAIの組み合わせでカゴ車を自動搬送する自律移動ロボットの開発ストーリーをお伺いました。
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これまでトップ企業とも言えるArmの成り立ち、IBMのビジネスの変遷、単なるコンピュータメーカーから半導体まで製造しはじめたAppleに注目して、その生き残り策とも言える戦略を簡単にご紹介してきました。一方で、なぜ日本の半導体産業は、ほとんどが生き残れなかったのでしょうか。日本の半導体メーカーが失敗した理由について、半導体のテクノロジー潮流や日本企業の特殊性に注目した分析内容を紹介します。
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沖縄科学技術大学院大学(OIST)で超伝導方式の量子コンピュータにおける周辺ハードウェアの研究開発を行う久保氏に、最近の量子コンピュータ研究開発状況を伺う本連載。量子コンピュータの測定の際に利用されるマイクロ波信号はエネルギーが極めて小さく、低温で効率良く信号を増幅する増幅器が必要になると言います。後編では、同氏が研究開発を進めるスピンメーザー増幅器の原理や、その開発ストーリーについてお話を伺いました。
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量子コンピュータとは、原子や電子、分子といったミクロな粒子の状態や挙動を説明する理論である量子力学の特徴を巧みに利用して動作するコンピュータです。量子コンピュータは、従来のトランジスタ・コンピュータでは計算に膨大な時間がかかっていた問題を早く解ける特徴が注目され、高機能材料や薬品などの物質探索やシミュレーション、機械学習などへの活用が期待されています。本連載では、沖縄科学技術大学院大学(OIST)で行われている量子コンピュータの研究開発に注目します。今回は、超伝導方式の量子コンピュータの周辺ハードウェア技術の研究開発を行うOISTの久保氏に、量子コンピュータの種類や原理、仕組みについてご解説頂きました。
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アニサキスは、主に食用の魚介類に付着する寄生虫(線虫類)の一種です。アニサキスが人の胃に刺入することによって引き起こされる食中毒「アニサキス食中毒」は、厚生労働省が発表した「令和元年食中毒発生状況の概要」によると近年増加傾向にあり、食中毒原因の第1位となっています。これまでのアニサキス対策といえば冷凍・加熱が良く知られていましたが、「パルスパワー」という電気的なアニサキス殺虫方法を開発したのが熊本大学産業ナノマテリアル研究所と株式会社ジャパン・シーフーズらの共同研究グループです。本連載では、熊本大学が研究開発を進めるパルスパワーの活用に注目します。前編となる今回は、熊本大学産業ナノマテリアル研究所の浪平准教授氏に、パルスパワーを応用したアニサキス殺虫装置の開発ストーリーついてお伺いします。
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スーパーコンピューターの民間利用は、主に科学技術計算用途で大規模かつ高速な計算を行うスーパーコンピューターの計算資源を中小企業などの民間において産業利用する取組みです。公益財団法人計算科学振興財団は、産業利用向けのスーパーコンピューターを持ち、民間利用の普及活動を行っています。今回は、製品開発などのものづくりにおけるスーパーコンピューター活用に注目し、計算科学振興財団に中小企業での利用例や課題を伺いました。
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モノづくり現場でのスーパーコンピューター「富岳」活用について、「富岳」研究チームを率いる理化学研究所計算科学研究センター坪倉誠氏にお話を伺う本連載。スーパーコンピューターが威力を発揮するハイパフォーマンスコンピューティングだからこそ、高精度な計算を行う際に時間的コストが掛かってしまう課題があるといいます。中編では、この時間的コストが掛かってしまうCADデータ修正や最適曲面の探索に対する課題解決アプローチや残された課題についてお話を伺いました。