少子高齢化が進むなか、先端医療だけでなく、介護福祉も含めた社会インフラが個人のQoL(Quality of Life)をどう高めていくのかが問われています。新たな医療機器開発やソリューション提案において、医工連携などの取組みが加速しており、ものづくりも大きな変革期を迎えました。ヘルスケア業界の開発現場に役立つ基礎知識やトレンド、ノウハウを紹介します。
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「ロボティクスというのは、出口戦略が重要で、何か人間の役に立たないと単におもちゃを作ったことになってしまう」という平田教授。今回は、引き続き東北大学の平田教授に、ブレーキによってロボットの運動特性を変化させる「パッシブブレーキ」技術が、災害地などの陸上、漁業が行われる水中、私たちの生活場などで役立つ仕組みについてお伺いしました。
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2020年10月14~16日に、幕張メッセで「第3回 医療と介護の総合展 [東京](メディカル ジャパン)」が開催されました。感染対策が講じられた中、実際的・具体的な製品や技術も多く、患者さんや家族、医療介護関係者の問題解決のための多種多様な出展された大規模な展示会。今回は、トイレ支援補助機器や見守りセンサーなど介護用機器のほか、医療現場で使うスマートグラスや乳がん治療に役立つ磁気ナノ粒子を利用した診断技術・装置についてご紹介いたします。
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人と協調して作業を行うロボットを設計する方法は色々ありますが、モーター等で能動的に駆動されるのではなく、ロボットに加えられる外力に対して受動的(パッシブ)に動くように設計しようとする「パッシブロボティクス」という概念があります。本連載では3回にわたり、「パッシブロボティクス」に基づいた非駆動型ロボットを研究し人を支援しようとする、東北大学ロボティクス専攻知能機械デザイン学分野の平田泰久教授に、研究テーマとその応用事例についてお話を伺いました。今回は、主に「パッシブロボティクス」の概念についてお話を伺いました。
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日本人の死因の上位に入る「脳血管疾患」。多くの場合は手指に麻痺が残り日常生活への影響が大きいと言われています。この手指の動きを助けるリハビリ用装具は、手指の関節が多く骨格が複雑なため、技術的ハードルが高く実用化が難しいと言われてきました。今回は、手指の筋電を感知し動きをサポートする小型で安価なリハビリ用ロボット装具を開発している「メグウェル」に、地場企業と大学がタックを組んだ経緯など開発ストーリーを伺いました。
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ビルや工場における二酸化炭素(CO₂)濃度の上昇は、眠気や倦怠感、頭痛を引き起こすなど人体への悪影響を及ぼします。そこで固体を利用したCO₂吸着分離法として「ゼオライトCO₂除去材」が広く使用されていますが、空気が大気レベルの水分を含むだけで吸着性能が大きく低下することが課題です。今回は、日立製作所 研究開発グループの吉川研究員に、水分雰囲気下でも効率よくCO₂を除去する材料である「酸化セリウム(CeO₂)系CO₂除去材」の特徴と活用可能性についてお伺いしました。
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『TOKYOオリンピック物語』の著者、野地秩嘉氏の連載第8回は、引き続き機能性寝具を紹介します。眠ることは幸せであり、健康と考えるエアウィーヴ。今回は、アスリートに注目しスポーツビジネス、スポーツマネジメントの進化をうながしたとも言える同社の広告宣伝戦略を紹介します。また、東京2020大会におけるスポーツ記録の進化に注目し、食事、ユニフォームに続き個別化される「睡眠」を実現するふたつの技術レガシーを探ります。
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『TOKYOオリンピック物語』の著者、野地秩嘉氏の連載第7回は、株式会社エアウィーヴから機能性寝具を紹介します。五輪の選手村に寝具を提供し、多くのアスリートに寝具を使ってもらうというエアウィーヴの機能性寝具。2007年商品がリリースしてから4年の間殆ど売れなかったそうです。今回は、大手企業が寡占している寝具業界で、「機能性」という概念を取り込んだ高反発素材の寝具がどのように開発され、試行錯誤を重ねて誕生したのか探っていきます。
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昨今のコロナ禍を背景に空気環境の改善に対するニーズが高まっています。殺菌力が高い紫外線を利用した室内空調装置は市販されていますが、「人がいる空間」では利用が難しかったといいます。今回は、「人がいる空間」でも設置でき、ランニングコストを抑えながら浮遊菌を減少できる紫外線照射技術を開発したエネフォレスト株式会社に、商品開発に至る想いとコロナ時代における空気改善に関する意識改革について伺いました。
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産業の空洞化だけでなく、地域医療の存続も課題となっています。高度な技術を要する外科手術では、構造が複雑かつ独特な質感の臓器を扱うため、経験に頼る部分が大きいものでした。こうした経験不足を埋め若手医師や研修医の技術を高めるため、地場の中小企業2社と地域医療機関が手を組み、安価、かつ精巧な臓器模型を製作する取り組みが始まっています。今回は、引き続き伊那市で進められている共同開発プロジェクトについてご紹介します。
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2020年2月26~28日にインテックス大阪で「第6回 医療と介護の総合展 [大阪](メディカル ジャパン)が開催されました。本展示会は、東京と大阪の年2回開催されており、医療や介護分野に関わる製品、技術、サービスなどが出展されています。今回は、「歩行訓練情報を見える化する医療用キャスター」、「医療・ライフサイエンス分野の産学連携を支援する関西広域連合」、「医療現場を支えるものづくり技術」についてご紹介します。
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2019年末に発生したと言われる新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、われわれの油断の隙をついて一気に世界中に広まり、多くの先進国の医療と経済を麻痺させた。一方、同感染症に関するさまざまなデマや不確かな情報が増幅されて広がり、われわれの正しい情報に基づいた適切な行動を難しくしている。こうした混乱に強い社会は、どのように構築すればいいのだろう。
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長年、多くの多結晶線材が使われてきた機能部品は、製造プロセスに関して何十年も画期的な技術革新がなされておらず、単結晶により市場ががらっと変わることが期待されます。液からの単結晶成長方法で、成型加工や切削加工を施すことなく、高融点のイリジウムの融液から直接、安価かつ簡単にイリジウム線材を作製したという東北大学吉川彰研究室。今回は、引き続きイリジウム単結晶を作る苦労と、単結晶合成技術や温度計などさまざまな応用事例を紹介します。
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イリジウムやその合金材料は裂けやすいため加工性が低く、冷間加工を行うことはほとんど不可能であり、熱間加工で少しずつ何工程にも分けて成型していく必要があることから、人工的に作成することが難しいといわれています。今回は、引き続き東北大学金属研究所先端結晶工学研究部の吉川彰教授に、単結晶の作り方を説明頂きつつ、研究テーマであるイリジウムの単結晶の開発経緯などについてお話をお伺いします。
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私たちの身の回りには、半導体や水晶など、単結晶の技術によってできたものが多数存在します。そしてその単結晶は長い研究開発によって人工的に作成することに成功しました。本連載では3回にわたり「単結晶」について、さまざまな物質で単結晶を作り、工業技術のイノベーションに役立てようとする東北大学金属材料研究所先端結晶工学研究部の吉川彰教授にご解説頂きます。今回は、研究テーマについて説明していただく前に、単結晶について基礎的なことをお伺いしました。
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標準的な義足は複雑な膝や足の動きに対応できず、モトクロスやスノークロスには向きません。その課題を解消し、自らのアスリート経験と知識を駆使し複雑な膝や足の動きに対応できる軽量かつ強度の強い競技用義足を実現させたマイク・シュルツ氏。驚くことに彼自身もその義足でパラリンピアンになりました。スポーツ義足に注目し、デジタルものづくり技術を活用したユーザー起点の製品開発秘話をお届けします。
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2019年11月14~16日に開催された「第21回 西日本国際福祉機器展」。後編では、洗髪や入浴とならび、介護現場で重要度の高いとされる排泄処理に関する株式会社リバティソリューションの展示に着目し、センサーによって自動で排泄処理を行うことができる装置の開発秘話や、介護者だけでなく要介護者の抱える課題にまで深くお伺いしました。
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新産業や新事業の創出にあたり期待が高まる、大学が保有する技術を活用した大学発ベンチャー。今回は、ヘルスケアの分野でIoTデータ活用サービスを開発する九州大学発テックベンチャーの株式会社Nelsite(ネルサイト)に、DGロボット(Data Gatherロボット)製品・サービス開発にあたり活用した技術や、企業と連携した事例などお話を伺い、大学発ベンチャーのリアルに迫ります。
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2019年11月14~16日に、福岡県の西日本総合展示場新館にて「第21回 西日本国際福祉機器展」が行われました。本展示会では、介護の課題を解決支援する技術や福祉システムなどが展示されていました。今回は、入浴補助に役立つ、寝た状態でも洗髪できるルームシャンプー、短時間で汚れを落とし身体を温める超微粒子ミストシャワーという新製品に注目し、その開発秘話や利用形態をご紹介します。
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2019年11月12~14日に東京科学技術館にて「光とレーザーの科学技術フェア2019」が開催されました。光やレーザーは、レーザー加工などの工業用途だけではなく、コンクリートなどのインフラ建造物の検査、先端医療など幅広い分野で利用されています。今回は、重粒子線治療装置での活用が期待されるレーザープラズマ加速技術の研究開発内容について詳しく話を伺いました。
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医工連携には数々の自治体の助成金もあると言います。今回も引き続き「一般社団法人日本医工ものづくりコモンズ」専務理事の柏野氏に、高額な助成金と同時に知財やマーケティングのサポートを受けられるAMDAP(先端医療機器アクセラレーションプロジェクト)による集中支援の取組みを取り上げつつ、日本各地で取り組まれた医工連携による開発事例のなかで、とくにユニークな新製品をご紹介いただきました。