日本のものづくりを支えてきた自動車も、2016年にダイムラー社が提唱したCASE (Connected, Autonomous, Shared, Electric)への対応が進められ、ものづくりも大きな変革期を迎えました。自動車業界の開発現場に役立つ基礎知識やトレンド、ノウハウを紹介します。
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自動車産業は100年に一度の大変革を迎えるといわれており、世界各国で自動運転などの技術開発が活発に行われています。日本でも各自動車メーカーが自動運転システムを搭載した自動車の開発を進めているだけでなく、国としても力を注いでいる分野でもあります。自動運転が普及すると交通事故、渋滞の低減だけでなく物流や新たなサービスの提供など様々な効果が期待されていますが、現在の自動運転はどこまで進んでいるのでしょうか。日本、世界の6つの事例から自動運転の最新動向をご紹介します。
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サプライチェーンマネジメント(SCM)とは、連鎖的につながる調達、製造、在庫管理、販売、物流といったプロセス全体(サプライチェーン)を見直すことで、効率化と最適化を行う経営管理手法のことです。昨今グローバル化をはじめとしたビジネス環境の変化によりその重要性が高まっています。さらに、2020年から始まった新型コロナウィルス(COVID-19)の世界的な流行により、世界各国にまたがるサプライチェーンの品質管理が課題として浮上してきています。本記事では、サプライヤ品質サービスを展開する株式会社日立ハイテクの協力のもと、サプライチェーンマネジメントの概要と一連のプロセス、品質改善事例をご紹介いたします。
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物流支援ロボットは、人手不足が顕著となっている物流業界の省人化・効率化をめざし開発されたロボットです。自動車やロボットの自動運転技術を開発してきた株式会社ZMPは、人の移動だけでなく、物の移動も自動化するために2014年に物流支援ロボットの「CarriRo(R)(キャリロ)」を開発しました。同ロボットはコロナ禍による物流需要の高まりや、省人化の取り組みに対する関心の高まりから、倉庫や工場での導入が増えていると言います。今回は、株式会社ZMPのCarriRo事業部長笠置氏に、物流支援ロボットの開発背景や特徴、種類について詳しくお伺いしました。
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2021年11月10〜11日の2日間、パシフィコ横浜にて「横浜ロボットワールド2021」が開催されました。本展示会は、人間に対して直接サービスを提供するロボット「サービスロボット」に特化した展示会としてスタートし、毎年大阪と横浜にて2度開催されている展示会です。現在ではロボット技術自体やモビリティなどの専門技術展として発展した内容となっています。今回は、印象に残ったロボットとAIによる受診支援ロボット、突出型リニアアクチュエータや球駆動式の全方向移動機構の展示内容をご紹介します。
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2021年10月27~29日に、ポートメッセなごやで「第4回 名古屋オートモーティブワールド」が開催されました。毎年東京と、自動車産業が盛んな名古屋で年2回開催される自動車関連事業の大規模な展示会です。また会場では併設で「ネプコンジャパン」という展示会なども同時開催しており、エレクトロニクス関連の技術などが多数展示されていました。今回は金属射出成形法(MIM)による中空品制作技術や、ガラスマット強化熱可塑性プラスチック(GMT)加工による自動車部品製造技術などについてご紹介します。
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IPランドスケープとは、英語でいうと「Intellectual Property Landscape」で「自社、競合他社、市場の研究開発、経営戦略等の動向及び個別特許等の技術情報を含み、自社の市場ポジションについて現状の俯瞰・将来の展望等を示すもの」であり、知財に関する環境と見通しを意味します。今回は、ビジネス・オーナーと知財アナリストをマッチングする場を提供し、IPランドスケープを使ってビジネス開発をしようとする「NBIL-5」という任意団体に焦点をあてた連載の後編として、NBIL-5の活動事例を紹介します。水素内燃機関の事業化に取り組んでいるi Labo株式会社 代表取締役社長 中山泉氏に、水素内燃機関の技術と意義、NBIL-5によるIPランドスケープなどの具体的な知財サポート事例についてお話を伺いました。
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5G、次世代の通信インフラとして社会に大きな技術革新をもたらすと言われていますが、その特徴である「高速・大容量」「高信頼・低遅延通信」「多数同時接続」はお互いトレードオフの関係にあるといいます。今回も引き続き、離島の新たな交通・物流インフラになる可能性を秘めている、水陸両用バスの自動運転化を取り組んでいるコンソーシアムに、水陸両用バスの自動化に「ローカル5G」の特徴の中で「高速」より「低遅延」が重要になる理由や、「協調型」自動運転の重要性と課題についてお話を伺いました。
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自動運転社会の実現に向けて、高速道路の一定の条件であればハンドルやブレーキなど運転操作をシステムに任せられる「レベル3」が法改正で解禁され、関連車両も販売されています。一方、離島に荷物や人を運ぶための交通・物流インフラ不足により、離島生活の不便さから島の過疎化、高齢化が進んでいます。もし、技術進歩が進んでいる自動運転を、離島への交通・物流インフラに応用することができれば、人々の生活にどのように変わるでしょうか。今回は、水陸両用バスの自動運転化に取り組んでいるコンソーシアムに、「水陸両用」ならではの必要な自動運転技術と課題についてお話を伺いました。
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脱炭素社会の実現に向けて「水素エネルギー」の活用に注目し、産学官からの水素エネルギーに関する取り組みを紹介していく本連載。第8回目は、水素を主な動力源とするするハイブリッド車両(燃料電池)を開発している「産(民間企業)」に注目します。今回も、東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)、トヨタ自動車株式会社、株式会社日立製作所に、鉄道向け燃料電池の開発ポイントや、同ハイブリッド車両を開発するメリット、鉄道における低炭素社会の実現に向けた取り組みについてお話を伺いました。
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脱炭素社会の実現に向けて「水素エネルギー」の活用に注目し、産学官からの水素エネルギーに関する取り組みを紹介していく本連載。第7回目は、水素を主な動力源とするするハイブリッド車両(燃料電池)を開発している「産(民間企業)」に注目します。今回は、東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)、トヨタ自動車株式会社、株式会社日立製作所に、3社が取り組んでいる水素燃料電池ハイブリッド車両の概要と実証実験、水素機関(燃料電池)とリチウムイオン電池(蓄電池)の「ハイブリッド駆動システム」についてお話を伺いました。
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二酸化炭素の排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルの実現に向け、世界各国で「脱炭素化」の政策が発表され、さまざまな取り組みが進んでいます。そんな中、脱炭素化の切り札とも言われ、近年改めて注目を集めているのが水素からエネルギーを取り出す、水素エネルギーの活用です。本連載では、この「水素エネルギー」に注目し、産学官からの水素エネルギーに関する取り組みについてご紹介していきます。連載第1回目は、序章として、40年以上前から水素エネルギーの研究開発をしている山梨大学に、水素エネルギーと燃料電池、燃料電池自動車(FCV)について解説して頂きます。
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アルミホットスタンプとは、アルミニウム合金(以下、アルミ)の板材を加熱して軟らかい状態で型に沿って成形する加工技術です。アルミホットスタンプの適用先として、自動車の衝突安全性を高めるためにパネル材料への複雑な構造付与があります。自動車軽量化の流れのなか、パネル材料も鋼板からアルミ板材への変更検討が多く使われるようになり、冷間プレスやダイカストと比較したとき耐食性、内部欠陥の少なさ、成形のしやすさでバランスの良いアルミホットスタンプが注目されています。今回は、適用範囲が広がるアルミホットスタンプに関する技術のメリット・デメリットから開発状況、将来の展望について取材しました。
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空飛ぶクルマを目指して活動する日本の企業や団体の中で、最も実現に近いといわれている株式会社SkyDriveのCTO(技術最高責任者)岸信夫氏に、同社が開発している「空飛ぶクルマ」の実現に向けた技術的な取り組みについてお話を伺う本連載。同機が社会に受け入れてもらい社会実装するためには、「自分の最も大切な人を安心して乗せたいと思える」ほど安心で安全な乗り物ということを証明していく必要があるといいます。最終回は、その安全性への取り組み、型式証明(TC)の取得、バッテリーの駆動方式について伺うほか、同機が社会にもたらす新しい可能性についてお話を伺いました。
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空飛ぶクルマを目指して活動する日本の企業や団体の中で、最も実現に近いといわれている株式会社SkyDriveのCTO(技術最高責任者)岸信夫氏に、同社が開発している「空飛ぶクルマ」の実現に向けた技術的な取り組みについてお話を伺う本連載。同社の空飛ぶクルマはパイロット1人、搭乗者1人の2人乗りの機体を想定しているといいます。この機体を操縦するパイロットになるためにはどのような資格が必要なのでしょうか。2回目は、同機を操縦するパイロットの技量や資格について伺うほか、次の飛行試験エリアや試験項目、適切な飛行高度についてお話を伺いました。
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世界各国で多種多様な試作がなされている「空飛ぶクルマ」。日本では、2018年から公的なプロジェクトとして日本発の技術開発が進められています。空飛ぶクルマを目指して活動する企業や団体は日本にいくつかありますが、その中で最も実現に近いといわれているのが株式会社SkyDriveです。今回から3回にわたって、同社のCTO(技術最高責任者)岸信夫氏に、同社が開発している「空飛ぶクルマ」の実現に向けた技術的な取り組みについてお話を伺いました。1回目は、2020年8月に行った有人飛行試験の成果と、同社が検討している搭乗者の数と座席配置について伺いました。
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米バイデン大統領の就任後パリ協定への復帰や欧州議会での自動車に対する厳しいCO₂規制など、CO₂削減のトレンドが世界的に加速しています。そんな中、コスト面やスペース的にも電動化技術を導入するのが難しいとされる小型車でも、CO₂削減への要求は日増しに強くなっています。今回は、小型車づくりの豊富な経験値をもって小型車のハイブリッド化に取り組んでいるスズキ株式会社のエンジニアに、同社がハイブリッド化に向けて開発した「トランスミッション(自動MT)」の特徴とその可能性について伺いました。
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EV(電気自動車)に必要な電気は、車を動かす電気だけではありません。走行の次に大きなものが、カーエアコンです。そのためEVの航続距離をのばす一つの取り組みとして、カーエアコンの消費電力をいかに減らすかが重要になってきます。前編に引き続き、株式会社デンソーの「ヒートポンプ式省エネエアコン」を担当しているエンジニアに、同カーエアコンが省エネなる仕組みと、EV内の熱エネルギーを有効利用する車両トータルの「熱マネジメント」についてお話を伺いました。
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日本のEV(電気自動車)普及率は0.7%(2020年7月時点)にとどまっており、消費者がEV購入をためらう理由の一つとして、内燃機関(エンジン)車に比べて半分程度の航続距離があげられます。この課題を解決すべく大容量バッテリー開発が進む一方、「省エネ」への取り組みも重要になってきます。今回は、EVにおけるカーエアコン(冷暖房)の省エネに注目し、株式会社デンソーの「ヒートポンプ式省エネエアコン」を担当しているエンジニアに、内燃機関(エンジン)車」と「EV」の冷暖房効率の違いや同カーエアコンを開発した経緯について話を伺いました。
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新規事業への参入・投資プロジェクトを検討される企業で参入業界の情報取得・整理・分析が行われている一方で、こと製造業においては通常の調査では得られないような業界関係者や社外有識者の知見・専門情報の獲得が重要ではないのでしょうか?今回は、自動車や電子機器での使用が進むエンジニアリングプラスチック(以下エンプラ)よりも耐熱性などに優れたスーパーエンプラという新素材に注目します。スーパーエンプラのひとつである「PPS樹脂」プラント立ち上げから携わってきた、株式会社スズキ・マテリアル・テクノロジー・アンド・コンサルティング社代表取締役社長 鈴木孝典氏にPPSのメリットや用途、市場についてお話を伺いました。
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2021年1月20~22日に、東京ビッグサイトで「第35回 ネプコンジャパン/第13回 オートモーティブワールド」が開催されました。毎年東京と自動車産業が盛んな名古屋で年2回開催される、エレクトロニクスおよび自動車関連事業の大規模な展示会です。引き続き後編では、オートモーティブワールドを中心にした自動車産業関連技術に注目し、電気自動車のニーズに合わせたインホイールモーターや、熱可塑性CFRPでつくる車両用部品などについてご紹介します。