イノベーションを創出するためには、現在のトレンドに対する最先端の科学技術動向に加え、幅広い業界の将来予測の把握が必要不可欠といえます。航空宇宙業、輸送機械、家電業界等、さまざまな業界で活躍されている方にお話をお伺いしました。
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2021年10月27~29日に、ポートメッセなごやで「第4回 名古屋オートモーティブワールド」が開催されました。毎年東京と、自動車産業が盛んな名古屋で年2回開催される自動車関連事業の大規模な展示会です。また会場では併設で「ネプコンジャパン」という展示会なども同時開催しており、エレクトロニクス関連の技術などが多数展示されていました。今回は金属射出成形法(MIM)による中空品制作技術や、ガラスマット強化熱可塑性プラスチック(GMT)加工による自動車部品製造技術などについてご紹介します。
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近年北海道では酪農の集約、大規模化が進んでいますが、従来の日本の酪農方法である「舎飼い」では生産効率が上がらないなどから、「放牧」への転換が注目されています。しかし、大規模な放牧でも、「放牧のエリア選定」や「牛追い」など人手不足による課題があるといいます。今回の後編では、人手不足を解決する北海道の「宇野牧場」の取り組みの中で、システム開発会社と協業しAIやドローンなどIT技術を駆使し放牧の課題を解決しようとする事例についてご紹介します。
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再生可能エネルギーの中で大きな割合を占めている太陽エネルギーに注目し、日本太陽エネルギー学会の監修により基礎解説をしていく本連載。第6回目は、太陽光の熱をそのまま使う「太陽熱利用システム」についてです。太陽熱利用は太陽光発電に比べて、電気に変換する際のロスがない分、上手に使えばエネルギー利用効率が高いと言えます。今回は、世界と日本の太陽熱利用システムの設置面積の推移、太陽熱利用システムとソーラークッカーの特徴と種類について解説します。
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2021年10月13~15日までインテックス大阪にて「国際粉体工業展・大阪2021」が開催されました。国際粉体工業展は、食料、プラスチック、繊維、医薬をはじめとする有機系、金属やセラミックなどの無機系など、多種多様な粉体素材を扱う展示会です。粉体は、工程の改善や効率化が期待できる電源、センサーなどさまざまな技術の展示や技術動向を情報収集できる場となっています。今回は、粉体や粒子に関しての除去・清掃、ナノ微粒化、輸送、加工などに関連する装置や技術をご紹介致します。
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2021年10月13~15日に、マリンメッセ福岡にて「第37回モノづくりフェア2021」が開催されました。モノづくりフェアは、自動車産業をはじめとする九州のモノづくり企業や団体が、それぞれの技術・研究や、また近年進んでいるデジタル化への取り組みなどを業界関係者や学生などに向けて展示している大規模な展示会です。今回は、膨張を極端に抑えたガラスセラミックス、ダイカスト鋳造で金型の入れ子(キャビティー)だけをカセット交換するシステムなどのものづくり技術の動向についてご紹介します。
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金属3Dプリンターの造形方法には、主にパウダーベッド方式とパウダーデポジション方式があります。金属3Dプリンター造形は、一般的に装置、粉体ともに機械加工に比べ値段が高く、造形精度等で課題があり、最終製品への適用は航空宇宙業界などの軽量化、部品点数削減などによるメリットが生まれる高付加価値部品に留まるケースが多いと考えられています。本状況下にて、光学機械などを製造・販売する株式会社ニコンは得意とする光学設計などの技術を活用し、パウダーデポジション方式に分類される金属3Dプリンターを開発しました。今回は、金属3Dプリンターの造形方法を整理しつつ、同社が開発した3Dプリンターの特徴や開発コンセプトに加え、金属3Dプリンターの適用先拡大や装置開発の展望までお伺いしました。
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ペロブスカイト太陽電池の研究開発ストーリーや特徴などについて、同太陽電池の研究開発を主導した桐蔭横浜大学の特任教授 宮坂力氏にお話を伺う本連載。ペロブスカイト薄膜は、ペロブスカイトの原料液を垂らし、溶液の溶媒が揮発することでペロブスカイトの単結晶ができるというシンプルの製法ですが、研究者個人としての成膜を作る達人の存在が重要になるといいます。後編は、ペロブスカイト太陽電池の構造、製造方法、ペロブスカイト太陽電池の実用化に向けた特性研究、従来のシリコン太陽電池との比較などについてお話を伺いました。
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ペロブスカイト太陽電池の研究開発ストーリーや特徴などについて、同太陽電池の研究開発を主導した桐蔭横浜大学の特任教授 宮坂力氏にお話を伺う本連載。中編では、化学でもあり物理学でもあるペロブスカイト太陽電池研究の特徴や、ペロブスカイト太陽電池の実現するまで重要な役割を果たした研究者同士のつながり、開発中のペロブスカイト太陽電池の課題を、色素増感太陽電池の全固体研究成果を適応して解決した開発ストーリーについてお話を伺いました。
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太陽電池は、環境への配慮など持続可能な社会を支える上で利用が増えていますが、その材料として広く使われているのがシリコンです。一方、透明で柔軟、軽いという特性をもつ「ペロブスカイト」を使った太陽電池の研究開発も盛んに進んでいます。今回は、このペロブスカイト太陽電池に注目し、3回にわたって、同太陽電池の研究開発を主導した桐蔭横浜大学の特任教授 宮坂力氏に、ペロブスカイト太陽電池の研究開発ストーリーや特徴などについてお話を伺いました。前編は、学生の提案によりペロブスカイトによる太陽電池の研究を行った経緯についてのお話です。
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1969年の「アポロ計画」以来半世紀を経て、再び月を目指す新しいプロジェクト「アルテミス計画」。その計画の第一弾として2022年初頭に打ち上げ予定の「アルテミス1号」には、無人宇宙船ORIONのほか、13の「相乗りミッション」が実施されます。その13のうち、日本から2つが採用。本連載は、この2つのプロジェクト「OMOTENASHI」「EQUULEUS」の技術やミッションについて、JAXAの各プロジェクトリーダーからお話を伺いました。第4回目は、「EQUULEUS」後編として、同プロジェクトの3つ科学観測ミッションと水推進エンジンを採用した理由についてお話を伺いました。
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1969年の「アポロ計画」以来半世紀を経て、再び月を目指す新しいプロジェクト「アルテミス計画」。その計画の第一弾として2022年初頭に打ち上げ予定の「アルテミス1号」には、無人宇宙船ORIONのほか、13の「相乗りミッション」が実施されます。その13のうち、日本から2つが採用。本連載は、この2つのプロジェクト「OMOTENASHI」「EQUULEUS」の技術やミッションについて、JAXAの各プロジェクトリーダーからお話を伺いました。第3回目は、「EQUULEUS」前編として、同プロジェクトが目指す「ラグランジュ点」についての解説と、軌道制御や通信技術についてお話を伺いました。
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1969年の「アポロ計画」以来半世紀を経て、再び月を目指す新しいプロジェクト「アルテミス計画」。その計画の第一弾として2022年初頭に打ち上げ予定の「アルテミス1号」には、無人宇宙船ORIONのほか、13の「相乗りミッション」が実施されます。その13のうち、日本から2つが採用。本連載は、この2つのプロジェクト「OMOTENASHI」「EQUULEUS」の技術やミッションについて、JAXAの各プロジェクトリーダーからお話を伺いました。第2回目は、「OMOTENASHI」後編として、アルテミス1号から分離して月に着陸するまでの着陸技術などについて伺いました。
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人類が初めて宇宙飛行士を月面に着陸させた1969年の「アポロ計画」。半世紀を経て、再び月を目指して「アルテミス計画」という新しいプロジェクトがNASA主導で進められています。そのアルテミス計画の第一弾として2022年初頭に打ち上げ予定の「アルテミス1号」には、無人宇宙船ORIONのほか、13の「相乗りミッション」が実施されます。その13のうち、日本から2つが採用。本連載では、この2つのプロジェクト「OMOTENASHI」「EQUULEUS」の技術やミッションについて、JAXAの各プロジェクトリーダーからお話を伺いました。第1回目は、「OMOTENASHI」前編として、同プロジェクトのミッションやそのミッションが持つ意味などについて伺いました。
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国連(UN)が2015年に採択した17の「持続可能な開発目標(SDGs)」のうち、目標6である「安全な水とトイレを世界中に」。世界の人びとに安全な水と衛生へのアクセスを確保することが掲げられており、自宅にトイレのない生活を送っている約20億人など不衛生な環境に置かれている人々のための施策が求められています。今回も引き続き、水を使わずに微生物の力で排泄物を処理する「バイオトイレ」を開発・販売している正和電工株式会社 代表取締役 橘井敏弘氏に、ベトナムの世界遺産・ハロン湾に導入したバイオトイレなど発展途上国での利活用事例についてお話を伺いました。
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前編では、日本のトイレの9割が公共下水道または合併処理浄化槽を使って処理されていますが、1割はまだ汲み取り式などの非水洗トイレであり、そうしたトイレにバイオトイレが適しているという解説と、正和電工がバイオトイレの開発を始めるきっかけについて紹介をしました。しかし、上水道も下水道も浄化槽も必要なく、糞尿が消滅し、匂いもしない、良質な肥料ができるトイレがあることを、世間にはなかなか認知してもらえず、国内では法律の障壁もあり、認められるまでには長い年月がかかりました。中編では、日本で認められるまでのストーリーを紹介します。
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トイレは私たちが当たり前のように毎日使用していますが、日本のおよそ9割が使用している水洗式トイレは、都市部のように下水道が整備なしでは使用できない設備であり、人口密度の低い農村部などでは汚水処理の設備が整っておらず汲み取り式トイレが使われています。日本のおよそ1割が使うこの汲み取り式トイレは、衛生面で安全とは言えません。今回は、水を使わずに微生物の力で排泄物を処理する「バイオトイレ」を開発・販売している正和電工株式会社 代表取締役 橘井敏弘氏に、バイオトイレが必要な理由と、26年前から開発を始めたきっかけ・商品化までの道のりについてお話を伺いました。
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イオンエンジンの推進剤としてキセノン(Xe)が一般的ですが、高圧ガスタンクが必要であることから安全性が懸念されています。そこで、月面着陸したアポロの時代からその可能性が示唆されていた「水」に再び注目し、水推進エンジンの研究を進めているグループがあります。今回も引き続き第3回目として、小型エンジンの研究をリードしている、東京大学大学院新領域創成科学研究科の小泉宏之准教授に、同研究グループの水推進エンジンの方式と特徴を伺うほか、水推進エンジンの宇宙ビジネスにおけるメリットについてお話を伺いました。
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宇宙科学研究所(ISAS)によって打ち上げられた小惑星探査機「はやぶさ」や、超小型深宇宙探査機「プロキオン」には、姿勢制御、軌道遷移、緊急対応などのために「エンジン」が必要であり、これらの探査機には「イオンエンジン」というロケットエンジンが使用されています。今回も引き続き第2回目として、小型エンジンの研究をリードしている、東京大学大学院新領域創成科学研究科の小泉宏之准教授に、超小型イオンエンジンとは何か、その特徴や、イオンエンジンの推進剤として使われている「キセノン(Xe)」の限界についてお話を伺いました。
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民間宇宙飛行士を乗せた米国の宇宙開発企業の宇宙船が国際宇宙ステーション(ISS)へのドッキングに成功するなど、宇宙ビジネスは花盛りを見せています。その宇宙ビジネスで注目されているのが超小型衛星であり、その要素技術の研究開発も活発に進んでいます。今回は、超小型人工衛星に搭載する「エンジン」に注目し、小型エンジンの研究をリードしている、東京大学大学院新領域創成科学研究科の小泉宏之准教授に、ロケットエンジンの基礎から最新研究について3回にわたって解説頂きました。第1回目は、ロケットエンジンの種類や、はやぶさにも使用されたイオンエンジンの仕組みについてお話を伺いました。
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5G、次世代の通信インフラとして社会に大きな技術革新をもたらすと言われていますが、その特徴である「高速・大容量」「高信頼・低遅延通信」「多数同時接続」はお互いトレードオフの関係にあるといいます。今回も引き続き、離島の新たな交通・物流インフラになる可能性を秘めている、水陸両用バスの自動運転化を取り組んでいるコンソーシアムに、水陸両用バスの自動化に「ローカル5G」の特徴の中で「高速」より「低遅延」が重要になる理由や、「協調型」自動運転の重要性と課題についてお話を伺いました。