イノベーションを創出するためには、現在のトレンドに対する最先端の科学技術動向に加え、幅広い業界の将来予測の把握が必要不可欠といえます。航空宇宙業、輸送機械、家電業界等、さまざまな業界で活躍されている方にお話をお伺いしました。
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モノづくり現場でのスーパーコンピューター「富岳」活用について、「富岳」研究チームを率いる理化学研究所計算科学研究センター坪倉誠氏にお話を伺う本連載。ハイパフォーマンスコンピューティングの課題解決のため、遺伝的アルゴリズムやAIの活用、独自ソフトウェア「複雑現象統一的解法CUBE」の開発を進めてきた「富岳」。後編では、研究事例としてAIを使ったサロゲート・モデルやCUBEを使ったトポロジー最適化を紹介頂き、今後のモノづくり現場でのハイパーコンピューティングの使われ方についてお話を伺いました。
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モノづくり現場でのスーパーコンピューター「富岳」活用について、「富岳」研究チームを率いる理化学研究所計算科学研究センター坪倉誠氏にお話を伺う本連載。スーパーコンピューターが威力を発揮するハイパフォーマンスコンピューティングだからこそ、高精度な計算を行う際に時間的コストが掛かってしまう課題があるといいます。中編では、この時間的コストが掛かってしまうCADデータ修正や最適曲面の探索に対する課題解決アプローチや残された課題についてお話を伺いました。
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スーパーコンピューターとは、科学技術計算用途にて大規模かつ高速な計算が要求されるハイパフォーマンスコンピューティングに用いられる電子計算機です。日本では2019年8月に役割を終えた「京」がスーパーコンピューターとして有名ですが、「富岳」は「京」の後継機として理化学研究所と富士通により開発され2021年3月に共用が開始されました。今回は、モノづくり現場でのスーパーコンピューター「富岳」活用に注目し、理化学研究所計算科学研究センター複雑現象統一的解法研究チームの坪倉誠氏に話を伺いました。前編では、スーパーコンピューター「富岳」がモノづくりにもたらす3つの変化や、企業とのコンソーシアム活動の概要についてご紹介します。
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遠隔医療ものづくり技術の最新動向について医療現場からの声をもとに紹介する本連載。第11回は、引き続きデジタルパソロジー」について紹介します。遠隔診療は、コロナ禍や医師不足、地方の過疎化、高齢化が進むなか注目が集まっていますが、その中でも患者の細胞を顕微鏡で観察して病状を診断する「病理医」の業務を遠隔化する「テレパソロジー(遠隔病理診断)」にもデジタルパソロジーが大きく関わっています。今回は、実際にデジタルパソロジーを利用している病理医であり、その普及を推進するデジタルパソロジー研究会会長の長崎大学大学福岡順也教授に、医療現場の課題やデジタルパソロジーの在り方、普及のために欠かせない視点を伺いました。
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デジタルパソロジーとは、病理標本を専用スキャナで撮影してデジタル化することで病理診断をサポートする技術です。デジタルパソロジーは、保存したデータをいつでも見られるようにできること、ネットワーク等を介して他者と共有できること、コンピュータ分析などに活用できること、といったメリットに加え、テレパソロジー(遠隔病理診断)としての利用が期待されています。今回は、医療機器として認証されたデジタルパソロジーシステムを開発している株式会社フィリップス・ジャパンに、同社の製品サービスの開発背景や概要、導入事例についてお話を伺いました。
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1980年代後半から1990年初めにかけて日本に負けた米国がどうやって回復したのか、米国企業を取材すると、その経営戦略は筋が通っていました。前回は、世界的な半導体企業、研究機関3社(Texas Instruments・Onsemi・imec)に注目し、半導体ビジネスで世界を牽引する企業が、衰退していった日本の企業となにが違い、なぜ強くなっていったのかを見ていきました。今回は、引き続き日本の半導体産業とはまったく異なるやり方で成長する世界的な半導体企業3社(Arm・IBM・Apple)の経営戦略を紹介します。
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コミュニケーションロボットとは、家事を手伝い、人と会話し、心を通わせ、家族のように暮らすといった人とのコミュニケーションを果たすロボットです。一方で、身近にあるロボットは、重たいものを運んだり、正確な作業を長時間続けたり、人間以上の能力を発揮して世の中の役に立っています。しかし、ロボットは人より力強くて、有能で、社会に役立つ存在でなければいけないと誰が決めたのでしょうか?今回は、身体性を伴うコミュニケーションが成立する過程について研究を行うなか「弱いロボット」という概念を提唱した豊橋技術科学大学情報・知能工学系の岡田教授に、コミュニケーションロボットの未来についてお伺いしました。
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セラミック3Dプリンターは、3Dプリンターの一種であり、耐熱、絶縁、耐摩耗などに優れるセラミックス材料を3次元の設計データをもとに立体造形する装置です。セラミックス材料の一般的な加工方法は、材料の粉を金型に入れて加圧して固めて成形し、炉に入れて焼成します。この焼成の過程で粉末粒子が融合し、焼き固まる際に収縮します。セラミック3Dプリンターの課題は、セラミックス材料だけでなく、接着剤の役目として添加された樹脂のバインダーの収縮で大きな変形が生じるため、高精細な造形が難しく、熱収縮を抑えるために長い加工時間を要していたことです。キヤノン株式会社では、こうした課題を解決するため、独自にセラミック3Dプリンター向けの新材料を開発しました。今回は、R&D本部の安居氏とフロンティア事業推進本部の川村氏に、セラミック3Dプリンターにおける課題と開発した新材料の概要についてお伺いしました。
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3Dプリンターで食品をつくることが現実の話となってきました。以前より食品業界で普及していたフードプリンターは、食品に食べられるインクを用いて直接文字や絵柄、写真をプリントできる装置です。一方で、3Dフードプリンターは、食材を3次元の設計データをもとに立体造形し、形状や食感が制御された食品を製造できる装置です。山形大学では、柔らかいゲル状の素材を用いた3Dプリンター技術を応用し、ソフトでありつつも複数の味と食感を持つ介護食を開発しています。今回は、山形大学有機材料システムフロンティアセンターの川上准教授に、3Dフードプリンターの開発経緯や開発した介護食の可能性についてお話を伺いました。
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再生可能エネルギーの中で大きな割合を占めている太陽エネルギーに注目し、日本太陽エネルギー学会の監修により基礎解説をしていく本連載。第9回目は、太陽エネルギーなどを使って製造することができ、燃料電池などで利用される水素についてです。太陽光発電や風力発電などの変動が大きい自然エネルギー、そして季節や昼夜で大きく変動するエネルギー需要に対応するため、その運び手と調整役として水素エネルギーが期待されています。水素需要シナリオを紹介しつつ、製造プロセスの種類によって色分けされる水素の種類や燃料電池など水素の利用形態について解説します。
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日本の半導体産業をダメにしたのは、勝つための経営戦略ではなく、DRAMメーカー同士を合併させよう、あるいはロジックメーカー同士をくっつけよう、と安易に規模を拡大したためです。一方で、世界的な半導体企業が、衰退していった日本の企業となにが違い、なぜ強くなっていったのかを知ることは、日本企業に参考になります。今回は、日本の半導体産業とはまったく異なるやり方で成長する世界的な半導体企業、研究機関3社(Texas Instruments・Onsemi・imec)の経営戦略を紹介します。
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半導体材料とは、半導体デバイスを製造するプロセスで使用される多種多様な材料であり、半導体の素材となるシリコンウェーハだけでなく、製造プロセスで用いられるフォトレジスト液などの消耗材やボンディングワイヤー、接着剤などの最後まで残る材料が含まれます。今回は、材料別の半導体材料メーカー動向を把握することで、日本企業が存在感を持つ半導体材料について理解を深めていきましょう。
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健康寿命の延伸に寄与するバイオマテリアル開発ストーリーとなる本連載。後編では、人工股関節の長寿命化を実現に繋がった、関節面で生じる摩耗粉を軽減するMPCポリマー表面処理に注目します。人工股関節では、関節面から生じるポリエチレン摩耗粉が引き起こす人工股関節のゆるみなどの合併症は大きな課題でした。この摩耗粉を低減する材料探索のなか東京大学医学部附属病院の医師で東京大学の茂呂特任教授は、同じ東京大学の石原名誉教授のMPCポリマーの研究内容を知り、すぐさまコンタクトをとります。後編では、引き続き京セラ株式会社の京本氏、東京大学の茂呂氏および石原氏に、MPCポリマーを人工股関節に活用することになったきっかけやMPCポリマー表面処理の効果についてお伺いします。
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人工股関節とは、股関節を人工関節に置き換えたものであり、健康寿命の延伸の重要な条件である歩行機能を保つための治療法の一つです。人工股関節の課題は、一般的に15〜20年とされる生体内における「耐用年数」であり、耐用年数経過後や不具合が生じた際に行われる再手術が患者にとって負担の大きいものでした。京セラ株式会社は2001年より東京大学と共同で「長寿命型」の人工股関節の開発に取り組み、完成した人工股関節は2011年に厚生労働省より製造販売承認を取得し、これまでに国内で7万6,000例以上(2021年12月現在)の手術に使用されています。今回は、健康寿命の延伸に寄与するバイオマテリアル開発に注目し、2回にわたって同研究開発を主導した京セラ株式会社研究開発本部メディカル開発センターの京本氏、東京大学医学部附属病院の医師で東京大学の茂呂特任教授、東京大学の石原名誉教授に話を伺いました。前編では、人工股関節の長寿命化の鍵となったMPCポリマーの概要についてご紹介します。
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2022年1月26〜28日の3日間、東京ビッグサイトにて「第16回 再生可能エネルギー世界展示会&フォーラム RENEWABLE ENERGY 2022」が開催されました。本展示会では、省エネ・再エネのようにエネルギーをうまく活用することで化石資源の消費抑制を図り、地球温暖化の防止と持続可能な社会の実現を目指すための様々な技術が紹介されていました。今回は、「太陽光パネルお掃除ロボット」、「プラスチック製雨水貯留浸透施設用ブロック」、「肌になじみやすい特殊ポリレフィン」および「様々な素材に適用できるメッキ用プライマー」の展示内容を紹介します。
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2022年1月26〜28日の3日間、東京ビッグサイトにて「ENEX2022 第46回 地球環境とエネルギーの調和展」が開催されました。本展示会は、「エネルギーミックスで加速する脱炭素社会」をテーマとする需給一体型のエネルギーに関する総合展であり、脱炭素社会の実現に欠かせない省エネ、エネルギーマネジメントやデジタル技術、再生可能エネルギー商材などが出展されていました。今回は、「廃プラスチックのカーボンナノチューブ変換技術」と「環境振動を利用した発電素子」、「銅ドーピングを最適化したマグネシウム・アンチモン系熱電変換モジュール」および「農業用水の高低差を利用したナノ水力発電ユニット」の展示内容を紹介します。
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2022年1月26~28日の3日間、東京ビッグサイトにて「nano tech 2022 国際ナノテクノロジー 総合展・技術会議」(オンライン展示は2021年11月26日~2022年2月28日)が開催されました。カーボンニュートラルや次世代の半導体など、新たな時代を牽引しうる存在として期待されるナノテクノロジーやそうした素材を扱う企業が一堂に会し、素材の管理や観察、加工の技術などさまざまな展示が行われていました。今回は、グラフェンでできた不燃性バッテリー、DELL複合加工技術、プロペラレスな自転・公転方式ミキサーに加え、既存事業で培ったゴム成形や設計技術を活かした白血球捕捉チップの展示内容を紹介します。
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2022年1月26~28日の3日間、東京ビッグサイトにて「TCT Japan 2022 (3Dプリンティング&AM技術の総合展)」(オンライン展示は2021年11月26日~2022年2月28日)が開催されました。同展示会では、3Dプリンターの急速な発展に伴い、そのための材料・評価/分析や加工、生産管理製品開発といった周辺領域のプレイヤーによる展示も行われていました。今回は3Dプリンティング・アディティブマニュファクチャリングに注目し、カーボンナノファイバーを材料とした3Dプリンター、3Dプリンター向け海洋生分解性材料、金属3Dプリンター造形の仕上げで注目の小型真空脱脂焼結炉、3Dプリンター造形による透明バイオリンの展示内容を紹介します。
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セルロースナノファイバー蓄電体開発者に聞く脱炭素社会の材料開発を紹介する本連載。後編では、セルロースナノファイバー蓄電体が持つ可能性に注目します。アモルファス物性を巧みに利用し、環境負荷の低い植物由来のセルロースナノファイバーを用いた蓄電体の開発を行う東北大学未来科学技術共同研究センターのリサーチフェロー福原氏は、脱炭素社会でどのような用途を考えているのでしょうか?後編では、引き続き福原氏に、セルロースナノファイバー蓄電体の特性や用途、その可能性についてお伺いします。
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全固体電池は、電子の蓄積や電子の移動を担うイオン伝導を実現する電解質が従来の液体でなく固体で構成された電池です。従来の電池では、電解質の蒸発、分解、液漏れなどの液体特有の課題があり、長期保管や電池性能向上の妨げとなっていました。本状況下において2021年に東北大学より固体電解質に関わる「セルロースナノファイバーによる蓄電体の開発」が発表されました。今回は、脱炭素社会における材料開発に注目し、2回にわたって同研究開発を主導した東北大学未来科学技術共同研究センターのリサーチフェロー福原氏へお話を伺いしました。前編では、アモルファス物性の概要やアモルファス物性により蓄電効果が高まる原理についてご紹介します。