イノベーションを創出するためには、現在のトレンドに対する最先端の科学技術動向に加え、幅広い業界の将来予測の把握が必要不可欠といえます。航空宇宙業、輸送機械、家電業界等、さまざまな業界で活躍されている方にお話をお伺いしました。
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XRとは、「クロスリアリティ」あるいは「エックスアール」と呼ばれ、現実空間とバーチャル空間を融合して新しい体験を生み出す画像処理技術である、AR、VR、MRの総称です。XR技術は、VRを活用したゲームやITソリューションだけでなく、デバイスの進化やコロナ禍によるリモートソリューションへの需要拡大などを背景に人材不足や技術継承に課題を抱える製造業の現場でも広く活用されています。本記事では、XRの基本と導入事例をご紹介いたします。
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津⽥建二氏の『半導体入門講座』の連載第38回(最終回)は、最終章の後編となる総論として、日本半導体復活に向けた提言を取り上げます。最終回では、これまで本連載を続けてこられた津田氏に、半導体産業を取り巻くベンチャーキャピタル(VC)、大学ベンチャーをはじめとするアカデミア動向紹介に加え、企業のみならず日本という国自体が具体的になにを行なえばよいのか日本半導体復活に向けた提言を行って頂きます。
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今回で第37回となる、津⽥建二氏の『半導体入門講座』。最終章の中編では、日本で復活した半導体メーカー2社の事例を紹介していきます。彼らはなにをおこなうことで復活を遂げたのでしょうか? 中編となる今回は、ルネサスエレクトロニクス株式会社とエルピーダメモリ株式会社の半導体メーカー2社を取り上げ、総合電機からの脱皮と外国人の積極的な採用を進めダイバーシティそのものが企業文化になった両社の事例から日本半導体復活について論じて頂きます。
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アルミニウムの「水素脆化」は、アルミニウム合金内に存在する水素が金属の強度を低下させる現象ですが、そのメカニズムは長い間分かっていませんでした。このアルミニウムの水素脆化や応力腐食割れといった技術的課題が、アルミニウムの活用範囲の制限となっていたのです。この未解決課題に対し、九州大学大学院をはじめとする研究グループはアルミニウムの水素脆化メカニズムの解明を進め、ナノサイズの添加元素を入れることで水素脆化を防止できることを発見しました。今回は、九州大学大学院工学研究院の戸田教授にアルミニウムの水素脆化メカニズムや防止技術についてお話を伺いました。
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有機ELでものづくり日本を取り戻そうとする活動を紹介する本連載。世界トップレベルの印刷有機EL技術を保有する山形大学は、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)研究成果展開事業大学新創業創出プログラム(START)プログラム(2021~2023年度:3年間)に採択され、印刷有機ELの社会実装を目指す研究開発を進めています。後編では、前編に引き続き山形大学大学院の城戸卓越研究教授に、JST-STARTプログラムの概要やマイクロLEDと比較したときの有機ELの優位性について紹介して頂くともに、ものづくり日本を取り戻すための提言をお伺いします。
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今回で第36回となる、津⽥建二氏の『半導体入門講座』。最終章として、今回から3回にわたり日本半導体復活に向けた提言を書き示していきます。同氏は、半導体製造分野では衰退していった日本においてもまだ復活できる分野があるといいます。一方で、過去の失敗を明確に見極め、反省し、そして、復活の道筋をつけることが大切です。前編となる今回は、日本で半導体産業が衰退した理由を把握していきます。
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コンクリートに入ったひび割れ(クラック)をバクテリアが自動的に修復する「自己治癒コンクリート」は、オランダのデルフト工科大学で発見されました。この自己治癒コンクリートを用いることによるコンクリートの長寿命化に注目し、デルフト工科大学の研究チームが大学発スタートアップとして設立したBasilisk BVと量産技術の共同開発に着手したのが、北海道に拠点を構えるコンクリートメーカーの會澤高圧コンクリートです。本連載では、コンクリート業界の脱炭素化について注目します。前編となる今回は、同社代表取締役社長の會澤氏、常務取締役の酒井氏に、脱炭素化に向けたコンクリート業界の課題や、「自己治癒コンクリート」量産技術確立に向けた開発ストーリーに加え、本技術の導入事例についてお伺いしました。
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これまで日本の半導体メーカーが失敗した理由について、半導体のテクノロジー潮流や日本企業の特殊性に注目した分析内容をご紹介してきました。それでは、半導体産業の日本と世界の根本的な違いはどこにあるのでしょうか?今回は、半導体産業における日米の会社業態の違いに注目し、世界の半導体産業に関する分析内容をご紹介します。
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医療から自動車、環境などの多くの分野で目覚ましい発展がみられるAI(人工知能)は私たちの生活にも多くの影響を与えています。そんなAI研究に世界的に高い水準で取り組んでいるとされるのが米国や中国で、日本はそういったAI先進国と言われる国々と比較して後れを取っていると表現されることがあります。日本はAI技術を発展させるにあたり、人材の確保や研究体制の確立など多くの課題を抱えています。今回は2021年の現在、日本政府がAI技術発展のためにどのような政策を進めているのか、またすでにAI技術を導入している企業はどのように活用しているのか8つ事例と共に紹介します。
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自動車産業は100年に一度の大変革を迎えるといわれており、世界各国で自動運転などの技術開発が活発に行われています。日本でも各自動車メーカーが自動運転システムを搭載した自動車の開発を進めているだけでなく、国としても力を注いでいる分野でもあります。自動運転が普及すると交通事故、渋滞の低減だけでなく物流や新たなサービスの提供など様々な効果が期待されていますが、現在の自動運転はどこまで進んでいるのでしょうか。日本、世界の6つの事例から自動運転の最新動向をご紹介します。
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海洋プラスチックは、海洋に流入したプラスチックの浮遊ごみやマイクロプラスチックと呼ばれる5mm以下の微細なプラスチックの総称です。海洋プラスチックが注目される背景として、海上に漂う分解されにくいプラスチックが海の生物に付着したり、体内に取り込まれたりしたことが確認されたため、海の生態系に深刻な影響を及ぼす懸念がクローズアップされました。このような状況下において、海洋プラスチックや油などの浮遊ごみを回収するドローンJELLYFISHBOTを開発したフランスのスタートアップIADYS(アイァディーズ)は、これまでに157万ユーロ(約2億円)の資金調達に成功しています。今回は、IADYS創業者でJELLYFISHBOTの開発者であるNicolas Carlési(以下ニコラス)氏に、開発した水上ドローンの概要や世界各地での実証実験の状況についてお伺いしました。
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これまでトップ企業とも言えるArmの成り立ち、IBMのビジネスの変遷、単なるコンピュータメーカーから半導体まで製造しはじめたAppleに注目して、その生き残り策とも言える戦略を簡単にご紹介してきました。一方で、なぜ日本の半導体産業は、ほとんどが生き残れなかったのでしょうか。日本の半導体メーカーが失敗した理由について、半導体のテクノロジー潮流や日本企業の特殊性に注目した分析内容を紹介します。
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物流支援ロボットは、人手不足が顕著となっている物流業界の省人化・効率化をめざし開発されたロボットです。自動車やロボットの自動運転技術を開発してきた株式会社ZMPは、人の移動だけでなく、物の移動も自動化するために2014年に物流支援ロボットの「CarriRo(R)(キャリロ)」を開発しました。同ロボットはコロナ禍による物流需要の高まりや、省人化の取り組みに対する関心の高まりから、倉庫や工場での導入が増えていると言います。今回は、株式会社ZMPのCarriRo事業部長笠置氏に、物流支援ロボットの開発背景や特徴、種類について詳しくお伺いしました。
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脱炭素社会の実現に向けて「水素エネルギー」の活用に注目し、産学官からの水素エネルギーに関する取り組みを紹介していく本連載。CO₂フリー水素は、水素の製造工程でCO₂排出を抑えたブルー水素の一種であり、具体的には原料となる水や石炭から複数種類のガスを取り出し(ガス化)、CO₂のガスは大気中に放出されないよう分離・回収し、H₂のガス精製を行う工程で製造されます。第11回目は、化石燃料由来のCO₂フリー水素製造・供給・利用の商用化を目指す電源開発株式会社(J-POWER)の取り組みに注目し、同社が進める2つの実証試験、石炭を輸入し国内でCO₂フリー水素を製造するプロジェクト、産炭国でCO₂フリー水素を製造し日本に輸送するプロジェクトについてお話を伺いました。
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再生可能エネルギーの中で大きな割合を占めている太陽エネルギーに注目し、日本太陽エネルギー学会の監修により基礎解説をしていく本連載。最終回となる第10回目は、日本における再生可能エネルギーの導入ポテンシャルを紹介します。再生可能エネルギーの導入ポテンシャルとは、現在の技術水準では利用困難なものや法令・土地用途などによる制約があるものを除き、賦存量の中で利用可能とみなせる再生可能エネルギーの潜在的な量を意味します。今回は、環境庁の再生可能エネルギー情報提供システム(PEPOS)のデータを基に導入ポテンシャルを把握するとともに、これから日本の地域毎にどのように再エネ政策を考えていくべきか、東京農工大学工学研究院の秋澤淳教授に解説いただきました。
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量子コンピュータとは、原子や電子、分子といったミクロな粒子の状態や挙動を説明する理論である量子力学の特徴を巧みに利用して動作するコンピュータです。量子コンピュータは、従来のトランジスタ・コンピュータでは計算に膨大な時間がかかっていた問題を早く解ける特徴が注目され、高機能材料や薬品などの物質探索やシミュレーション、機械学習などへの活用が期待されています。本連載では、沖縄科学技術大学院大学(OIST)で行われている量子コンピュータの研究開発に注目します。今回は、超伝導方式の量子コンピュータの周辺ハードウェア技術の研究開発を行うOISTの久保氏に、量子コンピュータの種類や原理、仕組みについてご解説頂きました。
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透明太陽電池とは、既存の太陽電池が約400〜1,200nmの波長の可視光線を含む光を吸収して発電するのに対し、可視光線の多くは透過させ、可視光線外にある赤外線(IR)と紫外線(UV)を使って発電するため透明に見える太陽電池です。透明太陽電池の基礎技術を開発した米国のスタートアップ企業ユビキタスエナジーは、透明な窓ガラスでの太陽光発電の研究開発を進めており、その重要なパートナーを務めているのがガラスメーカーである日本板硝子株式会社です。今回は、日本板硝子ビルディングプロダクツ株式会社の清原氏に、透明太陽電池が拡げる窓ガラスの可能性についてお話を伺いました。
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熊本大学が研究開発を進める「パルスパワー」を紹介する本連載。熊本大学が研究開発を進める「パルスパワー」はアニサキスの殺虫だけでなく、コンクリートの減容化にも使われています。コンクリートの減容化とは、コンクリートを構成する「骨材」と「セメント」を破砕・分解することで廃棄物などの容積を減少させることです。高精度な減容化が実現できれば品質の高い再生骨材を生産できるため、最終処分材(産廃物)の削減にも寄与し、コンクリートの再利用、すなわちリサイクルにも貢献することが期待できます。後編では、前編に引き続き熊本大学の浪平准教授氏に、パルスパワーによるコンクリート塊の骨材再生処理技術についてお伺いします。
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アニサキスは、主に食用の魚介類に付着する寄生虫(線虫類)の一種です。アニサキスが人の胃に刺入することによって引き起こされる食中毒「アニサキス食中毒」は、厚生労働省が発表した「令和元年食中毒発生状況の概要」によると近年増加傾向にあり、食中毒原因の第1位となっています。これまでのアニサキス対策といえば冷凍・加熱が良く知られていましたが、「パルスパワー」という電気的なアニサキス殺虫方法を開発したのが熊本大学産業ナノマテリアル研究所と株式会社ジャパン・シーフーズらの共同研究グループです。本連載では、熊本大学が研究開発を進めるパルスパワーの活用に注目します。前編となる今回は、熊本大学産業ナノマテリアル研究所の浪平准教授氏に、パルスパワーを応用したアニサキス殺虫装置の開発ストーリーついてお伺いします。
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バイオセミラックス3Dプリンターの研究開発内容を紹介する本連載。バイオセラミックスは、人体に対する毒性がなく、生体組織への親和性が高く、かつ体内において高い耐久性を有する生体機能を代行するセラミックスであり、人工骨や人工関節、歯、歯根などに使われています。2018年、株式会社リコーと理化学研究所は、3Dプリンターを用いた新たな人工骨の造形技術を発表しました。後編では、理化学研究所のスタッフとして協力していた名古屋大学病院の整形外科医の大山慎太郎氏に、医師としての共同研究への関わり方や同技術が患者にもたらす価値、およびバイオセミラックス3Dプリンターによる人工骨造形技術応用の可能性についてお伺いします。