インタビューや実例をもとに、どのような場面でどのような材料・加工方法が用いられているのか、また、トラブル回避のために起こりやすい不具合事例の紹介や事故原因の解説を集めました。
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ビルや工場における二酸化炭素(CO₂)濃度の上昇は、眠気や倦怠感、頭痛を引き起こすなど人体への悪影響を及ぼします。そこで固体を利用したCO₂吸着分離法として「ゼオライトCO₂除去材」が広く使用されていますが、空気が大気レベルの水分を含むだけで吸着性能が大きく低下することが課題です。今回は、日立製作所 研究開発グループの吉川研究員に、水分雰囲気下でも効率よくCO₂を除去する材料である「酸化セリウム(CeO₂)系CO₂除去材」の特徴と活用可能性についてお伺いしました。
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『TOKYOオリンピック物語』の著者、野地秩嘉氏の連載第8回は、引き続き機能性寝具を紹介します。眠ることは幸せであり、健康と考えるエアウィーヴ。今回は、アスリートに注目しスポーツビジネス、スポーツマネジメントの進化をうながしたとも言える同社の広告宣伝戦略を紹介します。また、東京2020大会におけるスポーツ記録の進化に注目し、食事、ユニフォームに続き個別化される「睡眠」を実現するふたつの技術レガシーを探ります。
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金沢大学設計製造技術研究所でのモノづくり研究開発動向を紹介する連載第2回では、引き続き喜成年泰教授にCFRPについて伺います。同大学では、粘性が高い熱可塑性CFRPの加工性を高める形状としてテープ状のシートに注目し、三次元形状成形が可能な「組紐プレス工法」も開発中です。今回は、組紐プレス工法の特徴をはじめ、組紐技術を用いた熱可塑性樹脂CFRPのバイオミメティクス(生物模倣)応用をご紹介します。
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北陸地域にはかつて繊維関係の企業が多く、繊維機械を製造する機械工業から、部品や工具などを納める工作機械メーカーまで、その要素技術も発達してきました。本連載では地域のモノづくり技術を活かし、新たなオープン・イノベーションを模索する金沢大学設計製造技術研究所でのモノづくり研究開発動向をご紹介します。今回は、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)に注目し、喜成年泰教授にCFRPの用途や成形工法、同研究所が注目する組紐技術を使ったCFRPの可能性についてお伺いしました。
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新型コロナウイルス感染拡大は、なかなか収束しない。仮に収束しても、さらに未知の新型ウイルスがいつ出現するかわからない。そのたびに都市封鎖を繰り返していては、経済は停滞し、社会が崩壊に向かうに違いない。コロナ以前の社会がウイルス感染症に「脆弱」だったのだとすれば、ウィズコロナ/アフターコロナの社会は、その脆弱性をどう解消するかにかかっている。本稿では、そのための方向性を考えてみたい。
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私たちが普段使っている自動車や電子機器などにはたくさんの材料が使われており、製品の性能を向上すべく新材料開発が求められています。従来の材料開発は、理論計算と実験による試行錯誤を前提とし、研究者の経験や勘に頼らざるを得ず、膨大な時間とコストがかかっていました。一方、近年、情報科学技術を材料分野にも応用して、時間とコストを削減するマテリアルズ・インフォマティクス(以下MI)が注目されています。今回は、MIの基礎知識や適用事例、課題を解説したうえで、日立製作所研究開発グループの岩崎主管研究員にMIを応用した異種材料の密着強度予測技術についてお伺いしました。
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航空機産業に携わる中小企業を支援する取り組みも行っている東京都立産業技術研究センター(以下都産技研)。製品開発における各種試験用設備・機器やソフトウェア解析環境などが主な支援内容です。今回は、産業分野においてドローンの普及を妨げてきた代表的な技術的課題「飛行時間」の向上にむけ、ドローン向けガソリンエンジンの製品化を行った株式会社コバヤシ精密工業に、都産技研と産学連携で挑んだ開発ストーリーを伺いました。
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2020年7月29日~31日に、インテックス大阪で開催された「メンテナンス・レジリエンスOSAKA 2020」は、コロナ禍という社会情勢にも関わらず1万人を超える方々が来場しました。本展示会は、工場設備の維持管理・保全技術を対象にし、プラント、インフラをはじめ、ロボットや労働安全など幅広い内容で構成されています。今回は、鉄筋の結束ロボットなどプラントやインフラ現場での活用が期待される技術や衛星システムに頼らないドローンなどの技術についてご紹介します。
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中小企業単独での製品開発は、専門性や設備面、費用面で限界があるなか、東京都立産業技術研究センター(都産技研)は、中小企業と研究開発や試験分析を共同で行うなど、設計や開発をバックアップしてきました。今回は、都産技研が行う航空機産業に携わる中小企業支援の取り組みにフォーカスをあて、その背景や支援事例を伺います。また、コロナ禍において人の移動が制限され航空機産業に逆風が吹くなか、中小製造業が生き残るヒントもお聞きしました。
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何十年もの間、その道一筋を貫く中で生み出された中小製造業のニッチな技術。このニッチな技術と最先端の研究シーズが出会ったらどんな相乗効果が起きるのでしょうか。今回は、細くしなやかな銅線をつくる随一の技術をもつ「中小製造業」と、超伝導線の研究を行っている「研究機関」がタックを組んで、長い間実現することが難しいとされた「超極細」超伝導ワイヤーの開発ストーリーを伺いました。
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昨今のコロナ禍を背景に空気環境の改善に対するニーズが高まっています。殺菌力が高い紫外線を利用した室内空調装置は市販されていますが、「人がいる空間」では利用が難しかったといいます。今回は、「人がいる空間」でも設置でき、ランニングコストを抑えながら浮遊菌を減少できる紫外線照射技術を開発したエネフォレスト株式会社に、商品開発に至る想いとコロナ時代における空気改善に関する意識改革について伺いました。
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日本農家の深刻な人手不足問題を解決すべく、農林水産省は「農業界と経済界の連携による生産性向上モデル農業確立実証事業」を推進し、2016年から2020年にかけて「スマート農業」関係の約60個のプロジェクトを採択し支援しています。今回は、先端農業連携機構で代表を務める株式会社クニエに、同事業に採択された「スマート農業」事例を2つ紹介すると共に、農業と先端技術を組み合わせる際の難しさやコツについてお伺いしました。
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生活に欠かすことのできない電気は、利用するまで幾度となく電力変換が行われています。ところが、この電力変換時における電力損失は、全発電量の10%超を占めることをご存知でしょうか。電力損失を低減させる半導体素子として「パワーデバイス」が注目されており、様々な次世代材料が開発されています。今回は、独自の結晶成長技術により低損失化と低コストを両立した「コランダム構造酸化ガリウム」の開発ストーリーをご紹介します。
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化石燃料を使わず発電時にCO2を排出しない太陽光発電は、循環型エネルギーとして注目されています。この太陽光発電の課題は、ソーラーパネルの「汚れ」による発電効率の低下。日本と比べあまり雨が降らず、膨大な数のパネルを人力で掃除していた中東に、砂漠環境に最適化した掃除機構を有する掃除ロボットを提案した未来機械。今回は、未来機械に前例がなかったソーラーパネル掃除ロボットの開発ストーリーを伺いました。
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少子高齢化が進む日本で製造業が生き残るために、製造現場の自動化は必要不可欠といえます。そのなかで活用の機会が増えている産業用ロボットは、予めプログラムを教え込む「ティーチング」作業の負荷が大きく、決められた作業の繰返しとなる工場等での利用がメインでした。今回は、ロボットに「目」と「脳」を与え「考えさせる」技術で、様々な労働環境での生産性向上を実現するMUJINに、工場・物流倉庫内作業の自動化技術とその成功の要因について伺いました。
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電子顕微鏡や表面分析装置、金属3Dプリンター・・・先端的なものづくり現場で使用される装置ですが、共通するパーツは何だかご存知でしょうか?その答えは、電子源。電子線の放出源となる、なくてはならないパーツです。今回は、電子源の中でも世界に数社しかないといわれる金属単結晶を使用した電子源を製造し、米国オレゴン州に拠点を置くApplied Physics Technologies, Inc.(APTech)の製品とその技術力について迫ります。
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緊急事態宣言と自粛要請により、日本の新型コロナウイルス新規感染者数はいったんは押さえ込まれた。だが宣言を解除し、経済活動が再開され、人々が以前と同じ行動様式に戻ると、大都市を中心に感染が再び広がり始めたようだ。今後は経済活動を止めることなく、コロナウイルスと共生する社会への転換が急がれるが、そのためにも、人間とウイルスの関係性、特に社会のあり方や人々の行動様式が感染症拡大に及ぼす影響のメカニズムとの関係をよく理解する必要がある。
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『大人の科学マガジン』の付録は、大人に知る楽しさを与える、すなわち夢を与えてくれる付録が次々と形になるまで、その裏では試作と失敗の連続です。今回も引き続き、大人の科学マガジン統括編集長で科学創造研究所所長の西村俊之氏に、2020年に発売されたトイ・レコードメーカーの設計から製造現場までの試行錯誤ストーリーと、大人向け付録製作に対するこだわりについて伺いました。
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小学生の頃、学研が各学年向けに発行していた付録付き雑誌『科学』『学習』を読んだことがある方もいらっしゃると思います。その学研が大人向けに刊行している科学実験雑誌『大人の科学マガジン』でも、斬新性と独自性が詰まった「付録」が人気です。今回は、大ヒット付録「プラネタリウム」、「テルミン」等が誕生するまでの苦労やこだわりについて、大人の科学マガジン統括編集長で科学創造研究所所長の西村俊之氏にお話を伺いました。
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産業の空洞化だけでなく、地域医療の存続も課題となっています。高度な技術を要する外科手術では、構造が複雑かつ独特な質感の臓器を扱うため、経験に頼る部分が大きいものでした。こうした経験不足を埋め若手医師や研修医の技術を高めるため、地場の中小企業2社と地域医療機関が手を組み、安価、かつ精巧な臓器模型を製作する取り組みが始まっています。今回は、引き続き伊那市で進められている共同開発プロジェクトについてご紹介します。