材料・加工方法の選定など、多くの知識や経験が必要となる試作開発。材料・加工・計測解析などの基本知識に加え、発注時に注意したいポイント、さまざまな加工技術の紹介など、試作開発に関わるTIPSを集めました。
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樹脂部品を生産する際、数百個といった単位で量産するため射出成形という製造方法が使われます。射出成形は、金型を製造する必要があるために初期コストはかかりますが、製品1個あたりの単価を大きく下げることができます。そのためよい量産品を成形するためには、製品設計者自身が金型側の事情をある程度理解しつつ、製品設計にそれを反映させて検討する必要があります。今回は、量産を意識した製品設計において気を付ける点、「抜き勾配」「肉厚」「角R」について解説します。
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AIチップとは、例えば自動運転において自転車や歩行者など色んな物体を学習し、学習したデータから特定の物体を推定するような、機械学習やディープラーニングを行う仕組みを持つ半導体チップです。一方で、センサー端末から集めたデータをクラウドなどに上げてデータ収集・管理・保存・解析などを行い、欲しい情報に変換するIoTシステムでも多くの半導体チップが使われています。今回は、AIチップの仕組みやその市場動向に触れつつ、IoTシステムにおける半導体チップの役割についてご紹介します。
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陸上に住む私たちが当たり前に使っているスマートフォンやWi-Fiなどは電波通信技術によって支えられています。一方、陸上とは違う水中ではどんな通信技術が使われているでしょうか。従来水中における通信技術は、「音響」が一般的でしたが、長距離通信ができる反面、浅い海では通信速度が低いという課題があります。今回は、水中通信技術に注目し、従来の「音響通信」、最近研究が進んでいる「可視光通信」、「電波通信」のメリットとデメリットについて触れつつ、期待される「電波通信」の利用例について、情報通信研究機構(NICT)の滝沢賢一氏にお話を伺いました。
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人体を貫通するX線の透過量データを数式処理し、体の断面画像を再構成するX線検査。病気の発見や治療に役立てた一方、強い直進力を持つX線を人体に当てると被爆するという課題があります。人体に影響の少ない、直線より弱い「波」を使って人体内部検査に利用したいところですが、そのためには応用数学上の未解決問題「散乱の逆問題」を解かなくてはなりません。今回は、この問題の解決がもたらす「見える化」の可能性に注目し、株式会社Integral Geometry Scienceの創業者であり、神戸大学大学院理学研究科教授の木村建次郎氏に、「散乱の逆問題」を解決した方法について数式を用いず、わかりやすく說明して頂きました。
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EV(電気自動車)に必要な電気は、車を動かす電気だけではありません。走行の次に大きなものが、カーエアコンです。そのためEVの航続距離をのばす一つの取り組みとして、カーエアコンの消費電力をいかに減らすかが重要になってきます。前編に引き続き、株式会社デンソーの「ヒートポンプ式省エネエアコン」を担当しているエンジニアに、同カーエアコンが省エネなる仕組みと、EV内の熱エネルギーを有効利用する車両トータルの「熱マネジメント」についてお話を伺いました。
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日本のEV(電気自動車)普及率は0.7%(2020年7月時点)にとどまっており、消費者がEV購入をためらう理由の一つとして、内燃機関(エンジン)車に比べて半分程度の航続距離があげられます。この課題を解決すべく大容量バッテリー開発が進む一方、「省エネ」への取り組みも重要になってきます。今回は、EVにおけるカーエアコン(冷暖房)の省エネに注目し、株式会社デンソーの「ヒートポンプ式省エネエアコン」を担当しているエンジニアに、内燃機関(エンジン)車」と「EV」の冷暖房効率の違いや同カーエアコンを開発した経緯について話を伺いました。
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前回に引き続き、WSTS(世界半導体市場統計)が定義する分類に基づいた、半導体製品の種類とその役割について紹介します。今回は、IC(集積回路)に含まれない非IC半導体製品に注目し、パワートランジスタや小信号トランジスタに代表される「個別半導体」、MEMSが大部分を占める「センサ」、受光・発光ダイオードやレーザーなどの「オプトエレクトロニクス」について解説します。
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『TOKYOオリンピック物語』の著者、野地秩嘉氏の連載第17回は、引き続きアシックスからオリンピック/パラリンピックのオフィシャルスポーツウエアを紹介します。同社はスポーツウエアについて通気性を担保しながら保温力を高めるなど「矛盾をひとつひとつ解決していくのがスポーツ用品の基本的なモノ作りの考え方」だといいます。今回は、ポディウムジャケット開発ストーリーに加え、1964年当時中学バスケット部員として聖火ランナーの随走者だった同社尾山代表取締役会長CEOに創業者から引き継がれているスポーツ製品開発の考え方を伺いました。
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市場にはおびただしい数の半導体製品が流通しています。その多種多様な半導体製品を分類する一つの指標として、統計データに基づいてWSTS(世界半導体市場統計)が定義する分類があります。今回から2回にわたり、このWSTSの半導体製品分類に基づいた、半導体製品の種類とその役割について紹介します。1回目は、WSTSによる半導体製品の分類と市場規模を解説とともに、IC(集積回路)に該当する半導体製品に注目し、「マイクロ」、「ロジック」、「アナログ」、「メモリ」について解説します。
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『TOKYOオリンピック物語』の著者、野地秩嘉氏の連載第16回は、引き続きアシックスからオリンピック/パラリンピックのオフィシャルスポーツウエアを紹介します。スポーツウエアに革新をもたらした「新合繊」というポリエステル繊維。以前は木綿の下着、ウールの上着を着て汗をかいたまま体が冷え風邪をひく恐れがあったようですが、通気性と保温性を両立した新合繊の使用で風邪を引く選手は少なくなったといいます。今回は、スポーツウエアの発展と共にした機能性繊維や特殊な競技ウエアの登場、その変遷についてお話を伺いました。
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半導体製造の前工程では、回路パターンに沿って絶縁膜や半導体を削ったり、堆積させたりするためにリソグラフィ技術が使われており、半導体製造装置と検査装置を提供する米国や日本企業が高いシェアを示しています。一方で、かつて前工程より注目度が低かった後工程でも、技術の発展と分業化が進み台湾、中国系の企業が優位を示しています。今回は、前工程と後工程を簡単に解説しながら、各工程で高い市場占有率(シェア)を占めている企業らの最新動向をご紹介します。
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半導体は今や100億個のトランジスタを集積する時代になり、もはやこの複雑な一連の設計作業は人手に負えなくなった背景のもと、半導体を自動設計するためのソフトウェアを提供する「EDAツールベンダー」が登場しました。また、こうした設計専門会社が生まれたことで、半導体製造専門の「ファウンドリ」が誕生します。今回は、「EDAツールベンダー」が台頭した背景やその成長戦略、台湾の「ファウンドリ」事業が日本を逆転するまで強くなった理由をご紹介します。
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『TOKYOオリンピック物語』の著者、野地秩嘉氏の連載第12回は、引き続きブリヂストンのバリアレス縁石を紹介します。縁石開発は、これまで同社が培ってきたタイヤ開発の知見が根本にあるというブリヂストン。運転手ストレスの軽減と、乗客の乗降時間短縮を両立するバリアレス縁石は、どのようにして開発され、どのような工夫がされているのでしょうか。今回は、ブリヂストンの研究施設プルービンググラウンドだけでなく、奇しくも同じ日に普通のバスでも乗り降りを行った野地氏が、技術レガシーとなりうると感じた「バリアレス縁石」の顧客提供価値に迫ります。
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2020年9月14日、ソフトバンクグループ(以下SBG)は、半導体CPUコアベンダーのArmを400億ドルでNVIDIAに売却することで合意したと発表しました。モバイル機器のCPUコアで採用が進むArmに対しIoT端末のCPUとして有望であることから3兆円以上の投資を惜しまなかったSBGが約4年でArmを手放した理由、更にArmを手に入れたNVIDAが目指すことはなんでしょうか。この買収劇の背景を連載「半導体入門講座」の著者津田建二氏がArm、SBG、NVIDIAのそれぞれの視点で探っていきます。
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軟骨やクラゲなど自然界のゲル(gel)を、人工的に完全に再現できるまでには至りませんが、ある物性だけに特化すれば人工的なゲルの方が自然界のゲルより性能が高いといいます。例えば構造を最適化すれば軟骨を超える強度を持つゲルを人工的に作ることはできるそうです。今回は、引き続き北海道大学のグン・チェンピン教授と中島祐准教授にゲルの作り方を説明頂きつつ、研究テーマである高強度ダブルネットワークゲルの開発経緯などについて伺いました。
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今まで見ることのできなかった対象や現象を「見る」ことで理解が進んだり、新しい応用分野、産業が拓けていくことも多くあります。この見える化を可能とするキーテクノロジーが「センサー」です。今回は、このセンサーに注目し、医療向けCTスキャンやX線イメージング技術などの最新センサー技術を解説します。更にセンサーのさらなる社会実装のため乗り越えるべき課題を押さえたうえで、見える化で独自の技術をもつベンチャー企業についてもご紹介します。
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半導体は“産業のコメ”とも呼ばれ、日本に始まって、世界中の経済を支えてきました。複雑な工程が必要とする高集積半導体ICですが、1960年代くらいまでは半導体メーカー1社がほぼ設計から製造まですべての工程を担ってきましたが、1970年代から分業化が進み、現在の「デザインハウス」、「ファブレス」、「ファウンドリ」などの分業体制が確立します。今回は、半導体産業の業界構造の変遷に注目し、日本企業が半導体ビジネスで没落した理由を詳しくご紹介します。
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アルミニウム材料は様々な形状に加工できる特徴を活かし、薄いアルミホイルから、アルミサッシのようなものから大きな部材まで存在し、建築材料、自動車、産業機械、飛行機などで用いられています。アルミニウムの加工方法には、圧延、鋳造、ダイカスト、鍛造、押出などいくつもの種類がありますが、希望の断面形状に加工できるのが押出加工です。今回は、アルミニウム製品の製造メーカーである、日軽金アクト株式会社の谷津倉政仁氏に、押出加工の基礎知識や輸送機器などの利用事例についてお伺いしました。
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人類が道具を使い始めた頃にさかのぼるとされる接着・接合技術。原油に含まれる天然のアスファルトからニカワ、漆などまで古くから接着に用いられる材料は多数ありますが、接着のメカニズム自体は、現在においても十分に解明されてはいないそうです。今回は、接着・接合技術の基本的な原理を解説しながら、軽量化、小型化、コスト低減の要求に応えることが期待される通電接合や、難接着材料をくっつけるための表面改質に注目し、接着・接合で独自の技術をもつベンチャー企業についてご紹介します。
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車やスマートフォン、ドローンといった様々な「最終製品」は技術進歩が非常に早い分野です。これらの分野における技術進歩のカギは、バッテリーやセンサーなど各種の部品であり、その部品を構成する材料が着目した「材料開発」が活発に行われています。今回は、材料開発が活発に行われる理由(企業側のモチベーション(動機))に加え、同分野で注目を集めるマテリアルズ・インフォマティクス(MI)の取組みやそれに関わる計算手法を解説しながら、独自の材料開発技術をもつベンチャー企業をご紹介いたします。