材料・加工方法の選定など、多くの知識や経験が必要となる試作開発。材料・加工・計測解析などの基本知識に加え、発注時に注意したいポイント、さまざまな加工技術の紹介など、試作開発に関わるTIPSを集めました。
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国際標準化機構という機関が定める規格に「ISO規格」があります。国際間取引が多分野で増えてきている近年では、ISO規格の重要性は年々高くなっている状況です。また、企業によってはISO規格を取得していないと国内間であっても取引を行うことが難しいなど、国際的な基準に合わせた方針で取引を進めているところも増えてきています。今回は、ISO規格とはそもそもどんな規格でどんなメリット・デメリットがあるのか、そして取得するにはどうすればいいのかを解説します。今後、他国との取引や、他国と取引している企業との取引を検討されている方はぜひ参考にしてください。
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あらゆる商品・サービスが新たに開発されていく現代において、もし商品同士の互換性などに対する規格がなかったらどうなるでしょうか?電池のサイズが会社ごとで微妙に違う、充電器の差込口は専用のしか使えない、北海道の信号は赤で止まれだけど東京は青が止まれになっている。こんな状況が普通に起こっているかもしれません。こういった問題が発生しないように制定されたものが「JIS規格」です。今回は、JIS規格の詳細と重要性について解説します。JIS規格がなぜ必要なのか、どんなものにJIS規格は適応されているのかを知りたい方はぜひ参考にしてください。
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超音波霧化分離とは、混合溶液に超音波を照射して霧化し、物質を分離・精製・濃縮する技術です。徳島県鳴門市に拠点を構えるスタートアップ「ナノミストテクノロジーズ」は、「超音波霧化分離」を用いた独自装置を用いて、従来の化学プロセスで利用されてきた蒸発・蒸留法に比べ使用エネルギーを3〜7割、CO2排出量を4〜8割削減したと発表しました。今回は、化学産業のCO2排出量削減に期待される「超音波霧化分離」の装置開発を行うナノミストテクノロジーズ株式会社代表取締役社長の松浦一雄氏に、超音波霧化分離の原理や概要、同技術の適用事例についてお伺いしました。
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「黒の中の黒」を追求する研究開発を紹介する本連載。後編では、「究極の黒」を身近にするプラスチック製品への「反射防止構造体」成形転写技術の可能性に注目します。金型の表面に微細な形状を施し、転写することで、光を外に出さずに閉じ込め、反射を限りなく抑えることができるという同技術。後編では、引き続き大塚テクノの佐藤氏に、二次加工を必要としない「反射防止構造体」成形転写技術の特徴や用途開発展望についてお伺いします。
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「究極の黒」といえば、入射した可視光の99.965%を吸収する「ベンタブラック」や、2019年に米国のマサチューセッツ工科大学(MIT)より発表された99.995%カーボンナノチューブが有名です。一方で、医療、精密電子分野を中心に合成樹脂製品の製造・販売を行う大塚テクノ(徳島県鳴門市)がプラスチック製品の可視光吸収率約99.8%を実現する「反射防止構造体」の成形転写技術を開発したことをご存知でしょうか。今回は、「黒の中の黒」を追求する研究開発に注目し、2回にわたって「反射防止構造体」の成形転写技術を開発した大塚テクノへお話を伺いしました。前編では、「反射防止構造体」開発経緯や低反射率を実現する原理、「究極の黒」にしのぎを削る研究開発状況についてご紹介します。
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水密溶接とは気密溶接の一種です。液体を密閉し、圧力がかかっても液体が外に漏れ出さないようにする溶接技術で、「ウォータータイト(WT)」と呼ばれることもあります。配管類やトンネル、貯水タンク、運河、水路など生活のさまざまなシーンで活用されており、流体の種類も水以外に油や薬品、調味料などさまざまだと言います。今回は、神奈川県で水密溶接を使ってさまざまな冷却水循環装置などを製作している、第五電子工業に溶接方法や溶接時の注意点など伺いました。
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ガス軟窒化処理とは、熱処理による表面加工の一種です。金属の表面にある鉄(Fe)に窒素(N)を化合して、硬度のある薄いFe2-3Nの層を生成することで、金属の摩耗を軽減することを主な目的としています。ガス浸炭焼入や真空焼入、高周波焼入などの熱処理は、金属組織を変化させ硬化させるため変形が起こりやすいというデメリットがありますが、ガス軟窒化処理は、金属の変形がほとんどないと言います。今回は、さまざまな金属の熱処理に関わる加工をトータル的にサポートしている、埼玉県にある有限会社中村熱処理工業所にガス軟窒化処理の方法やメリットなどについてお話を伺いました。
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再生可能エネルギーの中で大きな割合を占めている太陽エネルギーに注目し、日本太陽エネルギー学会の監修により基礎解説をしていく本連載。第8回目は、バイオマスについてです。バイオマスとは、元々は生態学の分野で用いられていた言葉であり、光合成生物が太陽光を受けて生産した物質とそれらを利用する従属栄養生物がつくり出す生物体の量を指します。再生可能エネルギー社会に向けたバイオマスが注目されていますが、バイオマスのエネルギー利用には地域に賦存するバイオマスの種類に応じ、またその地域のエネルギー需要に適した方法で利用する「適材・適地・適法」といった考え方が必要です。今回は、バイオマスの定義や種類、利用形態について解説します。
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最も古い金属加工法のひとつ「鍛造」。発電タービンローターや原子炉圧力容器などの大型製品や、自動車や電子機器の精密部品など、多種多様な製品が鍛造加工で作られます。鍛造加工法の種類、特徴、適用できる材料とその特性、鍛造加工部品の例など紹介します。
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宇宙開発ビジネス動向を紹介する本連載。後編では、有人宇宙開発で必要とされる閉鎖型生態系による生命維持システムに注目します。閉鎖型生態系による生命維持システムCELSS(Closed Ecological Life Support System)は、宇宙空間に閉鎖型の生態系を人工的に作り出し、理想的にはすべての資源を作り出し、再利用し、コントロールするシステムです。CELSSは宇宙空間での資源リサイクルの取り組みとして国内外で様々な取組みが行われています。後編では、宇宙システム開発代表取締役広崎氏に、閉鎖型生態系による生命維持システムの概要や将来的な有人宇宙開発の展望についてお伺いします。
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宇宙スタートアップは、小型の人工衛星を目標の軌道上まで打ち上げて運用し、サービスを提供するというビジネスモデルです。一方で、彼らのビジネス提供には人工衛星の安定運用を実現するため地上システムが必要です。地上システムとは、大きく、利用・研究システム、ミッション運用システム、追跡管制システムに分かれており、人工衛星の軌道投入までの計画作成、過去や未来の軌道などの計算、人工衛星の観測計画の立案、観測機会検索の最適化などを行うものです。今回は、宇宙開発ビジネス動向に注目し、2回にわたって地上システムや有人宇宙技術などの開発を行う宇宙システム開発株式会社へお話を伺いしました。前編では、地上システムの概要や地上システムのサービス提供を行う会社設立の背景についてご紹介します。
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PCP(Porous Coordination Polymer)は、1997年に京都大学の北川進特別教授により発見された多孔性配位高分子であり、金属イオンと有機分子が三次元的に組み合わせられた分子レベルのジャングルジムのような構造を持ちます。PCPはユニークな構造に起因し有用な性質を持つことが明らかになったことでノーベル賞級の発見と言われるほど注目を浴びましたが、コストダウン及び量産化のめどが立たなかったことから実用化が進まない状況が長らく続いてきました。今回は、PCPの社会実装に注目し、2回にわたって京都大学発スタートアップAtomisへお話を伺いしました。前編では、PCPの概要や量産化に向けた取り組みについてご紹介します。
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ここでは金属加工法の一つである金属3Dプリンターを取り上げます。まず押さえてほしい基礎知識として、原理、使用される金属材料、特徴と課題や活用事例などを解説します。
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さまざまな用途に用いられるプラスチック。ここではプラスチックの加工法のうち、一次加工を終えた後に施す二次加工について、その種類や原理、特徴について解説します。
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ファウンドリ(Foundry)半導体企業は、顧客の設計データに基づいて半導体製造サービスを専門にしている半導体メーカーです。ファウンドリ半導体企業は、半導体企業でありながら自社ブランドの製品は持っていないため、その売り上げは半導体市場と別に算出されているといいます。今回は、市場調査会社TrendForceにおけるファウンドリ企業の2021年第2四半期業績ランキングを参考に、連載第27回で紹介したTOP1のTSMCを除く「Samsung」「UMC」「GlobalFoundries」「SMIC」など4社に注目します。世界の代表的なファウンドリ半導体企業に加え日本企業の状況を把握することで、世界のファウンドリ半導体企業の動向を読み解いていきましょう。
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エアバックや小型高機能計測器、介助用ロボットなど様々なものに利用されるセンサー技術。センサー技術を使った制御技術の応用で困りごとを解決するには、目的に合わせて必要な機能だけを選定する目利きが大切で、この機能ならこのセンサーといった選定をすることでコスト削減につながるといいます。今回は、愛知県豊田市に本社をもち自動車用部品や電子機器の開発・設計・製作などを手掛ける野場電工株式会社に小型で、安価で、性能がいい競争力のある製品を生み出し続ける秘密についてお話を伺いました。
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ナイロンメッシュは目開きが1μm〜数百μmと加工精度が高く、耐久性に富む特徴から様々な分野で利用されています。本記事ではナイロンメッシュの基本とふるい効率を高めるための選定のポイントをご紹介します。株式会社NBCメッシュテックの協力のもと、ナイロンメッシュをはじめとするメッシュのふるい効率を高める技術についても事例を交えてご紹介します。
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Auスタッドバンプとは、いわゆる「金の突起電極」のことで、ICチップの回路の端子と基盤の回路をつなぐためのものです。スタッドバンプには、Auスタッドバンプのほかに、はんだのスタッドバンプなどいくつか種類がありますが、その中でも高い信頼性や精度が求められる製品には、Auスタッドバンプが使われるそうです。今回は、電子部品の製造や検査など半導体の後工程のものづくりを手がける北海道函館市にある函館電子株式会社にAuスタッドバンプがIoTの流れの中で存在感を高めている理由についてお話を伺いました。
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金属加工よりも難易度が高いというセラミックス加工。セラミックスと一口に言っても、硬いものから軟らかいものまで非常に多くの種類があるので、加工する際の条件設定がかなり難しいのが特徴です。加工に使用するダイヤモンド工具も材料に合わせて都度変更する必要があり、加工にはかなりの知識と経験が求められると言います。今回は、佐賀県杵島郡にあるセラミックス加工と金属加工の会社で、電子機器用基盤や機械部品などの製作・加工を行う有限会社武富工業にセラミックス加工の難しさや金属加工への進出についてお話を伺いました。
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ペロブスカイト太陽電池の研究開発ストーリーや特徴などについて、同太陽電池の研究開発を主導した桐蔭横浜大学の特任教授 宮坂力氏にお話を伺う本連載。ペロブスカイト薄膜は、ペロブスカイトの原料液を垂らし、溶液の溶媒が揮発することでペロブスカイトの単結晶ができるというシンプルの製法ですが、研究者個人としての成膜を作る達人の存在が重要になるといいます。後編は、ペロブスカイト太陽電池の構造、製造方法、ペロブスカイト太陽電池の実用化に向けた特性研究、従来のシリコン太陽電池との比較などについてお話を伺いました。