意外と知られていない樹脂(プラスチック)材料。そんな樹脂材料の材料特性から加工技術をふくむ、樹脂加工に関する記事を集めました。
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2022年1月26~28日の3日間、東京ビッグサイトにて「nano tech 2022 国際ナノテクノロジー 総合展・技術会議」(オンライン展示は2021年11月26日~2022年2月28日)が開催されました。カーボンニュートラルや次世代の半導体など、新たな時代を牽引しうる存在として期待されるナノテクノロジーやそうした素材を扱う企業が一堂に会し、素材の管理や観察、加工の技術などさまざまな展示が行われていました。今回は、グラフェンでできた不燃性バッテリー、DELL複合加工技術、プロペラレスな自転・公転方式ミキサーに加え、既存事業で培ったゴム成形や設計技術を活かした白血球捕捉チップの展示内容を紹介します。
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「黒の中の黒」を追求する研究開発を紹介する本連載。後編では、「究極の黒」を身近にするプラスチック製品への「反射防止構造体」成形転写技術の可能性に注目します。金型の表面に微細な形状を施し、転写することで、光を外に出さずに閉じ込め、反射を限りなく抑えることができるという同技術。後編では、引き続き大塚テクノの佐藤氏に、二次加工を必要としない「反射防止構造体」成形転写技術の特徴や用途開発展望についてお伺いします。
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「究極の黒」といえば、入射した可視光の99.965%を吸収する「ベンタブラック」や、2019年に米国のマサチューセッツ工科大学(MIT)より発表された99.995%カーボンナノチューブが有名です。一方で、医療、精密電子分野を中心に合成樹脂製品の製造・販売を行う大塚テクノ(徳島県鳴門市)がプラスチック製品の可視光吸収率約99.8%を実現する「反射防止構造体」の成形転写技術を開発したことをご存知でしょうか。今回は、「黒の中の黒」を追求する研究開発に注目し、2回にわたって「反射防止構造体」の成形転写技術を開発した大塚テクノへお話を伺いしました。前編では、「反射防止構造体」開発経緯や低反射率を実現する原理、「究極の黒」にしのぎを削る研究開発状況についてご紹介します。
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さまざまな用途に用いられるプラスチック。ここではプラスチックの加工法のうち、一次加工を終えた後に施す二次加工について、その種類や原理、特徴について解説します。
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周囲が山に囲まれており、アクセスが良いとは言えないため、一般的に見れば商売をするには不利な環境といえる中山間地域。入ってくる情報自体は少ないですが、少ないがゆえに選別もしやすいなど、物理的な不便さが逆に強みになっていると言います。今回は、プラスチックをはじめ、アルミダイキャストやウレタンなど金型設計、開発、および製造を手掛ける岡山県真庭市にある、山陽精機株式会社になぜ金型生産・供給のグローバルネットワークを構築できたのかお話を伺いました。
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ゴムの成形を行う場合、通常は製品の金型が必要です。しかし切削加工でゴムの成形を行う場合、ゴムブロックを直接削るため金型は必要がなく、金型を製作する工程がなくなるため、その分の納期の短縮とコストダウンを実現することができるそうです。今回は、約50種類のゴムから製品に合わせた材料を選び、半導体装置メーカーから造船や発電プラントまで幅広い業界の製品を製造している、長崎県西彼杵郡にある有限会社津野田ゴム加工所に得意とするゴム切削加工の強みや長所についてお話を伺いました。
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金属や石などの材料を使うよりも軽い、耐久性が高い、コストダウンができるなどたくさんのメリットがあるFRP造形。FRPで造形する際には、発泡スチロールを削って土台を作り、その上に直接ガラス繊維を乗せて樹脂を塗り込んでいく方法で製作することで、型取りをする製法よりも短納期で強度の高いモニュメントの製作が可能だと言います。今回は、FRP造形の会社で顧客の作りたい物とサイズ、予算に合わせて、デザインや設計から提案し、製作、設置まで行う、熊本県天草市にある株式会社アクアマリンまつながにFRPによる造形のメリットや同社のFRP造形の技術についてお話を伺いました。
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樹脂部品を生産する際、数百個といった単位で量産するため射出成形という製造方法が使われます。射出成形は、金型を製造する必要があるために初期コストはかかりますが、製品1個あたりの単価を大きく下げることができます。そのためよい量産品を成形するためには、製品設計者自身が金型側の事情をある程度理解しつつ、製品設計にそれを反映させて検討する必要があります。今回は、量産を意識した製品設計において気を付ける点、「抜き勾配」「肉厚」「角R」について解説します。
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2021年2月18~19日に、京都パルスプラザにて「京都ビジネス交流フェア2021」が開催されました。本展示会は、ものづくり企業や生産性向上、環境・エネルギー関連などのソリューション技術の関連企業のBtoBビジネス交流に特化した展示商談会で、年に1度京都で開催されています。今回は、大学の医学部からの依頼で開発した「再生医療で使用する軟骨片を細断する装置」や、京都のものづくり企業が協力して開発した「買い物かご除菌装置」など京都ならではのものづくり技術についてご紹介します。
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新規事業への参入・投資プロジェクトを検討される企業で参入業界の情報取得・整理・分析が行われている一方で、こと製造業においては通常の調査では得られないような業界関係者や社外有識者の知見・専門情報の獲得が重要ではないのでしょうか?今回は、自動車や電子機器での使用が進むエンジニアリングプラスチック(以下エンプラ)よりも耐熱性などに優れたスーパーエンプラという新素材に注目します。スーパーエンプラのひとつである「PPS樹脂」プラント立ち上げから携わってきた、株式会社スズキ・マテリアル・テクノロジー・アンド・コンサルティング社代表取締役社長 鈴木孝典氏にPPSのメリットや用途、市場についてお話を伺いました。
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2020年9月9~11日に愛知県国際展示場(Aichi Sky Expo)で「第5回 名古屋ものづくりワールド2020」が開催されました。ものづくりワールドは、東京、名古屋、大阪で年に3〜4回開催され、機械部品や工場設備、計測機器などに関係する企業や団体が毎年1,000社以上出展している展示会です。今回は、板バネを使った軸継手(カップリング)のような機械部品や、バリ取りの自動化など金属・樹脂加工時の新しい技術についてご紹介します。
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樹脂で製品を量産する場合、射出成形などで使用する金型が多く使われています。そのため製品設計者であっても、ある程度は金型のことを知る必要があり、金型の形状によってコストアップすることを避けられます。今回は、金型による射出成形において製品設計時に知っておくべき、金型が分割される境目「パーティングライン」と金型から離型できない形状「アンダーカット」について解説します。
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金沢大学設計製造技術研究所でのモノづくり研究開発動向を紹介する連載第6回(最終回)では、引き続き立野大地助教にプレス加工によるCFRPの量産技術の研究開発について伺います。同研究室では、強度を保つために炭素繊維の最適な長さを検討し、金型に入れてプレス加工可能なCFRPの研究開発を行っています。今回は、CFRPの加工における課題をふまえつつ、粘土のように加工の自由度の高いCFRPの作成方法や、金型を使ってCFRPをプレス加工する際の工夫点についてご紹介します。
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未来のモビリティ社会に向けて、環境負荷の低減を目的に自動車の消費ガソリンの削減や電気自動車の航続距離の伸長が重要な課題として議論されています。その中で、自動車の軽量化によってこれらの課題に貢献できるとされている炭素繊維強化プラスチック(CFRP)は、構造部材として実用化に至るケースも見られる一方、コストや量産性といった課題が存在しています。今回は、日立製作所 研究開発グループの近藤研究員に、「動的共有結合樹脂」に注目し生まれた熱硬化性CFRPが持つ二次加工性の特徴や、同材料を用いた自動車の軽量化へ向けた展望についてお伺いしました。
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地域のモノづくり技術を活かし、新たなオープン・イノベーションを模索する金沢大学 設計製造技術研究所でのモノづくり研究開発動向を紹介している本連載。第5回は、熱可塑性CFRP(炭素繊維強化プラスチック)の量産技術に注目し、プレス加工によるCFRPの量産技術を研究している立野大地助教に、CFRPが量産品でなかなか使われない理由に加え、CFRPを金属のように加工するため強度の方向性を均一化する研究内容についてお伺いしました。
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金沢大学設計製造技術研究所でのモノづくり研究開発動向を紹介する連載第2回では、引き続き喜成年泰教授にCFRPについて伺います。同大学では、粘性が高い熱可塑性CFRPの加工性を高める形状としてテープ状のシートに注目し、三次元形状成形が可能な「組紐プレス工法」も開発中です。今回は、組紐プレス工法の特徴をはじめ、組紐技術を用いた熱可塑性樹脂CFRPのバイオミメティクス(生物模倣)応用をご紹介します。
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北陸地域にはかつて繊維関係の企業が多く、繊維機械を製造する機械工業から、部品や工具などを納める工作機械メーカーまで、その要素技術も発達してきました。本連載では地域のモノづくり技術を活かし、新たなオープン・イノベーションを模索する金沢大学設計製造技術研究所でのモノづくり研究開発動向をご紹介します。今回は、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)に注目し、喜成年泰教授にCFRPの用途や成形工法、同研究所が注目する組紐技術を使ったCFRPの可能性についてお伺いしました。
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機械加工を委託する時、どの会社に任せればよいか判断できないと悩んでいる方は少なくないのではないでしょうか。一見、機械加工設備が同じなら、加工品の品質も大きな差がないと思われがちですが、実際はそう単純ではないそうです。今回は、日々見学者が訪れる静岡県の三島・沼津地域の日幸製作所に訪問、工場見学し、最近は医療・宇宙・工業用ロボットなどの新領域にも力を入れる同社が大企業をはじめとするお客様からどのような視点で選ばれているのかを伺ってきました。
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3Dプリンターは、自由自在な形状が実現できることや、従来の工法では複数の部品を組み合わせる必要があったパーツを一体で造形できるなど、さまざまな利点があります。一方で工法として造形物のサイズ制約や造形時間・コストなどの課題が存在し、「限界」もあります。10回にわたって連載してきた「樹脂3Dプリンター入門講座」、最終回では3Dプリンターの「限界」とそれを乗り越えようとする3つの取り組みについてご紹介します。
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樹脂製の製品を考えた際、量産性を高めるに射出成形で用いた金型が有用です。試作の初期段階では金型を意識する必要はありませんが、量産前の設計や試作の段階では製品がどのような金型を使って製造されるのか想定しておきましょう。今回は、金型による射出成形から製品取り出しまでの工程と、そして金型の中で充填される樹脂の通り道の一つであるゲート形状の選び方ついて解説します。