軽量化や形状の自由度の高さなどの特性を生かした素材として各分野での需要が増加している樹脂(プラスチック)。そんな樹脂材料に関する記事を集めました。
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実験中に偶然、高い耐破断性をもつ高強度「ダブルネットワークゲル」を発見以来、どうして強くなるかについて十年近く研究を続けてきた、北海道大学のグン・チェンピン教授の研究室。そこでようやく基本概念が確立して、社会に広く応用してもらえそうな研究成果もでてきたといいます。今回は、引き続き「ダブルネットワークゲル」から発展した研究として、自己修復するゲルや産学連携で進めている人工軟骨材料の研究などをご紹介します。
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軟骨やクラゲなど自然界のゲル(gel)を、人工的に完全に再現できるまでには至りませんが、ある物性だけに特化すれば人工的なゲルの方が自然界のゲルより性能が高いといいます。例えば構造を最適化すれば軟骨を超える強度を持つゲルを人工的に作ることはできるそうです。今回は、引き続き北海道大学のグン・チェンピン教授と中島祐准教授にゲルの作り方を説明頂きつつ、研究テーマである高強度ダブルネットワークゲルの開発経緯などについて伺いました。
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コンタクトレンズや紙おむつ、豆腐、プリンなど我々の生活に密着した物質、ゲル(gel)。このように生活中に使用されているものの、人為的に作ったゲルは自然界のゲルに比べればまだまだ原始的だそうです。本連載では3回にわたり「ゲル(gel)」について、バイオミメティクス(生物模倣)の考え方をベースに様々な特徴をもつゲルをつくり我々の生活に役立てようとする北海道大学 先端生命科学研究院 先端融合科学研究部門のグン・チェンピン教授にご解説頂きます。今回は、研究テーマについて説明して頂く前に、グン先生がどのようにゲルの研究を始めたのかをお伺いしました。
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樹脂で製品を量産する場合、射出成形などで使用する金型が多く使われています。そのため製品設計者であっても、ある程度は金型のことを知る必要があり、金型の形状によってコストアップすることを避けられます。今回は、金型による射出成形において製品設計時に知っておくべき、金型が分割される境目「パーティングライン」と金型から離型できない形状「アンダーカット」について解説します。
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金沢大学設計製造技術研究所でのモノづくり研究開発動向を紹介する連載第6回(最終回)では、引き続き立野大地助教にプレス加工によるCFRPの量産技術の研究開発について伺います。同研究室では、強度を保つために炭素繊維の最適な長さを検討し、金型に入れてプレス加工可能なCFRPの研究開発を行っています。今回は、CFRPの加工における課題をふまえつつ、粘土のように加工の自由度の高いCFRPの作成方法や、金型を使ってCFRPをプレス加工する際の工夫点についてご紹介します。
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未来のモビリティ社会に向けて、環境負荷の低減を目的に自動車の消費ガソリンの削減や電気自動車の航続距離の伸長が重要な課題として議論されています。その中で、自動車の軽量化によってこれらの課題に貢献できるとされている炭素繊維強化プラスチック(CFRP)は、構造部材として実用化に至るケースも見られる一方、コストや量産性といった課題が存在しています。今回は、日立製作所 研究開発グループの近藤研究員に、「動的共有結合樹脂」に注目し生まれた熱硬化性CFRPが持つ二次加工性の特徴や、同材料を用いた自動車の軽量化へ向けた展望についてお伺いしました。
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地域のモノづくり技術を活かし、新たなオープン・イノベーションを模索する金沢大学 設計製造技術研究所でのモノづくり研究開発動向を紹介している本連載。第5回は、熱可塑性CFRP(炭素繊維強化プラスチック)の量産技術に注目し、プレス加工によるCFRPの量産技術を研究している立野大地助教に、CFRPが量産品でなかなか使われない理由に加え、CFRPを金属のように加工するため強度の方向性を均一化する研究内容についてお伺いしました。
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金沢大学設計製造技術研究所でのモノづくり研究開発動向を紹介する連載第2回では、引き続き喜成年泰教授にCFRPについて伺います。同大学では、粘性が高い熱可塑性CFRPの加工性を高める形状としてテープ状のシートに注目し、三次元形状成形が可能な「組紐プレス工法」も開発中です。今回は、組紐プレス工法の特徴をはじめ、組紐技術を用いた熱可塑性樹脂CFRPのバイオミメティクス(生物模倣)応用をご紹介します。
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北陸地域にはかつて繊維関係の企業が多く、繊維機械を製造する機械工業から、部品や工具などを納める工作機械メーカーまで、その要素技術も発達してきました。本連載では地域のモノづくり技術を活かし、新たなオープン・イノベーションを模索する金沢大学設計製造技術研究所でのモノづくり研究開発動向をご紹介します。今回は、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)に注目し、喜成年泰教授にCFRPの用途や成形工法、同研究所が注目する組紐技術を使ったCFRPの可能性についてお伺いしました。
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3Dプリンターは、自由自在な形状が実現できることや、従来の工法では複数の部品を組み合わせる必要があったパーツを一体で造形できるなど、さまざまな利点があります。一方で工法として造形物のサイズ制約や造形時間・コストなどの課題が存在し、「限界」もあります。10回にわたって連載してきた「樹脂3Dプリンター入門講座」、最終回では3Dプリンターの「限界」とそれを乗り越えようとする3つの取り組みについてご紹介します。
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樹脂製の製品を考えた際、量産性を高めるに射出成形で用いた金型が有用です。試作の初期段階では金型を意識する必要はありませんが、量産前の設計や試作の段階では製品がどのような金型を使って製造されるのか想定しておきましょう。今回は、金型による射出成形から製品取り出しまでの工程と、そして金型の中で充填される樹脂の通り道の一つであるゲート形状の選び方ついて解説します。
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3Dプリンターの世界では装置だけでなく、3Dプリンターで使う材料も日々、進化を続けています。装置により使われる材料のバリエーションは異なりますが、廉価な装置でも使用可能な材料が増えているだけなく、造形の難しさを解消する新材料も開発されています。今回は、FDM(熱溶解積層)と粉末焼結積層造形における3Dプリンター向け新材料について、様々な材料メーカーの開発動向をご紹介していきます。
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3Dプリンターで樹脂造形品を作る時、どのような材料を選べばよいのでしょうか。材料の選定は3Dプリンターの機種で決まる部分もありますが、各材料の特徴や用途を知っておけば、作る目的に最適な材料を選ぶことができます。今回は、PLA、ABS樹脂等の汎用プラスチックやPC、ポリアミド(ナイロン樹脂)のエンジニアリングプラスチックなどの材料の特徴と用途についてご紹介します。
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これまでの連載では、3Dプリンターの代表的な造形手法を紹介してきましたが、その他にも、汎用的な3Dプリンターとしては一般的ではないものの、特徴のある造形手法があります。今回は、シート積層法、DLS、ペレット溶解積層方式、SHSといった4つの造形手法に注目し、概要や特徴、利点など他の手法と比較しながら解説していきます。
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FDM(熱溶解積層)、光造形(SLA、DLP)、粉末焼結積層造形など、樹脂3Dプリンターの主な造形手法では、単色(1色)の造形物が得られます。しかし、一つのパーツでも面ごとに色を変えたり、マーブル模様といった出力ができる機種も存在し、試作の時点でカラーの検討が可能になるだけでなく3Dプリンターのボクセルデータ対応と合わさることで、用途が拡大しています。今回は、フルカラーの造形物が作れる3Dプリンターについて紹介します。
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2020年2月5~6日に、名古屋市の吹上ホールにて「第9回 次世代ものづくり基盤技術産業展 TECH Biz EXPO」が開催されました。次世代産業の基盤技術を中心に既存産業、産学官連携などとの融合を目指した本展示会では、主に自動車産業に関する基盤技術、素材技術、製造加工技術などが多く展示されていました。今回は、その中から炭素繊維と表面処理の技術に注目し、「炭素繊維のリサイクル技術」、「小型化に成功したASP窒化処理」、「炭素繊維の低価格化への試み」の3つをご紹介します。
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一部の3Dプリンターでは使用される素材から排出される物質に対し、安全性を懸念する声もあります。しかし近年、その安全性を考慮した3Dプリンターが登場したことをご存知でしょうか?今回は、安全性や後処理の簡素化、更にはセキュリティ面などの「これまでの3Dプリンターの課題を解決する」と謳う3Dプリンターを製造している米ボストンのメーカー、RIZE(ライズ)CEOのAndy Kalambi氏にその特徴とSmart Spacesコンセプトについてお話を伺いました。
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2020年から日本国内のサービス開始が予定される次世代通信規格「5G」。低遅延や高速・大容量、IoT機器の同時接続や省電力、低コストなどが特徴ですが、5G化で需要が高まる分野は、例えば製造業・ものづくり分野ではいったい何でしょうか。この記事では、取り上げた最新技術キーワードをAI予測サービスに分析させます。さらに、分析結果を改めて編集部が意味づけ・解釈する新たなアプローチによって、今後需要が高まっていく研究分野・事業を可視化していきます。
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3Dプリンターの造形手法「粉末焼結積層造形」は、他の造形手法とは異なりサポート材が不要であり、さらに強度と耐久性に優れるという特徴を持ちます。本手法は、金属造形で良く知られていますが、樹脂造形の方が先に誕生しています。今回は、樹脂の粉末焼結積層造形法に注目し、そのなかでも選択的レーザー焼結法(SLS)の開発経緯や造形原理についてご紹介します。
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3Dプリンターの4つの主な造形手法の中で、最も古く開発されたといわれている光造形法(SLA、DLP)。光造形法3Dプリンターは、スピーディになめらかな面を作ることができる特徴を持ち、試作向け造形機として用いられてきました。今回は、その光造形法3Dプリンター開発の歴史に加え、各々の光造形法の原理について詳しく解説していきます。