多くの製品化には欠かせない材料・加工・計測解析などの技術情報について、企業で研究・開発に従事される方や加工技術をサービス提供する企業の専門家など、各分野で活躍されている方にお話をお伺いしました。
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人工流れ星は、宇宙空間にある直径1mmから数cm程度のチリの粒が地球の大気圏に突入、衝突して気化し、大気の成分と混ざり合って光を放つ現象である流星を人工的に再現するものです。太古の昔より人々を魅了するこの流星群が、決まった日にち、決まった場所に降らせることができたらどうでしょうか。今回は、この人工流れ星で宇宙ビジネスに参入しようとしている株式会社ALEのチーフエンジニア蒲池康氏に、同社が取り組んでいる人工流れ星の宇宙空間への放出技術や安全性の取り組みについてお話を伺いました。
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一般的な抗菌塗装で使用する抗菌・防カビ塗料は、塗料中に抗菌剤を混ぜ合わせた製品がほとんどです。塗装の際にはハケ・ローラー塗りや、簡易なスプレーで塗布することが多く、アルコールの入った除菌剤や薬品洗浄にも弱く、洗浄後は抗菌剤が除去されてしまうなどの問題点があります。しかし、塗膜表面にのみナノ分散・固着させる「塗膜一体化技術」であれば、アルコールで拭いても抗菌剤微粒子が剥落することがないと言います。今回は、愛知県江南市にある、塗装業を中心に、改修・修繕工事などを行う株式会社ペイントサービスに独自の抗菌塗装や、研究開発に関するお話を伺いました。
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複数工程の加工を1台で終わらせることができる同時5軸複合旋盤装置。同時5軸複合旋盤装置を導入することで、汎用機を使い、人の手で3日かけて行っていた作業を1〜2日の納期短縮ができ、製品の精度にばらつきが出ないと言います。また、同時5軸複合旋盤装置は、量産にも向いているので、受注できる製品の幅も広がったそうです。今回は、北海道旭川市にある農業用器具やベルトコンベアの設計から製造、据え付け、メンテナンスまでを一貫して行っている三榮機械株式会社に加工技術やものづくりへの思いについてお話を伺いました。
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脱炭素社会の実現に向けて「水素エネルギー」の活用に注目し、産学官からの水素エネルギーに関する取り組みを紹介していく本連載。第3回目は、水素エネルギー普及に向けたサプライチェーンを構築しようとしている「産(民間企業)」に注目します。今回は、世界と日本の水素エネルギー活用に向けた動きを紹介した後、2010年から水素インフラの確立を目指し技術開発を進めている川崎重工業株式会社の水素戦略本部副本部長の西村元彦氏に、同社が水素に注目した理由と、水素サプライチェーン構築への取り組みについてお話を伺いました。
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脱炭素社会の実現に向けて「水素エネルギー」の活用に注目し、産学官からの水素エネルギーに関する取り組みを紹介していく本連載。第2回目は、2009年に全国に先駆けて2050年までのCO₂排出量を実質ゼロにする「ゼロカーボンシティ」を表明し、山梨大学を中心に水素・燃料電池の研究開発を行っているた山梨県に注目します。今回は、山梨大学 燃料電池ナノ材料研究センターに、太陽光発電による電力で水素を製造し貯蔵するシステム、燃料電池の低コスト化に資する材料開発など、産学官連携による取り組み事例についてお話を伺いました。
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二酸化炭素の排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルの実現に向け、世界各国で「脱炭素化」の政策が発表され、さまざまな取り組みが進んでいます。そんな中、脱炭素化の切り札とも言われ、近年改めて注目を集めているのが水素からエネルギーを取り出す、水素エネルギーの活用です。本連載では、この「水素エネルギー」に注目し、産学官からの水素エネルギーに関する取り組みについてご紹介していきます。連載第1回目は、序章として、40年以上前から水素エネルギーの研究開発をしている山梨大学に、水素エネルギーと燃料電池、燃料電池自動車(FCV)について解説して頂きます。
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金属部品の製造は、業界が違うとそれぞれに求められる品質や条件なども変わるため、豊富な知識と経験が必要となります。お客様が求める以上には手をかけず、求められている部分に関しては必要な手を加えて作ることが大事で、この見極めが意外と難しいそうです。今回は、大分県佐伯市にある金属部品製造の会社で4つの工場で精密板金・機械加工から製缶、塗装、組み立てまで自社で一貫して行うことができる株式会社二豊鉄工所に金属部品の業界別で求められる品質やそれに応えられる同社の技術力についてお話を伺いました。
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物流配送において、配達スタッフの人員不足、地方での過疎化と高齢化、都市部のマンションやオフィスビルのセキュリティ強化などの問題から、荷物を受取人まで届けるラストワンマイル配送にロボットを導入しようとする動きが進みつつあります。今回は、屋内配送に特化した「自律走行配送ロボット」を開発している香港発Rice Robotics社のCEO Victor Lee氏と日本での販売、導入支援を行うアスラテック株式会社に、「自律走行配送ロボット」の活用場の開発や、社会実装に向けたデザイン設計についてお話を伺いました。
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装置内に人工的に温風を発生させ、投入した木材を乾かす木材乾燥機。自然乾燥で3〜4ヶ月かかる工程を7〜10日ほどに短縮できる利便性から導入が拡大しています。木材乾燥機は乾燥中に複雑な操作を行う必要がないので、装置の品質が仕上がりを左右するそうです。今回は、木材乾燥機の製造ならびに販売事業を手掛る北海道上川郡に本社を構えるヒグマ乾燥機株式会社に木材乾燥機の概要と製品選びのポイントと、木材乾燥のノウハウを活用した木質バイオマス温風発生装置「エコボイラ」についてお話を伺いました。
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建築金物の種類は、大きいものでは外壁の金属パネルや手すり、小さいものでは傘入れに至るまで、多岐にわたります。特にオーダーメイドの製作金物は、個人の知識と技術を結集して作り上げるもので、設計者や製作の力量が製品の良し悪しに直結するため、常日頃から技術や知識のアップデートが欠かせないといいます。今回は、北海道や東北地方を中心に、建築金物や通信鉄塔事業の設計、製作、施工を手掛ける北海道札幌市にある株式会社郷葉に時代の変化を踏まえて、建築業界や土木業界では今どのような課題があり、どのような解決策を生み出してきたのかお話を伺いました。
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近年ドローン(無人航空機)の商用化が急速に進められており、ホビードローンだけでなく、農業や林業での植物生育状況の空撮・センシングや、災害時の状況調査、宅配など物流分野などその応用は多岐に渡っています。一方、墜落事故が相次ぐなど安全性については厳しく検討され、飛行条件が厳しく規定されています。今回は、ドローンの安全性を確保するための通信技術を研究している情報通信研究機構(NICT)に、ニアミスを回避するためのドローン間の直接通信技術についてお話を伺いました。
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ネットショップなどのEC市場は右肩上がりで拡大を続けていますが、物流業界は倉庫内で商品をピッキング・梱包する作業に従事する人材の不足に悩んでいます。そこで、ピッキング作業の自動化が注目されていますが、この作業はコンピューターとロボットで行うには難易度が高く、自動化は進んできませんでした。今回は、作業の一部をロボットが補助する形で省人化を目指しているラピュタロボティクス株式会社に、同社が開発しているクラウドコンピューティングによるAMR(自律走行搬送ロボット)が、どのようにピッキング作業を省人化しているかお話を伺いました。
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鋼に匹敵する硬度を持つマルテンサイト鋳鉄。通常鋼が硬さを出すためには焼き入れ処理(加熱後、急冷却する処理)を行いますが、焼き入れ処理を行った金属は外周部より内部の方が柔らかくなります。しかし、マルテンサイト鋳鉄の場合には、外周部と内部で硬度の差がほとんどないそうです。今回は、山形県山形市鋳物町に本社を構え、主に重機や昇降機に用いられる機械部品の鋳造を手掛ける有限会社渡辺鋳造所に同社が開発した、鋼と同等の硬さを持つ鋳物が作れる素材「マルテンサイト鋳鉄」についてお話を伺いました。
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金属や石などの材料を使うよりも軽い、耐久性が高い、コストダウンができるなどたくさんのメリットがあるFRP造形。FRPで造形する際には、発泡スチロールを削って土台を作り、その上に直接ガラス繊維を乗せて樹脂を塗り込んでいく方法で製作することで、型取りをする製法よりも短納期で強度の高いモニュメントの製作が可能だと言います。今回は、FRP造形の会社で顧客の作りたい物とサイズ、予算に合わせて、デザインや設計から提案し、製作、設置まで行う、熊本県天草市にある株式会社アクアマリンまつながにFRPによる造形のメリットや同社のFRP造形の技術についてお話を伺いました。
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粉末金属材料を敷いた床上にレーザーをあてて溶融凝固させながら造形(粉末床溶融結合法)する金属3Dプリンター。前編で解説した金属3Dプリンターによる造形プロセスの課題は、造形品質のばらつき以外にも、熱収縮による応力によって生じる反り変形があります。今回も引き続き、金属3Dプリンターの造形物の品質向上に向けた技術研究を行っている石川県工業試験場に、熱収縮による反り変形が生じる理由や「マルテンサイト変態」を利用した変形低減への取り組みについてお話を伺いました。
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金属3Dプリンターでの造形技術は、金属加工では難しい複雑な形状の部品を強度はそのままに軽量化させたいといった用途に使われることが多いですが、機械加工と比べると品質にばらつきが生じやすいという課題があります。今回は、金属3Dプリンター造形物の品質向上に向けた研究を行っている石川県工業試験場に、金属3Dプリンターによる造形プロセスの課題や造形品質がばらつく理由を解説して頂いた後、同研究所で開発しているAI機械学習による造形品質のリアルタイム診断技術についてお話を伺いました。
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農家の課題を解決するために、外部の技術者とタックを組んで新しい農業の仕組みを開発する方法もありますが、「必要は発明の母」というように、農家自ら農業における課題を解決できる仕組みを開発することも一つの方法かもしれません。今回は前編で紹介した農業ベンチャー、AGRIST株式会社のアドバイザーとして、またピーマン農家を営みながら自ら農業向け発明を行っている福山望氏に、同氏が考えた「ピーマン収穫ロボット」の基本概念や、収穫ロボットなど農業ロボットを開発することで実現する人間とロボットの共存についてお話を伺いました。
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「適切に収穫できれば収量も増えるのに、その人手が確保できない」など、日本農業の人手不足は深刻な課題です。人手不足が解決できなければ「儲かる農業」は実現できず、新規就農者や後継者も増えません。そこで、AIとロボット技術でこの課題の解決に挑んでいるのが、農業ベンチャーAGRIST株式会社です。今回は、同社に吊り下げ式、2度切り可能なピーマン収穫ロボットについて、その開発経緯や販売仕組みについてお話を伺いました。
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生産コスト削減のために製品またはその部品を他の国内、海外企業などに委託して、製造するOEM。安価な労働力を求めて製造業が多く海外に進出していますが、確かな品質や迅速な対応を追求していくと、やはり国内で生産した製品は間違いありません。しかし、国産の確かな品質といっても、価格に競争力がなければ顧客には選んでもらえないそうです。今回は、鳥取県鳥取市に本社と2つの関連会社があり、グループ3社で各種電気機械や器具のODM・OEM商品について設計・開発から組立・納入まで一貫して手掛ける、株式会社鳥取スター電機に国内生産にこだわるメリットについてお話を伺いました。
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デジタル・トランスフォーメーション(以下DX)による新事業創出には、「顧客が本当に欲しいものが何なのか、解決したい課題は何なのか、顧客自身も自覚していないながらも代替手段で解決している潜在的なニーズを深堀りしていく」ことが重要だといいます。それでは、どのような方法でその「潜在ニーズ」を掘り出せることができるのでしょうか。今回も引き続き、キュレーションズの代表取締役社長 根本隆之氏に、顧客の潜在ニーズを深掘りする方法や、DX実現に向けたイノベーション戦略、出島戦略についてお話を伺いました。