多くの製品化には欠かせない材料・加工・計測解析などの技術情報について、企業で研究・開発に従事される方や加工技術をサービス提供する企業の専門家など、各分野で活躍されている方にお話をお伺いしました。
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イメージ図や図面に落としたものを、実際に製品化していく。その過程には、加工に関する非常に多くの知識と技術、経験が必要になります。埼玉県川口市に本社を構える株式会社相馬製作所は、薄板鋼板の加工を中心とした精密プレスと板金加工の会社です。幅広いジャンルの企業約140社との取引経験から得たノウハウを生かし、設計者やデザイナーのさまざまな「作りたい」に応えています。今回は相馬製作所に、製品化するために必要な技術力や対応力についてお話を伺いました。
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モノづくり現場でのスーパーコンピューター「富岳」活用について、「富岳」研究チームを率いる理化学研究所計算科学研究センター坪倉誠氏にお話を伺う本連載。ハイパフォーマンスコンピューティングの課題解決のため、遺伝的アルゴリズムやAIの活用、独自ソフトウェア「複雑現象統一的解法CUBE」の開発を進めてきた「富岳」。後編では、研究事例としてAIを使ったサロゲート・モデルやCUBEを使ったトポロジー最適化を紹介頂き、今後のモノづくり現場でのハイパーコンピューティングの使われ方についてお話を伺いました。
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モノづくり現場でのスーパーコンピューター「富岳」活用について、「富岳」研究チームを率いる理化学研究所計算科学研究センター坪倉誠氏にお話を伺う本連載。スーパーコンピューターが威力を発揮するハイパフォーマンスコンピューティングだからこそ、高精度な計算を行う際に時間的コストが掛かってしまう課題があるといいます。中編では、この時間的コストが掛かってしまうCADデータ修正や最適曲面の探索に対する課題解決アプローチや残された課題についてお話を伺いました。
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スーパーコンピューターとは、科学技術計算用途にて大規模かつ高速な計算が要求されるハイパフォーマンスコンピューティングに用いられる電子計算機です。日本では2019年8月に役割を終えた「京」がスーパーコンピューターとして有名ですが、「富岳」は「京」の後継機として理化学研究所と富士通により開発され2021年3月に共用が開始されました。今回は、モノづくり現場でのスーパーコンピューター「富岳」活用に注目し、理化学研究所計算科学研究センター複雑現象統一的解法研究チームの坪倉誠氏に話を伺いました。前編では、スーパーコンピューター「富岳」がモノづくりにもたらす3つの変化や、企業とのコンソーシアム活動の概要についてご紹介します。
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焼付塗装とは、塗料を塗って乾燥炉に入れ、100度以上の高温で加熱して塗料を硬化させる塗装方法で、耐候性・耐薬品性・耐磨耗性が高く、剥がれにくいといった特徴があります。塗装をする上で剥がれは一番大きな問題ですが、剥がれを防ぐには下処理や適正な温度帯での焼き付けなど、きちんとした工程を踏むことが大切だと言います。今回は、知県名古屋市に本社を構える焼付塗装と精密板金加工の会社である株式会社ミヤモトに焼付塗装のポイントについてお話を伺いました。
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遠隔医療ものづくり技術の最新動向について医療現場からの声をもとに紹介する本連載。第11回は、引き続きデジタルパソロジー」について紹介します。遠隔診療は、コロナ禍や医師不足、地方の過疎化、高齢化が進むなか注目が集まっていますが、その中でも患者の細胞を顕微鏡で観察して病状を診断する「病理医」の業務を遠隔化する「テレパソロジー(遠隔病理診断)」にもデジタルパソロジーが大きく関わっています。今回は、実際にデジタルパソロジーを利用している病理医であり、その普及を推進するデジタルパソロジー研究会会長の長崎大学大学福岡順也教授に、医療現場の課題やデジタルパソロジーの在り方、普及のために欠かせない視点を伺いました。
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受託研究開発は、機械や施設、研究員を自社で用意する必要がないので、開発にかかるコストの大幅削減を実現することができます。また、それだけでなく自社では解決できない課題に直面したとき、自社にはない技術を持った外部に委託することで、他の解決方法を試すことができるそうです。今回は、愛知県瀬戸市にあるセラミックスメーカーの合資会社マルワイ矢野製陶所に受託研究開発の強みや長所についてお話を伺いました。
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コミュニケーションロボットとは、家事を手伝い、人と会話し、心を通わせ、家族のように暮らすといった人とのコミュニケーションを果たすロボットです。一方で、身近にあるロボットは、重たいものを運んだり、正確な作業を長時間続けたり、人間以上の能力を発揮して世の中の役に立っています。しかし、ロボットは人より力強くて、有能で、社会に役立つ存在でなければいけないと誰が決めたのでしょうか?今回は、身体性を伴うコミュニケーションが成立する過程について研究を行うなか「弱いロボット」という概念を提唱した豊橋技術科学大学情報・知能工学系の岡田教授に、コミュニケーションロボットの未来についてお伺いしました。
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塗装設備を導入するには、必ず押さえておくべきポイントがあります。塗装で使用する塗料や溶剤は、労働安全衛生法によって有機溶剤中毒予防規則が定められており、設置すべき換気設備の規模などは法令遵守を徹底する必要があります。そのほかにも環境に配慮した塗料の使用や働く人の健康を考慮することも欠かせないと言います。今回は、広島県福山市にある、塗料や塗装関連の設備や機器の提案・販売を行う藤野商事株式会社に塗装設備を導入する際のポイントや注意点などについてお話を伺いました。
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セラミック3Dプリンターは、3Dプリンターの一種であり、耐熱、絶縁、耐摩耗などに優れるセラミックス材料を3次元の設計データをもとに立体造形する装置です。セラミックス材料の一般的な加工方法は、材料の粉を金型に入れて加圧して固めて成形し、炉に入れて焼成します。この焼成の過程で粉末粒子が融合し、焼き固まる際に収縮します。セラミック3Dプリンターの課題は、セラミックス材料だけでなく、接着剤の役目として添加された樹脂のバインダーの収縮で大きな変形が生じるため、高精細な造形が難しく、熱収縮を抑えるために長い加工時間を要していたことです。キヤノン株式会社では、こうした課題を解決するため、独自にセラミック3Dプリンター向けの新材料を開発しました。今回は、R&D本部の安居氏とフロンティア事業推進本部の川村氏に、セラミック3Dプリンターにおける課題と開発した新材料の概要についてお伺いしました。
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3Dプリンターで食品をつくることが現実の話となってきました。以前より食品業界で普及していたフードプリンターは、食品に食べられるインクを用いて直接文字や絵柄、写真をプリントできる装置です。一方で、3Dフードプリンターは、食材を3次元の設計データをもとに立体造形し、形状や食感が制御された食品を製造できる装置です。山形大学では、柔らかいゲル状の素材を用いた3Dプリンター技術を応用し、ソフトでありつつも複数の味と食感を持つ介護食を開発しています。今回は、山形大学有機材料システムフロンティアセンターの川上准教授に、3Dフードプリンターの開発経緯や開発した介護食の可能性についてお話を伺いました。
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発電所で作られた電気を引き込み、負荷へ配電するための設備である受配電盤。プラグインブレーカーや溶断表示付きヒューズといった高性能な機器を使用することで現場での誤配線、ヒューズが切れたことによる誤計量などのさまざまなトラブルから顧客を守り、製品の品質を安定させることができると言います。今回は、山形県東置賜郡に本社を構える、受配電盤の製造メーカーである株式会社上和電機に同社の強みやそれを実現する社内体制などについて話を伺いました。
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ストレスチェックとは、人が心(精神)や身体に外部からの刺激(ストレッサー)に適応しようとして心や身体に生じた様々な反応(ストレス反応)を調べる検査です。平成27年12月以降、「労働安全衛生法」の改正によって50人以上の労働者がいる事業所でストレスチェック制度の実施が義務化されました。こうしたなか、目に見える身体ではなく、心の健康を可視化することが注目されています。今回は、メンタルヘルスの計測技術に注目し、シリコンバレーのIoTスタートアップYume Cloud日本法人と共同でメンタル自己管理サービス「マインドスケール」を開発した山形大学の横山准教授、原田助教に話を伺いました。
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建造物に欠かせない胴縁やブレース。そういった建材の金属加工において精度の高い製品をつくるためには図面を読み取る力が重要で、実際の工程に入るとさまざまな問題が出てくることがあるため問題になりそうな場所を先読みするそうです。今回は、長崎県長崎市にある建材の金属加工を一手に引き受けている有限会社S・Sメタルに同社の事業内容や強み、大事にしていることなどについて話を伺いました。
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血管内イメージングデバイスの開発動向を追う本連載。後編では、IVUSとOFDIの機能を搭載したデュアルセンサーシステムに注目します。1990年代以降、多くの病院で導入された心臓カテーテル治療は、狭心症や心筋梗塞などの心疾患の治療において一般的な治療方法となりました。超音波センサーを使うことにより腎機能に負担をかける造影剤を使わずに血管断面の画像を取得できるIVUS、そして近赤外線により血管の性状まで詳細に判別できるOFDIが開発されたことで、カテーテル治療の質は大きく向上します。後編では、佐賀大学医学部附属病院の園田教授に、IVUSとOFDIの機能を搭載したデュアルセンサーシステムに対する医療現場の期待についてお伺いします。
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心臓カテーテル治療は、心筋に血液を送る冠動脈が動脈硬化などにより狭くなった(狭窄)部分を拡張するために行われる治療方法であり、具体的には直径1mm程度の細いカテーテルを冠動脈に挿入し、拡張用バルーンやステントなどの治療用器具が挿入されます。日本では、近年、手術前後に血管の状態を調べる血管内イメージングの普及が進み臨床成績の向上に寄与しています。今回は、血管内イメージングデバイスに注目し、2回に分け前編では同開発に携わってきたテルモ株式会社鬼村氏、後編では医療現場で同製品を利用する佐賀大学医学部附属病院の医師で佐賀大学の園田教授に話を伺いました。前編では、超音波を利用したIVUSと、光(近赤外線)を利用したOFDIという血管内イメージング技術の概要についてご紹介します。
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電力変換装置製造技術は太陽光発電やEV車、燃料電池などを始めとした新電力関連で注目されていますが、長年利用されている古い設備にも広く利用されており、それらの装置の新規製造・修理・メンテナンスを行なう事業者が少なくなくなっているという課題もあります。今回は、産業機器や自動車や電車、医療機器向けの電力変換装置の設計から製造、修理・メンテナンスまでを自社で一貫して行う東京都杉並区に本社を構える、東京精電株式会社に電力変換装置のカスタムオーダーについてお話しを伺いました。
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社会課題を地球規模で解決する衛星データに注目する本連載。後編では、地球観測衛星によって収集された衛星データの分析事例について紹介します。引き続きJAXA(宇宙航空研究開発機構)地球観測研究センター主任研究開発員の大吉氏に、地球観測衛星による衛星データを用いた、農業や新型コロナのパンデミックの前後での地球環境や社会経済活動の変化の分析事例についてお伺いしました。
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地球観測衛星は、宇宙から地球を観測する、リモートセンシングを目的に打ち上げられた人工衛星です。食料安全保障や農業、気候変動などの社会課題について地球規模で解決するため、こうした衛星データの解析、利用が進められています。今回は、社会課題を地球規模で解決する衛星データに注目し、2回にわたってJAXA(宇宙航空研究開発機構)地球観測研究センター主任研究開発員の大吉氏に話を伺いました。前編では、地球観測衛星の役割や機能についてご紹介します。
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複雑な機構を持ち、サイズや精密さにこだわりがある成形品に用いられるプラスチック射出成型金型。金型製作においては、精密加工を精度高く実現できる技術力が重要であることはもちろん、その前の設計段階でどのように構想するか、工夫することも大切だそうです。今回は、福岡県遠賀郡に本社を構える、プラスチック射出成型金型の作成を手掛け、量産の立ち上がりの速さが強みでもある豊洋エンジニアリング株式会社(取材当時)、現在のT・D・Cモールド株式会社にその秘訣とプラスチック射出成形金型のポイントについてお話を伺いました。