多くの製品化には欠かせない材料・加工・計測解析などの技術情報について、企業で研究・開発に従事される方や加工技術をサービス提供する企業の専門家など、各分野で活躍されている方にお話をお伺いしました。
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「ロボティクスというのは、出口戦略が重要で、何か人間の役に立たないと単におもちゃを作ったことになってしまう」という平田教授。今回は、引き続き東北大学の平田教授に、ブレーキによってロボットの運動特性を変化させる「パッシブブレーキ」技術が、災害地などの陸上、漁業が行われる水中、私たちの生活場などで役立つ仕組みについてお伺いしました。
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人と協調して作業を行うロボットを設計する方法は色々ありますが、モーター等で能動的に駆動されるのではなく、ロボットに加えられる外力に対して受動的(パッシブ)に動くように設計しようとする「パッシブロボティクス」という概念があります。本連載では3回にわたり、「パッシブロボティクス」に基づいた非駆動型ロボットを研究し人を支援しようとする、東北大学ロボティクス専攻知能機械デザイン学分野の平田泰久教授に、研究テーマとその応用事例についてお話を伺いました。今回は、主に「パッシブロボティクス」の概念についてお話を伺いました。
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実験中に偶然、高い耐破断性をもつ高強度「ダブルネットワークゲル」を発見以来、どうして強くなるかについて十年近く研究を続けてきた、北海道大学のグン・チェンピン教授の研究室。そこでようやく基本概念が確立して、社会に広く応用してもらえそうな研究成果もでてきたといいます。今回は、引き続き「ダブルネットワークゲル」から発展した研究として、自己修復するゲルや産学連携で進めている人工軟骨材料の研究などをご紹介します。
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『TOKYOオリンピック物語』の著者、野地秩嘉氏の連載第12回は、引き続きブリヂストンのバリアレス縁石を紹介します。縁石開発は、これまで同社が培ってきたタイヤ開発の知見が根本にあるというブリヂストン。運転手ストレスの軽減と、乗客の乗降時間短縮を両立するバリアレス縁石は、どのようにして開発され、どのような工夫がされているのでしょうか。今回は、ブリヂストンの研究施設プルービンググラウンドだけでなく、奇しくも同じ日に普通のバスでも乗り降りを行った野地氏が、技術レガシーとなりうると感じた「バリアレス縁石」の顧客提供価値に迫ります。
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軟骨やクラゲなど自然界のゲル(gel)を、人工的に完全に再現できるまでには至りませんが、ある物性だけに特化すれば人工的なゲルの方が自然界のゲルより性能が高いといいます。例えば構造を最適化すれば軟骨を超える強度を持つゲルを人工的に作ることはできるそうです。今回は、引き続き北海道大学のグン・チェンピン教授と中島祐准教授にゲルの作り方を説明頂きつつ、研究テーマである高強度ダブルネットワークゲルの開発経緯などについて伺いました。
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年々存在感を増している大学発ベンチャー。一方、研究開発型ベンチャーの研究成果が事業化まで進めず「死の谷」で終わってしまうケースも多いといいます。この「死の谷」を越えるためには、リスクマネーの供給も重要だそうです。今回は、九州地域から新たな産業を生み出すべく、九州大学を筆頭に九州全域の大学発ベンチャーを支援する「QBファンド」に、同ファンドを設立した経緯や、大学発ベンチャーがビジネス競争のスタート台に立てるための同ファンドの役割について伺いました。
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『TOKYOオリンピック物語』の著者、野地秩嘉氏の連載第11回は、ブリヂストンからバリアレス縁石を紹介します。夏季大会は、選手や関係者を選手村から各競技会場へ運ぶバスがほぼ24時間運航するといいます。競技に遅れることはできない選手にとって、車いすに乗っても大きな荷物を持っても素早くバスに乗り降りできることは重要であるため、バリアレス縁石が採用されることになりました。今回は、タイヤのようなゴム製品で知られたブリヂストンが縁石を提供することになった経緯について、那須塩原にあるブリヂストンの研究施設プルービンググラウンドで話を伺いました。
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家電から産業機器まで幅広く使われている電子回路基板。その組み立てには、「共晶はんだ(鉛はんだ)」が使用されましたが、鉛による環境汚染やEUでの鉛使用制限の規制の影響で、現在は「鉛フリーはんだ」が主流になってきています。この「鉛フリーはんだ」は、鉛はんだより温度コントロールが難しく高い技術を要するといいます。今回は、1983年に創業以来、長年培ってきた「はんだ」によるアッセンブリ技術を持つ株式会社土佐電子に、同社がもつ「鉛フリーはんだ」技術の特徴や、ものづくりへの姿勢について伺いました。
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日本人の死因の上位に入る「脳血管疾患」。多くの場合は手指に麻痺が残り日常生活への影響が大きいと言われています。この手指の動きを助けるリハビリ用装具は、手指の関節が多く骨格が複雑なため、技術的ハードルが高く実用化が難しいと言われてきました。今回は、手指の筋電を感知し動きをサポートする小型で安価なリハビリ用ロボット装具を開発している「メグウェル」に、地場企業と大学がタックを組んだ経緯など開発ストーリーを伺いました。
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コンタクトレンズや紙おむつ、豆腐、プリンなど我々の生活に密着した物質、ゲル(gel)。このように生活中に使用されているものの、人為的に作ったゲルは自然界のゲルに比べればまだまだ原始的だそうです。本連載では3回にわたり「ゲル(gel)」について、バイオミメティクス(生物模倣)の考え方をベースに様々な特徴をもつゲルをつくり我々の生活に役立てようとする北海道大学 先端生命科学研究院 先端融合科学研究部門のグン・チェンピン教授にご解説頂きます。今回は、研究テーマについて説明して頂く前に、グン先生がどのようにゲルの研究を始めたのかをお伺いしました。
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「ものづくり」の雄のトップから「ものづくり日本」再興の指針へのヒントを伺う連載第5回では、引き続きシグマの山木和人社長に、本インタビュー総括としてニューノーマルにおける日本のものづくりの展開についてお伺いました。日本のものづくり空洞化で製造業を希望する若者が減っているなかでも、「おしなべて優秀で倫理観、道徳意識も高く、ミニマリズムみたいな美的感覚も持っている日本の若者」は十二分に競争力はあるそうです。
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アルミニウム材料は様々な形状に加工できる特徴を活かし、薄いアルミホイルから、アルミサッシのようなものから大きな部材まで存在し、建築材料、自動車、産業機械、飛行機などで用いられています。アルミニウムの加工方法には、圧延、鋳造、ダイカスト、鍛造、押出などいくつもの種類がありますが、希望の断面形状に加工できるのが押出加工です。今回は、アルミニウム製品の製造メーカーである、日軽金アクト株式会社の谷津倉政仁氏に、押出加工の基礎知識や輸送機器などの利用事例についてお伺いしました。
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「ものづくり」の雄のトップから「ものづくり日本」再興の指針へのヒントを伺う連載第4回では、引き続きシグマの山木和人社長に、コロナ禍における生き残り戦略のポリシーについて詳しくお伺いました。雇い止め等雇用調整が進むなかでも「雇用を守ることが会社の経営目標の上位にある」という当社の「メイド・イン・ジャパン」のこだわり。そのこだわりはコロナ禍でも変わらず、エンジニアの提案を注視する当社ならでの製品を造っていくそうです。
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スマートロックや温湿度センサーなど、あらゆる分野で私たちの生活に浸透しているIoT(モノのインターネット)。一方でIoTの普及に伴い電源問題が浮き彫りになっています。身近な振動や動きで発電する振動発電がその一端を担う技術になるかもしれません。今回は、逆磁歪効果を利用した振動発電技術の基本原理(平行梁型)を発明した金沢大学の上野敏幸准教授に、電池フリーのIoTデバイス実用化に向けた振動発電技術について伺いました。
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「ものづくり」の雄のトップからニューノーマルにおける「ものづくり日本」再興の指針へのヒントを伺う本連載。第3回は、海外に工場を持たず日本で造ることにこだわりつづけている日本有数の光学機器メーカー、シグマの山木和人社長です。ものづくり現場におけるテレワークの実態や、「濃密な、協力し合う人間関係の中から最高のものを作る方が強み」という当社の生き残り戦略についてお伺いいたしました。
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最近よく耳にする「MaaS」ですが、民間の事業者の中ではMaaS事業を実際どうしたらいいのか悩んでいる方も多いらしいです。「マルチタスク車両」の取り組みがそのヒントになるかもしれません。今回は、用途によって車内レイアウトを変更できるMaaS向け「マルチタスク車両」を発表したMONET Technologiesに、その開発経緯や車内レイアウトの架装、次世代MaaS向け車両の要件についてお伺いいたします。
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金沢大学設計製造技術研究所でのモノづくり研究開発動向を紹介する連載第6回(最終回)では、引き続き立野大地助教にプレス加工によるCFRPの量産技術の研究開発について伺います。同研究室では、強度を保つために炭素繊維の最適な長さを検討し、金型に入れてプレス加工可能なCFRPの研究開発を行っています。今回は、CFRPの加工における課題をふまえつつ、粘土のように加工の自由度の高いCFRPの作成方法や、金型を使ってCFRPをプレス加工する際の工夫点についてご紹介します。
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『TOKYOオリンピック物語』の著者、野地秩嘉氏の連載第9回は、セコムから警備システムを紹介します。夏季大会は競技数や参加選手の数が増加傾向にあることから、大会の警備に多くの大会では軍人が動員されたそうです。しかし、今回の大会では軍人が動員されることはなく、民間警備員や警察官、大会ボランティアが対応する見込みです。今回は、大規模スポーツイベントの警備経験がほぼなかったというセコムが、どのようにして警備システムの開発や大会の警備体制構築を進めていったのかご紹介します。
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私たちの生活を支える、社会インフラ機器などの部品で広く使用されている工業用クロムめっき。しかし、同めっき液に含まれる6価クロムによる廃棄後の土壌汚染や地下水汚染、健康被害の発生が報告されるなど環境や人体に有害な物質としても知られ、EUでは6価クロムの使用を制限する規制が施行されています。今回は、日立製作所 研究開発グループの兼元主任研究員と川村研究員に、このクロムめっきの代替として、クロムめっきに相当する耐食性・耐摩耗性を実現した「多層硬質ニッケルめっき技術」の特徴を解説頂くと共に、同研究成果が持続可能なモノづくりの実現にどのように貢献できるかお伺いしました。
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未来のモビリティ社会に向けて、環境負荷の低減を目的に自動車の消費ガソリンの削減や電気自動車の航続距離の伸長が重要な課題として議論されています。その中で、自動車の軽量化によってこれらの課題に貢献できるとされている炭素繊維強化プラスチック(CFRP)は、構造部材として実用化に至るケースも見られる一方、コストや量産性といった課題が存在しています。今回は、日立製作所 研究開発グループの近藤研究員に、「動的共有結合樹脂」に注目し生まれた熱硬化性CFRPが持つ二次加工性の特徴や、同材料を用いた自動車の軽量化へ向けた展望についてお伺いしました。