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シリコンフォトニクスとは、シリコン基板上に光導波路、光スイッチ、光変調器、受光器などの素子を集積する技術です。その経済性、高集積密度、エネルギー効率といった特徴から注目を集めており、近年では通信やセンサ機器への活用、さらにはIoTや5Gの発展と普及に向けた応用が期待されています。今回は、光集積回路をデザイン・提案し、幅広いファウンドリとのネットワークを活かしたサービス提供を行うVLC Photonics社協力のもと、シリコンフォトニクスの基礎知識や研究開発・実用化に関する事例などをご紹介いたします。
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製造業において、欠かすことのできない重要な要素である品質、コスト、納期(QCD)。これらを継続して守り続けられる企業は多くありません。QCDを達成し、多品種・小ロットの生産や、短納期の発注にも柔軟に対応するために、簡易な加工は中古機械で、高精度の加工は最新の機械で実施するなど、難度やロット数に応じて機械設備を使い分けるなどの工夫がされているそうです。今回は、兵庫県姫路市にある植田金属工業株式会社に材料から完成品まで一貫した金属加工事業を展開し、多種多様な機械設備を揃え短納期・高品質な生産体制を実現する技術や強みについてお話を伺いました。
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印刷機械のなかでも特に高精度の研削加工が求められるインキ供給ユニット。印刷インキの発色を良くするためには、幾何公差でミクロン単位の精密加工が必須で、加工の際に部品材料をどう掴むかは難しい点の1つです。特に、変形しやすい薄い材料の際には、できるだけ変形させないために、どこをどう掴めばよいかをよく考えなくてはなりません。失敗と試行錯誤を繰り返しながら、掴み方のノウハウをものにする必要があるそうです。今回は、高精度研削加工を納期重視で実現し、高収益を確保、持続可能なビジネスを行っている山形県山形市の株式会社長栄精密に高精度の研削加工技術をどのように磨いてきたのかお話を伺いました。
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長い帯状の金属へメッキ加工を行うフープメッキ。フープメッキの方式には、必要な箇所にメッキ処理を行うことができる治具方式とテープ方式がありますが、治具方式は初期コストがかなり高額で滲みを考慮した設計が必要で、テープ方式はメッキ処理の都度テープ加工の時間を要すなどのデメリットがあるそうです。今回は、埼玉県川口市にある株式会社東和企画にスポットメッキのもつ可能性や、治具方式とテープ方式の長所を掛け合わせたマスキングテープ方式のスポットメッキの特徴についてお話を伺いました。
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体内の管状の部分を内側から広げるために使われるステントのように、体内留置型の医療部品には超精密な加工が施されます。超精密な加工には工場の温度管理が重要で、例えば鉄は1℃気温が変わると0.002~0.003mmほど膨張するため、削っている先から鉄が膨張してしまうと正確な加工ができません。そのため、工場内は常に徹底的な温度管理が必要とされるそうです。
今回は、超精密な金型を作り続けてきた技術を生かし、海外の医療メーカーからの依頼で医療機器の製造も行う、福岡県鞍手郡にある藤井精工株式会社に高度な技術とものづくりへの姿勢についてお話を伺いました。 -
私たちが普段スーパーで目にする根菜や葉菜などは土がついてない清潔な状態で売られていることが多いです。これは農家の生産者や農協が、畑に土足で入ることさえ病気や細菌または害虫の混入の可能性があることを危惧し、洗浄・殺菌に配慮しているからかもしれません。今回は、1959年北海道旭川市で創業し「独自の洗浄技術」をもって、野菜の洗浄機・選別機の製造を主に手掛けている株式会社エフ・イーに、洗浄技術を軸に広がる他業種との開発実績や、製造・設置まで一貫した製造体制について伺いました。
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ステンレスは、硬化しやすい上に、熱伝導率が悪く熱が逃げづらい合金。そのため、刃物に熱が溜まりやすく、刃物の摩耗が早まったり欠損しやすくなったりするので、早めの刃具交換が必要なほか、穴開け加工の際には硬くならないような加工方法の工夫が必要といいます。今回は、ステンレス加工を得意とし、業務用機械器具の部品製造を行っている山形県の有限会社渡辺工作所に、同社が多品種小ロットで、ステンレスから難削材まで幅広い種類の材料の加工が可能なわけについて伺いました。
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レーザー光を集光し金属面に照射、金属を局部的に溶融・凝固させるレーザー溶接。CO₂レーザーやYAGレーザーなど従来のレーザー溶接には、レーザー光線を加工対象物まで近づけにくい、消耗品の定期的交換が必要などのデメリットがあります。一方、これらのデメリットを解消できそうな「ファイバーレーザー」が近年台頭してきました。今回は、30年以上前にレーザー加工を導入し、「ファイバーレーザー溶接」を得意とする岡山県の大松精機株式会社に、同社がもつ「一貫生産システム」の強みや、品質に妥協しないレーザー溶接技術について伺いました。
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さまざまなモノづくりで必要とされる板金加工。板金加工の中でも特に高度な技術が求められるが「精密板金加工」です。精密板金の場合、ほとんどの会社で鉄は取り扱っていますが、ステンレスを扱っている会社は全体の約半分、アルミを扱っているのは3割程度と言われています。今回は、精密板金において鉄、ステンレス、アルミ、真鍮、銅など実にさまざま材料を扱っている名古屋市にある株式会社髙田製作所に、1965年創業以来培ってきた技術力をはじめ、幅広い対応力や提案力について話を伺いました。
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新規事業への参入・投資プロジェクトを検討される企業向けに、業界関係者や社外有識者の知見や専門情報を伺う本連載。引き続き、「人間拡張(Human Augmentation)」技術に注目します。人間拡張というと、人に身に着けるウエアなどを想像しやすいですが、人間拡張技術をビジネスとして発展していくためには「モノ」はもちろんのこと「サービス」と絡めることが重要といいます。今回も国立研究開発法人・産業技術総合研究所(産総研)人間拡張研究センター長の持丸正明氏に、人間拡張技術を利用した製造業のサービス化や同センターの取り組みについてお話を伺いました。
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新規事業への参入・投資プロジェクトを検討される企業向けに、業界関係者や社外有識者の知見や専門情報を伺う本連載。今回は、従来人間が持っている能力を補い、強化するという意義をもつ「人間拡張(Human Augmentation)」技術に注目します。国立研究開発法人・産業技術総合研究所(産総研)人間拡張研究センター長の持丸正明氏に、人間拡張とは何か、また同センターが行っている他社との最新研究事例についてお話を伺いました。
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『アカデミアに聞く、産官学連携プロトタイピング事例』連載第2回目は、引き続き慶応義塾大学の次世代高速列車通信システムを紹介します。今回は、引き続き春山真一郎教授に加え寺岡文男教授や森康祐助教に、研究開発を進めている光空間通信のレーザースキャン方式を伺うほか、正確に光をトラッキングするための機構をご説明頂きます。さらに、JR鉄道総合技術研究所との共同研究で実施された在来線・新幹線での実証実験や台湾の財団法人工業技術研究院(ITRI)との共同研究内容について伺いました。
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日本が世界に誇る技術・サービスは多岐にわたります。一方で、これら技術確立やサービスローンチまでにプロトタイピングが必要となり、民間企業、公的資金で運営される政府系試験研究機関、大学などの教育機関・研究機関が協創する「産官学連携」が重要な役割を果たすことは少なくありません。本連載では、アカデミア視点にて、産官学連携事例や研究開発内容をご紹介します。
今回は、次世代高速列車通信システムに注目します。世界や日本では高速列車内で独自の通信システムを採用しており、高速ネット環境の構築にも力を入れています。高速鉄道列車における大容量通信実現に向けた「光空間通信」研究を推進されている慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科 春山真一郎教授に、世界の高速鉄道列車の現状や次世代高速列車通信に向けたこれまでの「光空間通信」技術開発の取組みについて伺いました。
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新規事業への参入・投資プロジェクトを検討される企業で参入業界の情報取得・整理・分析が行われている一方で、こと製造業においては通常の調査では得られないような業界関係者や社外有識者の知見・専門情報の獲得が重要ではないのでしょうか?今回は、自動車や電子機器での使用が進むエンジニアリングプラスチック(以下エンプラ)よりも耐熱性などに優れたスーパーエンプラという新素材に注目します。スーパーエンプラのひとつである「PPS樹脂」プラント立ち上げから携わってきた、株式会社スズキ・マテリアル・テクノロジー・アンド・コンサルティング社代表取締役社長 鈴木孝典氏にPPSのメリットや用途、市場についてお話を伺いました。
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金属加工法の一種であり、常温下で金属に金型を合わせて圧を加えることで成形する冷間鍛造。冷間鍛造は、目的の形状に至るまでのプロセスが非常に重要であり、どのように工程を設計するかがその後の製造効率や製品の精度に大きく影響するといいます。今回は、1964年創業以来、冷間鍛造だけでなく金型製作も行い、自動車安全部品や工作機器部品などを製造している株式会社飯塚製作所に、同社の技術力と提案力でより安く、スピーディーに製品を仕上げるノウハウについて伺いました。
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構造物に発生する腐食を防ぐ主な手段として溶融亜鉛めっきが挙げられますが、沿岸地域や温泉地ではむしろさびが発生しやすく、構造物のライフサイクルコストがかかるという悩みがあるといいます。その悩みの一つの答えが、ステンレス(SUS316L)に樹脂に配合したハイブリッド塗料「ステンシェル(R)」にあるかもしれません。今回は、創業以来90年以上アルミニウム関連製品の開発・製造を行ってきた東洋アルミニウム株式会社に、同塗料の導入メリットや活用事例について伺いしました。
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「精密機械加工をどこにどう頼むか」「工具の再研磨やメンテナンスを頼みたい」といった悩みを抱える方々、「ものづくりサポートセンターtomakichi(トマキチ)」をご存じでしょうか。精密機械加工サービスや再研磨丸投げサービス、切削工具などの無料オンラインセミナーなどを提供しているサイトです。今回は、このtomakichiを運営している高知の機械工具専門商社、株式会社TOSAMACHINEに、高知県内外企業とのネットワークを活かした同社のサービスについて伺いました。
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日本のものづくりの根幹を担う産業の一つ、鋳造業。その鋳造に欠かせないのが「型」です。できあがり製品の模型を正確に製作し、その模型によって鋳型を造り、そこに溶かした金属を流し込んで鋳物を生成します。今回は、1946年創業以来、造船、自動車などあらゆる産業で使われている鋳造型を製作している高知機型工業株式会社に、他社と差別化できる鋳造型制作の技術とノウハウについて伺いました。
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時計に使われる精密部品から船舶に使われる数メートルのシャフトまで、様々な金属の機械部品を作る時使用する旋盤加工。機械部品の加工品質を高めるには、ターニングセンタなどの工作機械の使用以外にも、それを使いこなす技術者の腕も欠かせない要素だといいます。今回は、農業機械や建機など大型機械部品の旋盤加工を得意とし、社員数の2/3が勤続15年以上のベテラン技術者で構成されている高須工業株式会社に、当社がもつ大型・薄物部品の旋盤加工技術の特徴や、品質第一へのこだわりについて伺いました。
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家電から産業機器まで幅広く使われている電子回路基板。その組み立てには、「共晶はんだ(鉛はんだ)」が使用されましたが、鉛による環境汚染やEUでの鉛使用制限の規制の影響で、現在は「鉛フリーはんだ」が主流になってきています。この「鉛フリーはんだ」は、鉛はんだより温度コントロールが難しく高い技術を要するといいます。今回は、1983年に創業以来、長年培ってきた「はんだ」によるアッセンブリ技術を持つ株式会社土佐電子に、同社がもつ「鉛フリーはんだ」技術の特徴や、ものづくりへの姿勢について伺いました。