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時計に使われる精密部品から船舶に使われる数メートルのシャフトまで、様々な金属の機械部品を作る時使用する旋盤加工。機械部品の加工品質を高めるには、ターニングセンタなどの工作機械の使用以外にも、それを使いこなす技術者の腕も欠かせない要素だといいます。今回は、農業機械や建機など大型機械部品の旋盤加工を得意とし、社員数の2/3が勤続15年以上のベテラン技術者で構成されている高須工業株式会社に、当社がもつ大型・薄物部品の旋盤加工技術の特徴や、品質第一へのこだわりについて伺いました。
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家電から産業機器まで幅広く使われている電子回路基板。その組み立てには、「共晶はんだ(鉛はんだ)」が使用されましたが、鉛による環境汚染やEUでの鉛使用制限の規制の影響で、現在は「鉛フリーはんだ」が主流になってきています。この「鉛フリーはんだ」は、鉛はんだより温度コントロールが難しく高い技術を要するといいます。今回は、1983年に創業以来、長年培ってきた「はんだ」によるアッセンブリ技術を持つ株式会社土佐電子に、同社がもつ「鉛フリーはんだ」技術の特徴や、ものづくりへの姿勢について伺いました。
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私たちの生活を支える、社会インフラ機器などの部品で広く使用されている工業用クロムめっき。しかし、同めっき液に含まれる6価クロムによる廃棄後の土壌汚染や地下水汚染、健康被害の発生が報告されるなど環境や人体に有害な物質としても知られ、EUでは6価クロムの使用を制限する規制が施行されています。今回は、日立製作所 研究開発グループの兼元主任研究員と川村研究員に、このクロムめっきの代替として、クロムめっきに相当する耐食性・耐摩耗性を実現した「多層硬質ニッケルめっき技術」の特徴を解説頂くと共に、同研究成果が持続可能なモノづくりの実現にどのように貢献できるかお伺いしました。
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未来のモビリティ社会に向けて、環境負荷の低減を目的に自動車の消費ガソリンの削減や電気自動車の航続距離の伸長が重要な課題として議論されています。その中で、自動車の軽量化によってこれらの課題に貢献できるとされている炭素繊維強化プラスチック(CFRP)は、構造部材として実用化に至るケースも見られる一方、コストや量産性といった課題が存在しています。今回は、日立製作所 研究開発グループの近藤研究員に、「動的共有結合樹脂」に注目し生まれた熱硬化性CFRPが持つ二次加工性の特徴や、同材料を用いた自動車の軽量化へ向けた展望についてお伺いしました。
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製品開発の現場では、製品の競争力を高めるために、部品のコスト削減や軽量化が重要な課題となっており、厳しい設計条件が課せられています。このような中で、製品事故を防止し製品全体の信頼性と安全性を確保するために、設計者には迅速で正確な設計計算が求められています。今回は、株式会社日立製作所研究開発グループが提供している機械設計効率化ツール「e設計ハンドブック」の特徴や具体的な使用方法についてご紹介します。
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ビルや工場における二酸化炭素(CO₂)濃度の上昇は、眠気や倦怠感、頭痛を引き起こすなど人体への悪影響を及ぼします。そこで固体を利用したCO₂吸着分離法として「ゼオライトCO₂除去材」が広く使用されていますが、空気が大気レベルの水分を含むだけで吸着性能が大きく低下することが課題です。今回は、日立製作所 研究開発グループの吉川研究員に、水分雰囲気下でも効率よくCO₂を除去する材料である「酸化セリウム(CeO₂)系CO₂除去材」の特徴と活用可能性についてお伺いしました。
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アーク溶接、肉盛溶接など、ものづくり現場で行われている金属接合技術は多岐にわたります。そのなかで、爆薬が爆発する時に放出する瞬間的な高エネルギーを利用した「爆発圧着」という金属接合技術をご存じでしょうか。爆発圧着技術で製造された高性能材料「BAクラッド(R)鋼板」は、化学工業・石油精製・石油化学・電力プラントなど、強度と信頼性が求められる環境で使用されています。今回は、爆発圧着技術を50年以上にわたって研究・事業化してきた旭化成に、技術の特徴や活用事例、新たな技術開発の展望について伺いました。
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従来の材料開発より時間とコストを大幅に削減できるという、マテリアルズ・インフォマティクス(MI)。後編では引き継ぎ、日立製作所研究開発グループの岩崎主管研究員にMIの応用事例をお伺いします。本記事では、異種材料界面の密着強度を高精度でシミュレーションすることで、樹脂、金属に留まらずセラミックスやDNAにまで対象を広げた異種材料接合の設計・導入事例を詳しくご紹介頂きながら、これからのMIや材料研究の展望を探っていきます。
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私たちが普段使っている自動車や電子機器などにはたくさんの材料が使われており、製品の性能を向上すべく新材料開発が求められています。従来の材料開発は、理論計算と実験による試行錯誤を前提とし、研究者の経験や勘に頼らざるを得ず、膨大な時間とコストがかかっていました。一方、近年、情報科学技術を材料分野にも応用して、時間とコストを削減するマテリアルズ・インフォマティクス(以下MI)が注目されています。今回は、MIの基礎知識や適用事例、課題を解説したうえで、日立製作所研究開発グループの岩崎主管研究員にMIを応用した異種材料の密着強度予測技術についてお伺いしました。
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機械加工を委託する時、どの会社に任せればよいか判断できないと悩んでいる方は少なくないのではないでしょうか。一見、機械加工設備が同じなら、加工品の品質も大きな差がないと思われがちですが、実際はそう単純ではないそうです。今回は、日々見学者が訪れる静岡県の三島・沼津地域の日幸製作所に訪問、工場見学し、最近は医療・宇宙・工業用ロボットなどの新領域にも力を入れる同社が大企業をはじめとするお客様からどのような視点で選ばれているのかを伺ってきました。
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電子顕微鏡や表面分析装置、金属3Dプリンター・・・先端的なものづくり現場で使用される装置ですが、共通するパーツは何だかご存知でしょうか?その答えは、電子源。電子線の放出源となる、なくてはならないパーツです。今回は、電子源の中でも世界に数社しかないといわれる金属単結晶を使用した電子源を製造し、米国オレゴン州に拠点を置くApplied Physics Technologies, Inc.(APTech)の製品とその技術力について迫ります。
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材料の表面にミクロンサイズ以下の微細なパターンを付加する微細加工は「設計領域を拡大できる」ことで注目されており、光学部品や医療機器などの高付加価値コンポーネント開発にも活用されています。そんな微細加工技術の受託製造サービスが存在することをご存じですか?今回は、情報記録メディアの製造・開発で培った技術を応用し、微細加工を行う株式会社富士フイルムメディアクレストに同社の提供するサービスの魅力をお聞きします。
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新産業や新事業の創出にあたり期待が高まる、大学が保有する技術を活用した大学発ベンチャー。今回は、ヘルスケアの分野でIoTデータ活用サービスを開発する九州大学発テックベンチャーの株式会社Nelsite(ネルサイト)に、DGロボット(Data Gatherロボット)製品・サービス開発にあたり活用した技術や、企業と連携した事例などお話を伺い、大学発ベンチャーのリアルに迫ります。
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スマートフォンやタブレットなどの機器や電子部品、自動車や航空機に至るまで、あらゆる工業製品に組み込まれたレアメタルの安定確保は、製造業界にとって重要な課題です。今回は、非鉄金属専門商社としてトレーディング、リサイクル、コンサルティングの3領域で課題解決を行う矢野金属株式会社の矢野和義代表取締役に、同社の特徴や強み、今後の展開についてお聞きました。
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接着剤では、「しっかり接着でき、時間が経っても剥がれない」ことが重要な性能と考えられています。そのなかでセメダイン株式会社は、接着剤の常識とされてきた「剛」から「柔」へ発想を転換し、新たなコンセプトの弾性接着剤『スーパーX』シリーズを生み出します。
今回は、革新的なコンセプトの誕生秘話や、様々な用途で採用される製品が生まれた開発現場について同社 技術本部開発部長 橋向秀治氏にお話をお聞きしました。 -
様々な用途に合わせ、放熱性、導電性、オンデマンド硬化など、多種多様な機能が付加されている接着剤は、ものづくりで抱える課題解決の糸口になるかもしれません。今回は「柔」の発想で接着剤の耐久性を向上させた、セメダイン株式会社の弾性接着剤『スーパーX』に注目します。同社 技術本部開発部長 橋向秀治氏と事業本部 工業材料部課長 關口嘉巳氏に、その特徴や具体的な事例に加え、これからの時代のものづくりに求められる新たな接着剤についてお伺いしました。
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多種多様なめっき鋼板の中でも、優れた耐食性・加工性を持つめっき鋼板「ZAM(R)」。日本製鉄株式会社では、多彩なバリエーションのZAM(R)を提供しています。この記事では、ZAM(R)の中でも高い意匠性を持ち、建築業界から自動車、家電まで幅広い用途での活用が期待される「黒ZAM(R)」をご紹介します。
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槽内の温度・湿度を長時間一定に保ったり、設定どおりの温度・湿度に上昇・下降させたりする「環境試験器」や「恒温機器(乾燥器・オーブン)」。今回はこれらのカスタムを得意とする株式会社カトーにカスタムをすると何を実現できるのか、カスタム品をオーダーするにはどうしたらよいのか、根掘り葉掘り伺ってきました。
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自動車軽量化が進むなか、パネル材料には鋼板に代わり、アルミニウム合金(以下、アルミ)も使用されています。自動車の衝突安全性を高めるためにパネル材料への複雑な構造付与が必要ですが、そこで注目される加工技術がアルミ板材を加熱して軟らかい状態で成形する「アルミホットスタンプ」です。今回は、適用範囲が広がるアルミホットスタンプに関する技術のメリット・デメリットから開発状況、将来の展望について取材しました。
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高精度な試作品のスムーズな製作は、製品開発において競合優位に立つための重要な要素の一つです。今回は、アルミや鉄系材料の鋳造を中心とした加工技術を強みとする株式会社プロト(以下、プロト)の現場に潜入し、自動車をはじめとした様々なメーカーから主要部品の試作品製作を依頼される理由を探ってきました。