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1980年代後半から1990年初めにかけて日本に負けた米国がどうやって回復したのか、米国企業を取材すると、その経営戦略は筋が通っていました。前回は、世界的な半導体企業、研究機関3社(Texas Instruments・Onsemi・imec)に注目し、半導体ビジネスで世界を牽引する企業が、衰退していった日本の企業となにが違い、なぜ強くなっていったのかを見ていきました。今回は、引き続き日本の半導体産業とはまったく異なるやり方で成長する世界的な半導体企業3社(Arm・IBM・Apple)の経営戦略を紹介します。
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日本の半導体産業をダメにしたのは、勝つための経営戦略ではなく、DRAMメーカー同士を合併させよう、あるいはロジックメーカー同士をくっつけよう、と安易に規模を拡大したためです。一方で、世界的な半導体企業が、衰退していった日本の企業となにが違い、なぜ強くなっていったのかを知ることは、日本企業に参考になります。今回は、日本の半導体産業とはまったく異なるやり方で成長する世界的な半導体企業、研究機関3社(Texas Instruments・Onsemi・imec)の経営戦略を紹介します。
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半導体材料とは、半導体デバイスを製造するプロセスで使用される多種多様な材料であり、半導体の素材となるシリコンウェーハだけでなく、製造プロセスで用いられるフォトレジスト液などの消耗材やボンディングワイヤー、接着剤などの最後まで残る材料が含まれます。今回は、材料別の半導体材料メーカー動向を把握することで、日本企業が存在感を持つ半導体材料について理解を深めていきましょう。
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半導体関連企業は、顧客の設計データに基づいて半導体製造サービスを提供するファウンドリ(Foundry)半導体企業ではなく、半導体製造に欠かすことができないEDA(Electronic Design Automation)ツールを提供する半導体設計EDAツールベンダーや、半導体製造装置メーカー、半導体検査装置メーカーなどで構成されます。今回は、半導体設計EDAツールベンダー3社や半導体製造装置メーカー10社の概況を把握することで、半導体関連企業の現状を読み解いていきましょう。
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さまざまな用途に用いられるプラスチック。ここではプラスチックの加工法のうち、一次加工を終えた後に施す二次加工について、その種類や原理、特徴について解説します。
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ファウンドリ(Foundry)半導体企業は、顧客の設計データに基づいて半導体製造サービスを専門にしている半導体メーカーです。ファウンドリ半導体企業は、半導体企業でありながら自社ブランドの製品は持っていないため、その売り上げは半導体市場と別に算出されているといいます。今回は、市場調査会社TrendForceにおけるファウンドリ企業の2021年第2四半期業績ランキングを参考に、連載第27回で紹介したTOP1のTSMCを除く「Samsung」「UMC」「GlobalFoundries」「SMIC」など4社に注目します。世界の代表的なファウンドリ半導体企業に加え日本企業の状況を把握することで、世界のファウンドリ半導体企業の動向を読み解いていきましょう。
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ファブレス半導体企業は、半導体ICの設計にフォーカスし、「なにを作るか」を具現化する半導体メーカーです。ファブレス半導体企業はIDM(設計と製造を手掛ける統合メーカー)よりも成長率が高く、工場を持たない企業ながら半導体売上高ランキングTOP10でも6位以降に複数の会社が入るほどの規模にまで大きく成長しました。今回は、このランキングを参考に、「Qualcomm」「Broadcom」「NVIDIA」「MediaTek」「AMD」など代表的なファブレス半導体企業5社に注目し、世界のファブレス半導体企業の動向についてご紹介します。
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半導体業界の変遷や現状を理解するために、半導体市場動向調査会社が発表する「半導体売上高ランキング」を参考する方法があります。ランキングには、半導体トップ数十社のその年の売上高、前年度比の成長率、前年比のランキング変動、事業形態(IDM、ファブレス、ファンドリー)、本社所在地などが記載されています。今回は、2020年半導体売上高ランキングのトップ5企業「Intel」「Samsung」「TSMC」「SK Hynix」「Micron」に注目し、半導体業界の変遷と現状を解説します。
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標準化とインターオペラビリティ(相互運用性)の対応に遅れたことが、日本の半導体ビジネスが低迷した原因と考えられます。こうした環境のなか半導体メーカー、例えばマイクロコントローラ(マイコン)やFPGAメーカーは、半導体チップだけでなく、ユーザーがプログラムできるソフトウエア開発環境の提供も行っています。今回は、半導体メーカーがハードウエアだけでなくソフトウエア開発環境も提供する理由とその事例、そして標準化とインターオペラビリティの対応に遅れた日本の状況についてご紹介します。
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半導体において低コスト技術の開発が一つの重要テーマになっていた米国と比べ、日本は相変わらず先端技術の開発に重きが置かれていました。低コスト化に注目すると、半導体メモリのような大量生産品は設備投資を続け生産能力を上げるという製造にて対応が行われてきましたが、システムLSIのような少量多品種へ移行すると設計と製造の両面からアプローチが必要となっています。今回は、米国と日本の意識の違いを注目しつつ、プラットフォーム化により実現したシステムLSIの低コスト化を解説します。
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システムLSIの少量多品種に移行し、世界でリードしていたDRAMの大量生産を止めた日本。2020年に東芝がシステムLSIを生産しないという決断をし、システムLSIで成長し生き残っているのは、ルネサスエレクトロニクスだけになりました。なぜシステムLSIで日本がうまくいかなったのでしょうか?今回は、日本の半導体業界の変遷を振り返りつつ、システムLSIで日本がうまくいかなかった理由を明らかにするに加え、部品提供からソリューション提供へと変化する半導体ビジネスについて解説します。
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セキュリティや量子コンピュータにおいて半導体が使用される背景として、サイバー攻撃による被害の顕在化が挙げられます。サイバー攻撃は、従来のように企業サーバーやデータセンターのような大きなシステムを攻撃するだけでなく、個人のパソコンやインターネットにつながるIoTにもその危険が潜んでいます。そのため、ソフトウエアやハードウエアにおけるセキュリティ対策が開発されていますが、こういったセキュリティ強化にも半導体の存在が重要になっています。今回は、セキュリティで使用される半導体の3つの事例として「ID」、「認証システム」、「暗号化」、量子コンピュータで使用される半導体の2つの方式「ゲート方式」と「量子アニーリング方式」について解説します。
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自律化は、最近の大きなITメガトレンドの一つです。例えば、家庭向けの癒し系ロボットは、これまで予めプログラムされている言葉を話すこと「自動化」を行っていたのに対し、今後AIの自然言語処理技術により、相手の意味を理解し、対応すべき候補から応答してくれる「自律化」が期待されています。こういった自律化の応用では半導体が重要な機能を果たしています。今回は、半導体の果たす重要な機能に注目し、自律化の3つの応用事例として自動運転車、ドローン、癒し系ロボットについて解説します。
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ミリ波(5G)通信は、携帯電話だけでなくIoTへの利用が見込まれています。5G対応のスマートフォンも販売されましたが、2021年時点で大きく普及しているとは言い難い状況です。この普及のカギを握るのが、無線回路で用いられる半導体ICです。今回は、無線回路やミリ波を用いた高速通信技術を簡単に解説した後、ミリ波(5G)通信用アンテナに使われる半導体ICの技術動向についてご紹介します。
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樹脂部品を生産する際、数百個といった単位で量産するため射出成形という製造方法が使われます。射出成形は、金型を製造する必要があるために初期コストはかかりますが、製品1個あたりの単価を大きく下げることができます。そのためよい量産品を成形するためには、製品設計者自身が金型側の事情をある程度理解しつつ、製品設計にそれを反映させて検討する必要があります。今回は、量産を意識した製品設計において気を付ける点、「抜き勾配」「肉厚」「角R」について解説します。
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AIチップとは、例えば自動運転において自転車や歩行者など色んな物体を学習し、学習したデータから特定の物体を推定するような、機械学習やディープラーニングを行う仕組みを持つ半導体チップです。一方で、センサー端末から集めたデータをクラウドなどに上げてデータ収集・管理・保存・解析などを行い、欲しい情報に変換するIoTシステムでも多くの半導体チップが使われています。今回は、AIチップの仕組みやその市場動向に触れつつ、IoTシステムにおける半導体チップの役割についてご紹介します。
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前回に引き続き、WSTS(世界半導体市場統計)が定義する分類に基づいた、半導体製品の種類とその役割について紹介します。今回は、IC(集積回路)に含まれない非IC半導体製品に注目し、パワートランジスタや小信号トランジスタに代表される「個別半導体」、MEMSが大部分を占める「センサ」、受光・発光ダイオードやレーザーなどの「オプトエレクトロニクス」について解説します。
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市場にはおびただしい数の半導体製品が流通しています。その多種多様な半導体製品を分類する一つの指標として、統計データに基づいてWSTS(世界半導体市場統計)が定義する分類があります。今回から2回にわたり、このWSTSの半導体製品分類に基づいた、半導体製品の種類とその役割について紹介します。1回目は、WSTSによる半導体製品の分類と市場規模を解説とともに、IC(集積回路)に該当する半導体製品に注目し、「マイクロ」、「ロジック」、「アナログ」、「メモリ」について解説します。
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半導体製造の前工程では、回路パターンに沿って絶縁膜や半導体を削ったり、堆積させたりするためにリソグラフィ技術が使われており、半導体製造装置と検査装置を提供する米国や日本企業が高いシェアを示しています。一方で、かつて前工程より注目度が低かった後工程でも、技術の発展と分業化が進み台湾、中国系の企業が優位を示しています。今回は、前工程と後工程を簡単に解説しながら、各工程で高い市場占有率(シェア)を占めている企業らの最新動向をご紹介します。
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半導体は今や100億個のトランジスタを集積する時代になり、もはやこの複雑な一連の設計作業は人手に負えなくなった背景のもと、半導体を自動設計するためのソフトウェアを提供する「EDAツールベンダー」が登場しました。また、こうした設計専門会社が生まれたことで、半導体製造専門の「ファウンドリ」が誕生します。今回は、「EDAツールベンダー」が台頭した背景やその成長戦略、台湾の「ファウンドリ」事業が日本を逆転するまで強くなった理由をご紹介します。