関西(滋賀県・京都府・大阪府・兵庫県・奈良県・和歌山県)のものづくりに関連する記事を集めています。
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人体を貫通するX線の透過量データを数式処理し、体の断面画像を再構成するX線検査。病気の発見や治療に役立てた一方、強い直進力を持つX線を人体に当てると被爆するという課題があります。人体に影響の少ない、直線より弱い「波」を使って人体内部検査に利用したいところですが、そのためには応用数学上の未解決問題「散乱の逆問題」を解かなくてはなりません。今回は、この問題の解決がもたらす「見える化」の可能性に注目し、株式会社Integral Geometry Scienceの創業者であり、神戸大学大学院理学研究科教授の木村建次郎氏に、「散乱の逆問題」を解決した方法について数式を用いず、わかりやすく說明して頂きました。
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新規事業への参入・投資プロジェクトを検討される企業で参入業界の情報取得・整理・分析が行われている一方で、こと製造業においては通常の調査では得られないような業界関係者や社外有識者の知見・専門情報の獲得が重要ではないのでしょうか?今回は、自動車や電子機器での使用が進むエンジニアリングプラスチック(以下エンプラ)よりも耐熱性などに優れたスーパーエンプラという新素材に注目します。スーパーエンプラのひとつである「PPS樹脂」プラント立ち上げから携わってきた、株式会社スズキ・マテリアル・テクノロジー・アンド・コンサルティング社代表取締役社長 鈴木孝典氏にPPSのメリットや用途、市場についてお話を伺いました。
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「ものづくり」の雄のトップから「ものづくり日本」再興の指針へのヒントを伺う連載第8回では、引き続き堀場製作所の足立正之社長に、本インタビュー総括としてニューノーマルにおける日本のものづくりの展開についてお伺いました。熟練の技術者が暗黙知を若手に見える化できず分断されてしまうという課題に対して、「古いからローテクではない、真似できなければハイテク」と、先人たちの技術力を「遷宮」することが大切だといいます。
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「ものづくり」の雄のトップから「ものづくり日本」再興の指針へのヒントを伺う連載第7回では、引き続き堀場製作所の足立正之社長に、「おもしろおかしく」という社是とそれが活かされたビジネスについて詳しくお伺いました。大手自動車メーカーの排ガス規制逃れの発覚に使用された当社の排ガス分析装置に関して「当社は正しい計測値を提供しただけです」という当社の計測機器づくりへのこだわり。そのスピリットは、常識にとらわれずにニーズに沿った新しい製品づくりへと受け継がれているそうです。
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「ものづくり」の雄のトップからニューノーマルにおける「ものづくり日本」再興の指針へのヒントを伺う本連載。第6回は、京都市の小さい民家からスタートし、今や世界28か国と地域に展開している分析・計測機器の総合メーカー、堀場製作所の足立正之社長です。コロナの逆境下での現状でも、「エネルギー分野向けの計測器も生産している我々のものづくりは人々の生活を支えるエッセンシャルビジネス」という当社の社会に対する使命感とコロナ禍のものづくり現場への影響について伺いました。
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金属加工法の一種であり、常温下で金属に金型を合わせて圧を加えることで成形する冷間鍛造。冷間鍛造は、目的の形状に至るまでのプロセスが非常に重要であり、どのように工程を設計するかがその後の製造効率や製品の精度に大きく影響するといいます。今回は、1964年創業以来、冷間鍛造だけでなく金型製作も行い、自動車安全部品や工作機器部品などを製造している株式会社飯塚製作所に、同社の技術力と提案力でより安く、スピーディーに製品を仕上げるノウハウについて伺いました。
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最近よく耳にする「マイクロプラスチック」。そのものに毒性はありませんが、毒性のある残留性有機汚染物質(以下POPs)を吸着する傾向があり、様々な毒性物質の集約に関わっているといいます。また、POPsは食物連鎖によって生体濃縮が行われ間接的に胎児や幼児への影響も懸念されています。今回は、このマイクロプラスチックを藻類が出す粘着性物質を利用して除去・回収する技術を開発しているノベルジェン株式会社に、海洋汚染問題解決に向けた取り組みについて伺いました。
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構造物に発生する腐食を防ぐ主な手段として溶融亜鉛めっきが挙げられますが、沿岸地域や温泉地ではむしろさびが発生しやすく、構造物のライフサイクルコストがかかるという悩みがあるといいます。その悩みの一つの答えが、ステンレス(SUS316L)に樹脂に配合したハイブリッド塗料「ステンシェル(R)」にあるかもしれません。今回は、創業以来90年以上アルミニウム関連製品の開発・製造を行ってきた東洋アルミニウム株式会社に、同塗料の導入メリットや活用事例について伺いしました。
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車椅子が必要な障がい者が、ベッドから車椅子に乗るという一瞬の動作は、障がい者の全体重を支え立ち上がらせるなど介助者に身体的負担になっているそうです。今回は、様々なロボット開発の実績を持ち、障がい者が一人でも前傾姿勢で乗り込んで日常生活しやすい乗り物を開発した株式会社テムザックに、ユニバーサルなビークルの開発ストーリーだけでなく、将来のスマートモビリティとしての可能性まで伺いました。
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生活に欠かすことのできない電気は、利用するまで幾度となく電力変換が行われています。ところが、この電力変換時における電力損失は、全発電量の10%超を占めることをご存知でしょうか。電力損失を低減させる半導体素子として「パワーデバイス」が注目されており、様々な次世代材料が開発されています。今回は、独自の結晶成長技術により低損失化と低コストを両立した「コランダム構造酸化ガリウム」の開発ストーリーをご紹介します。
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金属3Dプリンター向けに開発された新素材「アルミニウム合金粉末(アルミニウム・パウダー)」。アルミニウム合金の持つ軽量性・耐食性に加え、後加工などで重視される高い快削性といった特徴から金属積層への適用に強い期待がある一方で、新素材開発には材料特有の課題がありました。今回、この新素材について私たちが知っておきたいことを、アルミニウム粉末の国内生産を行う東洋アルミニウムの今井宏之氏にお伺いしました。
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金属を接合する圧接方法のひとつである「摩擦圧接」。「摩擦接合」の最前線に注目するなかで、中編では低温度で接合部の強度低下を抑え、極力素材を変形させずに接合できる「低温摩擦接合」を取り上げます。前編に引き続き大阪大学接合科学研究所の副所長藤井英俊教授グループに、低温摩擦接合技術が生まれたきっかけや、その技術がもたらすCO₂排出量抑制などの効果について詳しくお話をお伺いします。
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目的の形状を実現するため複数の素材を結合させる「接合」。中でも、金属接合のひとつである「摩擦圧接」は摩擦熱以外の熱源を必要としないこと、溶接棒やフラックスが不要でかつ接合時にガスやスパッタが出ないことが特徴です。「摩擦接合」の最前線に注目するなかで、前編では接合分野で国際的に研究成果を発表する大阪大学接合科学研究所の副所長藤井英俊(ふじい・ひでとし)教授グループに「摩擦攪拌接合」についてお話を伺います。
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『部品の仕事』第10回は電子部品専業メーカーの村田製作所後編です。EVや自動運転に用いられる車載センサーの開発に加え、同社の小さくて高性能を誇るコンデンサーなどの世界シェアナンバーワン製品のビジネスについてお話を伺うことで、部品研究者の幸せや部品会社での仕事の魅力について野地氏が迫ります。
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野地秩嘉氏の連載『部品の仕事』第9回は、世界シェアナンバーワン部品も有する電子部品専業メーカーの村田製作所です。自動運転技術が進化する中、自動車に数多く搭載されたセンサーは、とくに安全を担保するための役割として重要な自動車部品ととらえられています。今回は、同社が開発する車載センサーの歴史や役割をお伺いしながら、部品会社の仕事に野地氏が探ります。
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『部品の仕事』第6回は自動車部品の老舗電池メーカーGSユアサ後編です。GSユアサでは、どのように電池開発が進められており、これからの電池をどう考えているのでしょうか。前編に引き続き、GSユアサの特色から電池開発の仕方、電池の寿命、未来の電池を伺うなかで、多方面から開発現場における部品の仕事にせまります。
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野地秩嘉氏の連載『部品の仕事』第5回は老舗電池メーカーGSユアサです。GSユアサは、日本の蓄電池の祖と呼ばれるふたり(島津源蔵、湯淺七左衛門)が創立した会社が2004年に経営統合されて誕生しました。今回は、今後のEV車などの増加に向けて開発が進められる自動車車載電池に注目し、車載電池開発の仕事やこれからの電池の姿を探っていきます。
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高精度な試作品のスムーズな製作は、製品開発において競合優位に立つための重要な要素の一つです。今回は、アルミや鉄系材料の鋳造を中心とした加工技術を強みとする株式会社プロト(以下、プロト)の現場に潜入し、自動車をはじめとした様々なメーカーから主要部品の試作品製作を依頼される理由を探ってきました。
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人にとって、植物のない生活は考えられません。その植物の体を構成する主要な成分が「セルロース」です。近年、この植物がもつセルロースから新たな素材セルロースナノファイバー(CNF)を生み出し、活用する試みが拡がっています。この記事では、エレクトロニクス産業に向けて、プリンテッド・エレクトロニクス(PE)の適用を進めるCNFの技術動向についてご紹介します。
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優良な加工業者と組むことで、製品加工のクオリティ向上のみならず、加工工程の円滑化や効率化、製品性能に寄与する加工品の設計改善まで期待することができるかもしれません。今回は、業界を牽引する中野鍛造所の神鍋工場を見学し、バリなし鍛造をはじめとする進化する熱間鍛造技術を目の当たりにしてきました。