中部(山梨県・長野県・岐阜県・静岡県・愛知県・三重県)のものづくりに関連する記事を集めています。
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自動車の更なる軽量化を実現するためにアルミ合金部品の製法に求められているのは、鍛造と同等以上の強度、ダイカストに近い生産性、鉄と同等以上のコストレベルだといいます。その実現に挑んでいる企業のひとつが、アルミの半凝固スラリーを用いて高圧鋳造する「半凝固ダイカスト法」を開発しているHGプレシジョンです。今回も引き続き、同社に「半凝固ダイカスト法」から鍛造並みの強度を得るために改良中の「半凝固プレス法」の開発ストーリーと自動車の軽量化への可能性について伺いました。
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鉄やアルミ合金などの金属材料の鋳造法として広く使われている「ダイカスト法」。この加工法は、複雑な形状の製品をひとつの工程で量産し生産コストを削減できる等の長所がある一方、加工品の精度を落とす「気泡巻き込み」や「引け巣」の欠陥が生じうるという短所もあります。今回はその欠陥を減らす方法の一つとして、アルミニウムの「半凝固状態」に着目し、「半凝固ダイカスト法」を開発しているHGプレシジョンに話を伺いました。
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機械加工を委託する時、どの会社に任せればよいか判断できないと悩んでいる方は少なくないのではないでしょうか。一見、機械加工設備が同じなら、加工品の品質も大きな差がないと思われがちですが、実際はそう単純ではないそうです。今回は、日々見学者が訪れる静岡県の三島・沼津地域の日幸製作所に訪問、工場見学し、最近は医療・宇宙・工業用ロボットなどの新領域にも力を入れる同社が大企業をはじめとするお客様からどのような視点で選ばれているのかを伺ってきました。
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産業の空洞化だけでなく、地域医療の存続も課題となっています。高度な技術を要する外科手術では、構造が複雑かつ独特な質感の臓器を扱うため、経験に頼る部分が大きいものでした。こうした経験不足を埋め若手医師や研修医の技術を高めるため、地場の中小企業2社と地域医療機関が手を組み、安価、かつ精巧な臓器模型を製作する取り組みが始まっています。今回は、引き続き伊那市で進められている共同開発プロジェクトについてご紹介します。
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中小製造業は、顧客から依頼される仕事をこなすのは得意で、自ら新しい商品を開発して事業化することは不得意だと言われてきました。一方で、中小製造業発の「完全地産」の取り組みとして2013年に「製造業ご当地お土産プロジェクト」が長野県伊那市で始まっています。今回は、デジタルモールドという新しい技術で医療やその他の分野でイノベーションを起こそうとする伊那市のものづくり企業を取材しました。
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『部品の仕事』第22回(最終回)は自動車内外装のトータルサプライヤーである名古屋の林テレンプ後編です。EV時代を迎え自動車業界が大きく変化していくなか、車の内装部品の一つであるフロアカーペットの機能を高めるためにはどのような研究開発が行われているのでしょうか。万人が好きな静かさを追求するために当社が構築した「音」の研究開発現場を伺いながら、「部品の仕事」をする人物像について野地氏が迫ります。
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今回で第21回となる、1年近く連載を続けてきた野地秩嘉氏の『部品の仕事』。最後にご紹介する会社は、永きにわたって自動車内外装を手掛けてきた名古屋の林テレンプです。私たちが車に乗るたびに目にし、触れる、身近な“部品”である車の外装と内装。以前は単に“加飾”としてだけの内装が、近年、より具体的な機能を求めて開発されてきたと言います。今回は、車の内装部品の一つであるフロアカーペットの製作過程やその機能を伺いながら、「内装部品の仕事」を探っていきます。
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『部品の仕事』第20回はボールジョイントなどの自動車部品を開発・製造している浜松のソミック石川の後編です。自動車には欠かせないボールジョイントですが、『利益の10%は耐久試験、開発にまわす』同社において、その性能を高める技術や方法には何があるでしょうか。さらに、技術者が語るボールジョイントに対する思いと「完成車開発の一端を担っている」部品の仕事へのモチベーションについて野地氏が探ります。
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野地秩嘉氏の連載『部品の仕事』第19回は、ボールジョイントなどの自動車部品を扱う浜松のソミック石川です。どんな車にも必ず装備されているボールジョイントは、タイヤとサスペンションアームの間で関節のように働き、路面からの衝撃や振動を吸収する、言わば事故を起こさないために壊れてはいけない部品です。今回は、ボールジョイントの基本的な役目から、設計ノウハウまで伺うなかで、「走っている車の数だけ売れる部品」の仕事に迫ります。
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『部品の仕事』第18回はクラッチを開発・製造している会社エフ・シー・シー(F.C.C)の後編です。ギアシフトが必要ないとも言われるEV時代に今後クラッチメーカーはどういう形で対応し、クラッチはどう活用されていくのでしょうか。レースによって磨かれるというクラッチの技術をお伺いしながら、試作部門と開発研究部門がチームになって必死に考えて提案をしていくという部品会社での仕事の魅力や将来性を野地氏が探ります。
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クラッチ、と聞けばマニュアル自動車を運転したことがある読者ならば馴染み深い言葉でしょう。運転好きなら「半クラ」という足さばきがお得意な方もいらっしゃるでしょう。野地秩嘉氏の連載『部品の仕事』第17回では、長くクラッチの製造を手掛けている静岡のエフ・シー・シー(以下F.C.C.)を訪ねました。野地氏はここでクラッチの奥深さを知ることになります。
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『部品の仕事』第14回はワイヤーハーネスの開発・製造を行う矢崎総業後編です。EV化へとシフトしていく自動車業界のなかで、ワイヤーハーネスの設計にはどのようなことが求められるのでしょうか。また、今後ワイヤーハーネスの構造はどのように進化していくのでしょうか。最終的にはまったくユーザーには見えない部品、すなわち「縁の下の力持ちとして活躍する」部品の仕事に野地氏が迫ります。
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野地秩嘉氏の連載『部品の仕事』第13回はワイヤーハーネスを開発・製造している矢崎総業です。車に張り巡らされたワイヤーハーネスは、電源となるバッテリーから電気を使って動く各種機器までの経路そのものであり、役割から「車の血管であり神経」に例えられます。今回は、ワイヤーハーネスの役割や本数や長さなど構成に加え、車両採用に向けた軽量化や設置検討など時代に応じた課題に対しどのような工夫をしてきたのか、仕事現場の変遷をひもときます。
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航空宇宙産業が盛んな愛知県で、医療用機器向けの電磁弁や流体機器の中堅専門メーカーとして国内外で高い評価を受けてきた創業60周年の高砂電気工業。この企業も航空宇宙分野へ意欲的に進出しようとしています。その戦略を浅井社長はじめ担当者の方にお伺いしました。
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近年、合従連衡と寡占化が進む世界の航空機産業。ボーイング社とエアバス社の下に続く中型機メーカーもほとんどが外国勢です。日本ではMRJが、そこに割って入ろうとしていますが、そう簡単ではありません。今回、航空機の構造体組み立てや艤装、塗装などを主な業務として行う愛知県弥富市の株式会社エアロに現状を伺いました。
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現在、空の移動手段と言えば主に飛行機とヘリコプターです。しかし、目下期待されているのが人を乗せて空中を移動する「空飛ぶクルマ」です。日本には空飛ぶクルマを目指して活動する企業や団体がいくつかありますが、今回、空飛ぶクルマの共同開発を行う有志団体CARTIVATORと株式会社SkyDriveの2つの組織に、そのビジョンや技術的な実現性についてお話を伺いました。
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戦前から日本の航空産業を支えてきた愛知県。この系譜は敗戦でいったんは途切れたものの、戦後初の国産機YS-11の生産が愛知県小牧市で行われたことで息を吹き返します。今回、愛知県を中心とした中部地域が牽引する国内航空宇宙産業の現状と愛知県の支援内容について愛知県経済産業局の方にお話を伺いました。
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前編に続き、3Dプリンターでの試作などの可能性について名古屋のJ・3Dの高関二三男(たかせきふみお)社長に話を聞いていきます。後編では、ユーザーが用意すべき設計データ、金属3Dプリンターによる造形の可能性と技術的な限界、コスト、他社との連携などについて説明していただきました。
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金属3Dプリンターは、MITテクノロジーレビュー誌が選ぶ2018年の「ブレークスルー・テクノロジー10」の一つに選ばれたように最近になって注目を集めている技術です。今回は、早くから金属3Dプリンターを導入し、高い成長率と技術力、実績を備えた企業として一頭地を抜く存在で、受託造形出力サービスを行っているJ・3D(名古屋)の代表取締役高関二三男(たかせきふみお)氏にお話をうかがいました。
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評価結果は開発の方針を導き、開発のスピードやコストに大きく左右します。 開発品の評価も、開発品そのものの競争力を上げる一因であると言えるのではないでしょうか。また、開発品の競争力が高いほど、評価を行うこと自体の難易度が高く、評価方法の確立に時間が割かれ、本来の開発業務に集中できないといった悩みがある方もいらっしゃると思います。 今回は中部地区のテストラボでトップシェアを誇るJTL社(JAPAN TESTING LABORATORIES株式会社)の野原祐樹社長(写真下)に日本の製造業の開発競争力を上げるためにこれからの開発品評価体制がどうあるべきかお聞きしてきました。