北海道と東北(青森県・岩手県・宮城県・秋田県・山形県・福島県)と北陸(新潟県・富山県・石川県・福井県)のものづくりに関連する記事を集めています。
-
3Dプリンターで食品をつくることが現実の話となってきました。以前より食品業界で普及していたフードプリンターは、食品に食べられるインクを用いて直接文字や絵柄、写真をプリントできる装置です。一方で、3Dフードプリンターは、食材を3次元の設計データをもとに立体造形し、形状や食感が制御された食品を製造できる装置です。山形大学では、柔らかいゲル状の素材を用いた3Dプリンター技術を応用し、ソフトでありつつも複数の味と食感を持つ介護食を開発しています。今回は、山形大学有機材料システムフロンティアセンターの川上准教授に、3Dフードプリンターの開発経緯や開発した介護食の可能性についてお話を伺いました。
-
発電所で作られた電気を引き込み、負荷へ配電するための設備である受配電盤。プラグインブレーカーや溶断表示付きヒューズといった高性能な機器を使用することで現場での誤配線、ヒューズが切れたことによる誤計量などのさまざまなトラブルから顧客を守り、製品の品質を安定させることができると言います。今回は、山形県東置賜郡に本社を構える、受配電盤の製造メーカーである株式会社上和電機に同社の強みやそれを実現する社内体制などについて話を伺いました。
-
ストレスチェックとは、人が心(精神)や身体に外部からの刺激(ストレッサー)に適応しようとして心や身体に生じた様々な反応(ストレス反応)を調べる検査です。平成27年12月以降、「労働安全衛生法」の改正によって50人以上の労働者がいる事業所でストレスチェック制度の実施が義務化されました。こうしたなか、目に見える身体ではなく、心の健康を可視化することが注目されています。今回は、メンタルヘルスの計測技術に注目し、シリコンバレーのIoTスタートアップYume Cloud日本法人と共同でメンタル自己管理サービス「マインドスケール」を開発した山形大学の横山准教授、原田助教に話を伺いました。
-
人手不足や生産性の向上など導入することで様々なメリットが得られる省力化機械。少子高齢化による人口減少と人手不足や技術の更新や革新によって、まったく新しい製品の製造を担う装置がほしいという要望が新たに生まれていることから省力化機械に対するニーズは年々高まっていると言います。今回は、山形県長井市にある省力化機械の製造を多岐にわたって手掛ける株式会社フューメックに省力化機械に関する基礎や潮流などについてお話を伺いました。
-
検査治具とは、目的に合わせてゲージや測定機を使って製品の良し悪しを判断・検証する工具のことです。検査治具は、誰でも、簡単に、正確に、製品の良し悪しが判断できます。例えばゲージによる検査は作業者の技量の差が出づらく、扱いやすいというメリットがあり、目的に合わせた製品の良し悪しを、誰もが素早く判断することができるそうです。今回は、宮城県にある金型製作や精密部品加工、各種自動機の設計製作など、金属加工を専門に行う、大研工業株式会社に検査治具に関する基本事項や潮流、加工時の要件などについてお話を伺いました。
-
製缶加工では小型の製品の場合、一般的に製缶加工ですべてを組み立ててから機械加工しますが、大型製品を機械加工するとなると対応できる機械が限定され、機械加工に膨大なコストが掛かります。しかし、組み立て順序を加味し、製缶技術で溶接しながら部品を組み立てることで指定の公差を守ることができ、機械加工したのと同じ精度の製品に仕上げることができ、高い精度を保ちながらもトータルコストを抑えられるそうです。今回は、産業機械部品における製缶加工と機械加工、メンテナンスの3事業を手掛ける北海道伊達市にある株式会社ミヤタ技研工業に躍進し続ける理由や原動力についてお話を伺いました。
-
近年北海道では酪農の集約、大規模化が進んでいますが、従来の日本の酪農方法である「舎飼い」では生産効率が上がらないなどから、「放牧」への転換が注目されています。しかし、大規模な放牧でも、「放牧のエリア選定」や「牛追い」など人手不足による課題があるといいます。今回の後編では、人手不足を解決する北海道の「宇野牧場」の取り組みの中で、システム開発会社と協業しAIやドローンなどIT技術を駆使し放牧の課題を解決しようとする事例についてご紹介します。
-
酪農は、広大な土地を生かして古くから北海道で盛んに行われており、現在も日本の生乳生産量の50%以上を占める一大酪農地域となっています。一方、他の第一次産業と同様に人手不足という問題に直面しています。今回は、酪農の人手不足を解決する取り組みに注目し、その一つの例として、北海道の「宇野牧場」が行っている取り組みについて2回にわたってご紹介します。前編では、日本の酪農の動向、特に酪農の「大規模化」の動きや、それに伴う従来の「舎飼い」から「放牧」への転換、「放牧」の特徴についてご紹介します。
-
Auスタッドバンプとは、いわゆる「金の突起電極」のことで、ICチップの回路の端子と基盤の回路をつなぐためのものです。スタッドバンプには、Auスタッドバンプのほかに、はんだのスタッドバンプなどいくつか種類がありますが、その中でも高い信頼性や精度が求められる製品には、Auスタッドバンプが使われるそうです。今回は、電子部品の製造や検査など半導体の後工程のものづくりを手がける北海道函館市にある函館電子株式会社にAuスタッドバンプがIoTの流れの中で存在感を高めている理由についてお話を伺いました。
-
国連(UN)が2015年に採択した17の「持続可能な開発目標(SDGs)」のうち、目標6である「安全な水とトイレを世界中に」。世界の人びとに安全な水と衛生へのアクセスを確保することが掲げられており、自宅にトイレのない生活を送っている約20億人など不衛生な環境に置かれている人々のための施策が求められています。今回も引き続き、水を使わずに微生物の力で排泄物を処理する「バイオトイレ」を開発・販売している正和電工株式会社 代表取締役 橘井敏弘氏に、ベトナムの世界遺産・ハロン湾に導入したバイオトイレなど発展途上国での利活用事例についてお話を伺いました。
-
前編では、日本のトイレの9割が公共下水道または合併処理浄化槽を使って処理されていますが、1割はまだ汲み取り式などの非水洗トイレであり、そうしたトイレにバイオトイレが適しているという解説と、正和電工がバイオトイレの開発を始めるきっかけについて紹介をしました。しかし、上水道も下水道も浄化槽も必要なく、糞尿が消滅し、匂いもしない、良質な肥料ができるトイレがあることを、世間にはなかなか認知してもらえず、国内では法律の障壁もあり、認められるまでには長い年月がかかりました。中編では、日本で認められるまでのストーリーを紹介します。
-
トイレは私たちが当たり前のように毎日使用していますが、日本のおよそ9割が使用している水洗式トイレは、都市部のように下水道が整備なしでは使用できない設備であり、人口密度の低い農村部などでは汚水処理の設備が整っておらず汲み取り式トイレが使われています。日本のおよそ1割が使うこの汲み取り式トイレは、衛生面で安全とは言えません。今回は、水を使わずに微生物の力で排泄物を処理する「バイオトイレ」を開発・販売している正和電工株式会社 代表取締役 橘井敏弘氏に、バイオトイレが必要な理由と、26年前から開発を始めたきっかけ・商品化までの道のりについてお話を伺いました。
-
複数工程の加工を1台で終わらせることができる同時5軸複合旋盤装置。同時5軸複合旋盤装置を導入することで、汎用機を使い、人の手で3日かけて行っていた作業を1〜2日の納期短縮ができ、製品の精度にばらつきが出ないと言います。また、同時5軸複合旋盤装置は、量産にも向いているので、受注できる製品の幅も広がったそうです。今回は、北海道旭川市にある農業用器具やベルトコンベアの設計から製造、据え付け、メンテナンスまでを一貫して行っている三榮機械株式会社に加工技術やものづくりへの思いについてお話を伺いました。
-
装置内に人工的に温風を発生させ、投入した木材を乾かす木材乾燥機。自然乾燥で3〜4ヶ月かかる工程を7〜10日ほどに短縮できる利便性から導入が拡大しています。木材乾燥機は乾燥中に複雑な操作を行う必要がないので、装置の品質が仕上がりを左右するそうです。今回は、木材乾燥機の製造ならびに販売事業を手掛る北海道上川郡に本社を構えるヒグマ乾燥機株式会社に木材乾燥機の概要と製品選びのポイントと、木材乾燥のノウハウを活用した木質バイオマス温風発生装置「エコボイラ」についてお話を伺いました。
-
建築金物の種類は、大きいものでは外壁の金属パネルや手すり、小さいものでは傘入れに至るまで、多岐にわたります。特にオーダーメイドの製作金物は、個人の知識と技術を結集して作り上げるもので、設計者や製作の力量が製品の良し悪しに直結するため、常日頃から技術や知識のアップデートが欠かせないといいます。今回は、北海道や東北地方を中心に、建築金物や通信鉄塔事業の設計、製作、施工を手掛ける北海道札幌市にある株式会社郷葉に時代の変化を踏まえて、建築業界や土木業界では今どのような課題があり、どのような解決策を生み出してきたのかお話を伺いました。
-
鋼に匹敵する硬度を持つマルテンサイト鋳鉄。通常鋼が硬さを出すためには焼き入れ処理(加熱後、急冷却する処理)を行いますが、焼き入れ処理を行った金属は外周部より内部の方が柔らかくなります。しかし、マルテンサイト鋳鉄の場合には、外周部と内部で硬度の差がほとんどないそうです。今回は、山形県山形市鋳物町に本社を構え、主に重機や昇降機に用いられる機械部品の鋳造を手掛ける有限会社渡辺鋳造所に同社が開発した、鋼と同等の硬さを持つ鋳物が作れる素材「マルテンサイト鋳鉄」についてお話を伺いました。
-
粉末金属材料を敷いた床上にレーザーをあてて溶融凝固させながら造形(粉末床溶融結合法)する金属3Dプリンター。前編で解説した金属3Dプリンターによる造形プロセスの課題は、造形品質のばらつき以外にも、熱収縮による応力によって生じる反り変形があります。今回も引き続き、金属3Dプリンターの造形物の品質向上に向けた技術研究を行っている石川県工業試験場に、熱収縮による反り変形が生じる理由や「マルテンサイト変態」を利用した変形低減への取り組みについてお話を伺いました。
-
金属3Dプリンターでの造形技術は、金属加工では難しい複雑な形状の部品を強度はそのままに軽量化させたいといった用途に使われることが多いですが、機械加工と比べると品質にばらつきが生じやすいという課題があります。今回は、金属3Dプリンター造形物の品質向上に向けた研究を行っている石川県工業試験場に、金属3Dプリンターによる造形プロセスの課題や造形品質がばらつく理由を解説して頂いた後、同研究所で開発しているAI機械学習による造形品質のリアルタイム診断技術についてお話を伺いました。
-
ばねは、身の回りにある自転車やボールペンなどに使用されるほか、自動車や船舶、印刷機械など様々な産業で使われています。どの製品にも部品のトラブルはつきものですが、ばねも使っているうちに寸法が徐々に変化し、ばねの力が弱くなっていく「へたり」や折損などが生じます。しかし、このようなばねのトラブルも工夫次第で折れにくい、変形しにくいばねに変われるといいます。今回は、山形県でばねの設計・製造会社を行っている鶴岡発條株式会社に、ばねのトラブルを解決するポイントと、同社の誠実な試作品製作ノウハウを伺いました。
-
産業装置部品の機械加工・製造を短納期・高精度で行うことは簡単ではありません。短納期・高精度の加工を実現するために、多能工化は大きなポイントです。多能工化を実現するために自主的な相談なども日常的に行い、学びあう姿勢を大事にし、朝夕の全員ミーティングをはじめ、社内コミュニケーションを増やす工夫がされているそうです。今回は、創業当初から一貫して産業装置部品の機械加工・製造を行う山形県米沢市の有限会社髙榮工業に産業機械部品を中心に仕事の依頼が絶えない同社の強みとものづくりへの姿勢についてお話を伺いました。