試作屋さんが教える!コスト・納期に効く、発注時に注意したいポイント6つ (1/3)

はじめに

この記事では試作のプロの方のお話を紹介します。(株)仙北谷代表取締役社長 仙北谷英貴氏です。(株)仙北谷は1953年にプレス加工会社としてスタートし、現在では切削・放電加工・3Dプリンター加工を用いて、試作・単品加工、治工具や金型の設計製作を中心に事業を展開している会社です。
要望があれば顧客へのコンサルティングにも対応しており、ホームページには、仙北谷社長の経歴を含め、これまでの実績や加工技術に関する豊富な解説と事例が掲載されています。 ダイカスト部品の設計や切削加工を想定した試作において、駆け出しの研究開発者が陥りがちな設計ミス、およびその際に注意すべきポイントを加工業者の経験談としてお伺いしました。上記ポイントを押さえれば、より早く、より安く外部の加工事業者を活用した試作が実現できるかもしれません。ぜひ、ご参考ください。

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それでは、まずは切削加工時に注意したいポイントから解説していきましょう。

ポイント1:平面に突起物のある部品は2部品にしてコストダウン

平面に突起物がある<図1>のような部品の設計をしようとしています。単一部品として切削加工で製作することは不可能ではありませんが、A面の平面度の条件が厳しい場合、突起物を避けるように慎重な削り出しを行うため、非常に長い時間を要してしまいます。

「平面度の条件が厳しい箇所には、研磨加工を行うことができれば加工が早く高精度に仕上がる。しかし、突起物がある部品の場合にはマシニング加工で慎重に削っていく必要がある。しかし、マシニング加工は研磨加工に比べて平面度を出しにくい加工です。そこで、単一部品(一体であること)に拘らなければ、研磨加工を施した平面部品に穴をあけ、ピンを挿入<図2>できれば時間もかからず低コストの試作ができるのです。」

<図1>切削加工(マシニング加工)にて平面度を出しにくい部品例(立体イメージ)
<図2>切削加工(マシニング加工)にて平面度を出すための改善例(ピン挿入)(立体イメージ)

ポイント2:薄肉部品の設計では、図面に入れる寸法公差は部品の機能を理解して設定すべし

コの字型の断面をもつ<図3>のような(他の部品を挟み込むような)薄肉の押さえ部品を設計する際、<図3>開口部の寸法lに公差の縛りを入れる設計者がいます。薄肉製品では加工後の変形が避けられないため、lの寸法精度を要求されてしまうと、加工難易度があがり加工業者さんを悩ませる原因となってしまいます。

「一般的に<図3>のような形状は、別の部品にはめるための押さえ部品でよく見られる構造です。薄肉であればコの字の先端部分は相手部品にならって変形するため、lの寸法精度はほとんど必要ありません。相手部品に組み付くかどうかは、むしろ<図4>l’の寸法精度の方が重要です。しかも、<図4>l’の寸法精度は出しやすく、加工の難易度は下がります。lに寸法公差を入れる設計は無駄な費用がかかるだけでなく、機能を満足しない場合も出てくるわけです。」

研究開発者が各種検討・設計を行う際は、コンピュータ上で完成図(今回のケースでは部品組合せ図)<図5>を見ていることが多いと考えます。
今回のように、そのなかの一部品を外注試作に出すケースでは、部品ごとの機能を理解して寸法公差を定めることが大切とのコメントを頂きました。

<図3>寸法公差(精度)の設定で加工難易度があがってしまう薄肉部品例
<図4>適切な寸法公差(精度)の設定をおこなった薄肉部品例(改善例)
<図5>設計時に確認する薄肉部品完成図(部品組み合わせ図)(イメージ)
<図5>設計時に確認する薄肉部品完成図(部品組み合わせ図)(イメージ)
ポイント3:スリット入りの薄肉円筒形状の設計図面では、真円度の指定の方法に工夫が必要 次ページ

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