切削、研削、砥粒研磨…加工工程を設計する際に知っておきたい、金属除去加工の基本的な特徴

はじめに

「切削加工(除去加工)」とは、「不要な部分を取り去り所定の形状を作る」ことです。各々の材料は、硬い材料、軟らかい材料、脆い材料、伸びて切れにくいなど種々の特徴があります。これら特徴を持つ材料に対して、効率的に所定の形状の部品に作り上げるかが人類にとって長い間の課題でした。現在用いられている除去加工法は、先人の知恵が集積した技術体系となっています。

この記事では、切削加工、研削加工、研磨加工、放電加工などに代表される金属除去加工の基本的特徴を分かりやすく解説します。

また、他の記事では、金属加工の種類やそれぞれの特徴についてまとめています。こちらも合わせてご参考下さい。

金属除去加工は主に、切削、研削、砥粒研磨、放電加工の4つに分類ができる

<表1>に主な除去加工の原理と加工名、およびそれに使用する機械と工具を示します。それでは、<表1>に挙げた各種加工方法について、代表的な加工方法について詳しく見ていきましょう。

<表1>金属除去加工の分類
原理方式 加工名 使用機械、工具
切削 旋削加工 旋盤、バイト
フライス加工 フライス盤、フライス
穴あけ加工 ボール盤、ドリル
歯車加工 ホブ盤、ホブ
ブローチ加工 ブローチ盤、ブローチ
研削 平面研削 平面研削盤、砥石
円筒研削 円筒研削盤、砥石
芯なし研削 芯なし研削盤、砥石
両面研削加工 両面研削盤、砥石
ホーニング ホーニング版、砥石
超仕上げ 砥石
ELID加工 ダイヤモンド砥石
砥粒研磨 ラップ加工 ラップ盤、砥粒
バレル加工 バレル機、メディア
放電加工 ワイヤ放電加工 ワイヤ放電加工機、ワイヤ
型彫り放電加工 放電加工機、型

切削加工について、押さえておくべきポイントとは?

切削は、刃物を使って工作物(ワーク)を削り所定の形状にする加工方法で、効率よく高い精度で加工が可能なため、各種の機械部品を製作するときによく使われます。
代表的な切削加工は、旋削加工、フライス加工、穴あけ加工の三つに大別されます。
<図1>に切削に使用される代表的な工具を示します。バイトは旋削加工(旋盤加工)に、フライスはフライス加工(フライス盤加工)に、ドリルは穴あけ加工(ボール盤加工)に使われます。加工形状に合わせ適切な加工機と工具を選択するが重要です。

切削工具の代表例(旋削加工、フライス加工、穴あけ加工)
<図1>切削工具の代表例

<図2>は、平削りと呼ばれる方式で金属が切削される様子を示しています。切削工具(バイト)を工作物に当てて矢印の方向に工作物を動かすことで、工作物は部分的に大きな力を受け塑性変形し、最終的には切りくずとなって工作物から除去されます。この塑性変形に伴うワークの発熱と、切りくずが刃物とこすれる摩擦熱が発生し、刃物の温度が800℃以上になることがあります。このため、切削中の刃先には大きな力がかかり、高温になりますが、これに耐えることができる工具材料が種々開発なされてきました。なかでも高速度鋼、超硬合金は工具材料の主力となっています。

平削りと呼ばれる切削方式中の刃物の状況
<図2>切削中の刃物の状況

切削加工を効率良く行なう刃物には、次の3つポイントを抑えておくことが重要です。

① 工作物に比べてバイトのほうが硬いこと

② バイトと工作物の接触状態が良いこと。
※バイトの刃先磨耗などで、刃先が鋭利でなくなってくると、削り効率が悪くなるだけでなく、削り面も粗くなります

③ バイトと工作物の相対運動(位置関係)が適切であること。切削速度、刃物送り速度、切り込み深さ、等

続いて、旋削加工、フライス加工、穴開け加工の順に詳しく解説していきます。

1 旋削加工(旋盤加工)

加工物を回転させて刃物で削る方法です。刃物としてバイトが使用されます。 <図3>に示すようにバイトの形状を変えることで種々の加工を行うことができます。

旋盤加工(外丸削り、面削り、ドリル穴あけなど)の種類とイメージ
<図3>旋盤加工の種類

<写真1>にバイトを用いた加工品の製作例を示します。外丸削り、面削り、ねじ切りなどを施すことで、各種治具、ねじなどの接続部品の製作に適しています。

バイトを用いた加工品の製作例
<写真1>バイトを用いた加工品の製作例

2 フライス加工(フライス盤加工)

加工物を、<図4>に示す円筒の外周や端面に2枚から多数の切れ刃を持つ切削工具(フライス)用いて削る方法です。フライスを用いて平面や溝などを作る工作機械をフライス盤と言います。

フライス
<図4>フライス

<図5>にフライス加工の種類を示します。エンドミルは平面切削・溝の加工に、正面フライスは大きな平面加工に、側面削りは横フライスが用いられます。

フライス加工の種類
<図5>フライス加工の種類

<写真2>にフライス盤を用いた加工品の製作例を示します。基本的には平面で構成される部品製作に適しています。

フライス盤を用いた加工品の製作例
<写真2>フライス盤を用いた加工品の製作例

3 穴あけ加工(ボール盤加工)

工作物の穴あけ加工には、穴あけ専用刃物のドリルが使用されます。<図6>にドリルの外観を示します。ドリルの直径はJISにより規定されています。たとえば4mmねじのネジ穴を作りたい場合、ねじの下穴径もJISで規定されていますので、図面では、ねじ直径(例えば4mmのねじならM4)の指示とねじの下穴径を指示すれば良いのです。

穴あけ加工で用いるドリルの寸法用語
<図6>ドリル

また、<図7>にボール盤加工の種類を示します。<図8>は使用工具の外観です。
ボール盤で行う主な加工に きりもみ、リーマ通し、ねじ立てがあります。リーマは穴径公差の厳しいケースに使用して、精密な穴径を得るときに使います。ドリルで下穴をあけたのち、リーマ通し加工を実施します。ネジ穴についても、同様にドリルで下穴をあけたのち、ねじ立てのタップをボール盤に取り付けねじ切を実施します。タップの先端部をドリル形状とし、穴あけとタップによるねじたてを同時に行うタップもあります。

<図7>ボール盤加工の種類(きりもみ、リーマ通し、ねじ立て)
<図7>ボール盤加工の種類
<図8>ボール盤使用工具(きりもみ、リーマ通し、ねじ立て)
<図8>ボール盤使用工具

<写真3>にボール盤を用いた加工品の製作例を示します。<写真3>で示した素材に近い丸棒穴あけ以外にも、回路基板の細密な多数のスルーホール加工にも使用されます。

ボール盤(ドリル)を用いた加工品の製作例
<写真3>ボール盤(ドリル)を用いた加工品の製作例

研削加工について、押さえておくべきポイントとは?

研削 (grinding)は、高速回転する砥石車(grinding wheel)によって加工物の表面を削り除去し<図9>、切削加工に比べより平滑な面を得る機械加工の一種です。

研削加工(砥石の構造)の構造図
<図9>研削加工(砥石の構造)

研削加工で用いられる「砥粒」の種類(材料)には下記のようなものがあります。

(1) アルミナ系:一般鉄鋼・工具鋼などの鋼材に加工に好適

(2) 炭化ケイ素系:アルミニウム・銅・超硬合金など、非鉄、非金属加工に好適

(3) 超砥粒(ダイヤモンドやCBN(立方晶窒化ホウ素(Cubic Boron Nitride)):硬いもの例えば焼入れ鋼、セラミックスの加工に好適

研削加工では、<図9>に示した非常に硬い砥粒の微小突起でワークを削るので、加工された面の表面粗さは非常に小さくなります。切削加工では満足できない精度を要求されるときは、切削加工によって仕上げた工作物の表面を、研削砥石で加工します。研削加工のメリットとして、下記の3つのポイントがあげられます。

(1) 工作物の形状、寸法などの加工精度を高めることができる

(2) 表面粗さを小さくし滑らかにできる

(3) 切削できない硬い材料の加工に使うことができる
※焼き入れ鋼の研削加工、セラミックスの加工 等

<図10>に研削加工の種類を示します。平面研削、円筒研削、内面研削、心なし研削など、加工物の形状や研削を施す位置に応じてさまざまな方法があることが分かりますね。

平面研削、円筒研削、内面研削、心なし研削加工の概要図
<図10>研削加工の種類

1 平面研削盤

<写真4>に平面研削盤を用いた加工品の製作例を示します。平面研削盤は、砥石車に回転運動、切り込みを、工作物に送りを与えて、工作物の表面を研削する工作機械です。切削加工が難しい硬い焼入鋼、セラミックスの工作物でも加工ができます。
また、加工精度が良いため、仕上げ加工時に使用されます。平面研削盤の加工品としては、ブロックゲージや、V(字)ブロックといった部品が有名です。

平面研削盤を用いた加工品の製作例
<写真4>平面研削盤を用いた加工品の製作例

2 円筒研削盤

円筒研削盤は、先述の平面研削盤とは異なり、ワークは主軸とセンタに支えられて回転する特徴があります。砥石は高速回転し、ワークを研削します。主に円筒形の工作物の仕上げ加工に使用されます。平面研削盤の加工品としては、圧延機のローラが有名です。

3 超仕上げ加工

<図11>に超仕上げの原理を示します。工作物の回転方向に直角に砥石を振動させながら削る加工方法です。回転方向に直角に振動させることで、加工効率が非常に高くなります。
超仕上げは、低圧、低速度の加工のため発熱が少なく、かつ多量の金属加工油を使用するので、加工変質層を除去し、その仕上げ面は耐摩耗性、耐食性、潤滑性に優れ、摩耗を受ける部分に用いると大きな効果が得られる特徴があります。そのため、超仕上げの加工品は、転がり軸受け関係の部品によく使われています。

超仕上げ加工の原理
<図11>超仕上げ加工の原理

研磨加工について、押さえておくべきポイントとは?

<図12>に砥粒研磨の原理を示します。鋳鉄製のラップ板の上に砥粒とラップ液の混合した液体をたらし、ラップ板全体にいきわたらせ、工作物をラップ板に押し付けて摺動させます。砥粒は工作物とラップ板の間に入り込み工作物の表面を微小に削りとることで平滑面が得られます。砥粒研磨は、研削盤で仕上げた工作物の表面をさらに平滑にし、寸法精度を高めるために実施されます。

砥粒研磨(湿式・乾式ラップ)加工の原理
<図12>砥粒研磨(湿式・乾式ラップ)加工の原理

砥粒研磨には、ラップ液を使用有無によって「湿式」と「乾式」の2つの方式があります。湿式では転がりラップとなり仕上げ面はなし地状となり、乾式ではすべりラップとなり仕上げ面は光沢面になります。ブロックゲージや金属部品製作のほか、半導体のウエハ、レンズや光学部品の分野の研磨工程でも使用されています。

まとめ

本記事では、切削加工、研削加工、研磨加工、放電加工などに代表される金属除去加工の基本的特徴を分かりやすく解説しました。試作品を製作するためには、加工形状に合わせ適切な加工機と工具を選択するが重要です。

また、他の記事では、樹脂の射出成形・切削加工、金属の鋳造・切削機械加工を扱う加工事業者へのインタビューも紹介しています。

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