日本の製造業の開発競争力向上に向けて~JTLが考えるこれからの開発品評価の在り方とは

INTERVIEW
JTL株式会社(JAPAN TESTING LABORATORIES株式会社)
社長
野原 祐樹
インタビュイーの写真

評価結果は開発の方針を導き、開発のスピードやコストに大きく左右します。
開発品の評価も、開発品そのものの競争力を上げる一因であると言えるのではないでしょうか。また、開発品の競争力が高いほど、評価を行うこと自体の難易度が高く、評価方法の確立に時間が割かれ、本来の開発業務に集中できないといった悩みがある方もいらっしゃると思います。
今回は中部地区のテストラボでトップシェアを誇るJTL社(JAPAN TESTING LABORATORIES株式会社)の野原祐樹社長(写真下)に日本の製造業の開発競争力を上げるためにこれからの開発品評価体制がどうあるべきかお聞きしてきました。

お客様に育ててもらいながら成長してきた

野原電研グループは1968年創業の野原製作所時代から自動車部品等を取り扱う製造業を営んできました。どのような経緯で製品や部品の信頼性を評価する技術サービスを提供するJAPAN TESTING LABORATORIES株式会社(以下JTL)設立に至ったのでしょうか。

グループ紹介

「当時、新会社設立にあたり、製造業以外への業種転換を検討していたが難しさを感じていました。そんな折、たまたまある会社さんから、自社の評価部門で、顧客の計測業務を請け負ったことが転機になりました。より開発に近い上流に食い込めば、付加価値を出しやすいビジネスとなること実感し、他社にも評価業務を売り出すことにしました。」

自動車業界ならではの特定の技術をコアバリューに、評価部門を独立させ、現在のJTLが生まれたのでしょうか。

「自動車部品製造業の評価部門と言っても、これといった強みとなる評価技術があったわけではありません。当初はお客様の要望に応えるために、お客さんから教えてもらいながら業務を遂行していました。それから10年かけて、ノウハウを蓄積していくと共に、専門性のある優秀な人材を獲得してきました。」

技術にこだわらず、お客様に寄り添うフレキシブルな対応力が強み

コア技術もなければ、こだわりもないと語る野原社長、この成り立ちこそが現在のJTLの強さの源泉となっているといいます

「同業他社には材料メーカーが母体となる評価会社が多く、始めから高い技術力や設備力を持ち合わせていました。しかし、こうした会社では自社の強みのある技術や設備があるからこそ、それに沿った依頼しかしにくい環境だったのです。」

「そこで、お客様が欲しているような手足となって動いてくれる評価会社が見つかりにくい当時から、弊社はとことんお客様と向き合いニーズに応えていくことで評価分野での足場を固めていきました。」

「めざしたいのはシニアの方に可愛がってもらえて、若い人に選ばれる会社です。アクティブなシニアの方の紹介でできたネットワークでビジネスにつながるケースが多々あることに加え、シニアの方が若手の将来のために一生懸命教えてくれているおかげでナレッジの伝承についても良いサイクルがまわっています。」

攻めと守りの経営、シニアと若手の組織

注力業界をお聞きしたところ、現在は地域柄、自動車業界をはじめとした、航空宇宙・電機等の製造業のお客様が中心であるものの、相談があれば、様々な業界に対応していく方針をお話いただきました。

「最近ではライフサイエンス分野での対応力を強化するなど、積極的に業界領域を拡大しています。またその時々の評価トレンドにも敏感に対応していきたいと考えています。」

現在は経験、ノウハウ、知識のある技術者を採用していて、同業他社に比べても技術面での差も埋まりつつあるJTL。同業他社に比べて、価格の面でも競争力を高めることができたのはなぜなのでしょうか。

「野原電研で川下の量産業務を行ってきたからこそ、業務設計や効率化を重視し、利益の捻出する素養があるのかもしれません。同業他社に比べ安い価格設定で提供しても、高い利益率を保っています。」

「組織についても少子高齢化に伴う労働人口減少の時代、労働市場から選ばれる企業になりたいと考えています。近年女性の社員が定着してくれるようになり、男女比はほぼ同じくらいになりました。」

評価業務はアウトソースが主流に。お客様の事業をバリューアップするパートナーへ

今後のJTLの戦略は?
これからの評価業界はどのように変化していくのでしょうか?

「今まで評価業務はお客様の社内で行われていて、設備や場所、リソース、納期等の問題で一部外部に出ており、それをかき集めて受注している状況ですが、それは我々としても面白くないのです。これからはお客様の社内の仕事を取りに行きたいと考えています。」

「評価業務というのは開発、設計、生産技術で必ず発生しますが、合理的に行えているメーカーさんはまだ少ないと考えています。お客様の内部で点在している検査、測定、分析業務をまとめて管理できるようバリューチェーンを再構築し、さらにアウトソーシングできればより効率的に検査、測定、分析業務が行えると考えており、JTLはその業態を推進していきたいと考えています。」

かつて物流業務がそうであったように、評価業務もアウトソーシング化が進むのではないかと野原社長は言います。

「評価業務のアウトソース化が進み、将来的にはお客様と評価会社のパートナーシップを組む形が主流になっていると考えます。」

「日本の生産性が低いといわれているが、弊社は評価という領域から改善に寄与したいのです。専門性を持つ企業同士が組むということは、メーカーにとってはアウトソースの活用が単なる業務の代替ではなく、業務レベルを高め本来やるべきことにフォーカスすることであると考えています。」

おわりに

評価業務を見直すことで時間やコストを節約し、開発品の競争力を上げることは可能かもしれません。一方で、評価業務の重要性が高いが故に、社外に任せることをためらう企業が多いのも確かです。これからの日本の製造業には、評価という立場から製品開発の課題を一緒に乗り越えてくれる本当に信頼できるパートナーが必要なのかもしれません。
今回の取材とインタビューで、JTL社がいかに顧客と二人三脚で評価事業を拡大し今の姿になったのかをお聞きする中で、「開発と評価のパートナーシップ」という製品開発の未来像がすぐ近くに見えた気がしました。

JAPAN TESTING LABORATORIES株式会社
1999年に親会社である野原電研(株)グループ品質保証部門よりJTL(JAPAN TESTING LABORATORIES株式会社(前エイキット株式会社))は設立されました。本社のある岐阜県大垣を含め、豊田、名古屋、神奈川、大阪の全国5か所に加えアメリカにも拠点を置き、今後も近畿・関東エリアにも新規事業所の展開を計画しています。同社は約200種類300台以上の評価設備を保有し、年間約10,000件の取引件数を誇っています。