分析機器、科学機器メーカーが大阪へ一堂に集結―JASIS関西 2019現地リポート

分析機器、科学機器メーカーが一堂に会する最先端科学機器・分析システムとソリューションのためのアジア最大級の展示会Japan Analytical & Scientific Instruments Show (JASIS)。JASISは、それまで開催されていた2つの展示会、第50回分析展(日本分析機器工業会)と第35回科学機器展(日本科学機器協会)を、2012年合同展として統一し、以来関東圏(幕張メッセ)で開催されています。そのJASISが今回、初めて関西で開催されました。その模様をご報告いたします。

関西では初めての開催となるJASIS

今回、JASIS関西として2019年2月5〜7日に初めて関西圏(グランキューブ大阪)で開催されました(主催:一般社団法人日本分析機器工業会、一般社団法人日本科学機器協会、後援:経済産業省、文部科学省、環境省、農林水産省、公益社団法人日本分析化学会、ほか)。3日間の来場者数は4,000人を超え、会場は熱心な来場者で盛況でした。なかなか関東圏の展示会へ足を向けることが難しい研究者や開発者も多いようで、開場を待ちかねた来場者が入り口に列を作るというような光景も見受けられました。

関東圏のJASISでも行われている新技術説明会は、分析機の原理や使用ノウハウ、新製品の紹介などが3日間68テーマで開催され、ここへも熱心な来場者が詰めかけ、どのコーナーも満員札止めの状況となっていました。

来場者でにぎわう展示会場
来場者でにぎわう展示会場

また、展示会の目玉となるオープンソリューションフォーラムは、各テーマに関して、著名講師による基調講演と出展社によるプレゼンテーションを実施し、聴講者へソリューションを提供する目的で行われていました。1日目は「香りとにおい」で、長谷川登志夫・埼玉大学大学院理工学研究科准教授による新たな香気評価法の紹介など、2日目は「次世代電池」という話題のテーマで、的場英紀・トヨタ自動車株式会社先進技術開発カンパニー基板材料技術部担当部長による電池やモーターなどに使われる革新材料の分析・計測技術の活用事例と将来などの講演に来場者が興味深く耳を傾けていました。

日本科学機器協会のセミナーとしては「知っておきたい科学機器業界の基礎知識」として環境分析について行われ、新人社員教育や営業マンのスキルアップを目指す内容で開催されました。講師は、元日立製作所、元JAIMA技術委員長の久本泰秀氏で、科学機器業界の背景、基礎知識、環境分析の基本的な原理・応用・用途などをサンプリング・前処理の手法等も含め、分りやすく解説していました。

日本分析機器工業会(JAIMA)のセミナーとしては、分析機器の基礎知識の解説、不確かさ評価、データ処理、液体クロマトグラフィー(LC)の使用ポイント、天秤とマイクロピペッターの原理や操作といった内容で3日間に分けて開催されました。

さらに医薬品分析に関するセミナーとして、最終日に「日本薬局方セミナー」が開かれ、日本薬局方の最近の動向、新規理化学試験法による医薬品分析、生物薬品に関する最新動向、定量NMRと日本薬局方などの演目で、独立行政法人医薬品医療機器総合機構や国立医薬品食品衛生研究所の講師の先生方による講演が行われました。

学問・技術の進歩と医療需要に応じ、我が国の医薬品の品質を適正に確保するために必要な規格・基準及び標準的試験法等を示す公的な規範書としての日本薬局方ですが、来場者はその最新情報を得ることができたようです。

出展社数も来場者数も大盛況

今回の出展社は、一般展示、ソリューションコーナー展示ともに定員限度となる93社(176コマ)の出展で、地元の関西圏の出展社以外にも広く関東圏などからも参加した出展社が多い印象でした。3日間の来場者は、4,038名と発表され、展示会の規模を考えれば十分に盛況といえ、初日から来場者が詰めかける状況に主催者からは安堵の声が聞かれました。

全体として汎用の分析装置の展示が多く、来場者の目的も多岐にわたっていたようです。研究者・技術者はもちろん、試薬メーカーや分析機器メーカー、ディストリビューターなど、多種多様な来場者が見受けられ、各ブースでは製品説明に対して活発な質疑応答が行われていました。

やはり、液体(LC)やガス(GL)のクロマトグラフィーの分析装置の展示が目につきました。中には、血中の微量成分分析ができるLCシステム、混じり物を選り分ける四重極型GL、ラマン分光法によるサンプル測定といった技術展示もありました。

日本ウォーターズはACQUITY QDa 検出器を展示
日本ウォーターズはACQUITY QDa 検出器を展示

また、非接触の分析機器も多く、EMS(Electro-Magnetically Spinning System)を用いた粘土測定、エネルギー分散型蛍光X線分析装置、波長分散型蛍光X線などに来場者が集まっていました。

水分計の展示も目立ちましたが、食品や医薬品などとともに水分を嫌う電池材料などの原材料の評価測定、品質管理を目的に注目する来場者もいたようです。オープンソリューションフォーラムで次世代電池についての講演があり、それを目的に来た来場者が展示会場で説明に聞き入っている光景も見受けられました。

英弘精機は水分量測定装置などを展示
英弘精機は水分量測定装置などを展示


汎用性の高い分析機器の展示会という内容ですが、研究者、技術者の来場者はそれぞれの目的に合わせ、技術的な疑問やリクエストを出展社の担当者にぶつけているようでした。汎用性とともにタッチパネルを用いた簡便性や軽量化による携帯性といった方向の技術展示も多く、各種カラムなど汎用機器に合わせた部品の提案、分析や異物除去のアウトソーシングなど、試作品を作る上でのサービスなどもありました。

研究開発者にとって便利な実験機器・計測器のレンタルサービスを展開するアズワン
研究開発者にとって便利な実験機器・計測器のレンタルサービスを展開するアズワン

オープンソリューションフォーラムでは、1日目に「香りとにおい」というテーマでも行われていたため、官能試験の分析機器の展示もありました。また、環境分析の分野では、自動車の車内のVOC(揮発性有機化合物)の測定機器、大気の分析機器などの展示もあり、香りや環境について注目が集まっている印象を受けました。

におい成分のデータベースなども展示する西川計測
におい成分のデータベースなども展示する西川計測

来場者にもお話をお伺いしたところ、地元・大阪の化学メーカーの40代の男性研究者は「幕張のJASISにも行きましたが、やはり出張は稟議を通すのも面倒で、地元開催はありがたいと思います。来場の目的はメーカーの担当者との打ち合わせがメインでしたが、個人的には、分析の自動化やAIの活用などの技術に興味がありました」とのことでした。

最近話題のAIについても確認してみましたが、分析装置におけるAIの活用は、それを前面に打ち出しているものは少ない印象でした。しかしこれは、すでにAIそのものが多種多様な形で組み込まれ、ごく普通になっているからかもしれません。

また、非鉄金属のリサイクル・メーカーの研究者だという40代男性と20代女性は、グランキューブ大阪という中之島の国際会議場は交通を考えると来にくい場所と言っていましたが「展示自体にはとても満足しています」と答えていました。来場の目的は、次世代電池のセミナーだということで、リサイクル技術の研究にとっても意味のある講演だったということです。

関西圏で初となるJASIS関西でしたが、ある出展社の担当者は「遠く九州からも足を運んでくる来場者もいて、関東圏のJASISにはなかなか行けない研究者、技術者にとってありがたい展示会だったのでは」ということです。主催者からは手応えを感じている声も聞こえ、次回以降も関西でJASISを開催する意気込みも伝わってきました。

会場の様子

中村科学器械工業のフラスコ用攪拌機
中村科学器械工業のフラスコ用攪拌機
理研計器のガス検知機
理研計器のガス検知機
熱分析に強いネッチ・ジャパンは最新の熱分析装置を展示
熱分析に強いネッチ・ジャパンは最新の熱分析装置を展示

文/石田雅彦


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