試作品でも型番を付与することのメリットとは?meviy(メヴィー)が目指す時間的価値の創造とは(後編)

INTERVIEW

ミスミ3D2M企業体
マーケティング推進室チーフディレクター
吉田 聡

前編ではメヴィーが生まれたきっかけと、3Dデータだけでカスタム品を発注できるシステムの概要をご紹介しました。3Dデータに製造情報を付与することで2D図面データを削減でき、独自の納期見積もりロジックを使って最短20秒で回答。発注後は3Dデータから加工プログラムを自動生成して即座に加工するという手順で、最短1日での出荷を実現します。

このような短期間で試作・小ロット生産を実現するオンデマンド受託製造会社はミスミ以外にも存在します。後編では、あえてミスミを選択するメリットはどこにあるのか、また対応する試作品、板金部品、切削プレート、金型部品の個々の部品に対して、ミスミ3D2M企業体マーケティング推進室チーフディレクター吉田聡氏にもう少し詳しく説明していただきます。

ミスミ3D2M企業体マーケティング推進室チーフディレクター吉田聡氏
ミスミ3D2M企業体マーケティング推進室チーフディレクター吉田聡氏

────単刀直入にお伺いします。ミスミのメヴィーを使うメリットは何でしょうか。

吉田:
メヴィーでは、ミスミとの取引があり、会員登録がすんでいれば、そのIDを使ってメヴィーにログインできます。試作品を作る選択肢として、プロトラブズ社をはじめ同様のサービスを提供する他社も存在するわけですが、メヴィーの場合、ミスミの会員であれば、新たに取引契約を結ぶ必要はありません。それはミスミの会員である国内10万社がすぐにメヴィーが利用可能であることを示しています。プロトタイプに関しても型番が発行され従来の製品と同じ方法で発注できます。

新しい会社に発注するということは、新規取引ということになります。新規取引には信用調査や取引口座登録など会社としての手続きが面倒で時間もかかります。ミスミであれば信用がありグローバルでも26万社を超える取引先がありますので、十分な顧客基盤と高い信頼度があります。またミスミで会員登録していただければ、メヴィーだけでなくWebカタログ「MISUMI-VONA」に掲載された製品もあわせて発注できるため、そのメリットはとても大きいと思います。



────試作品にも型番が付与されるメリットはどこありますか。

吉田:
メヴィーでは一度見積もり完了した試作品には型番が発行されて、カタログ品と同じ扱いができるのが最大の特徴ですね。日本の会社は購買と設計がわかれていることが多いので、型番で製品を管理する方式が合理的です。

例えば大企業であれば、試作品を設計するエンジニアと、決済処理をする調達担当は、部門が別々となる場合が多いのですが、メヴィーは型番で管理できるので、1つの注文サイトの中でまとめて管理できます。型番で手配できない試作品は、受入れ検証をするためにも図面が必要となる場合が多くあります。後工程もこの図面を扱えなければなりませんので、なかなか業務負荷が下がらない一因にもなりえます。



────メヴィーは約20秒で見積もりを完了するそうですが、これはどこかの企業が協力しているのでしょうか。

吉田:
メヴィーは内部システムとしてAI機能を持っており、非常に高速に見積もりすることができます。
加えて、弊社はラピッドプロトタイピングを実現するためにプロトラブズ社と提携しています。それによって2Dデータなし、3Dデータのみで平均2時間での見積もり、最短翌日出荷を達成しています。研究開発の現場にいるデザイナーの方にお話しを聞くと、とにかくアイデアを1分でも早く形にしたいと言われます。製造工程の最初にいる方たちは、そういったDNAをお持ちのようで、すぐに作ってほしいというニーズが非常に強いことを感じました。

そこでプロトラブズ社の構築したITシステムと提携して、3D CADデータの形状を自動的に解析、そして製造性の解析結果の3Dでのイラストを表示しつつ、見積もりを回答するシステムを完成させました。見積もり条件の変更による金額の即時変更にも対応して、設計や材料に関するアドバイスの表示、3Dモデルの回転、拡大・縮小などをおこない、製造上の課題をあらかじめ確認できます。

見積もり画面にはプロトラブズ社のロゴが表示されています。
見積もり画面にはプロトラブズ社のロゴが表示されています。

────インターフェイスは独自画面を採用されていますね。

吉田:
メヴィーの画面を見ていただけるとわかりますが、プロトラブズ社のインターフェイスとは異なっています(前編参照)。左側にビューアーがあって、右側にスペックを決めるための入力画面があります。例えば、左側にパーツを表示します。すると右側に見積もり金額が表示されます。これをおこなうためにプロトラブズのサービスとAPI連携しています。このサービスの大きな特徴の1つとして、削り残しを異なる色で表示して、その数値も見積もりの段階で表示できます。さらに試作品に対して型番が発行されるのもメヴィーの独自機能です。

プロトラブズ社とはライバル関係ではなく、パートナー関係なのでWinWinを目指していこうと考えています。いまは自動車、家電などの製造現場が多いのですが、今後はミスミの会員だけでなくさらにより多くのお客様にご利用いただきたいと考えています。

────メヴィーは現在、4つの設計シーンに対応されていますね。

吉田:
そうですね、大きくわけて下記の4つの部品に対応しています。

1.RP(Rapid Prototype)試作品
ラピッドプロトタイピングでは、試作品1個から、最短1日目での出荷を実現しています。見積もり所要時間は平均約2時間、24時間365日、無料で利用できます。これによって製品開発サイクルは最大50%短縮できます。材質は金属8種類、樹脂23種類、表面処理はビーズブラストなどにも対応しています。


2.SM(Sheet Metal)板金部品
板金部品は最短20秒で見積もりが完了します。標準品では不可能な多彩な特注形状に対応して、曲げ数の制限もありません。また、見積もりと同時に加工性に関してもお知らせします。もし製作不可だった場合は、その要因も確認できます。加工はレーザーによる自由度の高い外形加工で、複雑な曲げにも対応できます。

最大外形長は1,200mmまであり、塗装ラインナップも充実しています。また多彩な穴種にも対応して、通し穴、タップ穴、長穴、角穴、皿穴など。さらに薄板向けのバーリングタップにも対応しています。材質は金属6種類、表面処理7種類、塗装は標準色5種類です。


3.MP(Machined Plates)切削プレート
3Dデータをアップロードしてから、数量・材質を選択、公差指示すれば見積もりが完了。型番が取得され発注が可能になります。この型番はいつでもカタログ標準品と同じように利用できます。メヴィーはカタログ以上の多彩なサイズ・材質・形状・寸法精度に対応しています。また、発注前に破れや歪みの可能性がある薄肉部分の確認も可能です。メヴィーを活用することで、部品ばらし時間を80%削減できます。


4.DM(Die & Mold)金型部品
金型部品も3Dデータだけで見積もり・発注ができるので、手配工数とリードタイムを大幅に削減できます。複数部品を同時にアップロードしても素早く見積もりが完了します。また3Dデータからそのまま部品手配できるので、型番変換ミスや数量カウントミスなどのいわゆる凡ミスから解放されます。加工種類は金型ピン、断熱板、スライドユニット部品で、17種類の材質、12種類の表面処理が選べます。

複雑な形状の部品も製作可能。
複雑な形状の部品も製作可能。

試作品、板金部品、切削プレート、金型部品の小ロット生産を3Dデータのアップロードだけで完全自動化したメヴィーは、ミスミが追求する時間戦略を強力に推進するオンラインサービスであり、特に顧客の非効率な時間とコストの削減に大きな効果を発揮します。Webカタログのみで実現していた自動見積もりと短期間での納品を少量生産のカスタム品にまで広げています。

現在、試作品と金型部品のサービスが中心ですが、2019年には板金部品、切削プレートのサービスも本格的に稼働する予定です。また、今後、このような短納期、小ロット生産がどのような分野に拡大していくかも注目したいところです。

文/川野 剛


こちらの記事もおすすめ(PR)