世界最高峰の非接触3次元測定機によりメイド・イン・ジャパンの精度と生産性を高める

INTERVIEW
東京貿易テクノシステム株式会社
常務取締役
水原 弘人
インタビュイーの写真

1960年創業の非接触3次元測定機を取り扱う東京貿易テクノシステム。彼らの強みは、単なる販売代理店とは言えない独自の技術開発、そして保守管理サービスにあると言います。メイド・イン・ジャパンの精度と生産性を高める3次元計測機の変遷と今後について水原弘人常務取締役にお伺いしました。

精密な測定に欠かせない3次元測定機

「東京貿易テクノシステムは、東京貿易グループの『エネルギー・機械産業』『技術・自動車・情報産業』『資源・鉄鋼・資材産業』『医療・生活・科学産業』の4つの事業領域のうち、技術・自動車・情報産業グループに属する事業会社です。当社は1969年に工場を設立してから現在まで、3次元測定機の開発、製造、販売を行い、大手企業や試作系中小企業、公設試験研究機関などさまざまな企業・団体の3次元測定をサポートしてきました。自動車、航空機をはじめ、建設、鉄道、農機、家電、機械、住宅、美術品、考古学などに至る分野で、多様な測定物を対象とする各種3D測定システムを提供しています」

と東京貿易システムの水原弘人 常務取締役 海外商品部長は言います。

3次元測定機は、検査やリバースエンジニアリングをより精緻に、早く行うことができるツールです。世界的に商品のライフサイクルが非常に短くなっている昨今、メーカーにとって設計・デザインから、商品開発、量産化設計、生産、発売までの期間をできる限り短くすることの重要度は増すばかりです。

また、設計において3DCADが飛躍的に進化し、流れるような美しい立体的曲面を自由にデザインすることが可能になるとともに、商品の設計図がより複雑化しています。

そうしたプロダクトを、生産においてミクロン単位のズレの範囲で忠実に再現するのは非常に難しいのです。金属も、プラスチックも、繊維も、あらゆる素材は、設計図通りに加工できるほど安定的ではありません。鋳造、鍛造、プレス、押出、圧延、研削、切削、あらゆる加工で、加工してから形状が安定するまでの間に、ほぼ必ず、膨張収縮や反り、歪み、反発などの変化が起きます。

「温度や湿度でも変形の度合いは変わりますし、移動することでも変形します。この変化はどれほど経験を積んだ職人であっても完全に予測できないものです。しかしプロダクトは精度こそが命です。完璧なる精度で生産するからこそメイド・イン・ジャパンのプロダクトは美しく、動きが滑らかで、ぴったりと収まり、長年使っても壊れにくいのです。もし、日本車のボンネットとボディの隙間、ドアとボディの隙間が、位置によって少しでも違っていたらどう感じるでしょうか。そんなことはありえないのです。」(水原氏)。

つまり、図面上の形状を量産品として寸分たがわず忠実に再現するためには、生産設計をした後、実際にモノを作ってみて、3次元測定をし、図面と試作品の誤差を見つけ、金型や加工プロセスの微修正を繰り返して精度を上げていく必要があるのです。それこそが日本のエンジニアリング力であるとも言えるのですが、前述したように、ライフサイクルの短縮とデザインの自由化によって、その要求レベルは日を増すごとに高まっているのが現実です。

接触型の3次元測定機から非接触型へ

東京貿易システムは長年にわたり、有接触プローブによる、ゲートタイプ、アームタイプの接触型の3次元測定システムの開発、製造・販売及びサポートを行ってきました。自動車の設計段階におけるクレイモデル(粘土で製作する試作モデル)の測定や、試作品の測定を長年行ってきており、国内のほとんどの自動車メーカーが同社の製品を使用しています。

<写真2>当時のレイアウトマシンタイプのモデル加工機「Laymatic5000II」
<写真2>当時のレイアウトマシンタイプのモデル加工機「Laymatic5000II」

「当社が扱うアームシステムのテクノロジーは、現在も世界の最先端です。1980年に発売した多関節型3次元形状測定機ベクトロンは、合計7つの関節による柔軟な取り回しと自由度の高い測定が可能で、業界最高レベルの高精度を実現した測定システムです。測定機先端には有接触プローブ、非接触レーザーセンサーを取り付ける事が可能で、あらゆる形状に対応した測定を行うことができます。」

と水原氏は言います。

<写真3>ベクトロンVMC7000シリーズ
<写真3>ベクトロンVMC7000シリーズ

ただし3次元測定機本体は、時代の変遷と共に新たなテクノロジーが出現し、最新の技術としてカメラ方式や、レーザー方式が市場に投入されています。現在の最先端の非接触3次元形状測定機のメーカーはドイツ、スイスなどヨーロッパにあります。同社は、その変化に合わせて、世界のトップメーカーの3次元測定関連商品あるいは技術を取込み、自社のノウハウを付加して、独自のソリューションを開発し、ユーザーへ供給、また、メンテナンス等も行っています。

同社が輸入代理店として取り扱うカメラ式の3次元形状測定機は、ドイツの光学機器メーカー、カール・ツァイス(Carl Zeiss)社製のCOMETシリーズです。カール・ツァイスの名前は、カメラに対して少しでも知識がある人はご存知でしょう。その精密で高性能のレンズは、Leicaとも並び称される芸術品です。昨今の日本のカメラメーカーのハイエンドモデルにも採用されています。ツァイスは医療機器や半導体製造装置の分野でも世界トップであり、カメラ式の3次元測定機でもトップメーカーです。

<写真4>COMET6システム
<写真4>COMET6システム

「COMETシリーズのフラッグシップモデルは1600万画素のCCDを採用し、表面形状を高密度大量3次元座標点群データとして出力するシステムです。測定可能な最大寸法は幅1235mm、高さ823mm、奥行き600mmで、1.2秒の測定で同時に最大で1,600万の三次元データを測定することができます。対象物を専用のロータリーテーブルに乗せ、回転させることで3次元測定の自動化が可能になります。非常に大きな手間がかかっていた、一点一点、商品に針を落として測定する接触型の3次元測定機に比べ、大幅に時間とコストが短縮できます。」(水原氏)。

もう一つ、同社が取り扱う最新の機器は、こちらも世界最高峰のスイスの光学機器メーカー、ライカ(Leica)社のレーザー式非接触3次元測定システム、レーザートラッカーです。こちらは大型サイズの対象物を測定するのに適しています。フラッグシップモデルの最大計測範囲は直径120メートル。簡単に持ち運びが可能なポータブルCMMで、プロービング、スキャニングセンサーとの組み合わせも可能で、対象物を動かさずに、3次元計測が可能になります。そのため、航空機やロケット、船舶、電車、プラント、タワー、ダムなどの大型建築物といった、これまで3次元計測が難しかった大型の対象物の計測が可能なのです。レーザートラッカーは、広範囲の高精度三次元測定を実現するパワフルなシステムです。

<写真5>ライカレーザートラッカー自動化システム
<写真5>ライカレーザートラッカー自動化システム

設計から検査までをシステムでつなぐスマートファクトリー

水原氏は今後の目標について次のように語ります。

「非接触3次元計測システムの市場への普及はまだまだです。現時点で、潜在顧客が多くいると考えています。それはすなわち、当社の3次元測定機を導入することによって、モノづくりにおける生産性や品質、スピードが大きく向上し、企業の成長と業績の向上が実現できるお客様が数多くいるということです。

航空機、自動車、宇宙開発といった産業では3次元測定機の認知度はあり、多くの企業で使われていますが、それ以外の産業ではその存在すら知られてないケースもあります。そして多くの産業のメーカーが、3次元測定機を知った途端に興味を持たれます。

例えば、当期前半に当社が出展した展示会では当社のブースに約1,300件のお客様が来場されましたが、そのうち約500件のお客様がLeicaレーザートラッカーについて興味を持たれています。そのうち、新規のお客様は317件にも上りました。その中には私たちが思いもよらなかった業界の方もいらっしゃって、当社も勉強させられています。」

まさにオープンイノベーションが起きているのです。水原氏は続けます。

「私たちはいま、お客様がスマートファクトリーを構築するためのお手伝いをしたいと考えております。先に申し上げたように、3次元測定機は、開発工程、検査工程、品質保証工程など、モノづくりのさまざまな現場で多く使われるようになりつつあります。測定した結果がモノづくりのあらゆる工程で活用され、生産性を上げるための必須データとして活用されはじめています。設計から出荷前の完成品検査まですべての工程のデータが、モノづくり全体の生産性を高める情報として活用されます。この最適化されたシステムは、お客様の生産する商品の特性や課題、生産プロセスやデザインによって変わってきます。当社はシステムエンジニアがお客様にヒアリングして商品の特性や生産プロセスを深く理解し、お客様の業務を向上、最適化するシステムを提供しています」

おわりに

以前はできなかった計測が計測機の高度な進化により、手軽にできるようになっています。このように計測機器のシステム化によって、精度が上がるとともに、エンジニアにとっては、無駄な業務が削ぎ落とされ、よりスペシャリティの高い仕事だけに集中することができるようになっています。
我々がいままで以上にすばらしい製品の開発と生産に進んでいける環境は日々進化し、整っていっていると言えるでしょう。

以下の企業も計測・分析サービスを提供しています。ご相談はこちらから。

JAPAN TESTING LABORATORIES株式会社
野原電研(株)グループ品質保証部門が母体となり設立されたJTL(JAPAN TESTING LABORATORIES)株式会社。全国5箇所に加えアメリカにも拠点をもつ同社は、約200種類300台以上の評価設備を保有し、年間約10,000件の取引実績があります。
日本スウェージロックFST株式会社
1947年創業。世界各国に拠点を持つグローバル企業スウェージロック社の日本法人。バルブ、継手等の流体システム製品を取り扱う。2007年より配管ユニットのエンジニアリングから組立て、検査、納品をサポートする「カスタム・ソリューションズ 」サービスを提供します。
株式会社リバネス
株式会社リバネスは、「科学技術の発展と地球貢献を実現する」という理念のもと、そこに集まる専門知識や技術・人などつなぎ、組み合わせることによって社会に新たな価値を創出する、研究者集団です。

文/嶺竜一