金属3Dプリンターは稼働率が重要!〜試作アウトソーシングのポイント(後編) (1/3)

INTERVIEW

株式会社J・3D
代表取締役
高関 二三男

前編に続き、3Dプリンターでの試作などの可能性について、金属3Dプリンター業界で高い成長率と技術力、実績を備えた企業である名古屋のJ・3Dの高関二三男(たかせきふみお)社長に話を聞いていきます。後編では、ユーザーがどんな設計データを用意したらいいか、金属3Dプリンターによる造形の可能性と技術的な限界、コスト、他社との連携などについて説明していただきました。(以下、敬称略)

前編では同社の金属3Dプリンター技術と特徴、3Dプリントの要点などについてご紹介しましたが、後編ではユーザーが試作品などの造形を依頼する上での注意点などをまとめていきます。

以下の記事では、金属3Dプリンターに関する基礎知識や、実際に提供されている金属3Dプリンターサービスについて紹介しています。あわせてご覧ください。

管理の難しい金属3Dプリンター

────高関社長は3Dプリンターでは「やってみなければわからない」と言うように、「常識や造形ルールなどの範疇に入らない構造も可能になるかもしれない」とのことでした。例えば、どんなことが可能になったのでしょう。

高関:
ある大手自動車メーカーから依頼いただいた試作造形でしたが、中空のものはサポート材が必要ということがルールのところ、その設計ではサポート材が使えませんでした。しかし、試しにサポート材なしでやってみたらできたんです。
それ以後、従来のルールではできないと考えられているような造形もできそうだということになり、例えば、エンジンのターボ(過給器)もインコネル718で作ってみたら強度的にも大丈夫なものができました。


────こうした注文というのは試作品ですか。

高関:
そうですね。その自動車メーカーの場合は製品開発のための技術的な知見を得るための試作品でした。航空用エンジンで使われているGEの場合は部品一つひとつが高価ですし、航空機用ならある程度のボリュームが見込めるかもしれません。自動車でもF1なら大丈夫だとは思いますが、通常の量産品には金属3Dプリンターは向かないのではないでしょうか。
3Dプリンター自体、不安定な機械で、レーザーの出力だけを考えても管理をしっかりやらないと、例えば出力が下がったとしても、その理由がわかりません。レンズが曇っている場合もありますし、ほかの原因の可能性もあります。同じ要素でも管理のやり方によって、できあがる金属の冶金特性が代わってしまう厄介なところがあります。


────現在、マルエージング鋼、アルミニウム、インコネル、チタンなどで造形が可能とのことですが、素材の点では今後どのような可能性が考えられますか。

高関:
粉体の種類では、基本的にいまリリースされている素材がベストだと考えています。それ以外の素材でも試してみましたが、やはりパラメータの蓄積などが必要で、すぐにはできません。素材によって、形状はできあがるけれど密度が少ないなどの問題も生じます。
アルミニウムA7075というジュラルミンと亜鉛の合金などの複合素材では、融点の低い亜鉛が燃え尽きてしまって合わせることが難しい面もありますが、亜鉛の融点を基準にしてエネルギー計算からパラメータを考えれば将来的にはできるようになると思います。また、銅などのレーザーを反射する素材も難しいのですが、波長の短い緑色のレーザーを使えば吸収率が上がって可能になるでしょうし、エンプラ(エンジニアリングプラスチック)でも可能性はあるでしょう。

<写真1>チタン素材の3D造形物
<写真1>チタン素材の3D造形物


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