金属3Dプリンターは稼働率が重要!〜試作アウトソーシングのポイント(前編) (1/3)

INTERVIEW

株式会社J・3D
代表取締役
高関 二三男

3Dプリンターの分野は、すでに樹脂で低価格のプリンターが汎用化してコモデティ化しています。一方、金属の3Dプリンターは、マサチューセッツ工科大学(MIT)のMITテクノロジーレビュー誌が選ぶ2018年の「ブレークスルー・テクノロジー10」の一つに選ばれたように最近になって注目を集めている技術です。今回は、早くから金属3Dプリンターを導入し、高い成長率と技術力、実績を備えた企業として一頭地を抜く存在で、受託造形出力サービスを行っているJ・3D(名古屋)の代表取締役高関二三男(たかせきふみお)氏にお話をうかがいました。

今回は前編として同社の金属3Dプリンター技術と特徴などについて、後編ではユーザーが試作品などの造形を依頼する上での注意点などをまとめていきます。

以下の記事では、金属3Dプリンターに関する基礎知識や、実際に提供されている金属3Dプリンターサービスについて紹介しています。合わせてご覧ください。

期待が高まる金属3Dプリンター

樹脂ではなく金属を材料とする3Dプリンターは、技術面と価格面でのハードルを乗り越え、米国のGE(ドイツのConcepto-Laser社、スウェーデンのArcam社といった金属3Dプリンターメーカーを買収)、3D・システムズ、ドイツのEOS社、SLM Solutions社、日本のDMG森精機、松浦機械製作所、ソディック、韓国のInssTek社、イスラエルのXjet社など多くの製造メーカーが製造、参入しつつあり、住商が米国のシンタヴィア社へ出資するなどスタートアップ企業の取り込みも活発化しています。

金属3Dプリンターは、金属AM(Additive Manufacturing、アディティブ・マニュファクチャリング)とも呼ばれ、金属の粉末や素材をレーザー(Selective Laser Melting、SLM)やビーム(Electron Beam Melting、EBM)を熱源にして溶かし、粉末層を積み重ねて立体造形します。航空機のエンジン部品からダイキャスト金型まで用途は広く、3Dデータがあれば1個から金属製の部品の開発用試作品を作ることが可能です。

そんななかJ・3Dはどのようにして金属3Dプリンター受託造形出力サービスを始めることになったのでしょうか。

暗中模索で始めた事業

────J・3Dはもともと特殊鋼の製造販売メーカーである親会社のフジマキ・グループの通販部門として立ち上げられ、その後、3D造形の受託サービス会社に業態転換したそうですね。

高関:
リーマンショックの後、鋼材需要が減ったため、新規事業部として鋼材の通販をやってみようということで弊社が作られたのですが、2013年に金属3Dプリンターの製造受託へ舵を切りました。


────その経緯と金属3Dプリンターに注目したきっかけはどんなものだったのですか。

高関:
私も特殊鋼の世界にいましたから鋼材について少しは知識がありましたが、そのころ、金属で3Dプリントできるという話を聞き、本当にそんなことが可能かどうか半信半疑でした。そこでグループの会長と社長のお供をし、2013年の5月ごろにある展示会へ行って実際に金属3Dプリンターを見てみようじゃないかということになったんです。


────展示会でご覧になったのはどちらのプリンターだったんでしょう。

高関:
NTTデータ・エンジニアリングさんが導入しているドイツのEOS社製のものでした。展示会で実際にマルエージング鋼という高空宇宙分野などで使われる特殊鋼でサンプル品を作っていただいたんですが、プリンターが動いている間の造形過程を見ることができません。我々はいったいどんなものが出てくるのか興味津々でした。
サンプルが出てきたときは驚きました。簡単な構造のサンプルでしたが、特殊鋼で本当に金属3D造形ができたのを目の前で見たわけです。会長と社長がその場で1台約1億円のEOS社製プリンターを即決注文させていただき、弊社はそれから金属3D造形の受託サービスへ業態転換したんです。


────なぜ、最初の1台目をEOS社製のプリンターにしたのでしょうか。

高関:
最初にサンプルを見たことも大きかったのですが、NTTデータ・エンジニアリングさんから話を聞き、EOS社が特許を持ち、信頼性が高く、もちろん出荷台数も数多く出ているので決めました。
金属3Dプリンターは、造形加工方法やレーザーの性能などで各社製品に一長一短があります。EOS社のプリンターは、部品や金型を作りたい、トポロジー(位相)最適化した設計を試したいなどの目的に対し、汎用性が高く品質の平均点が高いという特徴があると思います。金属3Dプリンターでは『巣(鋳巣)』が入ってダイキャスト内部に隙間が出ることがありますが、EOS社製で作ったものは、まったく巣が入らないと断言はできませんが、巣が出にくいということもあります。

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