瞳孔解析技術で、「人の内面」を見える化する株式会社夏目綜合研究所

はじめに

人間の瞳孔は、対象物に対して注目したり興味・関心を持ったりすると大きくなり、逆に興味・関心が無いと収縮します。1965年に米国で論文発表されたその後、世界中の研究者、学者がこれを証明する多くの論文を発表しています。この瞳孔の反応を活用し人間の感性(感覚に伴う感情や無意識の情動反応など)を見える化したのが、夏目綜合研究所です。<図1>

「人の内面」を見える化する計測風景
<図1>「人の内面」を見える化する計測風景(イメージ)

サービスの特徴

夏目綜合研究所のサービスの特徴は、「瞳孔の計測・解析技術と独自のアルゴリズム」、「基準値」、「非接触型」の3点です。<図2>

瞳孔解析技術の概要
<図2> 瞳孔解析技術の概要 (例:注目度の可視化イメージ)

1. 瞳孔の計測技術

瞳孔の計測から、感性を見える化するためには、瞳孔径の変化から「注目や興味・関心による瞳孔の反応」のみを抽出する必要があります。そのための技術的なハードルは、「明るさの変化などの環境要因や、呼吸や心拍などの生体由来の要因による瞳孔の収縮・拡大の反応の除去」です。夏目綜合研究所は、これらの課題を独自で開発したアルゴリズムにより解決し、さらには自社でのデータ蓄積を通じて興味・関心のレベルを客観的に判断できる指標を構築することに成功しました。

2. 基準値

人の感性を見える化する際の一般的な手法として脳波計測があります。脳波を測定することで、感情や感性の情報を抽出することができますが、複雑な波形からノイズを除去し、分析する必要があるため、解析結果を判断するためには高い専門性が必要となっています。
その一方で、夏目綜合研究所は、瞳孔計測で「注目や興味・関心の有無」を高い専門性が無くても簡便に判断するための基準値を作り出すことに世界で初めて成功しました。具体的には、被験者の瞳孔径の変化や瞳孔反応のレベルを67秒間計測・校正することで、基準値を作ることができるのです。これにより瞳孔径変化の波動の、基準値に対する大小関係を見ることで、人の注目や興味・関心の度合いを誰でも簡便に判別することができます。

3. 非接触性

脳波測定は、一般的に拘束型の脳波測定器を頭に付けて、測定します。拘束型の場合、被験者の状態によっては、ストレスを与えてしまうことがあります。その一方で、夏目綜合研究所の瞳孔計測技術では、非接触で計測・解析ができるため、被験者にストレスを与えることなく、計測することができるのです。

技術の信頼性

夏目綜合研究所は<表1>に示すように、瞳孔解析技術に関連する多岐にわたる特許技術を保有しています。

<表1>夏目綜合研究所が保有する特許情報一覧
特許の名称 出願番号
1 視認情景に対する視認者情感判定装置 特許第5445981号
2 視認対象効果度測定 特願2013-216642 
PCT/JP2014/077559 WO2015/056742
3 明暗、呼吸及び脈拍の影響を排除する視認者感情判定装置 特願2016-7401
4 瞳孔径拡大による脳活動判定装置およびプログラム 特願2016-75914
5 感情推定装置及び感情推定方法 PCT/JP2016/057041

上記に加え、ここでは3件の実例紹介をします。

1. 政府系調査機関への導入

本技術の犯罪捜査への応用として、政府系調査機関から委託を受け、隠匿情報検査における瞳孔解析技術(瞳孔径変化)の活用に向けた共同研究の実績があります。要素技術を組み合わせて開発した瞳孔解析システムは、3年間の共同研究を経た後、2017年7月に正式に採用されました。
本技術は、2017年9月20日 日本心理学会第81回大会にて学会発表を行なわれております。(演題:隠匿情報検査における瞳孔径変化の識別性)

2. NEDOのベンチャー支援事業に採択

2017年10月に、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のシード期の研究開発型ベンチャー(Seed-stage Technology-based Startups.以下「STS」という。)に対する事業化支援の助成事業に採択され、革新的瞳孔反応解析システムを活用したセキュリティデバイスの事業化を行なっています。現在、自社独自の瞳孔計測専用デバイスの開発を開始し、社会実装に向けた準備を加速しています。

3. 国土交通省系研究機関での標識認識率の可視化

国土交通省所管の研究機関より委託を受け、自動車の運転手が寒冷地の事故多発地域の道路標識を注目・認識しているかを可視化するための共同実験を2017年11月末より行なっている。

想定される6つの活用先

夏目綜合研究所のコア技術は、人間の五感への外部刺激による人間の感性を可視化できる点にあります。ここでは、活用が期待される下記6つの用途(例)をご紹介します。

1. ストレスチェック

口頭や筆記による回答や選択肢の回答を、クリックを介さずに可視化。画面を64分割し、設問の選択肢を10秒間見たときの、注目度の指数によるヒートマップで、どの選択肢に注目しているのかを分析できます。<図3><図4>

<図3>瞳孔解析を用いた ストレスチェック検証用の調査画面
<図3>ストレスチェック検証用の調査画面
<図4>被験者の視線の位置と瞳孔径からの注目度合いを可視化
<図4>被験者の視線の位置と瞳孔径からの注目度合いを可視化

2. 触覚の与える印象の可視化

評価対象は視覚情報に留まりません。例えば異なる柔軟剤を用いたタオルを触れているときの瞳孔を計測・比較することで、定性的な印象を可視化することができます。触覚の与える印象を評価することができるのです。

3. 香りが人に与える印象の可視化

対象物の匂いを嗅いだときに人間が感じる、定性的な印象を可視化することができます。

4. マーケティングリサーチ

脳波計測とは異なり、動画をモニターしながら、注目度について経時変化を見ることができます。したがって、CMなどの動画の中で、動画のどの部分を注目しているかを分析することができるのです。<図5>

5. 入国審査

税関審査や入国審査に瞳孔解析を導入することで、入国者に対し、言葉や表情だけでは判断が難しい場合においても、効率的で安全性も高く、審査を行なうことができます。

6. 施設内の看板等の配置の設計

施設内にある注意喚起等の看板を、ユーザーが認識・注目しているか、さらには看板のどの部分に注目しているのかを分析することができるため、口頭や筆記などでは抽出することのできない確かな情報を抽出することができます。

まとめ

夏目綜合研究所の瞳孔解析システムは、これまでgoogleやfacebookのようなグローバル企業でもリーチできなかった「人の内面」の情報にリーチし、可視化できる技術として、多岐にわたる分野への応用が期待されています。

夏目綜合研究所

「人の内面」の情報にリーチし、可視化できる技術を持つ瞳孔解析システム。「人の内面」の可視化・計測により研究・開発のみならず、マーケティングまで活用先が広がります。

JAPAN TESTING LABORATORIES株式会社
野原電研(株)グループ品質保証部門が母体となり設立されたJTL(JAPAN TESTING LABORATORIES)株式会社。全国5箇所に加えアメリカにも拠点をもつ同社は、約200種類300台以上の評価設備を保有し、年間約10,000件の取引実績があります。
株式会社リバネス
株式会社リバネスは、「科学技術の発展と地球貢献を実現する」という理念のもと、そこに集まる専門知識や技術・人などつなぎ、組み合わせることによって社会に新たな価値を創出する、研究者集団です。

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