幅広い材料、さまざまな機械加工に対応 試験片専門の製造・販売を手掛ける スタンダードテストピース

INTERVIEW
株式会社スタンダードテストピース
代表取締役
市川 直樹
インタビュイーの写真

製品の安全性や性能評価が強く求められている中、材料の性能試験を行うための試験片(テストピース)へのニーズが増加・多様化しています。そこで今回は、豊富な材料、さまざまな機械加工に対応し、ワンストップで試験片を提供しているスタンダードテストピースを紹介します。

製品の軽量化と高強度の両立が求められる時代に対応

材料の各種性能試験に用いられる試験片。
これまでは、町工場が受注して提供するケースがほとんどでした。多くの町工場では、取り扱う材料は、金属なら金属だけ、樹脂なら樹脂だけというところばかりで、種類も限られていました。さまざまな種類の材料を調達するには、複数の町工場に依頼しなければならず、調達した試験片の品質にもばらつきが生じていました。
一方で、近年、地球温暖化防止や省エネルギーが叫ばれる中、自動車や飛行機などの輸送機をはじめさまざまな製品において、軽量化と高強度の両立が求められています。それに伴い、新材料や複合材料の開発、また、金属や樹脂など異種材料を適材適所に用いるマルチマテリアル化が進んでいます。材料の性能試験に当たっては、さまざまな種類の試験片を用意しなければならないケースや、異種材料同士の接着性能を確認しなければならないケースが増えてきています。
このような状況の中、金属や樹脂(プラスチック、ゴム)、ガラス、木材、紙、建材、繊維、複合材料など幅広い材料の試験片の製造、販売を行っているのが、神奈川県平塚市に拠点を持つスタンダードテストピースです。
同社代表取締役の市川直樹さんはこう語ります。

「これまでとは異なり、当社は試験片を専門に製造、販売している会社です。幅広い材料の試験片を扱っているだけでなく、試験片の機械加工や表面加工技術に長けている点も当社の強みです。」

同社の顧客は、全国各地の企業の研究部門、公的研究機関、大学・専門学校の研究者で、試験片を使用する本人から直接問い合わせをもらう場合がほとんど。そのため、顧客の要望を詳しく聞き、目的やニーズを確認した上で、最適な製造、加工を心がけているといいます。

現在、同社の顧客の占める割合は、企業の研究部門と公的研究機関が約9割で、他に、大学・専門学校や個人の方からも受注があります。
企業の業種は幅広く、自動車、航空機器、鉄道をはじめとした輸送機器業界、建機・産業用機械、家電業界、医薬・化学業界から、鉄鋼や樹脂などの素材メーカー、塗料、接着、表面処理加工メーカーに至るまで全国1300社以上に及びます。

取り扱っている材料としては、金属と樹脂の割合が最も高く、金属に関しては、鉄系素材(一般鋼材、表面処理鋼板、特殊鋼)、ステンレス鋼、アルミニウム、銅、マグネシウム、鉛板、ニッケル、チタン、亜鉛、貴金属(金、銀、白金)と幅広いニーズに対応しています。

金属・樹脂材料の特性について他の記事でも解説しています。

「中でも最近は、自動車を筆頭にあらゆる製品で軽量化と高強度の両立が求められることから、アルミニウム合金を材料とする試験片の発注が増えています。」

また、さまざまな組み合わせに対応しているのも、同社の強みです。JIS規格に加え、航空宇宙規格のAMS規格の試験片も取り扱っており、例えば、JIS Z2000番台の金属の引張強度の試験片の形状でプラスチックの試験片を作成したり、逆に、JIS K7000番台のプラスチックの引張強度の試験片の形状で金属の試験片を作成したりといったことも可能です。

性能試験の目的は、主にJISなどの規格に合っているか否かを評価するためと、市販されている材料に対してどれくらいの性能をもっているかを評価するための2つに大別されます。

「最近の製造業の傾向としては、金属材料の一部をより軽量なプラスチック材料や複合材料に置き換える動きが顕著になってきていることから、金属材料とプラスチック材料の両方の試験片を求められるお客様が増えてきているように感じます。既存の材料の代替材料を探していて、その代替材料が求める性能をクリアしているかどうかを確認したいといったケースですね。」

材料の性能試験の種類と目的

そもそも試験片は、どのような性能試験に使われているのでしょうか。簡単に説明していきましょう。
まずは、「強度試験」が挙げられます。強度とは壊れにくさのことで、引張強度と靭性(粘り強さ)があります。引張強度は試験片を両側から引っ張ってちぎれるときの最大荷重で示します。一方、靭性はハンマーで試験片に瞬間的に大きな力をかけて破壊するのに要したエネルギーで示します。
次に「塗料試験」があります。これは試験片を使った塗料に関する試験で、塗膜の隠ぺい力や付着強度、耐屈曲性、耐摩耗性、引っかき硬度などさまざまな試験項目があります。
「接着試験」は接着剤に関する試験で、試験方法には、JIS規格の試験片を使った引張接着強さ、引張せん断接着強さ、圧縮せん断接着強さ、割裂接着強さなど8種類ほどあります。加えて、接着試験で重要になってくるのが、試験片の表面処理です。それは表面の状態によって接着性能が大きく異なるためで、塗料に関しても同様です。表面処理法には、プライマー(下塗り剤)処理、機械的処理(材料表面の研削)、薬剤を用いた化学的処理、物理的処理(紫外線照射やプラズマ処理)などがあります。後述しますが、スタンダードテストピースでは、機械的処理に対応し、さまざまな表面加工を行っています。

「腐食試験」は、腐食に対する試験で、JISやJASO(耐震総合安全機構)で規格化された腐食試験や、材料選定のための腐食試験があります。自動車、家電・電気製品、土木・建築分野などで幅広く実施されています。特にプラント設備や配管の腐食による事故の防止には欠かせません。具体的には、試験片を使ってガス腐食試験や、応力を負荷した試験片を腐食溶液中に浸漬して割れが発生する時間を見る応力割れ腐食(SCC)試験などがあります。

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「耐薬品試験」は薬品に対する試験です。例えば、樹脂でよく発生するトラブルに、「ソルベントクラック」があります。これは、薬品が樹脂中に浸透し、樹脂中の高分子同士の絡み合いが解かれることによって起こる割れ(クラック)のことです。薬品には、有機溶剤や可塑剤、潤滑油、洗剤、化粧品、接着剤などが含まれます。そのため、試験片を使ったさまざまな耐薬品試験がJISで定められています。

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その他、「表面コーティング試験」や「耐摩耗性試験」「溶接試験」などがあり、それぞれの試験で試験片が使われています。

さまざまな機械加工や表面処理が可能

スタンダードテストピースの強みの1つに、試験片の量産品から複雑な形状のカスタマイズ品まで、すべて自社で加工、製造できるということがあります。

「さまざまな機械加工技術、表面処理技術を有しており、お客様のニーズや予算に応じて、安価な仕上げから、複雑な形状、寸法精度の高い試験片まで幅広く対応しています。発注単位も小ロットから数千個以上まで対応可能です。お客様によってさまざまですが、平均すると1社当たりの1回の発注個数は200~300個といったところでしょうか。」

同社の機械加工技術としては、まず、「精密切削加工・精密寸法公差」が挙げられます。寸法公差に関しては、通常は±0.1~±0.05ミリ程度ですが、厳しい寸法公差の場合、±0.006ミリ程度まで可能です。
最も依頼が多いのが「引張試験片加工」です。これは、JISに規定される引張試験片の加工で、金属やプラスチック、ゴムなど加工可能な材料であればどんな材料にも対応しています。<写真1>

<写真1>引張試験片

その他、同社では「精密板厚調整」や「レーザー加工」なども行っています。
一方、試験片の表面処理としては、「研磨」「素地調整用ブラスト処理」「めっき」「陽極酸化被膜/アルマイト」「塗装板」「熱処理」「化成処理」に対応しています。

「表面処理はいずれも、塗料試験、接着試験、腐食試験に対応するものです。例えば、腐食試験の素地調整の場合は、ヘアライン研磨を行い、表面状態を均一にし、評価を安定化させたり、塗料や接着試験の素地調整の場合は、研磨やブラスト処理も対応可能です。粗さの異なるブラストやヘアラインの素地調整を行った後、アルマイトやめっき、塗料を塗布することも組み合わせ可能ですので、気軽にご相談いただきたいですね。」

素地調整用ブラスト処理とは、材料表面に固体金属や研磨材の微粒子を吹きつけることです。スタンダードテストピースでは、研磨材の種類により、サンドブラストやグリッド(鋼砕粒)ブラスト、ショットブラスト(鋼球)、アルミナブラストなどを提供しています。<写真2>

<写真2>ブラスト加工したサンプル品(左:アルミ材、中央:ステンレス材、右:樹脂)

「対応可能な材料は金属、樹脂、ガラスなどで、ブラストの粗さもご要望に応じて調整可能です。
例えば、塗料や接着試験片に粗さの異なるブラストを処理して、どの粗さが最も適した密着性を得られるか?などの評価にも良く使用されます。」

このように、材料の性能試験を行うための試験片へのニーズが多様化する中、スタンダードテストピースでは、新たな材料への対応や、超精密切削など機械加工や表面処理に関する技術力のさらなる向上を図っていくことで、お客様へのご要望にできるだけ応えられています。試験片製作でお困りの方は、ぜひ一度相談してみてはいかがでしょうか。

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マクセル株式会社
1961年創業。国内初のアルカリ乾電池やカセットテープで馴染みがあるが、現在は「自動車」「住生活・インフラ」「健康・理美容」の成長3分野を軸に事業を展開。各分野においてパートナーと連携し、事業、製品、サービスの構築をめざしています。
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1947年創業。世界各国に拠点を持つグローバル企業スウェージロック社の日本法人。バルブ、継手等の流体システム製品を取り扱う。2007年より配管ユニットのエンジニアリングから組立て、検査、納品をサポートする「カスタム・ソリューションズ 」サービスを提供します。
株式会社中野鍛造所
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プロトラブズ合同会社
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