「お客様の工場から材料置き場をなくす」野水鋼業のステンレス棒鋼提供サービス

金属製品の材料として最もよく使用される棒鋼ですが、製品の用途や仕様に見合う鋼種を選定することが大切なのはもちろん、サイズ・形状・仕上げなど、棒鋼選定の際に考慮すべきポイントは多岐に渡ります。長さ調節や削り出しなどの追加加工をできるだけ少なく抑える製品を選定できれば、工程数の削減にもつながります。

棒鋼の調達先を選ぶ際には、目的の製品に最適な棒鋼を在庫しているかどうかが重要なポイントになります。量産化も見据えると、それらの在庫を安定的に供給できるかどうかも重要な視点です。

今回はステンレス棒鋼だけで約2,000種類の在庫をラインナップし、翌日納入を実現する野水鋼業の棒鋼切断・配送サービスとそれを支える倉庫での在庫切断加工、発送の現場を取材してきました。

野水鋼業株式会社について

お話を伺った、野水鋼業営業部 渡辺チームリーダー(左)と馬場さん(右)
<写真>お話を伺った、野水鋼業営業部 渡辺チームリーダー(左)と馬場さん(右)

野水鋼業は「日本の先進的製造業を素材供給の面で応援し続ける」を使命として掲げ、お客様の工場から「材料置き場をなくす」ため、即納体制にこだわり、お客様の事業にとって最適なサービスを提案しています。

千葉県新鎌ヶ谷に本社を構え、千葉県白井と福島、新潟に拠点を構えます。倉庫と加工工場となる白井と福島のセンターには38台の機械を備え、全国配送にも対応しています。
野水鋼業営業部の渡辺チームリーダーと馬場さんにお話を伺いました。

豊富なバリエーション(鋼種・形状・仕上げ・サイズ)で在庫をラインナップ

野水鋼業営業部 馬場さん

「野水鋼業の取り扱いの中心はステンレス鋼材で全体の80%を占めており、残りはアルミ鋼材となります。ステンレスの取り扱い鋼種は幅広くラインナップしており、センターに在庫がない場合でも、取り寄せ対応により販売が可能です。また、先物を調達しているのでお客様の機会損失なく提供することができます。」

<表>取り扱いステンレス鋼種一覧
SUS耐食性切削性磁性納入状態溶接*焼入れ特記事項
304×ST×
304L×ST×ローカーボン
303×ST××曲げ・溶接不可
316×ST×Mo添加
316L×ST×ローカーボン
310S×ST×耐熱鋼
304N2×ST×高強度
321×ST×SUS-347代用
329J1ST×海水用
329J4LST×高強度、高耐蝕性
403A
420J2A焼入れ材
420F×A×快削鋼
416×A×快削鋼
430A××冷間加工性が良い
440C×A最も硬くなる
630STH処理

◎:大変良い 〇:良い □:普通 △:劣る ×:悪い ST:固溶化熱処理 A:なまし
*溶接:溶接のままでも腐食しにくいこと

多様な形状や仕上げを施した棒材を取り扱っていますね。

「主力商品は丸棒で、φ8~400まで対応し、売り上げの半分以上を占めます。その他にも六角棒やフラットバー、アングル、チャンネルなどの他社では取り扱いの少ない形鋼類も幅広く取り扱っています。」

野水鋼業が取り扱う棒材(丸棒・六角棒・フラットバー・アングル・チャンネル・溶接H形鋼丸パイプ・角パイプ)の形状種類と断面図
<図>棒材取り扱い形状
六角棒の在庫の一部 アングル・チャンネルの在庫の一部
<写真>六角棒・アングル・チャンネルの在庫の一部
野水鋼業が取り扱う仕上げ種類(ピーリング・酸洗・プラスコンバインド・コンバインド・h9・h7センターレス・ローレット・スキンパス)と形状
<図>取り扱い仕上げ種類

「出荷比率6割を占めるピーリング丸棒は一番の主力商品で、特に直径が大きな鋼材に強みを持っています。これらは特殊な切断機械や技術が求められるので、他社では取り扱いがない場合が多いですが、弊社では切断精度にもこだわって提供しているので、お客様から信頼いただいています。」

「機械の回転速度を上げれば、スピードは上がりますが、切断面が歪みやすくなります。長年の経験で培ったノウハウを基に、最適な速度を調整することできれいな断面を実現しています。お客様からも「野水さんの商品切断面きれいだね」との評価をいただいていますので自信をもっています。」

直径の大きなピーリング丸棒の断面(SUS303ピーリング)
<写真>直径の大きなピーリング丸棒の断面(SUS303ピーリング)

センターレスの丸棒について教えてください。

「センターレス丸棒は中心軸を取らずに砥石と砥石の間に工作物を挟み込み、材料を回転させながら行う表面研削で、自動改札機や、銀行のお札を数える機械のローラーシャフトなどに使われています。また、歯科医院で使われる医療機器といった精密機器にも使われています。」

「h7センターレス丸棒や六角棒の切断は、加工時の曲がり、傷などのリスクがあるため、対応しているところはほとんどありません。したがって全国から注文いただいています。また切断の際に、鋼材を固定するバイス(万力)によって商品に傷がつくのを防ぐために、機械メーカーと共に試行錯誤を重ねた結果、樹脂素材を採用することで傷がつきにくい仕組みを確立しました。」

商品のサイズはどのように展開していますか?

「サイズ展開も弊社の特徴の一つと言えます。通常棒材の太さの刻みは偶数が一般的ですが、弊社では奇数サイズを取り扱っています。サイズ展開を小刻みにすることで、お客様が必要としているサイズにより近い状態で提供できます。」

「切削する部分が少なくて済むため削りカスやスクラップの削減、さらにはCO₂の削減につながります。この取り組みは業界内でも評価されています。また棒材の重量も軽くなるので、輸送コストも軽減することができます。切断サイズは規定の棒材の長さを元に等分切りやサイズ指定も承っています。」

「お客様の声」を大切にしたサービス提供

お問い合わせからお届けまでの流れ(初回)
<図>お問い合わせからお届けまでの流れ(初回)

御社の棒鋼を初めて発注する場合、どのような流れになるのでしょうか?

「まず、お客様からお問い合わせいただく際には、ご要望などをヒアリングして商品選定のアドバイスも行っています。ヒアリング内容を基に、お見積りを行い、初回の場合はお支払いをもって発注とさせていただき、加工を開始します。」

「配送方法は弊社の配達便と路線便に対応しています。配達便は配達地域が限られますが、路線便は全国発送に対応しています。在庫状況、配送先の地域に応じて千葉県白井または福島どちらかのセンターからの発送となります。また、センターでの直接お引き取りにも対応しています。」

お問い合わせ時には材料選定の相談も受け付けているのですか?

「用途については必ずお伺いしています。何に使われるのかを聞くことで、適した鋼種などをアドバイスできます。強度など製品仕様上重要視している要件や、どんな機能を持たせるのか、などの情報をいただければ商品選定のお手伝いも可能です。」

野水鋼業営業部 渡辺チームリーダー

「鋼材メーカーによっては原子力部品など、特定の用途での使用は対応不可の場合があるので、そのためにも用途確認は重要です。また、宇宙関係の用途では、JIS規格G4303「熱間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯」が要求されることがあるそうです。細いサイズが必要な場合、G4318「冷間仕上げステンレス鋼棒」であれば該当サイズの在庫があったしても、G4303「ステンレス鋼棒」を削って提供する必要があります。用途によってはサイズよりも、用途に合った鋼種を優先するという判断が必要になります。」

他にはどのようなことについてヒアリングしますか?

「加工内容についてもお伺いします。溶接するのであれば、ローカーボンのものが適切なので、SUS316Lをおすすめしています。」

「お問合せの段階でミルシートの確認が可能です。例えばカーボン値が低い鋼種のミルシートをサンプルとして、いくつかお出したりすることもできます。最初の検討の段階で、サンプルミルシートを見て頂いて、求める値に合っているか確認してもらいます。アルミのミルシートを出しているアルミ屋さんは少ないですが、弊社はステンレスと同様にアルミのミルシートも提供しています。」

ミルシートサンプル
<図>ミルシートサンプル

見積り前に相談に乗ってもらえるのは安心できますね。

「問い合わせ時だけでなく、私たちは常にお客様の声を重要視しています。お客様からクレームをいただいた際にも、一件一件分析し、改善につなげています。」

「「商品に傷がついていた」「曲がってしまっていた」といった問題が生じた際は、問題が発生した工程を特定し、原因を分析し、改善案まで考えます。工場内での加工工程だけでなく、メーカーからの鋼材の輸送過程、商品の配達過程までくまなくチェックし改善します。」

「毎年実施している顧客アンケートでの要望を受けて新たに在庫対応を始めたケースもあります。」

「また、「見積り回答をもっとスピーディにしてほしい」という要望も多く見られたため、取引会社様向けにWEB見積もりサービスを開始し、特に流通のお客様からの満足度が向上しました。一方で電話やFAXの方が便利という方もいらっしゃいます。今後も両方対応していく方針です。」

要望を改善につなげる姿勢がお客様の信頼につながるのですね。

「失敗を成長につなげることが大事ですね。誤出荷をしてしまい、お客様から苦情をいただいたこともありますが、それをきっかけに、チャージ管理を徹底しました。弊社から出荷されたものが、どこのメーカーで作られて、いつ発行されたミルシートなのかをきちんと追えるように、システム化しています。」

「また、現場での鋼材の取違いミスを防ぐため、弊社独自の取り組みとして、現場の作業担当者が指示書に実物の材をみてチャージ番号を記入するプロセスを加えています。現場の負荷は上がりますが、それに見合う重要な取り組みだと考えています。」

お客様目線で、お客様の声に耳を傾けることで、課題を発見・解決し、サービス品質を向上されているのがよくわかりました。
お客様とは定期的にコミュニケーションをとられているのでしょうか?

「継続的にお取引させていただいているお客様とは定期的に情報交換させていただくことで在庫が不足しないよう、先物を調達しています。試作品製作から量産化に移行する際にも在庫量を調節することでスムーズに移行できるようにサポートいたします。」

短納期・高品質を支えるセンター(倉庫兼工場)

倉庫兼工場の白井センターには多種多様な在庫品とたくさんの切断機械が並んでいる
<写真>倉庫兼工場の白井センターには多種多様な在庫品とたくさんの切断機械が並んでいる

実際に白井センターにて丸棒の切断加工工程を見学させていただきました。

「最新機器を導入することで従来の機械だと200φの径を切るのに60~70分かかっていたのが1/3の20分程度にまで時間短縮できるようになりました。ただ、この機械は大きい径を切るのには向いているのですが、逆に小さい径のものを切るのには出力が大きすぎます。そのため、切るサイズによって機械を使い分けています。」

大きい径の丸棒(太丸)のバンドソー切断の様子
<写真>大きい径の丸棒(太丸)のバンドソー切断の様子

「機械の操作は担当者の経験や、加工のデータを引き継ぎ、ベストな切断のコンディションを設定しています。弊社の出荷量・売上の大部分を占める太丸の切断は段取りの組み方や、重量物の扱いに熟練が必要なので、できるだけベテランが担当しています。」

白井センター 丸棒チームリーダー大塚さん
<写真>白井センター 丸棒チームリーダー大塚さん

「重いものを扱う際には、クレーン操作に慣れていないと、運搬物が揺れて機械や商品にぶつかったりして壊してしまう危険があります。また、常に新しいオーダーが入り、一日の仕事量が見えない状況下で、なるべく機械が稼働していない時間を作らないように段取りを工夫しないといけません。」

独自の技術・ノウハウで実現している即納体制なのですね。

「スピードも重要ですが、我々が出荷しているのは「商品」ですので、品質にもこだわっています。弊社では、長さ40mm以上のコールドフラットバーであればバリ取りをした状態で出荷します。以前、バリ取りしてない状態で出荷したところ、お客様が手をケガしてしまったのがきっかけです。現在では、業界内でスタンダードになりつつあります。」

コールドフラットバーのバリ取りをしている様子
<写真>コールドフラットバーのバリ取りをしている様子

「また、曲がりやすい鋼材には添木をつけて出荷するなど、商品に応じて梱包方法が決まっています。ラップ梱包も、弊社は早い段階から取り入れています。ラップ梱包は複数の商品を発送する際に、まとめてラップで梱包して圧着することで輸送中に動かないので傷がつきにくくなります。」

ラップ梱包された商品
<写真>ラップ梱包された商品

商品の発送後のことも考えてしっかりと対策されているのですね。

「他にも輸送中の急ブレーキなどで傷がついたり、曲がったりすることがあることも分かってきたので、ドライバーさんに注意喚起をしたり、車のサスペンションをバネからエアサスに替えたりと策を講じています。」

今後の展望

「現在、供給力をさらに増強するため、新しいセンターの増設も計画中です。加工機械の数を増やし、生産性を上げることに加え、在庫スペースの拡充にも積極的に対応していこうと考えています。」

「また、今後も引き続きさまざまな業界の情報を収集して、先物を常に在庫しておくことで、お客様の事業のスピード感に合わせられるよう今後も「お客様第一主義」で進化を続けていきます。」

野水鋼業株式会社
野水鋼業は「日本の先進的製造業を素材供給の面で応援し続ける」を使命とし、お客様の工場から「材料置き場をなくす」ため、即納体制にこだわり、お客様の事業にとって最適なサービスを提案している。ステンレス棒鋼だけで約2,000種類の在庫をラインナップし、棒鋼切断・配送サービスは、倉庫での在庫切断加工、発送体制により翌日納入を実現する。千葉県新鎌ヶ谷の本社に加え、千葉県白井と福島、新潟に拠点を構えます。倉庫と加工工場となる白井と福島のセンターには38台の機械を備え、全国配送にも対応している。