流体システムにおいてお客様の求める機能を実現する~一歩進んだ配管ユニット組立てサービス スウェージロック・カスタム・ソリューションズ

INTERVIEW
日本スウェージロックFST株式会社
セールス&マーケティング
カスタムソリューションズ推進室 マネージャー
森口 研路
インタビュイーの写真

実験室に置かれた真空装置に接続されるガスコントロールユニット、生産現場で求められる高効率な液体搬送システム等、配管を含む試作ユニット・システムの施工は配管の曲げ等、細かい調整が必要で難易度が高いものです。自力で施工を試みてみたものの「施工ミスによって望んだ結果が得られなかった」、「部品の選定・発注を間違って無駄な在庫が余ってしまった」、「試作品を組み上げるだけで時間と労力をかけすぎ、本来の目的であるデータ収集の時間が確保できない」といった悩みを抱えている方もいるのではないでしょうか。
今回は実現したいアイデアがあれば、要望に応じて、配管のレイアウトから組立て、納品までワンストップで依頼が可能な「スウェージロック・カスタム・ソリューションズ」についてご紹介します。

お客様の配管システムに新たな「機能」を提供する

継手やバルブ等、チューブを中心とした流体システム製品に強みを持ち、原子力発電所でも使用されるスウェージロック製品の品質の高さは業界でも広く知られています。そのスウェージロックが提供するサービス「スウェージロック・カスタム・ソリューションズ」の価値とその源泉について、日本スウェージロックFST株式会社セールス&マーケティングカスタムソリューションズ推進室マネージャー森口氏にお話を伺いました。

<カスタムソリューションズ推進室マネージャー森口氏>
<カスタムソリューションズ推進室マネージャー森口氏>

「従来のように部品やユニット製品をそのまま販売するのではなく、我々はお客様の用途に合わせて組立てるところまで行い納品します。したがって納品物の内容はお客様によって多種多様です。部品数点を組立てたものを大量に納品することもあれば、トラックで運ぶような大きさの一点モノまで対応しています。」

しかし、カスタム・ソリューションズの価値は単なる組立てサービスではないと森口氏は言います。

「きっかけは、豊富な製品やオリジナルの工具も取り扱っているのだから組立てまでやってもらえないか?というお客様の声でした。当時はお客様のビジネス環境の変化に伴い、業務量や業務の幅は広がり、組立て加工にも外注を活用するニーズが高まってきていたのだと思います。お客様に提供できる価値を増やしていこうとカスタム・ソリューションズを始めたのが2007年くらいのことです。」

「当初はお客様のオーダーに合わせて部品同士をつなぐ、チューブを曲げてカットするといった簡単な作業をお請けして、お客様の工数削減をお手伝いすることがメインでした。しかし徐々にお客様の要求も複雑化し、それに一つ一つ応えることで図面作成やプロセスレイアウト等、我々の提供できることも増えていきました。」

「コストを重視するような引き合いもありますが、その中でも我々は独自の価値を付加することにもこだわります。結果的に少しの金額の差であれば、安全性の向上や品質のばらつきを抑えるといった価格を凌駕する価値が感じられれば、中長期的にみて選択していただけると考えるからです。」

「今ではカスタム・ソリューションズの提供価値は、組立てられた部品ではなく、それらがお客様の望む形でオペレーションされ、想定通りの結果を出して初めて実感いただける『機能』であると言えます。」

<スウェージロック・ジャパン・テクノロジーセンターでの組立て加工の様子>
<スウェージロック・ジャパン・テクノロジーセンターでの組立て加工の様子>

研究開発フェーズのお客様には要求をふんだんに盛り込んだ「オリジナル製品」といえる一点モノを提供

カスタム・ソリューションズはどんなシーンで活用されているのでしょうか?

「もともと、当社の製品は研究開発に従事されるお客様に多く利用していただいていました。試作品を製作される時には、自ら部品を探して発注したり、業者さんと打ち合わせをして部品を選定したりするような研究開発の本分とは少しずれたところの業務に意外と時間が費やされています。このような領域をお任せいただくことで、研究開発のサポートをさせていただいています。」

最近では研究開発の現場でも技術者不足やキャリアローテーションによる知の共有の希薄化といった課題が取り沙汰されています。また、新しい取り組みであるほど、不確定要素が多く、実験設備の試作も手探り状態で取り組んでいる方も多いようです。

「現時点ではまだ簡単な図面やアイデア段階であっても、お客様の実現されたいことがわかる資料があれば、それらをベースにお打ち合わせですり合わせながら進めていくことができます」

「お打ち合わせでは、お客様が何を目的にされているか、どのような機能を持たせたいか、製品をどのように使われたいか、どのように最終アウトプットを安定されたいか、といった観点ですり合わせを行います。いくら配管がコンパクトに収まったとしても、操作がしにくいとなると結果的にお客様は不便さを感じてしまいます。このようなトレードオフを常に考慮してお客様と確認していきます。」

「研究開発者のお客様には、お客様の要求をふんだんにカスタマイズした、『オリジナル製品』といえる一点モノをご提供いたします。我々は配管部品に対しての知見は豊富ですが、お客様の求めている機能を十分に理解していないと、お客様の依頼通りに組立てる以上の価値が出せません。しかし、機能がわかれば、保有する知見を駆使してさらに良いデザインやレイアウトを提案することができます。」

先端研究を行っている研究者の皆さんはアイデアをどのように具現化すればいいのか迷われている方も多いのではないでしょうか?カスタム・ソリューションズを活用することが実現への近道となるかもしれません。

研究開発分野における事例:某有名大学様

エネルギー技術に関する触媒の研究を行う研究室において、触媒焼成電気炉のガス配管・真空配管を提供。ガスを分配する複雑な配管や危険な流体を使用する配管、温度や圧力の変動による配管膨張を吸収するレイアウト等の安全面への配慮、素人にはできない高品質な仕上がりが評価されている。

生産プロセスへの組み込みも豊富に蓄積した経験に基づきエンジニアリング

「近年では、研究開発からバリューチェーンをもう少し下った生産プロセスにも力を入れています。生産設備や装置に、我々の製品を組み込んでいただくべく、アプローチをしています。」

生産プロセスでは、設備の核となる装置のメーカーが主体となり組み上げるケースが一般的ですね。しかし、既存の設備に新しい要素の組み込みや改善を試みたい場合、どのように進めればいいのかが悩みどころです。

「既存の量産系設備の中に、新しくユニットやシステムとして提供することは、実は試作品製作で『オリジナル製品』といえる一点モノを作ることよりも、さらにハードルが高い仕事です。面積生産性、再現性、現場保守性等といった細かな仕様の制限や要求がある中で、ばらつきを押さえながらも複数製作する必要があるので、クオリティを担保するためのプロセスレイアウトが重要になってきます。」

「スウェージロックの70年の歴史の中で石油化学ではプロセス、半導体では装置、自動車では生産設備といった複数の産業分野で製品を提供してきました。現在では、そのノウハウを産業横断で活用することができます。半導体製造設備や石油プラントでの知見が自動車の分野で新しい形で活用されることもあります。」

検査設備標準化の事例:某大手自動車部品メーカー様

自動車業界の変化を捉えて、設備作りの変革に会社を挙げて取り組む。検査・計測設備の配管は従来毎回製品ごとに専用のものを製作していたが、品質の安定化、コスト・工数の削減を目指し、試行錯誤の末、標準化を実現した。

盤石な品質保証体制と安全性を担保する独自の規定

カスタム・ソリューションズでは、一般的に不具合が出やすいとされる溶接加工等も提供しています。これらの品質を保証するために、どのような取り組みを行っているのでしょうか?

「スウェージロックでは溶接に関しては非常に詳細な仕様まで提示しています。我々が持っているサーティフィケーション・プログラム(オペレーター品質認証プログラム)の中でも、溶接は一番厳しい要件が設定されている社内認定資格です。高品質の溶接を求めていらっしゃるお客様には大いに価値を感じていただいているポイントです。」

<溶接加工の様子>
<溶接加工の様子>

「溶接後にはあらかじめ決定された検査方法・条件(使用する流体、圧力、温度)でテストが行われます。当社で保有する設備で賄えるものの他に、溶接加工部分の非破壊検査が必要であれば、検査を業務提携先に依頼するといった対応も可能です。」

「納品したパッケージに対する保証期間は、Swagelok リミティッド・ライフタイム保証の中に記載されています。何を保証対象にするかはあらかじめ決まっており、当社の製品に欠陥があった場合や施工不備については無償で交換・対応いたします。」

「また、作業安全性は第一に考えられ、従業員が安全な環境下で業務を遂行することが重視されています。実際にお客様からの依頼の中には安全性を考慮した結果、当社のケイパビリティでは対応できないため、お断りする場合もありました。最終的に生産ラインで実用化する際にも、一番重要なのはやはり安全性と操作性です。そこを軽視してしまうと結果的に信頼を裏切る結果になりかねません。」

「一方で、安全性を担保した形で目的の機能を実現するための努力も最大限行います。これまでの知見を活用して実現した防爆エリアでの危険液体のサンプリングシステムをはじめ、豊富な経験を活用し、さまざまな障壁を乗り越えた事例もあります。」

<グラブ・サンプリング・システム>
<グラブ・サンプリング・システム>

サンプリングソリューション提供の事例:某大手石油化学メーカー様

手作業で行っていた防爆エリアでの危険液体のサンプリングに安全性と効率性を求め、エアー動力を用いたグラブ・サンプリング・システムを実現。

利用の流れとスケジュール

単純に製品を選んで購買する場合と異なり、提案・レイアウトも含めた組立て加工サービスの発注は最終納品物が固まるまで時間がかかるので予算や納期のコントロールが難しいと思われがちですが、カスタム・ソリューションズではどのような流れで実施されているのでしょうか?

「カスタム・ソリューションズでは製作を開始する前のフェーズを、仕様確認と最終レイアウト確認の2段階に分けています。」

「仕様確認では、見積仕様書の中に、機能要件、使用製品、テスト概要、納品方法といった内容を記載します。この内容についてお客様に合意いただき、見積仕様書にサインいただくと、初めて発注という形になります。」

「次に最終レイアウト確認に入ります。図面はお客様の要望をお聞きし、当社で作成します。最終的な図面を承認図面としてお客様にもう一度サインいただき、製作に入ります。」

<カスタム・ソリューションズ利用の流れ>
<カスタム・ソリューションズ利用の流れ>

仕様確認では機能要件をある程度確定させ、最終レイアウト確認では搬入等の物理的制約も踏まえた最終調整を行うという流れはわかりやすいですね。料金や納期はどのように設定しているのでしょうか?

「料金は納品物の規模や使用する製品に応じて変動します。納期については、レベルによって標準リードタイムが決められているので、仕様確認での段階で算出が可能です。」

「当社では組立て種ごとにレベルが定義されています。設備、エンジニアリング時間、組立て作業時間をベースに作業難易度(レベル)を決定し、それに応じて標準納期が設定されています。例えば、当社製品及び設備で完結できるものは標準納期が短く設定され、購入品や外注品が多くなれば標準納期が長めになります。過去実績を参考にレベルごとのリードタイムがある程度決まります。例えば、見積仕様書の中に、最終レイアウト確認の過程が4週間、承認図をいただいた後の製作期間は8週間といったスケジュールも記載しています。」

グローバルでケイパビリティ(対応力)とキャパシティ(生産力)を共有

「スウェージロックでは、世界にある5つのテクノロジー・センターとジャパン・テクノロジー・センターで協業体制を構築し対応力と製作力の向上を図っています。」

<スウェージロック・ジャパン・テクノロジー・センター>
<スウェージロック・ジャパン・テクノロジー・センター>

「5つのテクノロジー・センターでの経験実績は共有されています。そのため、日本以外のテクノロジー・センターでの失敗事例等からも学ぶことができるので改善スピードも速いです。また、日本で実績のない取り組みについてはソロン(米国)のエンジニアからの技術面のピアレビューを受けることもあります。」

「エンジニアの育成方針としては、アプリケーションエンジニアとして必要最低限のスキルと知識を身に付けたら、スウェージロックとして注力している産業・アプリケーションの中で段階的に難易度の高い仕事に従事させます。各業界特有の規格や文化を、案件を通して学び、できるだけ高付加価値な仕事に注力させ、エンジニアの能力を伸ばしています。例えば、CAD図面作成は、中国のテクノロジー・センターにある技術チームに依頼することで、日本のアプリケーションエンジニアは仕様確認と製作指示業務に集中し、当社製作及び技術チーム、そしてお客様に確実な情報をレスポンス良く伝えることができます。案件を確実にクローズすることで多くの学びを得ることができます。定期的にお客様を訪問したり、技術チームと密にコミュニケーションを取ることは育成にも役立っています。」

「人数や、設備が拠点ごとに違いますので、おのずとキャパシティ(生産力)に差が出ますが、拠点同士でリソースを共有することで調整しています。以前までは日本のテクノロジー・センターで製作していたホースも、製作量が多くなったため、アメリカの方に製作を移管するようになりました。」

「また、海外に複数拠点があることのもう一つのメリットとしては、日本の企業様が海外に進出された際に、スウェージロックであれば、日本と同等のサービスを受けられるということも挙げられます。」

今後の展望

「お客様の業界も輸送機関、半導体、石油化学がメインですが、製薬・医薬分野の知見も少しずつ蓄積していきたいと考えています。」

「また、納品する成果物に制御機能も取り込んでいきたいと思っています。制御の領域は我々にとって未経験の領域ですが、実現方法を模索し、今後のビジネスをさらに発展させていきたいと考えています。これからも、まだ提供できていない市場の要求やお客様の期待に1つずつ応えていきます。」

「スウェージロックではグローバルでさまざまなポリシーが詳細に規定されていますが、一方でビジネスケースを積極的に検討する文化もあり、エスカレーションは頻繁に行われています。これまで提供できなかったことも、技術的な観点で検証を重ねることで条件付き承認を得ることが可能です。こういった事例を数多く作ることで、1つずつ不可能を可能に変えて提供価値を広げていきたいと思います。」

日本スウェージロックFST株式会社
1947年にアメリカで創業し、世界70か国以上に拠点を持つグローバル企業スウェージロック社の日本法人。バルブ、継手等の流体システム製品を取り扱う。「石油化学」、「半導体」、「輸送機関」を中心としたさまざまな業界で製品とサービスを提供し、品質と信頼性において、高い評価を受けている。2007年には、お客様のさらなるニーズに応えるべく、配管ユニットのエンジニアリングから組立て、検査、納品をサポートする「カスタム・ソリューションズ 」サービスを開始。各業界で培った材料科学、製品設計、流体システム性能の専門知識を活かして、お客様が抱える流体システムの悩み・課題に対応する。「革新性、進歩、相互尊重、高品質、顧客第一、信頼性 」というスウェージロックの核となる価値を大切に、さらなる価値提供を目指している。