金属やセラミック3Dプリンターに注目集まる―「試作市場2018&微細・精密加工技術展2018」

特に来場者の訪問が絶えなかったのは、3Dプリンター関連の展示ゾーンである「3Dプリンターゾーン」。展示内容のポイントは、材料として扱える鋼材やセラミックの種類が広がっていることや、追加工も含めて試作部品そのものも請け負うプリンティングサービスが台頭していることでした。

金属3Dプリンターの基礎知識について参考記事

また3Dプリンターゾーン以外で注目を集めていたのは、透明素材による自動車のトランスミッションケースの展示。内部に流体を通して動作の検証に利用できるそうです。

そのほか微細・精密加工のブースでは、IT機器や医療分野などでの応用が見込めそうな高度な加工技術を備えた企業群が出展。研究開発に有効なヒントが数多く見られた技術展でした。

金属3Dプリンターで試作型を不要に

白銅

さて、注目集まる3Dプリンターゾーンにおける出展企業の1社は、金属3Dプリンター造形サービスを提供する白銅株式会社。同社のサービスの売りは、対応できる鋼種を拡大していること。従来のマルエージング鋼やステンレス鋼に加えて、この4月から新たにアルミニウム合金のADC12を加えました。アルミニウム合金は簡易型や試作型、少量生産物の素材として使われています。

「製品の開発段階においては試作型が不要になるため、型の制作時間やイニシャルコストを削減することが可能です」(白銅の説明員)。

使用している機種は米3D Systemsの「ProX DMP 300」。白銅ではこれを2台備えているそうです。説明員は「他のメーカーの3Dプリンターよりも高密度に積層できるので、当社としてはこちらで対応しています」とのこと。

また、白銅では他の事業者と組み、3Dプリンターによる造形に研磨やメッキなどを組み合わせることで、さらなる付加価値をつけるサービスも提供しているそうです。

<写真1>白銅による金属3Dプリンターの出力例。CADで構造を最適化した部品を出力した。従来の切削加工では難しい形状も3Dプリンターなら実現できる <写真2>白銅の3Dプリンターによる造形に、めっき処理事業者が処理を行ったサンプル
<写真2>白銅の3Dプリンターによる造形に、めっき処理事業者が処理を行ったサンプル

上記でご紹介した白銅株式会社のサービス内容や公式ホームページについて参考記事

OPMラボラトリー

<写真3>OPMラボラトリーによる3Dプリンターで製造した金型のサンプル
<写真3>OPMラボラトリーによる3Dプリンターで製造した金型のサンプル

もう1社、金属3Dプリンターというキーワードで注目を浴びていたのは、株式会社OPMラボラトリーです。こちらは試作段階における金属3Dプリンターを使った成形サービス「OPM Speed lab」を紹介していました。OPMラボラトリーでは株式会社ソディック製の3Dプリンターを使用しています。

3Dプリンターを使うことで成形自由度の高い金型が可能になった点を打ち出しており、そのサンプルを展示していました。大きな特徴は、3Dプリンターだからこそ実現できる、複雑な形状の冷却水管を金型内に組み込めること。金型の冷却性能が上がるため、「成形時の生産性や品質の安定度が高まります」(説明員)。

「国産初」、設計者が持ち込んだセラミックが使える3Dプリンター

写真化学

「国産初」のキャッチで来場者からの注目を集めていたのは、セラミック3Dプリンターを紹介していた株式会社写真化学です。同社は「セラミック用高精細光造形装置」としてセラミック3Dプリンター「SZシリーズ」を開発・販売しています。

<写真4>写真化学のセラミック3Dプリンター「SZシリーズ」の紹介パネル
<写真4>写真化学のセラミック3Dプリンター「SZシリーズ」の紹介パネル

造形のプロセスは次のようになります。

(1)まずセラミックの粉体を光硬化性樹脂と混ぜて3D造形に適した状態にしてから、
(2)プリンターで造形を実施。

その後
(3)未硬化分の材料を洗浄液で洗い流し、
(4)造形物を焼結炉で焼結させて完成させる、
というものです。

<写真5>写真化学のセラミック3Dプリンターで出力したセラミック造形物のサンプル
<写真5>写真化学のセラミック3Dプリンターで出力したセラミック造形物のサンプル

ポイントは、セラミックの粉体を顧客企業が指定できるというところにあります。「海外のメーカーもセラミック3Dプリンターを製造していますが、こちらはメーカー側が指定するセラミックしか使えません。お客様(顧客企業)の材料が使えるというのが当社のマシンの特徴です」(写真化学の説明員)。

1台のプリンターで14種類の樹脂に対応

エフティ・ファインテックプロダクト

<写真6>エフティ・ファインテックプロダクトの3Dプリンター「FAST System」シリーズの上位機種、「FS-320EP」
<写真6>エフティ・ファインテックプロダクトの3Dプリンター「FAST System」シリーズの上位機種、「FS-320EP」

もう1つのブースは、株式会社エフティ・ファインテックプロダクト。同社製の3Dプリンター「FAST System」シリーズの特徴は、扱える樹脂の多さ。上位機種の「FS-320EP」は、ABS、PLA、エラストマ、ナイロン12、ナイロン6、ポリプロピレンなど、1台で10種類以上の樹脂に対応しています。

さらなる特徴は最小積層ピッチが0.05mmまで対応していること。「精度の高い加工が可能で、表面仕上げの品質が高くできるので最終製品の製造にも十分対応できる」(説明員)としています。

FAST Systemシリーズの価格帯としてはミドルレンジに位置しています(※同社ホームページの製品仕様ページを参照)。
導入に当たっては月々の支払いを最小に収めるためのプランも用意しているそうです。

<写真7>FAST Systemで加工した造形物のサンプル
<写真7>FAST Systemで加工した造形物のサンプル

「透明素材」で流体を目で確認できる技術

イナック

<写真8>ポリカーボネートで作成したトランスミッションケースの内部可視化モデル
<写真8>ポリカーボネートで作成したトランスミッションケースの内部可視化モデル

3Dプリンター関連の展示以外で注目を集めていたのは、透明素材での実物造形。株式会社イナックのポリカーボネートによるトランスミッションケースの展示です。

「実際にオイルを流し込んで動作時の内部の状態を確認できる」(説明員)そうです。こうした透明素材での実物造形を使えばコンピュータ上のシミュレーションでは把握しきれない情報が収集できる可能性があるため、研究開発者から問い合わせがしばしば寄せられているとのことでした。

1mm以下の微細部品のハンドリングを自動化

微細・精密加工に関する展示で人が絶えなかったのは、高度な加工技術を備えた企業群のブースです。

入曽精密

1つは、1辺100マイクロメートルの真ちゅう製極小サイコロの製造に成功し新聞でも報道されたことがある株式会社入曽精密です。こちらは「ORIGAMI」と呼ぶ新しい加工技術を展示していました。3軸MC加工機に後付けで搭載可能なワークの自動持ち替えシステムで、1mm以下の微細部品のハンドリングを自動化できるというものです。

「手作業を経ずに6面からの加工が可能になるので、誤差を減らし、大幅な効率アップが期待できる」(説明員)といいます。試作から数千個までの量産を想定した技術で、IoT(モノのインターネット)構成部品、スマートフォンなどの先端IT機器、医療分野などでの応用が見込まれそうです。

入間精密

入間精密は埼玉県南部および東京都西多摩エリアで特徴的な技術を持つ5つの事業者とチームを組んで展示していました。微細な成形金型技術を持つ株式会社狭山金型製作所、アルミダイカストの加工技術を持つ株式会社テラダイ、電子ビームやレーザーによる加工技術の株式会社東成エレクトロビーム、2枚の材料を金型で同時に加工できる技術を備える株式会社松下製作所です。

<写真9>入間精密は近隣エリアで特徴的な技術を持つ5つの事業者とチームを組んで展示
<写真9>入間精密は近隣エリアで特徴的な技術を持つ5つの事業者とチームを組んで展示

「お客様のご要望に応じてチームで取り組むようにしています。これにより複雑かつ多様化しているご要望にも柔軟に対応できるようにしました」(松下製作所の説明員)。

以下の記事では、金属加工についてどのような種類があり、それぞれどんな特徴があり、どのような用途で用いられるかを詳細に解説しています。合わせてご参照下さい。