特に来場者の訪問が絶えなかったのは、3Dプリンター関連の展示ゾーンである「3Dプリンターゾーン」。展示内容のポイントは、材料として扱える鋼材やセラミックの種類が広がっていることや、追加工も含めて試作部品そのものも請け負うプリンティングサービスが台頭していることでした。
金属3Dプリンターの基礎知識について参考記事
また3Dプリンターゾーン以外で注目を集めていたのは、透明素材による自動車のトランスミッションケースの展示。内部に流体を通して動作の検証に利用できるそうです。
そのほか微細・精密加工のブースでは、IT機器や医療分野などでの応用が見込めそうな高度な加工技術を備えた企業群が出展。研究開発に有効なヒントが数多く見られた技術展でした。
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金属3Dプリンターで試作型を不要に
白銅
さて、注目集まる3Dプリンターゾーンにおける出展企業の1社は、金属3Dプリンター造形サービスを提供する白銅株式会社。同社のサービスの売りは、対応できる鋼種を拡大していること。従来のマルエージング鋼やステンレス鋼に加えて、この4月から新たにアルミニウム合金のADC12を加えました。アルミニウム合金は簡易型や試作型、少量生産物の素材として使われています。
「製品の開発段階においては試作型が不要になるため、型の制作時間やイニシャルコストを削減することが可能です」(白銅の説明員)。
使用している機種は米3D Systemsの「ProX DMP 300」。白銅ではこれを2台備えているそうです。説明員は「他のメーカーの3Dプリンターよりも高密度に積層できるので、当社としてはこちらで対応しています」とのこと。
また、白銅では他の事業者と組み、3Dプリンターによる造形に研磨やメッキなどを組み合わせることで、さらなる付加価値をつけるサービスも提供しているそうです。


OPMラボラトリー

もう1社、金属3Dプリンターというキーワードで注目を浴びていたのは、株式会社OPMラボラトリーです。こちらは試作段階における金属3Dプリンターを使った成形サービス「OPM Speed lab」を紹介していました。OPMラボラトリーでは株式会社ソディック製の3Dプリンターを使用しています。
3Dプリンターを使うことで成形自由度の高い金型が可能になった点を打ち出しており、そのサンプルを展示していました。大きな特徴は、3Dプリンターだからこそ実現できる、複雑な形状の冷却水管を金型内に組み込めること。金型の冷却性能が上がるため、「成形時の生産性や品質の安定度が高まります」(説明員)。
「国産初」、設計者が持ち込んだセラミックが使える3Dプリンター
写真化学
「国産初」のキャッチで来場者からの注目を集めていたのは、セラミック3Dプリンターを紹介していた株式会社写真化学です。同社は「セラミック用高精細光造形装置」としてセラミック3Dプリンター「SZシリーズ」を開発・販売しています。

造形のプロセスは次のようになります。
(1)まずセラミックの粉体を光硬化性樹脂と混ぜて3D造形に適した状態にしてから、
(2)プリンターで造形を実施。
その後
(3)未硬化分の材料を洗浄液で洗い流し、
(4)造形物を焼結炉で焼結させて完成させる、
というものです。

ポイントは、セラミックの粉体を顧客企業が指定できるというところにあります。「海外のメーカーもセラミック3Dプリンターを製造していますが、こちらはメーカー側が指定するセラミックしか使えません。お客様(顧客企業)の材料が使えるというのが当社のマシンの特徴です」(写真化学の説明員)。
1台のプリンターで14種類の樹脂に対応
エフティ・ファインテックプロダクト

もう1つのブースは、株式会社エフティ・ファインテックプロダクト。同社製の3Dプリンター「FAST System」シリーズの特徴は、扱える樹脂の多さ。上位機種の「FS-320EP」は、ABS、PLA、エラストマ、ナイロン12、ナイロン6、ポリプロピレンなど、1台で10種類以上の樹脂に対応しています。
さらなる特徴は最小積層ピッチが0.05mmまで対応していること。「精度の高い加工が可能で、表面仕上げの品質が高くできるので最終製品の製造にも十分対応できる」(説明員)としています。
FAST Systemシリーズの価格帯としてはミドルレンジに位置しています(※同社ホームページの製品仕様ページを参照)。
導入に当たっては月々の支払いを最小に収めるためのプランも用意しているそうです。
