元素記号で高品質金属を注文~高純度化学研究所が3,000品目以上の材料を1グラムから提供できる理由

INTERVIEW
株式会社高純度化学研究所
名古屋営業所 所長代理
望月 彰政
望月氏の写真

薄膜材料、無機化合物、金属粉末、機能性材料などを使用して、日々各種試作を繰り返し行っている研究者や技術者たち。しかし、これらの材料を調達するにも、50kgから数百トンという規模まで、ある程度大きな規模を求められることが多いのが現実です。それに比べ、なんと1グラムから材料を購入できるオンラインストアまで立ち上げているのが株式会社高純度化学研究所です。主にどのようなニーズに対してどのような材料を用意、または製造し、提供しているのか、同社名古屋営業所所長代理望月彰政氏にお話をうかがいました。

元素記号で注文できるオンラインストアがすべてを表している

高純度化学研究所のオンラインストアのトップページは元素周期表です。<図1>それ自体がすでにこの会社を表していると言っても過言ではありません。周期表の青色のものが取り扱い対象元素。限られているようにも見えますが、表のピンク色の元素は常温常圧で気体のもの、黄色の元素は放射性元素または人工元素というから、固体元素はほぼ取り扱っていると言えるでしょう。

<図1>KOJUNDOオンラインストア
<図1>KOJUNDOオンラインストア (https://www.kojundo.net/)から

「私たちが取り扱っている元素由来の材料は3,000品目以上です。大手の材料メーカーとは違い、それらの材料を1グラムという少量から注文できます。当社が取り扱っている材料は、大きくわけて薄膜形成材料と無機材料。薄膜形成材料ではPVD(Physical Vapor Deposition:物理蒸着成膜)材料とCVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相成膜)材料、CSD(Chemical Solution Deposition:塗布成膜)材料です。なかでもPVD材料のスパッタリングターゲットは、大手メーカーだと溶解工程品か焼結工程品のどちらか一方だけ製造しているということが多いのですが、当社では真空溶解炉やアーク溶解炉などを用いた溶解工程品と雰囲気ホットプレス焼結、放電プラズマ焼結などを利用した焼結工程品の両方とも取り扱っています。溶解でできないものは焼結で、焼結でできないものは溶解で、と、決して大きくはありませんが、いろいろな種類の装置を保有しているのでフレキシブルに対応できるのも当社の特徴の一つです。

また、有機材料のCVD材料やCSD材料では、自社内で出発原料から合成することができ、蒸留・精製、溶媒調整やシリンダーなどへの容器充填、分析検査まで一貫して生産することができます。とくにCVD材料では低分子の有機化合物で代表的なTEOSの量産プラントを自社保有。これは半導体業界には必要な材料で、当社はその量産の先駆けでした」

同社が有機材料以上に取り扱っているのが無機材料。同時に取り扱うのは業界でもめずらしいと言います。無機材料では、純度・形状・材質などさまざまな要望に応えることができるそうです。<図2>

<図2>高純度化学で取り扱う材料ラインナップ模式図
<図2>高純度化学で取り扱う材料ラインナップ模式図

「純度は2Nから7Nまで。2Nは純度99%、7Nは純度99.99999%を意味します。純度が一桁違うと価格も一桁変わるというほど、高純度にするのには高度な技術が必要です。これら高純度の材料をご提供できることも当社の強み。形状も粒状から板状など多様。材質も同様です。また無機化合物の合成や粉砕加工も行っています。大気中で取り扱いが難しい無機加工物も高い技術力で製造。その他、アイデア段階のものでもお客様と相談しながら製造しています。

結果、当社のお客様は家電・重電業界、半導体業界の方々のほか、産総研(産業技術総合研究所)やNIMS(ニムス:物質・材料研究機構)、理化学研究所、各大学と幅広くお付き合いさせていただいております」

納品した材料は高品質を保証する独自のデータを提供

彼らは、提供する材料の品質を自ら分析して、分析データとともに保証書をつけて納品していると言いますから、その自信のほどがうかがえます。顧客は、自社の分析とともに2重にチェックできるので、彼らの品質保証は高い評価をいただいてるそう。

「当社には自社製品を保証するために、誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP-MS)や誘導プラズマ発光分光分析装置(ICP-OES)をはじめ、当社の規模にしてはかなり充実している各種分析機器をそろえています。それらによって自分たちが作った製品がお客様の要求にどれだけあったものなのかを分析技術者からなる専門チームが細かく分析します。それら化学分析、物性分析、構造分析を行なったうえで、そのデータともどもお客様に納品します。『とりあえず作りました。使ってください』というわけではなく、お客様に安心して使ってほしいのです。
当社には量産品で大量に生産されるものの材料というよりは試作品の材料が多いので、この姿勢はお客様に高く評価いただいています。お客様の会社でも分析を行いますからクロスチェックができるというわけです。通常、製品や分析結果にクレームがくることはないので、お客様には正しく評価していただいていると思っています」

顧客のあらゆるニーズに応えるための体制と技術力

彼らは3,000品目の既製品をそろえてはいますが、実は彼らの顧客からの既製品の注文は半分以下だそう。50%以上がカスタム材料だと言います。

「私たちは3,000品目が掲載されたカタログを準備してお客様に届けていますが『このカタログに掲載されていない場合は必ず声をかけてください』と伝えています。そうしてカタログに掲載されていないカスタム材料の依頼も決して断らないで少量から対応しています。
結果としてカスタム材料の依頼案件は全体の半分以上。もちろん案件数であって売上ではありません。売上は既製材料の大量受注のほうが多いのですが……。
ではなぜそのように細かくカスタム材料を供給できるのか? それはそれぞれの部門の技術、これらを部署横断で活用できるような組織になっているからなんです。粉末焼結、溶解、機械加工、ボンディング、合成、蒸留精製というコア製造技術があって、そこにCVD・CSD系、スパッタリングターゲット系、無機・加工物系という製品領域がマトリクス的に組み合わさっています<図3>。

お客様のニーズを断らずに応じていく、『困ったときの高純度であり続けたい』という想いを持ち続けるためにはこのような組織が必要でした。創業者は当初からこのような組織を目指していたそうです。ですから技術においても設備にしても、また社員数にしてもお客様のニーズに応えていった結果、いまのような規模になったというわけです」

<図3>高純度化学コア製造技術・製品領域マトリクス
<図3>高純度化学コア製造技術・製品領域マトリクス

おわりに~顧客にとってのメリットとは

同社は今年創業56周年。歯の詰め物(インレー)に使われる金属の高純度化を極めることから始まったという彼らに対するニーズは時代時代で変わっていくと言います。ちょっと前だとハードディスクやDVDなどの記録メディア向け材料でしたが、近年はLEDや有機EL系材料などがトレンドだそう。その他、太陽電池というエネルギー産業系、また電気自動車の関連で電池材料もトレンド。そういう意味では、顧客のニーズによって、これからの業界の方向性もわかるし、また、数年後に「あれはこのためにやっていたのか」と分かることもあるそうです。

「最終的にどんなかたちになるのか分からないけど」という基礎研究から試作評価、最終的に量産に耐えうる高品質での安定供給まで顧客のステージに合わせて、細かく顧客の材料ニーズに応える体制を整えている同社。顧客にとっては、材料の供給先を一貫して変えることなく研究を進められるというメリットがあります。そしてそれらの要求により彼ら自身も成長してきたと言います。ほんの少量からオンラインで注文できる試作材料の調達先として気軽に活用できそうです。

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