化学品専門商社が提供する試作サービスPlaQuickと他社のサービスとの違いとは?

INTERVIEW
金森産業株式会社
東京支店 課長
泉 規靖
泉規靖氏の写真

PlaQuickの母体である金森産業株式会社は、1870年に染料商として富山県で創業、以来148年の歴史を持つ工業材料を取り扱う化学品専門商社です。同社は化学工業薬品などを扱う薬品部、塗料や金属表面処理剤などを扱う塗料部、各種合成樹脂を扱う合成樹脂部などを持ち、その他エンジニアリング、環境測定などの事業も展開しています。そういったなかで始めたのが試作品づくりです。1990年代から3Dプリンターで少量の試作品を制作していたそうですが、2年間からPlaQuickと名付けた試作品製作を始めました。その経緯と内容について、金森産業株式会社東京支店課長の泉規靖氏にお話をうかがいました。

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プラスチック成形材料を拡販するためにPlaQuickを始めた

当社は、プラスチック成型材料を販売する目的で、直接開発者やデザイナーと接点を持ち、より早く必要な材料の情報を得るために、25年ほど前から3D−CADと3Dプリンターを導入して、少量の試作品づくりのサービスを始めました。しかし2年前に簡易アルミ型を製造できるようになり、そこで立ち上げたのがPlaQuickサービスです。名称は、「プラスチックをより早く」という意味で命名しました。

末端のユーザーではなく、末端メーカーに部品供給しているTier1(ティアワン)などの開発設計者さんとお付き合いさせていただき試作の話を広めていったんですね。そこでよく話されるのが、「試作は量産と同じ材料でないと意味がないね」とずっと聞かされていたのです。そしてそれを実現するために試作アルミ型を導入しました。
<写真1><写真2>

<写真1>マシニングセンターでアルミを切削加工して金型のコマ部を製作
<写真1>マシニングセンターでアルミを切削加工して金型のコマ部を製作
<写真2>加工したコマ部をモールドベースに嵌めこんで射出成形用のアルミ型が完成
<写真2>加工したコマ部をモールドベースに嵌めこんで射出成形用のアルミ型が完成

それまでの試作は従来の塗料、薬品、樹脂、鋳物といったお客様からお話をいただきおこなっていましたが、PlaQuickサービスを開始してからはより開発に近い研究者の方々と直接取引ができるようになりました。

PlaQuickの看板メニュー「プラクイック射出成形」とは?

PlaQuickサービスでは、「3Dプリンティング」「切削」「シリコン注型」「プラクイック射出成形」「射出成形」というメニューがそろっています。 「3Dプリンティング」ではそれまで行ってきたサービスで、形状確認のために1個だけ安価に試作したいというニーズに応えるためのものです。方法としては、「光造形」「粉末積層」「3Dプリンター」があり、材料や形状により決定して製作します。この方法では直接造形するために納期が短いという特徴もあります。 「切削」は、金属やプラスチックのブロック素材から必要な形状を削り出すもの。寸法精度が高く、さまざまな材料での試作が可能です。 「シリコン注型」は、10〜20個の同一形状の試作品を製作するのに最適な方法です。材料は、ウレタン樹脂、ウレタンゴム、ナイロンになりますが、切削や3Dプリンティングよりも安価に製作することができます。 そして、当社の特徴である「プラクイック射出成形」です。<写真3>

<写真3>プラクイック射出成形サンプル
<写真3>プラクイック射出成形サンプル

プラクイック射出成形では、量産で使用するものを同じ材料メーカー、グレードのプラスチック成形材料を使用して射出成形で試作します。数量は1個から500個程度まで。ガラス入りの樹脂では100個、ガラスなし樹脂の場合500個以上は成形できます。納期は、一般的な試作型では、3週間から1か月ほどかかりますが、3D−CADデータ入稿後最短7営業日。量産同様のシボやインサート成形も可能です。Webサイトでは、1分で簡易見積もりが得られるサービスも行なっており、多くの研究者、設計者の方々に利用していただいています。

例えばバイクメーカーのデザイナーや研究者が量産する前の試作だけではなく、研究段階で試作品を使用して研究したいというニーズがあります。形状だけの確認であれば3Dプリンターでいいのですが、いろいろなテストをするには量産と同じ材料の試作品が必要なのです。

このような家電や自動車の研究者、設計者が利用されるのはもちろんですが、少し変わったお客様としては、材料メーカーの研究所のご利用があります。これは、そのメーカーが自社の材料を販売するときに「この材料でこんな製品が作れますよ」とアピールするために営業担当者が製品を持ち歩くというんですね。ABSやPP、PEなどを販売するために形になっているものがほしかったと。

PlaQuickの注文の流れ

Webサイトで簡易見積もりを行います。簡易見積もりは1分!その後、問い合わせた内容に合わせて担当者と詳細を打ち合わせします。その際、図面や3Dデータをいただいて正式な見積もりを出し、正式な注文となります。製品が完成したら、確認していただき問題がなければ検収となります。<図1>

<図1>PlaQuick問い合わせから納品までの流れ
<図1>PlaQuick問い合わせから納品までの流れ

化学品専門商社が試作サービスを行う強みとは?

巷には同様のサービスを提供している会社が数多く存在します。当社はむしろ後発と言ってもいいほどです。そんな当社の強みは、やはり材料商社ということでしょう。

営業担当者がプラスチック成形材料のことを熟知しているので、材料の紹介も細かくできます。成形材料と試作品のマッチングも最適なものを提案できるのです。たとえばお客様から「ABSならなんでもいいよ」というように依頼されたとしても、形状に応じて、また予算に応じての提案が柔軟にできます。また、「色」についても同じことが言えます。ご要望の色目を聞いて着色ペレットを手配し、ご用意できる仕組みもできております。<写真4>

<写真4>多種多様な材料を用意している
<写真4>多種多様な材料を用意している

また、大手材料メーカーとも直接付き合っているのでリクエストがあれば、ズバリの材料が早い段階で用意できます。他社では、メーカーとの直接のルートがなく、情報がすぐに入らなかったり、納期が大幅に遅れたりということもあると聞きますが、当社であればそのようなことはありません。

Webサイトだけでオートマチック的に試作サービスを受注する会社もありますが、当社は営業担当者を数多くかかえ、見積もりの細かな説明や仕様の変更など含め、お客様のニーズを細かく聞くことによって、最適な試作品をタイムリーに提供しています。

また、最終的な費用においても、まずはWebサイトで簡単見積もりをしていただいて、その後入念な事前打ち合わせで仕様を提出し見積りを確定。仕様追加していくたびに予算オーバーといったこともありません。デジタルに対してアナログな対応かもしれませんが、当社ではお客様に対しては結局人が対応することが最重要だと考え、そのことでお客様に満足いただいています。

おわりに

PlaQuickサービスには量産の射出成形も用意しています。これは自社で行なうものではありませんが、化学品専門商社という特徴を活かし、3,000以上のネットワークの中から最適な金型、成形材料、量産工場を提案してくるといいますから心強い。また、塗装や検査に関しても専門部署があり、これらに対してのニーズも幅広く応えられるといいます。

また、プラスチック材料のデータベース検索サイト「PlaBase(プラベース)」という無料サービスも展開。現時点では掲載メーカー40社以上3,429点が収録されていますが、日々掲載数は増えています。ここではメーカー、樹脂、商品名、燃焼性、ISO材質表示のほか、メーカー提供の密度、吸水性、荷重たわみ温度なども掲載。また各数値でプラスチック成型材料を検索・比較することも可能です。プラスチックに関しての万能サイトとも言えるでしょう。試作を考えているのであれば、このサイトも含め一度のぞいてみてはいかがでしょうか。

以下の記事では、プラスチックを用いた加工の際に発生し得るトラブルへの対策や、計測について解説しています。こちらも合わせてご参照ください。

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マクセル株式会社
1961年創業。国内初のアルカリ乾電池やカセットテープで馴染みがあるが、現在は「自動車」「住生活・インフラ」「健康・理美容」の成長3分野を軸に事業を展開。各分野においてパートナーと連携し、事業、製品、サービスの構築をめざしています。
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非鉄金属および鋼、プラスチック材料の専門商社白銅は、「ダントツの品質」、「ダントツのスピード」、「ダントツのサービス」、「納得の価格」でお客様のモノづくりを強力にサポートします。
QMS株式会社
成形試作・検査治具のベストソリューション。QMS株式会社は、AV機器・OA機器・光学機器・電子機器制御機器・自動車・通信機器などの開発試作サポートを行っています。
株式会社クライム・ワークス
企業や研究機関の開発支援を行う試作メーカ。新製品の開発工程における試作品の製作、検証用治具の提供だけでなく、協力会社と連携して量産試作に向けたユニット品の製作まで対応します。
プロトラブズ合同会社
IT(情報技術)を活用して自動化、標準化を導入。より拡張性のある短納期プロセスを確立させたことにより、短納期での試作・小ロット生産を実現したオンデマンド受託製造会社です。
株式会社NCネットワーク
国内最大級のモノづくり受発注サイト「エミダス」に登録された18,000社以上の工場データベースから、技術スタッフが依頼内容に最適な工場を選定。NCネットワークには、加工方法が分からない試作・開発品から、特殊車両のように少ない生産台数ながら厳密な品質保証が求められる量産品まで幅広い経験があります。