はじめに
近年、金属3Dプリンターが注目されるようになり、その様々なメリットから導入を検討している方も多いのではないでしょうか。試作品製作・機能検証など様々なシーンで、従来の製造方法では乗り越えられなかった課題が金属3Dプリンターを活用すれば解決できるかもしれません。ここでは、高度な造形ニーズに応える白銅株式会社の3Dプリンターサービスのメリットや活用事例、サービス利用者の声を紹介します。
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白銅の金属3Dプリンターサービスのメリット
金属3Dプリンターは、切削や鋳造では製造できなかった形状、多彩な金属材料の造形が可能であり、製品開発における試作品の製作時間やイニシャルコストの削減だけでなく、モノによっては製品形状の一体構造化が実現できるという、これまでの製造方法にはなかったメリットがあります。
そのなかでも、白銅株式会社では、以下5つのメリットを持つ金属プリンターサービスを提供しています。
1. 幅広い対応鋼種類
白銅の3Dプリンター造形サービスでは、マルエージング鋼、ステンレス鋼(SUS630)に加え、アルミニウム・チタン・インコネル等の造形に対応しています。<表1>
<表1>造形可能な鋼種と主な用途
材質/用途 | 自動車 | 医療 | 金型 | 航空宇宙 | 熱交換器 | 治工具 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
特殊鋼 | マルエージング鋼※ | ○ | ○ | ○ | |||
ステンレス鋼 | SUS630(17- 4PH)※ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |
ステンレス(SUS316L) | ○ | ○ | ○ | ||||
アルミニウム | ALSi12※ | ○ | ○ | ○ | |||
ALSi10Mg | ○ | ○ | ○ | ||||
ADC12 | ○ | ○ | ○ | ||||
チタン | Ti6Al4V | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
インコネル | Inc.718 | ○ | ○ | ○ |
※はJIS Q 9100対応鋼種
2. 迅速な見積りと納得の価格設定
問い合わせには、金属3Dプリンター専任の担当者がすぐに見積りを実施します。また、サービスの価格算出ロジックを見直し、これまでの価格より大幅にリーズナブルな価格で造形サービスを提供しています。
3. JIS Q 9100を取得
航空・宇宙業界での試作品治工具等の造形ニーズに応えるため、金属3Dプリンターの造形受託サービスで、航空・宇宙業界の国際規格であるJIS Q 9100を取得しています。
4. 量産移行後にも対応
量産時には国内・海外加工ネットワークを駆使しての機械加工、また必要に応じて、押し出し型材やダイキャストでの対応も行っています。
白銅の金属3Dプリンターサービスの活用事例
白銅の金属3Dプリンターサービスは様々なプロジェクトの課題解決に活用されています。ここでは、部品の軽量化や成型サイクルの向上、部品の一体化に成功した代表的な2つの事例についてご紹介します。
1. 部品の軽量化
事例1 ) 航空機部品:剛性を維持したまま、軽量化を実現
切削加工用に設計された従来のデザインから、拘束点を決めて構造最適化を行いました。金属3Dプリンターだからこそ、造形可能な設計剛性を維持したまま軽量化された革新的デザインが実現できました。<写真1>

2. 成形サイクルの向上や、部品の一体化
事例2) 精密機械部品:部品の一体化を実現
冷却チャネル付き医薬品混合フィーダーでは、従来工法を採用した場合、冷却チャネルと医薬フィーダーは別々に製作する必要がありました。金属3Dプリンターで造形することにより、二つの部品の一体造形した革新的なパーツが実現できました。<写真2>

サービス利用者の声
ここではサービスを利用した企業の声をご紹介します。ご自身の担当している製品の現状や抱えている課題に近いものがあるのではないでしょうか。ぜひチェックしてみてください。
①リードタイム短縮:新製品の生産準備をスピードアップ【近畿地方 電気機器メーカー】
・サービス利用の背景
– 設計段階で最終形状が出来る前に組立手順の検証を早急に行う必要があった。
– ホームページ上でCADデータのやり取りができることから白銅の金属3Dプリンター造形サービスの利用を決めた。
・用途・目的
– 金属の材質は問わないが、新製品の形状サンプル部品を複数製作し、組立手順や組み立てやすさの検証を行うことが目的であった。
– 切削加工では再現不可能な形状で、抜き・曲げ・絞りのプレス加工では型製作に時間とイニシャルコストを要していた。
・評価・感想
– 検証に2~3ヶ月以上かかる想定が、1ヶ月で組立手順の検証を実現した。
– 無駄な金型製作がなくなり、コストも大幅に削減した。
– 複数形状を同時に製作でき、単価やリードタイムへの影響が少なく、結果的にリードタイムの短縮を実現できた。<写真3>

②トータルコストダウン:短納期・低コストで開発中の検査治具を製作【近畿地方 プラント製造業】
・サービス利用の背景
– 今までは切削加工で行っていたが、複雑な形状の試作品は打合せを含めると、1ヶ月以上かかり、その後のアッセンブリを含めると試作品の完成に数ヶ月要していた。
– 機能検証の結果が悪ければ、そこから再度試作品の製作を実施していたので、他に効率的な造形方法がないか検討していた。
・用途・目的
– 開発中の検査治具の機能検証を行うため、想定しうる形状を同時に造形し、複数パターンの形状に対する検証を同時に行うことで、リードタイムを短縮することを狙いとした。
・評価・感想
– 開発リードタイムが大幅に短縮され、今まで対応できなかった複雑な形状の試作品製造も低コストで実現できた。<写真4>また、複数パターンを同時に検証することで変更点を明確化できた。
– 金属3Dプリンター造形は、形状の複雑さや造形エリア内であれば、造形数量に関わらず製作にかかる時間およびトータルコストは大きく変動しなかった。

③工程の短縮、部品管理の工数削減:効率的な自社製品の試作品製作を期待【関東地方 自動車部品製造業】
・サービス利用の背景
– 装置が稼働する様子を見学し、適用できそうな案件をイメージできたため、性能検証を行うこととした。
・ 用途・目的
– 従来行っていた工法では、プレス加工、穴あけ加工、曲げ加工など複数の工程を経る必要があったため、効率的な試作を行う目的で依頼した。
・評価・感想
– 製品仕上りは満足いくレベルであった。
– コスト面では、従来工法とコストの単純比較をすると高くなる部品もあったが、複数部品を1プレートで造形することで、購入できる価格で製作できた。
– 従来の工法ではできなかった構造を設計し、それを製品化することができることが確認できた。
金属3Dプリンター造形サービスの内容
1. 白銅が導入している金属3Dプリンター(ProXシリーズ)の強み
① 業界最大級の造形物が製造可能
・造形範囲は、W250 x L250 x H300(mm)
② ピンホールが少なく高密度な造形物が製造可能
・99.0%以上の高密度
③ シャープなエッジ、綺麗な表面仕上がり
・造形上がりの表面粗さは、Ra ≒11.6 (平均値)
④ 細やかな造形物が製造可能
・ピン形状≒φ0.8mm以上、板厚≒0.8mm以上(※)の造形が可能
・材質および造形物の形状や大きさにより変動
<表2>金属3Dプリンターのサービス概要
サービス内容 | 概要 | 納期 | |
---|---|---|---|
基本サービス | 金属3Dプリンター造形 | お客様の3D CADデータ(ファイル形式:STL、IGES、STEPなど)をもとにした造形物の製造 | 数時間~数日
※造形物の形状や数量により異なる
|
アニール処理 | 金属積層に蓄積された内部応力(歪み)の除去 | 2~3日 | |
オプションサービス | ショットブラスト | 造形物の表面の清浄化 | 数時間
※数量により異なる
|
仕上加工 | 機械加工や研磨加工により、寸法精度や表面粗度を向上 | 1日~
※加工内容により異なる
|
|
熱処理、表面処理 | 時効硬化処理や析出硬化処理などの熱処理やチッ化処理などの表面処理により、硬度を向上 | 3日~
※処理内容により異なる
|
|
検査 | 硬度測定 密度測定 寸法測定 引張強度測定 |
1日~2日 |

<表3>金属3Dプリンターのスペック一覧表
メーカー | 3D Systems社(アメリカ) | 3D Systems社(アメリカ) |
---|---|---|
機種名 | ProX DMP 300<写真6> | ProX DMP 200 |
レーザー出力/種類 | 500W/Fiber laser | 300W/Fiber laser |
レイヤー厚み | 調整可能、最小10μm 最大50μm | 調整可能、最小10μm 最大50μm |
最大造形サイズ(XxYxZ) | 250 x 250 x 300 mm | 140 x 140 x 100 mm |
再現性 | X=20μm、Y=20μm、Z=20μm | X=20μm、Y=20μm、Z=20μm |
最小分解能 | X=100μm、Y=100μm、Z=20μm | X=100μm、Y=100μm、Z=100μm |
オペレーティングシステム | Windows | Windows |
入力データ形式 | STL、IGES※ 、STEP※ | STL、IGES※ 、STEP※ |
※Phoenix Processingで対応可能

ご注文から納品まで
以下に、白銅の金属3Dプリンター造形サービスを利用する際の流れをご紹介します。

おわりに
金属3Dプリンターは今や様々な材料に対応し、航空・宇宙業界などの研究開発だけでなく、利用者の声でご紹介したように電気・自動車部品業界のような産業界の実開発案件でも用いられるようになりました。金属3Dプリンターを活用することで、製作のリードタイム短縮やコスト削減はもちろん、新たな設計デザインによる品質向上まで、様々なメリットが期待できます。
白銅の金属3Dプリンター造形サービスのような受託サービスを活用すれば、初期投資不要で、アドバイスを受けながらこれらのメリットを享受することができます。しっかりしたサポート体制を持つ白銅に、現在抱えている製作課題について相談してみてはいかがでしょうか?