試作加工サービスの最前線~ものづくり開発支援に取り組むクライム・ワークスの挑戦~

はじめに

株式会社クライム・ワークスは、企業や研究機関の開発支援を主とする試作メーカーです。
「ものづくり開発支援」を掲げる同社は、自動車、光学、医療などさまざまな分野の企業開発者・設計者の要求に応えるべく、新製品の開発工程において試作品の製作、検証用治具の提供を行なってきました。さらに最近では、協力会社と連携して量産試作に向けたユニット品の製作も行っています。
同社は、樹脂の射出成形・切削加工、金属の鋳造・切削機械加工を扱い、材料も樹脂は汎用樹脂から各種スーパーエンジニアプラスチック(スーパーエンプラ)まで、金属ではアルミニウムチタンマグネシウムなどの難削材にも対応しています。「短納期・高精度で新製品開発を支援いたします」というメッセージとともに、企業の命運を握る新製品開発の最初の一里塚を企業の方々と共に乗り越えるためさまざまな試作に挑戦しています。米国ロサンゼルスにも営業拠点をもち、米国メーカーの試作も手掛けているとのことです。
1990年の設立以来、同社をけん引し続けてきた、ダイナミックでオープンな山口誠二代表取締役社長<写真1>に、試作メーカーとしての神髄を伺います。

クライム・ワークス代表取締役社長の山口誠二氏 <写真1>クライム・ワークス代表取締役社長の山口誠二氏

クライム・ワークスが考える試作サービスとは

「商品企画から量産開始まで、新製品の開発工程には一般的に7つのステップがあると思いますが、弊社は製品機能や量産性の検証を目的とした試作を主にサポートしています。<図1>最近では量産に近い試作品製作のご相談が増えてきており、両者のバランスを取っていきたいという思いがありますね。」

製品の開発工程においてクライム・ワークスが試作品を提供するサポート範囲 <図1>製品の開発工程においてクライム・ワークスが試作品を提供するサポート範囲

「私たちの主な仕事は、機能検証のための試作品を提供することであり、機能そのものの検証は自動車メーカーや光学メーカーなどの発注メーカー、お客様側で行われています。お客様の検証結果を試作に反映させて試作品提供のかたちで返すという、キャッチボールをスムーズに行うことで、お客様がより早く確実に求める機能の実現をはかることが、私たちの使命です。」

「どうすればモノが早くつくれるか、要素技術の追求こそ私たちに与えられた役割と思い、試作に臨んでいます。」

顧客の多様化・競争の激化のなか製品は高機能化・多機能化が求められており、開発工程における検証項目は増えています。ところが、他社に先駆けて新製品を世に送り出すために製品開発のリードタイムは短くなっているのが現状です。こうした厳しい開発環境だからこそ、まずモノとしてつくるという「試作スピード」が大きな意味をもってくるのです。

他の記事では、製品開発製品開発の流れについて紹介しています。詳しくはこちら

最短2週間で射出成形品を納品する樹脂成形サービス

樹脂部門では、光学や電子、医療メーカーからの発注が多く、例えば、カメラの鏡筒、モーターのインシュレーター、各種ギアなどを製作しています。<写真2>

クライムワークスが提供する樹脂射出成型品のサンプル <写真2>樹脂射出成型品のサンプル

射出成形は、成形機にペレット状の材料を入れ、これを溶解して金型に射出し成形品をつくる加工方法です。金型はダイセットと入れ子という2つの構造からなりますが、クライム・ワークスでは、ダイセットは標準タイプのものを成形機に合わせて数十種類用意し、入れ子を注文に合わせて設計・製作するというセミ・オーダー方式をとっています。そして、1週間で金型を製作し、検証(トライ)を1、2回行なったものを2週間目にサンプルとして納品する、という迅速な工程を実現しています。<図2>小型部品の製作を得意としており、20~130トンくらいまでの型締めサイズの成形機に対応する金型を製作しています。

樹脂の射出成形品製作スケジュール(例:カメラ部品) <図2>樹脂の射出成形品製作スケジュール(例:カメラ部品)

「2週間での納品が基準です。けれども、お客様から事前に検討中の図面データを頂いたうえで弊社にて金型をどのように設計するかのシミュレーションを行ったほうが、同じ2週間でもより確実ですし、品質も向上します。」

お客様とのコミュニケーションや情報共有が重要なのはもちろん、初めてのお客様には、まずどんな材料でどんな品質のものがつくれるのか、金型の構造はどうなっているのかなどの説明を行います。その上で、試作の場合は生産個数が少なく、1部品ずつ金型をつくるのは非効率であるため、複数個の部品を1つの金型で製作可能な構造にするなど、さまざまな工夫をこらしているとのことです。

高度な切削加工技術を持ち、難削材や鋳物の加工も対応可能な金属加工サービス

金属部門では、自動車関連の試作が中心です。1台の自動車には約3万点の部品があり、いくつかの部品が集まってエンジン系やトランスミッション系、足回り系などのユニットを構成しています。クライム・ワークスではこれらのユニットの「先行試作」と、「量産品試作」の両方をカバーしています。部品としてはおよそ1万点を扱い、小型ユニットから大型ユニットまで試作しています。<写真3>鋳造から切削加工まで担当し、材料もアルミ材料や鉄・鉄鋼材料に対してブロック材と鋳物材、さらには、チタン、マグネシウムといった難削材も取り扱われています。

クライムワークスが提供する金属加工のサンプル部品 <写真3>金属加工のサンプル部品

「弊社には鋳物をつくる設備はないので協力会社へ外部委託をしています。他の加工事業者との協力、ネットワークづくりには、常に努力を払っています。」

クライム・ワークスの切削技術には定評があり、その筆頭がハームレ社製の同時5軸加工機による切削加工で、xyz軸と2方向の回転軸からなります。5軸加工であれば短い刃物でより深いところまで届き、刃物の剛性を高めて大きな面積を短時間で削ることができます。また、通常は削りにくいオーバーハング形状のものも削ることができます。

「刃物の回転角や速度、切り込み量、軌跡のパターンや、切削範囲などの条件を、プログラムとして入れる必要があり、加工機を操作する技術者によって加工機の性能の引き出し方が全く異なり、加工精度やスピードに差が出ます。」

現在では、同時5軸加工機を導入する多くの企業がありますが、1990年代からいち早く3D-CADや同時5軸加工機システムを導入したクライム・ワークスには技術と経験の蓄積があります。このような技術力を背景に、チタンやマグネシウムなどの難削材の切削加工はもちろんのこと、通常は焼き入れ後に研磨加工で仕上げていく超高硬度の炭素鋼を、切削加工で仕上げるといったことも行っています。

小ロッド量産試作に対しては、鋳造と切削加工を用いることで低コスト・短納期を可能とするサービスも提供されており、自動車部品を出図から納品まで20日間で納品する事例もご紹介されています。また、ODM(Original Design Manufacturing)に近いご依頼にも対応されており、商品企画の段階からお客様からのご相談に対応し、試作や量産化検討のサポートをされています。

金属部品・ユニットの量産に向けての段階では、軽量化のために金属から樹脂への転換を促す提案を行うことも間々あるそうです。「こういう樹脂材料なら強度に問題がない、摺動性が満たされる、こういう成形方法であれば樹脂化が実現可能である、などお客様が次に求める機能の実現を手伝う提案を行っています。」

金属部品の樹脂材料への転換については、他の記事でも紹介しています。そちらも合わせてご参考ください。

お客様のご要望に応えるために大事にしていること

「私たちが選ばれているのは、お客様である設計者のパートナーとして、先に述べたようにいろいろな提案をし、どうやったらお客様の要望に応えられるかを常に考えているからではないかと思います。『他で断られたから、他でできなかったから、何とかしてほしい』というご依頼も多く頂いております。」

“クライム・ワークスに頼めば何とかしてくれる”という評価は、もちろん品質・納期・価格が揃ってのことでしょうが、山口社長は「品質と納期には満足頂いているようですが、価格はどちらかというと高いといわれることが多いです。」と語られる一方で、「モノづくりは安くつくるのが基本ですから、1個の試作品でも量産と同じようなコストでつくれる要素技術を築いていこうと、人と設備には多面的な投資を行っています。」と続けられました。

クライム・ワークスの高いものづくり開発支援力を、十分に活用して試作や量産を行うにはどうしたらいいのでしょうか。山口社長は「試作の目的をはっきり示して頂くことです。」と率直に語ります。それが分かれば、材料や加工、ユニット構成などさまざまな具体的な提案ができるそうです。

逆に、対応に苦労される点は、細かい条件が後から出てくることだといいます。特に試作品の品質レベルについては、お客様それぞれの企業毎に独自基準があることや、試作の検討状況に応じて、要求がバラバラになってしまうことが少なくありません。
「試作品は量産品と生産プロセスが異なるため、試作品全てを同じ品質にするのは非常に難しいです。もし、その条件が必要な場合は、初期段階や発注時でのご相談をして頂ければ、私たちもその条件でどこまで対応できるかを、ご提案できると思います。」オープンな関係がより大きな信頼を生み出し、マニュアルでは踏み込めない新たな領域へと開発を導くことになるのでしょう。

まとめ

ここでは、お客様の製品開発の全工程を支援する「ワンストップサービス」をめざす株式会社クライム・ワークスに、高精度な品質を短納期でお届けするサービス内容についてお聞きしました。取り扱い材料は難削材を含めた金属材料や汎用からスーパーエンプラなどの樹脂材料まで幅広く、また、先行試作から量産検討に至るまで様々な検討段階におけるお客様のご要望への対応が可能です。量産を見据えた試作にお困りの方や、難削材の試作や短納期での樹脂成形にお困りの方など、まずはご相談してみてはいかがでしょうか。

また、以下では材料・加工・計測解析など、試作を考える上では欠かせない技術情報について、各分野の専門家や加工事業者の方々からお伺いしたお話をもとにご紹介しています。こちらも合わせてご参考下さい。

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株式会社リバネスは、「科学技術の発展と地球貢献を実現する」という理念のもと、そこに集まる専門知識や技術・人などつなぎ、組み合わせることによって社会に新たな価値を創出する、研究者集団です。