鋳造に革命を~フルモールド鋳造法に代表される木村鋳造所のサービスの強みとは~ (1/3)

INTERVIEW

株式会社木村鋳造所
常務取締役・開発統括
菅野 利猛

金属を溶かして、砂や粘土等で作った鋳型の中に流し込み、あらゆる形を自由に作り出すことができる鋳造法。古くは紀元前4,000年まで遡り、現在でも自動車や飛行機部品の製造に用いられる等、金属加工を考える上で欠かせない加工法です。
この記事では長い歴史をもつ鋳造で、常に技術革新をもたらしてきた(株)木村鋳造所のサービスについてご紹介します。工場や研究所を回りながらお話くださったのは、(株)木村鋳造所の常務取締役・開発統括で工学博士の菅野利猛氏です。

創業90周年を迎えた木村鋳造所、本社は静岡県の清水町に、工場は静岡県御前崎市と群馬県太田市にあります。静岡県伊豆の国市には先端プロセス技術センターもあります。2014年にはアメリカのシカゴにKimura Foundry Americaを設立し、海外にもビジネスの場を広げています。
木村鋳造所はフルモールド鋳造法に1966年から挑戦し、特化してきたことで、他社との差別化を図りました。しかし、4代目代表取締役木村寿利氏は「鋳造方式にこだわらずお客様のニーズに応える鋳造サービスを提供する。」と方針転換をし、現在ではフルモールド鋳造法に加え、最新技術である3Dプリンターを活用した新たな鋳造法にも取り組んでいます。
“木村鋳造所の技術にはどのような強みがあるのか”、”それはどのようにして成し遂げられたのか”を探ります。

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木村鋳造所は、高品質な金属製品を短納期で提供できるという強みがあります。本章では、その強みを実現できる秘訣について解説をしていきます。

1 納期短縮の仕組み

1.1 フルモールド鋳造法、3Dプリンターの活用
「木村鋳造所の技術により、短納期を実現することができます。木型による鋳造で加工する場合、通常半年以上はかかりますが、フルモールド鋳造法は余裕をもっても1ヵ月あれば製造できます。さらに短い時間で製作できるのが、DMP(Direct Molding Process)と呼ばれる、3Dプリンターを駆使した独自の砂型造形による工法です。こちらの工法では、注文を受けてから最速3日で納品したという実績があります。ただし、フルモールド鋳造法に比べるとコストがかかります。お客様にはコストよりも『開発期間の短縮』という付加価値を提供することで、喜ばれています。」

1.2 ITによる製造工程の一元管理
木村鋳造所では、装飾品などの鋳物部分を作成するだけでなく、加工から塗装までワンストップで行っており、これにより、顧客は複数の加工事業者に依頼する必要がなく、工数の削減に繋がります。<図1>

<図1>製造工程(提供:木村鋳造所)
<図1>製造工程(提供:木村鋳造所)

また、KIMURAグループの全工場、全部門がオンラインで繋がっており、受注から模型・鋳物の製造、加工、出荷までの全てのプロセスにおいて、リアルタイムで進捗状況を確認することができます。これにより、各工場の稼働状況を一元管理し、各工場、各部門に効率良く作業を振り分けることができます。

2 高品質な製品提供の仕組み

2.1 充実した品質検査体制
木村鋳造所では、素材の表面および内部の状態を、非破壊検査寸法検査塗装検査によって測定しています。これにより、常に製品の状態を確認することができ、高品質の鋳物製品を提供することができます。

2.2 新素材を使用した鋳造により、新しい機能を実現
一方、新素材で鋳物の品質を向上させるという付加価値も追求し続けています。「木村鋳造所は、比較的高い温度でないと溶けない鉄や鋳鋼素材の鋳物を得意としています。耐摩耗性に優れた製品にするために、鋼管の内側を高クロム鋳鉄で鋳包む(=被覆する)という技術も開発しました。」と菅野さんは説明します。

「他にも、リバースエンジニアリングサービスの提供をはじめました。昔に作られた製品で、現物はあるが、設計図はないという製品を復元するものです。もともと、発泡スチロールの模型や鋳物製品が規格通りのサイズに仕上がっているかを検査する、立体測定機械ATOS(非接触光学式3次元測定機)が木村鋳造所では活躍していました。これを転用して、現物を測定し設計データを作ります。更に、その設計データから、弊社と協力企業にて各パーツ(部品)を製造し、過去つくった製品が復元できるのです。この手法を用いて、愛知県の明治村に保存されていた富岡製糸場のブリューナ・エンジン(横型単気筒蒸気機関)を復元したという実績があります。まさに、木村鋳造所のIT技術と鋳造技術が合わさって『時間を遡る』お手伝いをしたとも言えますね。」

このように創意工夫を重ねて、木村鋳造所では高付加価値を求め続けています。

金属材料の基本的な特性については他の記事で紹介しています。そちらも合わせてご参考ください。

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