依頼から最短1日で部品が出荷される試作会社とは!?プロトラブズが実現する圧倒的な短納期の秘訣

INTERVIEW
プロトラブズ合同会社
カスタマーサービス部 部長兼企画室室長
横田 哲哉
横田氏の写真

見積りの回答まで平均3時間。切削加工なら発注してから標準で3日、射出成形なら10日で出荷、条件が揃えば最短1日でも可能――。短納期での試作・小ロット生産を実現するオンデマンド受託製造会社が、神奈川県座間市に拠点を置くプロトラブズ合同会社です。同社のサービスの特徴は、大きく2つあります。1つは、IT(情報技術)を活用して自動化、標準化を導入、より拡張性のある短納期プロセスを確立させたこと。もう1つは、このITの仕組みとカスタマーサービスエンジニアによる人のサポートを併せて、フロントローディングで顧客の設計した部品を自動解析し、技術的なアドバイスを交え、製造性の最適化を図ることができることです。この記事では、短納期をはじめとしたプロトラブズのサービスの強みと、その秘訣について探ります。

プロトラブズ本社は米国にあり、現在、欧州と日本を含めた3地域で事業を展開しています。グローバルの売上高は2016年12月期が2億9,805万ドルで、ここ数年毎年20%以上の成長を示しています。医療機器、電子機器、自動車産業など幅広いお客様と取引しており、切削加工射出成形に加え、米欧の拠点では3Dプリンタによるサービスも提供しています。注)

プロトラブズの国内拠点は神奈川県座間市にあります。国内法人は2009年5月に設立され、2016年末の実績で2,300社以上のお客様企業に対しカスタム部品の受託製造を担ってきました。

プロトラブズ社内(セールス、カスタマーサービスチーム)の様子(提供:プロトラブズ)
<写真1>プロトラブズ社内(セールス、カスタマーサービスチーム)の様子(提供:プロトラブズ)

短納期に即座に対応できる秘訣は、充実した生産設備とIT技術の活用にあった

「我々のサービスのポイントは、見積り依頼を頂いた段階での納期を確約することです。」こう語るのは、プロトラブズの横田哲哉カスタマーサービス部部長兼企画室室長です。見積り依頼から回答までの時間は平均3時間切削加工なら発注してから標準3日射出成形なら標準10日で出荷可能。形状によっては最短1日で製作できると横田さんは語ってくれました。

設立当初の国内拠点は約1,000平米の敷地でしたが、現在の拠点は約9,000平米まで拡大しました。2017年秋時点で、切削加工の機器は36台、射出成形の機器は13台配備しています。

国内拠点の敷地拡大の背景について、横田さんは次のように語っています。

「設立当初1,000平米の工場で創業し、その3年後に約3,000平米の工場に移設。またその4年後には現在の9,000平米の新工場へという形で敷地を拡大してきた理由は2つあります。1つは、敷地を拡大することで設備をより増設、充実させ、生産能力を向上させるということ。もう1つは、受注から配送までの製作工程を一ヵ所に集約することで作業効率を上げるということです。それにより生産性は大きく向上し、常に生産キャパシティに或る一定のバッファを持っておくことができるため、見積り依頼を頂いた段階で確約した納期をお約束することができるのです。」

「試作の見積りを依頼する際には、一般的な試作メーカーであれば、まずお客様のご要望を営業担当者が把握します。そして、加工技術者との検討を踏まえた上で、見積りと納期を一次回答し、発注時にそれらを最終確定させる場合が多いです。このような見積りのプロセスだと、当然開発作業は滞り、プロジェクトをスケジュール通りに遂行することが難しくなり、場合によっては競合他社に似たような製品を先に市場投入されてしまうことにもなりかねません。」

なぜプロトラブズは短い納期を確約できるのか。その理由について、横田さんは次のように語っています。「短納期を確約できる理由は、同社が独自に構築したIT(情報技術)システムにあります。ITでユーザーインターフェイスを構築し、社内プロセスの自動化、標準化を図ることによって、見積りから製造、出荷までのプロセスを大幅に短縮することで、短い納期の実現に成功しました。」

まずお客様は、3次元CADを使って作成したい部品の3次元形状データを用意し、プロトラブズのWebサイト経由でアップロードします。プロトラブズはこの3次元CADデータを受け取り次第、自社開発したソフトウェアにて形状を自動解析し、見積りと製造性の解析結果をわかりやすい3次元の図解とともに回答するという流れになります。

<図1>プロトラブズが提供する自動見積システムの仕様入力画面
<図1>仕様入力画面(プロトラブズWebサイトより)
<図2>プロトラブズが提供する自動見積システムの製造性解析結果
<図2>製造性解析結果(プロトラブズWebサイトより)
<図3>プロトラブズが提供する自動見積システムの見積り結果表示画面
<図3>見積り結果表示画面(プロトラブズWebサイトより)

独自に開発した自動解析ソフトウェアにより、早ければ数分、平均でも3時間での見積りの回答可能とのことです。Web見積りは双方向システムになっており、見積り条件を変更すると瞬時にその条件での金額が表示されます。また設計や材料に関するアドバイスの確認ができ、更には3Dモデルを回転、ズームなどの操作を行い成形性の課題などを確認することができます。

製造においても、IT技術は存分に活用されています。自動化、標準化されたプロセスに沿って作業を行うため、難しい職人技は必要なく、若く経験の浅い社員でも集中的、且つシステム的なトレーニングを受けることにより短期間で作業内容を理解、習得し、実際の業務をすることができるのです。

<写真2>生産の自動化により、若い社員も容易に作業が可能(提供:プロトラブズ)

早いだけじゃない!充実したヒューマンサポートと豊富な材料により、一人一人のお客様に合った製品を提供

実際にモノを作ろうとすると、様々な課題が出てきます。例えば射出成形でよくある課題は、ヒケ(成形収縮による凹み)が生じやすくなる、あるいは成形時に溶融した材料が型全体にうまく広がらない、といったものが代表的です。

以下の記事では、プラスチック成形時に発生するトラブルについてまとめています。こちらも合わせてご参考下さい。

プロトラブズではこうした課題をお客様に単にフィードバックするだけでなく、カスタマーサービスエンジニアが課題を解決するためのアドバイスを提示します。例えば肉厚を増す、ゲート位置を複数にする、イジェクターピンの当て方を変えるといった形です。これらのフィードバックを通じて、お客様側での製造のための設計課題を解決させるサポートをしています。

プロトラブズのカスタマーサービス
<写真3>プロトラブズのカスタマーサービスエンジニアが製造性の解析結果を受けお客様にアドバイスを提供する(提供:プロトラブズ)

「私は以前、部品の発注側企業で働いていたこともあるのですが、従来はこうした製造性の課題についてのやり取りを、『型打ち合わせ』という形で顧客と部品メーカーが2次元の図面を見ながら対面などで行うことが多かったです。プロトラブズはこれを遠隔であっても、3次元の図解を見ながら正確に、効率的に議論できます。時間を節約しかつ理解しやすい形で進められますので、お客様にとって大きなメリットになると自負しています。」と横田氏は語ってくれました。

同社の設備で対応している材料は、切削加工はポリプロピレン、ナイロンといった樹脂から、アルミ、真ちゅう、銅、鉄、ステンレスなど軟質、硬質金属まで約30種類射出成形は汎用性のものから特殊性の樹脂まで約50種類の豊富な材料を取り扱っています。

プロトラブズではABS樹脂やポリカーボネイトなど豊富な材料の射出成形を迅速に提供可能
<写真4> ABS樹脂やポリカーボネイトなど豊富な材料の射出成形を迅速に提供可能(提供:プロトラブズ)

また射出成形のサービスにおいては、お客様から支給される材料にも対応しています。同社によれば、これまで1,000種類以上の材料に対応してきた実績があるようです。「量産時に採用予定の材料を試作段階で評価したいというご要望をよく頂きます。当社は試作が1つの売りであるため、支給材料の対応は当社として特に大事にしているポイントです。」

金属材料や樹脂材料について、以下の記事で詳細を説明しています。こちらも合わせてご参考下さい。

実例紹介!プロトラブズのサービスを利用する企業とは?

プロトラブズのサービスを使うことで、製品を市場に投入するまでのリードタイムの削減に成功したケースをご紹介します。米ETHICON(エチコン)社がその一例です。同社は米ジョンソン・エンド・ジョンソンのグループ企業で、手術用機器や縫合糸などを開発している医療関連のメーカーです。従来は製品を市場に投入するまで1年を要していたが、試作段階でプロトラブズのサービスを利用することにより、これを6カ月に短縮することに成功しました<図4>。

プロトラブズの短納期サービスを活かしたエチコン社の医療機器の開発スピードアップ事例
<図4>エチコン社、医療機器の開発スピードアップ事例(提供:プロトラブズ)

短期間で試作品が作れるという点に着目し、量産前に設計をブラッシュアップする用途でプロトラブズのサービスを活用した例もあります。セイコーエプソン株式会社ではスマートグラス製品「MOVERIO BT-300」<写真5>の開発段階でプロトラブズの切削加工サービスを利用し効果を上げています。量産金型出図前の限られた期間内において、試作品を2回製作することで、技術評価を行いました。これにより、微妙なバランスが大事な装着性を検証して精度を上げ、製品の品質向上に成功しました。

プロトラブズの試作サービスを用いて品質向上を実現したスマートグラス「MOVERIO BT-300」
<写真5>スマートグラス「MOVERIO BT-300」(提供:プロトラブズ)

横田氏は「当社のサービスをお使いいただければ、限りある期間内で繰り返し試作・評価ができる。これがポイントです。」と語ってくれました。「新規性が高い製品、デザイン上の難易度が高い製品であれば特に、早い段階で問題を洗い出してブラッシュアップが図れます。このメリットは大きいといえるでしょう。」

今後のサービスの展開について

プロトラブズはお客様の要望を汲み、生産体制やサービスの拡充に注力し続けています。直近に取り組んだのは、射出成形の生産キャパシティの向上です。以前は月産6,000個体制だったが、これを月産1万個体制に拡充しました。

また、より幅広い生産ニーズにも対応していく意向もあるようです。2018年中にも、国内で切削加工の5軸加工をサポートできるよう検討しています(5軸では3軸に比べて複雑な形状に対応可能)。現在、5軸加工が必要な場合は、同社の米国の設備で加工して納品する形をとっていますが、これに併せてチタン材への対応も可能となります。

また、外部のパートナー企業と組んで射出成形サービスにおけるカスタム表面仕上げといった付加サービスを提供する案も検討しているようです。

終わりに

切削加工および射出成形による試作や、小ロット生産を請け負っているプロトラブズ。
お客様企業の中には、自社内の取引ルールとの整合性が取れずに、プロトラブズのサービスを有効活用しにくい事例もあるそうです。プロトラブズでは、そういったお客様事情に考慮し、可能な範囲で個社対応できるよう相談に応じているといいます。
ICTだけでなく、カスタマーサービス部門に代表されるヒューマンサポートもプロトラブズの強みと言えるでしょう。

短納期での試作製造・小ロット生産を体感したい方、ぜひ一度ご利用を検討されてみてはいかがでしょうか。

プロトラブズ合同会社
IT(情報技術)を活用して自動化、標準化を導入。より拡張性のある短納期プロセスを確立させたことにより、短納期での試作・小ロット生産を実現したオンデマンド受託製造会社です。

注)2017年12月1日EST時間、プロトラブズは板金加工パーツを受託製造するRAPIDの買収を完了、Rapid, a Proto Labs Companyとして正式発表しました。