短い期間で質の高い試作品を作る。量産化時に失敗しない樹脂の成形試作サービスを提供するQMS株式会社

INTERVIEW
QMS株式会社
営業グループグループ
長島 利明
長島氏の写真

QMS社は、1986年に設立された試作専門メーカーで、本社および工場は埼玉県川口市にあります。もともとエンジニアリングプラスチックパーツの金型製作から成形加工までの一貫生産を可能とする量産メーカーであった株式会社エンプラスから試作部門が分社化された企業であり、試作から量産化まで各工程をサポートできる幅広い知見とノウハウがあります。具体的には、成形試作品の短納期製作システムを確立し、AV機器やOA機器、光学機器、電子機器制御機器、自動車、通信機器、医療機器などの開発試作をサポートしています。

QMSが提供する射出成形を用いた開発試作サンプル
<写真1>開発試作サンプル(提供:QMS)

「製品開発の一般的な流れ ~ 試作って何するの?」で紹介しているように、一般的な製品開発プロジェクトでは試作は開発段階に応じて複数回実施されます。材料試験や部品単体の性能(機能)を把握する試作、複数部品を組み上げたひとつのユニットとしての性能を評価する試作、複数ユニットを組み合わせ製品の性能を評価する試作や量産試作といったように、検討段階において試作のニーズは様々です。

このようなお客様の多様なニーズに合わせて、QMS社は、「どこよりも早い成形試作サービスでお客様のニーズを形に変える」をビジョンとして、短納期精密樹脂成形試作サービスを提供されています。射出成形試作や樹脂と金属やゴムなど異素材を組み合わせた樹脂+異素材一括試作、量産同等の形状・機能評価が可能な成形品の試作まで、あらゆる試作対応を行われています。

量産成形技術をベースとした、スピーディな見積と試作品製作

多くの企業は競争力を高めるために、アイデアやニーズをすぐに具現化できるスピーディな開発力を求めています。開発者の立場になると、設計はできるだけ遅いタイミングで、評価はできるだけ長い期間をとりたい、というのが本音ではないでしょうか。そういった多くの開発者のニーズを満たすべく、QMS社はスピードを重視し、発注から最速1週間で納品するという「Value7」というサービスを提供しています。<図1>

QMSが提供する射出成形を用いた際の発注から納品までのスケジュールイメージ
<図1>Value7のタイムスケジュール

「まさに開発スピードがモノをいう時代といえるかもしれません。そのためには試作工程での迅速な対応が必要です。しかし、短期間に納品するからといって精度や品質に妥協はありません。」

見積りを依頼されると、まずはお客様と十分な打ち合わせや技術の検討を重ねます。

「お客様からのお見積りのご相談時には、材料グレードが決まっていない場合や、特色のある材料を使いたい、金属との複合材料にしたいといったさまざまなニーズをお聞きします。そうした、ご要望を事前によく聞いた上で、可能な限りご要望にお応えしたスピーディな見積りをします。」

お客様には見積り段階でも適切なアドバイスをもらえることができ、見積りのスピードも早いと好評です。それができるのは、試作専門メーカーとして多くの経験と実績があり、見積りの条件から、どんな材料がいいのか、どんな成形方法が必要かを即座に判断することができるためです。
その後、発注を受けると製作工程に入りますが、その工程は吟味され、徹底的に無駄を省いた工程になっています。これが短期納品につながります。

「たとえば、試作時には量産向けの成形方法を考える必要はないので、量産時に必要な金型条件や射出条件を省いたり、簡略化させています。また、自社工場一ヵ所で金型製作から射出成形まで一貫で行っていることや、工程を分業し効率よく進めていることなども短期間で試作できる理由です。」

試作メーカーは量産化の知見が少なく、量産メーカーには試作の経験が少ないことが一般的です。短納期での試作品見積り・製作は、もともとは量産メーカーであったQMS社だからこそ実現できる強みではないでしょうか。

きめ細かい試作情報を提供し、開発者の次の検討をサポート

プラスチック成形品製作には、材料、金型、成形機という3つの大きな要素が必要です。中でも、プラスチック成型品を作る上で最も重要な役割を果たしているのは金型です。用途や形状が同じ成型品を作ろうと思っても、金型の設計や成形方法が変わるだけで、金型費用や成形品の品質が変わるだけでなく、試作後に予定される量産化まで影響があります。

「樹脂試作には切削や3Dプリンター造形という加工手段もありますが、量産化に向けた試作をする場合は、金型を用いた射出成形が最も有益な試作方法です。わが社では試作専用金型(簡易金型)を用いて成形します。試作専用金型は、量産金型と違い、少量生産を目的として使われる金型ですが、製作した試作品は実際の量産品に近い性能を得られることができます。」

「量産検討時に生じやすいトラブルは樹脂の収縮や膨張の見込み違いです。場合によっては金型の作り直しまで必要になることがあります。しかし、試作時の変形データがあればトラブルを予見できる場合があるため、わが社では、量産検討において参考となる、試作対応時のデータを提供しています。」

QMS社では量産化提案にも対応しており、サービスの一貫として「QT-Service」というレポートを提供しています。同レポートでは、試作品自体の評価だけでなく、流動解析等の事前検討、試作プロセスで明らかになった工程別留意点などの情報をお客様に提供しています。

<「QT-Service」レポート項目>

1. 成形条件

2. 成形品収縮率情報・成形機情報

3. 初期打ち合せ提案内容 (事前検討結果を含む)

4. 試作結果留意事項

5. 量産時留意事項

6. その他・添付図面など

「3.初期打合せ提案内容」では、「1.成形条件」や「2.成形品収縮率情報・成形機情報」を踏まえたシミュレーション解析結果に加え、これまでの試作経験に基づいた、より良い形状を提案されることもあります。<図2>シミュレーションでは、樹脂の充填性、流動性、ウエルドラインや、ひけ、そりなどの発生可能性について検討がなされます。

QMSが提供する樹脂成形試作サービスの事前の検討結果報告例
<図2>事前の検討結果報告例(提供:QMS)

「4.試作結果留意事項」には、実際に製作した際の成形条件や主成形収縮率、さらには各工程の作業技術者からの精度維持や加工不良を防ぐための留意点などが含まれます。
「5.量産時留意事項」では、試作の製作工程や結果を踏まえ、量産時の加工方法の検討に向けた留意点が含まれます。

こうしたレポートを活用することで、「試作」から「量産」へ移行する際に、依頼元社内でもナレッジトランスファー(ノウハウ・課題引き継ぎ)がスムーズに行なわれ、製品開発のスピードアップが図られるのではないのでしょうか。

また、樹脂のよくある不具合事例やトラブルが発生した際の検証方法については他の記事で解説しています。そちらもあわせてご参考ください。

お客様に寄り添った構想段階から量産化までの各工程のサポートを目指して

QMS社は医療関連機器部品の試作も行っています。医療関連機器では、国際標準規格ISO10993やFDA諸要件などを満たした医療グレードの素材が使用されます。さらに試作となると、これ以外に用途に応じて耐熱性などの特徴を持った材料が選択されたうえで、精密な成形が求められるなど、製品化に向けてさまざまな制約が設けられることが少なくありません。<写真2>

QMSが提供する樹脂成形加工を用いた医療用シリンジサンプル部品
<写真2>医療用シリンジサンプル部品(提供:QMS)

最後に長島氏はこう締めくくりました。

「そのような難しい部品の開発を成功させるには、なるべく完成度の高い試作品を製作することと、試作品の評価を重ね多くの情報を集めることが必要です。開発初期段階から相談して頂ければ、当社の設備や技術をフル活用して量産につながる完成度の高い試作品の提供や評価のサポートを提案できます。」

「当社はただ迅速な試作対応をするだけでなく、試作の重要ポイントを踏まえ、用途や目的に応じて解析や評価をするサービスを提供できます。初めてのお客様は納品の早さに魅力を感じて頂き、ご依頼頂くことが多いのですが、2回目以降はこのようなサービスに期待して発注して頂いております。
今後は、ただ試作品を納品するだけでなく、幅広いお客様のご要望を理解し、材料選定や形状選定、用途に応じた試作品質の向上に向けたアドバイスを含めた試作サポートをできればと考えています。当社ならでは技術情報や経験を積極的に活用することで、お客様に寄り添い、製品の構想段階から量産化までの各工程をトータルにサポートしていきたいです。」

まとめ

ここでは量産化に向けたプラスチック製品開発における試作サービスを紹介しました。試作といってもその用途や目的はさまざまであり、用途や目的に応じた最適な試作の方法があります。特に量産化の際の加工手段を想定しながら、完成度の高い試作品を短納期で得ること、試作品の評価からできるだけ多くの情報を得ることが、量産化へのスピードアップにつながります。プラスチックの製品開発のスピードアップでお困りの方は、一度QMS株式会社に相談してみてはいかがでしょうか。試作品を早く納品してくれるだけでなく、モノづくりをサポートする適切なアドバイスが期待できるでしょう。

QMS株式会社
成形試作・検査治具のベストソリューション。QMS株式会社は、AV機器・OA機器・光学機器・電子機器制御機器・自動車・通信機器などの開発試作サポートを行っています。