自動車に用いられるプラスチック材料(2)~熱硬化性樹脂の種類、用途

自動車に応用されている樹脂材料が自動車のどの部位に応用されているかについて、ここでは熱硬化性樹脂の応用例を紹介します。<図1>にその概略を示しました。ただし、ここに記された樹脂用途は樹脂そのものだけでなく、樹脂の特徴を活かすために、繊維強化や他物質と複合化した樹脂の用途も含んだものとしています。

以下の記事でも自動車の軽量化を取り巻く背景や動向についても解説していますので、合わせて参照下さい。

▽自動車に用いられるプラスチック材料

<図1>自動車用プラスチック材料の分類
<図1>自動車用プラスチック材料の分類

熱硬化性樹脂の種類、特徴、自動車部品としての用途

ポリイミド(PI)

ポリイミドの比重は~1.4。複数の芳香族がイミド結合を介して剛直な分子構造を持ち、またイミド環構造が強い分子間力を持つため,ポリマー中で最高レベルの熱的、機械的、化学的性質を示します。熱分解温度は500℃以上、また耐寒性、耐放射線性にも優れています。
高価なため、自動車用途への展開はいまだ少ない状況です。

ビスマレイミド(BMI)

高耐熱、耐酸化性はありますが硬くてやや脆い材料です。高耐熱CFRP用母材として検討されています。高温耐性の必要なマフラー等に使用されています。

エポキシ樹脂(EP)

機械的強度が強く耐磨耗性に優れた材料です。耐熱性、高絶縁性、可撓性もあり、耐薬品性、耐水性、耐湿性にも優れ、かつ安価のため広く使われています。
エポキシ樹脂は外装の電着塗装用他、接着剤としても広く使われています。またガラス繊維樹脂(GFRP)や炭素繊維強化樹脂(CFRP)の母材として多く使用され、CFRPはボディにも採用されています。

ポリウレタン(PU)

強靭で軟質から硬質まで幅広い物性が得られ、分子量、構造の制御が可能です。耐薬品性や耐摩耗性に優れています。
シート、クッション向けに堅調な需要があります。

フェノール樹脂(PF)

耐熱温度は150℃、耐熱・耐寒性があり、耐酸性、耐溶剤性をもあります。難燃性、低発煙性で煙の毒性が少なく、高強度,高接着力な材料です。
タイヤ・ブレーキ(ディスクパッド、ライニング、ピストン)、パワートレイン(トランスミッション、プーリー、ウォーターポンプ等)、モーター、吸排気、外装、燃料の各用途で用いられています。

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エラストマーの種類、特徴、自動車部品としての用途

熱可塑性エラストマー(TPE)

TPEは、TPOやTPSなどハードセグメントを構成するポリマーの種類によって分類および命名されています。

オレフィン系熱可塑組成エラストマー(TPO)

TPOはPPやPE等のポリオレフィンがハードセグメントで、エチレン-プロピレンゴム(EPM、EPDM)などのゴム成分がソフトセグメントです。比重が軽く、耐熱性、耐候性、耐オゾン性、および成形性に優れています。
エアバッグカバー、ケーブル被覆材、モール類、マッドガード等に用いられています。乗用車用バンパーは最近ではPPを用いたTPOが主体となっています。

スチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)

自動車における熱可塑性エラストマー化の牽引役、成形性、柔軟性、機械強度等のバランスに優れています。
インパネ、ドアトリム、アームレスト、コンソールボックスなどの自動車内装パネル部材に用いられています。また最も高度な耐摩耗性が要求されるフットブレーキペダルパッド等の足元周辺部材としても使用されています。

液状シリコーンゴム(LSR)

2種類の熱硬化性材料を低温で混合し硬化した液状シリコーンゴムは高強度かつ柔軟性があり、耐熱性・耐薬品性・電気絶縁性もあります。
自動車用途では配線用ハーネス、パネルボタン、スパークプラグのカバーなどがあります。また熱伝導性をもつ、導電性、非導電性の製品もあり、アルミニウムで作られる熱伝導部品の代替品として電気自動車等への用途が考えられています。

ポリウレタン樹脂(PU)

抗張力(引張強度)、耐摩耗性、弾性、耐衝撃性、耐油性に優れています。一般の合成ゴムに比べ耐熱性や耐水性は劣ります。
泡剤を含ませて重合した発泡ポリウレタンは自動車用のバンパーやヘッドレスト等に用いられています。

繊維強化樹脂(FRP)の自動車部品としての開発動向

自動車業界ではガラス繊維を強化繊維としたGFRPとしてガラス強化ナイロンが70年代にラジエータタンクとして使われていましたが、その他のガラス繊維強化樹脂も2000年頃から広く使われるようになってきました。
先にも触れましたが、樹脂の特性を活かしながら、その強度を高める繊維強化手段は樹脂改良の一手段として広く使用されており、多くの樹脂メーカーは樹脂単体だけでなく、繊維強化品もラインアップしています。
炭素繊維を強化繊維とするCFRPはGFRPよりも軽く、比強度、比剛性とも高いため、広くボディ材として検討されており、一部高級車には採用されはじめています。しかしコスト的にはいまだ高く、母材樹脂として熱可塑性樹脂を用いたCFRTPの開発が進行しています。

<表1>にCFRPを除いた硬化性樹脂の特性と用途をまとめました。

<表1>硬化性樹脂の特性と用途

特性 用途
PF フェノール 耐熱・耐寒性、耐酸性、耐溶剤性、難燃性、低発煙性 パワートレイン(トランスミッシン、プーリー、 ウォーターポンプ等)、モーター、吸排気、外装
EP エポキシ 機械的強度が強く、耐磨耗性に優れる。耐熱性、高絶縁性 外装の電着塗装用他、炭素繊維強化樹脂の母材
BMI ビスマレイミド 高耐熱、耐酸化性、硬くてやや脆い マフラー等
PI ポリイミド 耐熱性と耐磨耗性。-270℃から+300℃の幅広い温度範囲で高い機械強度を発揮 スラストワッシャー、シールリング、ギア、各種軸受け、摺動部品
TPO オレフィン系エラストマー 軽く、耐熱性、耐候性、耐オゾン性に優れており、成形性にも優れている エアバッグカバー、ケーブル被覆材、モール類、マッドガード等
TPS スチレン系エストラマー 成形性、柔軟性、機械強度等のバランスに優れている インパネ、ドアトリム、アームレスト、コンソールボックスなどの自動車内装パネル部材
PU ポリウレタン 抗張力(引張強度)、耐摩耗性、弾性、耐衝撃性、耐油性 発泡ポリウレタンは自動車用のバンパーやヘッドレスト等
LSR シリコーンゴム 高強度かつ柔軟性があり、耐熱性・耐薬品性・電気絶縁性がある 配線用ハーネス、パネルボタン、スパークプラグのカバー

 

まとめ

ここでは自動車に応用されている樹脂材料のうち、熱可塑性樹脂が自動車のどの部位に応用されているかについて簡単に紹介しました。他の記事では、より詳しく樹脂材料についてご紹介していますので、あわせてご参考ください。


▽自動車に用いられるプラスチック材料

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