自動車に用いられるプラスチック材料(1)~熱可塑性樹脂の種類、用途 (1/2)

自動車に応用されている樹脂材料が自動車のどの部位に応用されているかについて簡単に紹介しましょう。ここではまず熱可塑性樹脂の応用例を紹介します。<図1>にその概略を示しました。ただし、ここに記された樹脂用途は樹脂そのものだけでなく、樹脂の特徴を活かすために、繊維強化や他物質と複合化した樹脂の用途も含んだものとしています。

以下の記事でも自動車の軽量化を取り巻く背景や動向についても解説していますので、合わせて参照下さい。

▽自動車に用いられるプラスチック材料

<図1>自動車用プラスチック材料の分類
<図1>自動車用プラスチック材料の分類

自動車部品に用いられる熱可塑性樹脂~汎用樹脂

ポリプロピレン(PP)

汎用樹脂の中で自動車に最も使用されている、軟質かつ耐疲労性を有する熱可塑性樹脂。
靱性と軽量が求められる自動車の内装品や電装品に多く使われ、またさまざまな改質剤を配合したPP樹脂は自動車用バンパーとして広く用いられています。成形法も検討され、トランクルーム内のデッキボード、乗用車ではありませんがトラクターのルーフ部材、フェンダー・バックドアなどの外板部品に使われる事例もあります。

ポリエチレン(PE)

最も加工が容易でかつ安価なため広く使用されている樹脂素材であり、高密度ポリエチレン(HDPE)と低密度ポリエチレン(LDPE)があります。高密度ポリエチレンの剛性と反り耐性はポリプロピレンよりも優れています。
燃料タンク、給油口から燃料タンクに燃料を輸送するインレットパイプ等に使用されます。

アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合合成樹脂(ABS)

アクリロニトリル(A)、ブタジエン(B)、スチレン(S)を主成分とするポリマーアロイです。耐衝撃性と靱性があり、成形加工、めっき、塗装といった二次加工がやりやすいので、自動車の内装部材および外装部材等に幅広く用いられています。
ダッシュボードトリム、電子エンクロージャー、ホイールキャップ・カバーあるいはクロムめっき加工されたABS製のホイールキャップ、グリル、フェンダーフレアー等に使用されます。

自動車部品に用いられる熱可塑性樹脂~エンプラ樹脂

ポリカーボネート(PC)

熱成形性に優れ、高透明性であり、耐衝撃性が普通のガラスの250倍で重量はその半分、低温特性が良く、使用可能温度-100℃~140℃と広範囲です。
窓材として使われはじめており、帝人はPC樹脂にプラズマCVD法によるハードコートを追加してガラス並みの耐摩耗性、耐候性を付与して世界初のPC樹脂製のピラーレスフロントウィンドウを開発。これは電気自動車のGLM「トミーカイラZZ」に搭載されました。

ポリアミド(PA)ナイロン

耐熱性、耐油性、耐疲労性、耐クリープ性に優れた材料です。
エンジンルーム内への適用例が多く、インテークマニホールド、ロッカーカバー、燃料系部品フューエルインジェクターのボディに使用されます。最近ではエンジンにより近い燃料部のスロットルチャンバー、インレット部品等の樹脂化が進みつつあります。

ポリアセタール(POM)

吸水性が小さく、引張強さ、弾性のほか、耐摩耗性、耐衝撃性に優れた材料。自己潤滑性があり、特に金属との摩擦係数が小さいことが特徴です。
自動車の燃料ポンプ等に使用されるほか精密な金属部品の代わりとして、電子・燃料装置用の部品、動力伝達用の部品に使用されています。

ポリブチレンテレフタレート(PBT)

熱安定性、耐候性、高絶縁性、耐有機溶剤・油・ガソリン性良好な材料です。自動車の電装品であるワイヤーハーネスやECUケースなどの需要が伸びています。

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