プラスチックの組成計測の原理と特徴:元素分析、分離分析、クロマトグラフィ (1/2)

研究開発のなかで、試料に含まれる物質を構成する元素の同定やその濃度の把握といった組成計測は欠かせないものです。この記事では、世の中で広く用いられるプラスチックの組成計測に関わる、元素分析と分離分析、クロマトグラフィの各方法についてその原理や特徴をご紹介します。

以下の記事でもプラスチック材料の計測・分析内容についてまとめておりますので、あわせてご参考ください。

元素分析(elementary analysis or elemental analysis)

自動元素分析 蛍光X線(automatic elementary analyzer、fluorescent X-rays)

バルクを対象とした分析法で、X線を照射したときに放射される蛍光X線を測定して、試料中の元素の検出・定量を行う分析法です。その波長と強度から、B(ホウ素)より重い元素を対象とした元素の組成や量についての情報が得られます。文化財の調査、犯罪捜査などにも用いられる非破壊分析法の一つです。

X線マイクロアナライザ (X-ray microanalyser:XMA)

固体表面の微小部分(局所)の元素分析をする装置で、直径1μm以下に絞った電子線を試料表面にあて、そこから出てくる特性X線をX線分光器で測定します。その波長から元素の種類が、強度から元素の含有量を判定できます。電子線で試料面を走査して元素の2次元分布を観測できる装置(electron probe microanalyser:EPMA)も使われています。

微小部分(局所)を単位に非破壊分析をBe以上の原子番号のすべての元素について行えるため、金属中の不純物、鉱物の分析、また化学や生物学の分野など広く用いられています。

X線光電子分光法(X-ray photoelectron spectroscopy:XPS、electron spectroscopy for chemical analysis:ESCA)

物質に単色光を照射したときに放出される光電子の運動エネルギー分布、角度分布、スピンの状態などを測定することにより、物質表面の電子構造や原子配列、磁気的性質などの情報を得る方法です。光源の種類により、真空紫外線を用いる紫外光電子分光法(ultraviolet photoelectron spectroscopy:UPS)と、X線を用いるX線光電子分光法(X‐ray photoelectron spectroscopy:XPS)に大別されます。

UPSでは原子価電子のみしか放出させられませんが、微弱なエネルギー(数~数百meV)を検出できる高分解能な計測法であり、価電子準位に注目した研究に適します。特に光エネルギーを走査し、運動エネルギーをほとんどもたない(zero kinetic energy:ZEKE)電子のみを検出する、しきい光電子分光法(threshold photo electron spectroscopy)では1meV以下という非常に高い分解能が得られています。

XPSは通常、分解能は高くありませんが(0.5~1eV程度)、内殻電子も放出させることができ、しかもそのイオン化エネルギーが化学的環境によって変化するので(化学シフト)、元素分析、状態分析が行うことができる特徴があります。

これらの測定によって得られる光電子の運動エネルギー分布を光電子スペクトル(photoelectron spectrum)といいます。固体・液体試料では、光電子は表面から数百pm~数nm程度の深さからしか放出されないので、光電子分光法は表面や吸着原子・分子の構造や電子状態についての情報を得るための有力な方法です。

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