プラスチック加工の基礎知識(7)~2次加工の種類、原理、特徴について解説

さまざまな用途に用いられるプラスチック。ここではプラスチックの加工方法のうち、1次加工を終えたあとに施す2次加工について、その種類や原理、特徴について解説します。


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二次加工の種類、用途、適用材料

これまで紹介した成形方法は、樹脂材料を目的形状に加工するいわゆる1次工程であり、これに付加価値を付与する工程や製品に組立てる工程が別に存在します。これを2次加工または後加工と呼びます。
2次加工の目的には、各成形品を組み合わせる、金属等の異種材料と一体化させる、成形品の外観価値を上げる、成形品の強度を向上させる、1次加工でできない加工を施す等があります。具体的には、接合、表面加飾、機械加工などが挙げられます。

<表1>主な二次加工

種類 具体例 適用樹脂 備考
接合 溶融接合
(溶着・溶接)
超音波溶接 超音波振動伝搬の良い硬質材料(熱可塑性樹脂) 小型の成形品用
高周波溶接 塩化ビニル樹脂専用 シート状の成形品用
誘導加熱溶接 熱可塑性樹脂全般 金属インサート成形品
レーザー溶接 光透過性樹脂と吸収性樹脂を組み合せ 任意形状の成形品
外部加熱溶接
(熱風溶着、熱板溶着)
熱可塑性樹脂全般 任意形状の成形品
摩擦溶接 熱可塑性樹脂全般 接合部形状に制限あり
接着接合
  • 接着剤による接着(おもに異種材料の接着)
  • 溶剤による接着(接合面を溶解して接着/主に同種樹脂間の接着)
  • 接着剤法はほとんどの樹脂で適用
  • 溶剤法は溶剤に溶ける樹脂に限定
  • 溶融接合に比べて簡便的に接合
  • 任意形状の成形品
機械的接合
  • ネジやリベット、ボルトやナット等による接合
  • プラスチックの弾性を利用するスナップフィット、等による接合
  • 金属等の異種材質との接合
  • ほとんどの樹脂で適用
1次加工後の金具をインサートする方法も含む
加飾 塗装、印刷、メッキ、各物理蒸着(PVD)、ホットスタンピング、等 ほとんどの樹脂で適用 脱脂や各種表面改質処理が必要となる場合があり
機械加工 切削、切断、穴あけ、スライス、曲げ、等 ほとんどの樹脂で適用 旋盤加工、フライス加工、ボール盤加工、等

 

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超音波溶接

接合させる成形品をホーンと受け台ではさんで超音波振動を与えると、接合部で熱エネルギーに変換され、溶接されます。以下にその原理を示します。

<図1>超音波溶接
<図1>超音波溶接

ポイントとしては、(1)成形品の中を振動が確実に伝わること、(2)接合部(溶接面)に振動が集中すること、(3)接合部全体が均一に溶融することの3点です。したがって接合する成形品は、振動の伝播損失が少ない硬質材料となり、また振動を集中させるために接合部分形状の工夫や接合部の接触ムラがないような工夫が必要となります。
超音波溶着はおもに非晶性の熱可塑性樹脂、特にポリスチレン、ABS樹脂、SAN樹脂、ポリカーボネート、アクリル樹脂、硬質塩化ビニル樹脂の接合に用いられます。

高周波溶接

高周波溶接では、高周波エネルギーの電界作用によって樹脂部材そのものを内部から発熱させて接合します。物理的な振動がない金型で挟みこむため表面の仕上がりが良い一方、対象樹脂としては誘電損失の大きい樹脂のため実用は軟質塩化ビニル樹脂に限られています。

誘導加熱溶接

誘導加熱溶接は、誘電損失の小さい樹脂の場合に用いられる接合方法です。樹脂を直接発熱させるのではなく、接合部に強磁性の金属等を練りこんだ樹脂を用いて高周波誘導で金属を加熱し、これによって樹脂を溶融して接合させます。

レーザー溶接

光透過性樹脂と光吸収性樹脂を重ねて、光透過側からレーザーを接合部に照射して接合します。接合界面でレーザー光を吸収した樹脂が発熱し、界面付近を中心に溶着させます。ポイントは透過側樹脂の「レーザー透過率」で、30%以上のレーザー透過率が必要とされる目安になっています。透過率がこの数値より低いと、透過材側がレーザーを吸収し溶けてしまうことがあるため注意しましょう。

外部加熱溶接

外部加熱方式にはおもに熱板溶接と熱風溶接があります。いずれも伝熱性に課題があり生産性は高くないですが、原理が単純で設備的にも安価なため広く利用されています。

1) 熱板溶接
接合する部分に高温の熱板を接触させて溶融させて相互の部分を圧着する方法で、樹脂性のパイプ溶接に使用されます。
2) 熱風溶接
エアガン方式の溶着機で熱風を樹脂に吹き付けて接合する方法であり、おもに現場施工や配管の分野で使用されます。

摩擦溶着

2つの部品同士をこすり摩擦熱を発生させて接合します。この方法は発熱が接合面で生じるため接合部形状に制限がありますが、接合部が大きい場合には有利でおもに大型製品の接合に用いられます。
接合条件としては摩擦速度と加圧力の積であるPV値があり、摩擦により成形材料が溶融する「限界PV値以上」の摩擦速度と加圧力を設定する必要があります。
効率よく溶着をさせるには限界PV値の数倍~10倍程度が必要とされます。摩擦溶接の1つとしてポリエチレン管の接合で用いられるスピン接合もありますが、原理は同様です。

接着接合の基礎知識(1)~接着剤による接着

接着剤による接着は、比較的手ごろであり金属等との異種材料との接着が可能という特徴があります。しかし、接着剤という接着部材と異なる性質の物質が介在するため、接着強度の高い接着剤を用いた場合であっても、接着部材と均一な強度が確保できるとは限らないことを考慮しておくべきです。また、接合させる部材の形状や表面の清浄化にも考慮しなければなりません。多種多様な接着剤がありますが、主なものを以下に示します。

エポキシ系

主剤と硬化剤を、使用直前に混合する常温硬化の二液型と、硬化剤を含有している高温硬化の一液型があります。エポキシ系は耐熱性と耐薬品性に優れ、接着剤内の強度が高い一方で体積収縮率は低く、その多くは機械加工が可能という特徴があります。

シアノアクリレート系

通常シアノアクリレート系は一液型であり、瞬間接着剤と言われるように短時間で接着します。しかし乾いた表面や酸性の表面では硬化が遅いこと、ポリオレフィンへの接着強度が低いことなどの制約があります。
そのため硬化促進剤を用いる場合もあります。またこれらの課題に対応すべく最近では二液型シアノアクリレート系接着剤も登場しています。このタイプは一液型よりも硬化が速く、酸性の表面や低湿度の硬化環境における接着性能が強化されています。

アクリル系

樹脂と硬化剤からなる常温硬化の二液型接着剤です。この接着剤はプラスチックや金属に対する高強度な接着性があります。接着剤に各種フィラーを添加したタイプもあります。たとえば、ゴム充填剤を添加して衝撃強度を向上させたもの、接着層の厚み保つためにガラスビーズを添加したものなどがあります。

その他

上記のほかに、フィルムのラミネーションに用いられるポリウレタン系、透明性プラスチックに用いられる紫外線硬化系、加熱溶融圧着して接着するホットメルト系などがあります。

接着接合の基礎知識(2)~有機溶剤による接着

溶剤接着とは、接着したい樹脂を溶剤で溶融して接合する方法です。非晶性樹脂や溶剤に溶ける結晶性樹脂は有機溶剤による接着が可能です。
有機溶剤による接着が有効な場合としては、特に美観が求められる透明性樹脂の接着が挙げられます。たとえば、代表的な透明性樹脂であるアクリル樹脂を接着できる溶剤のジクロロエタン(塩化エチレン)、ジクロロメタン(塩化メチレン)などが用いられます。
しかし溶剤接着は表面のみを溶融するので、接着強度に課題があり接着表面を大きくする必要があります。また接着させる樹脂が異なると接着強度が低下するため、同じ樹脂同士を接着させる場合に用いられます。さらに揮発性の高い有機溶剤を用いるとクレージングを生じたり接着強度が低下したりすることもあるため、注意が必要です。

機械的接合の基礎知識

ネジやリベット等による接合

プラスチックは金属よりもクリープ特性が劣るため、使用中に締め付けトルクが少しずつ低下して緩んでしまったり、逆に締め付けトルクを大きくするとクラックが発生して破壊に至ったりすることがあります。したがって成形品に機械的接合を行う場合はクリープによる緩みと破壊の両方を考慮した設計が要求されます。
プラスチック成品の組み立てにはセルフタッピングネジ(タッピングネジともいう)を用いることも多いです。セルフタッピングネジとは、ネジ山を刻みながら締め込むことができる形式のネジです。金属等の場合、下穴をあけてからネジ山を切ります(タップを立てます)が、セルフタッピングネジはタップを立てずに直接ねじ込むことができ、プラスチックなどの柔らかい材料をネジ止めするために使われます。
あらかじめ成形品に樹脂ボスを設けておきタッピングネジをねじ込んで締結します。ただし強く締めすぎると樹脂ボスが壊れたり繰り返し締めたり緩めたりすると締まりが悪くなるので注意が必要です。

樹脂の弾性を利用した接合

一般的にプラスチックは金属に比べて柔らかいので、この特性を利用した成形品の機械的接合の方法として、「プラスチックファスナー」や「スナップフィット」があります。
プラスチックファスナーとスナップフィットは、どちらも材料の弾性を利用して部品の片方をたわませることにより、ほかの部品に接合させます。

まとめ

ここではプラスチックの加工方法のうち、1次加工を終えたあとに施す2次加工についてご紹介しました。他の記事では、プラスチック材料の物性測定についても分かりやすくまとめていますので、そちらもあわせてご参考ください。


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