プラスチック加工の基礎知識(6)~発泡成形、真空・圧空成形

さまざまな用途に用いられるプラスチック。ここでは、プラスチック加工の中でも発砲成形、真空・圧空成形に注目し、それぞれどのような加工方法があるのか、それらはどのような特徴を持つのか、更にどのようなことに注意するべきかを解説します。

以下の記事でも、プラスチック加工についての解説をしています。合わせて参照下さい。


▽プラスチック加工の基礎知識シリーズ

発泡成形とは?~3つの要素によって発泡成形は分類ができる

発泡成形には気泡の形成方法によってさまざまな方法がありますが、一般的には、発泡方法、発泡成形品の気泡の状態、発泡させる樹脂の状態によって分類されています。

1.発泡方法

・樹脂の成形時に発生するガスを利用する方法
・樹脂に低沸点溶剤を含有させて成形時に溶剤を気化して除去する方法
・流動状態の樹脂に空気等を吹き込み機械的に混ぜる方法
・発泡剤を添加する方法
などがあり、樹脂の種類や成形品の要求品質に応じて選択します。

2.気泡の状態

・スポンジのように全体が発泡している状態
・発泡層と発泡していないスキン層を有する状態
・気泡が独立している状態(独立気泡型)、連続している状態(連続気泡型)
などがあり、発泡体の要求品質によって応じて選択します。

例えば、発泡層とスキン層からなる発泡成形品は強度が求められる用途、独立気泡型は剛性や断熱性が求められる用途、連続気泡型は柔軟性や防音性が求められる用途に用いられます。

3.発泡させる樹脂の状態

・液状の樹脂を注型する際に発泡させる「注型発泡成形法」
・加熱等により流動性を有する状態で発泡させる「溶融発泡成形法」
・固体状態での発泡させる「固相発泡成形法」
などがあります。それぞれを以下に説明します。


1) 注型発泡成形法
液状樹脂の固化と気泡生成が同時並行で進行します。重合反応で発生するガスや発泡剤の使用、空気等を吹き込むなどして、液状樹脂中に気体が過飽和した状態を経て発泡させます。

2) 溶融発泡成形法
気体を成形機に吹き込みながら1回で成形する(一段発泡法)方法と予備発泡させた樹脂を改めて発泡させながら成形する(二段発泡法)方法があります。

3) 固相発泡成形法
固相状態の樹脂を発泡させる方法です。あらかじめ樹脂と発泡剤等からなる”ビーズ”を成形型に投入して加熱軟化させながら発泡させることから、「ビーズ法」とも言われてます。

ストラクチュラルフォーム(構造発泡体)の成形方法

発泡の目的は主に軽量性や断熱性あるいは緩衝性であり、通常の場合、発泡倍率は10倍~60倍程度です。これに対して構造材料として用いられる発泡成形品はストラクチュラルフォーム(構造発泡体)といわれ、強度向上のため発泡倍率をほぼ2倍以下にした低発泡成形品があります。その成形方法には次のようなものがあります。

1.射出成形法の利用

樹脂とガスや発泡剤を混合して、通常の射出成形機で射出して発泡させる方法。

2.カウンタープレッシャー法の利用

低発泡成形品は、外観不良(ヒケ等)が生じることがあるので、それを防止する成形法。あらかじめ金型内を高圧ガス(窒素ガス等)で加圧状態にした状態で射出し、一定量の樹脂が充填後にガスを一気に抜いて均一に発泡させる方法です。

3.サンドイッチ成形法の利用

2台の射出成形機を用いて、まず発泡しないスキン層を射出し、次いでコア層として発泡剤を含む樹脂を射出して、コア層をスキン層中に形成してサンドイッチ構造とする方法。スキン層とコア層に異種樹脂が使用することもできるので、その組合せによってさまざまな機能を有する成形品が得られる特徴があります。

4.コアバック方式の利用

自動車業界などの軽量化と高強度化が求められる分野では、「コアバック方式」による”高発泡率成形方法”が利用されています。
発泡剤を含む溶融樹脂を金型に射出充填するとともに、樹脂内部に微小な気泡を形成します。その後金型を開き(コアバックし)、厚み方向にキャビティ容積を拡大することで溶融樹脂に対する圧力を低下させることで気泡を拡大させる方法です。
表層は気泡が存在しないスキン層となり、中心部分(コア部分)が発泡層となるので、低比重化と同時にスキン層が強度を確保することとなります。

<図1>コアバック方式
<図1>コアバック方式

真空・圧空成形の基本原理と用途

真空成形と圧空成形は、加熱し軟化させたシートから立体形状をつくる成形方法(熱成形)であり、食品容器等の小さな製品から自動車部品や家電等の大きな製品の成形に利用されています。

1.真空成形

シートと型の間にある空気を真空で引き、シートを型に密着させる成型法であり、射出成形等と比べると成形機も簡単であり、デザイン変更や設計変更が生じた際にも柔軟に対応できます。

<図2>真空成形法
<図2>真空成形法

2.圧空成形

圧縮空気でシートを金型に押し付けて成形する方法です。真空成形は大気圧で成形されますが、圧空成形は加熱したシートを真空吸引と圧縮空気で型に密着させて成形する方法です。真空成形に比べて高い圧力を得られるので、精度が高い形状が得られます。

<図3>圧空成形法
<図3>圧空成形法

まとめ

ここではプラスチックの加工方法のうち、発泡成形と真空・圧空成形の概要をご紹介しました。他の記事では、プラスチック材料の基礎知識や物性測定についても分かりやすくまとめていますので、そちらもあわせてご参考ください。


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